地下坑道よりも過去のお話しです。
短いのに誤字や正しくない日本語、文体になっておりますが温かい目で読み流してください。
アークスとは、宇宙を旅する他種族の組織である。
その目的は宇宙にはびこるダーカーを滅ぼすこと。
ダーカーの正体はよくわかっていない。
特徴として他の生物や機械に侵食し、コントロールを奪い、周囲のダーカー以外のものを攻撃する。
また、固体を持つものもあり、蟲や魚類、機械や玩具のようなものに形どり、他の生物を襲う。
そしてこのダーカーを完全に消滅させるにはフォトンが必要である。
普通にダーカーを倒しても、その場にダーカー因子が残留し、また周囲の物体に侵食を始める。
しかしフォトンを使い倒せば、ダーカーを完全に消滅させることが可能なのだ。
フォトンを扱えるのは現状、アークスのみである。
そのため、アークスはダーカーを消滅させるために宇宙を旅しているのだ。
現在、アークスはとある宙域に逗留している。
この宙域にダーカーを操る者、ダークファルスの存在を確認したからだ。
ダークファルスを討滅すれば、周辺宙域に想像される被害を最小限に抑えることができ、目的の達成が近づく。
そのため、周囲の惑星を探索・調査し、侵食を最小限に抑えるためにダーカーを減らしていく。
こうしてダーカーを減らし、ダークファルスを討ち、宙域の安全を確保したのち次の宙域へと旅をする。
これがアークスの日常である。
その休憩室は壁一面が赤色で統一された部屋だった。
部屋の中心には支柱がある。その周りを支え、囲うようにソファーが並んでおり、四角い支柱に取り付けられた電子掲示板が、アークス内で流行りのユニフォームやアイドルのライブ情報などの広告を色鮮やかに輝かせている。
休憩室の入り口から中心にある支柱の先にある階段を下りると簡素な造りの白いテーブルと椅子が複数置いてあった。
これからクエストに向かう者達の簡単な話し合いや、クエストを終えた者達が休憩しやすいように配置されたものだろう。
そんな休息スペースの一角にはアークスが2人。
片方はネコ耳をつけた少年。おそらく作り物だろう。
銀色の髪に銀色の瞳に肩まで垂らす髪は一見すると少女と見間違えるような整った容姿をしている。
種族は髪の間から飛び出ている、長くやや尖った特徴的な耳から察するにニューマンだろう。
青いブレザーを着ており、その腰のベルト部分には銀色の懐中時計が細い鎖とともに垂れている。
彼は先ほどから机に頬杖をついており、銀色の懐中時計を何度も確認してはため息を漏らしている。
片方はこちらもネコ耳をつけた少女。こちらも作り物だろう。
銀髪は隣にいる少年と同じだが瞳は黒い。
種族は一見するとヒューマンのようだが、たびたび変化する瞳孔と脚の踵の辺りに見えるブースターからキャストであると推測される。
髪型は少年よりもやや長く隣の少年と似た容姿をしており、澄ました表情は少年よりも少年らしい。
キャストと言えば機械的なフォルムやブースターなどのアクセサリーをつけてる者が多いが、彼女はそれらのフォルムなどは一切つけず、白い弓道士のような服を着ている。
彼女は背筋を伸ばして椅子に座ったまま微動だにせず、瞳だけ動かして近くの観葉植物と少年を交互に見ていた。
「木が気になるの?」
暇つぶしのように語り掛ける少年。
「別に」
素っ気ない返答に、またため息をつく少年。
そんな少年のため息に、自分の態度を顧み反省したのか少女が話しかける。
「……時間だね、会議とやらを始めちゃおうか」
一瞬、話す内容を考えていた少女は、話のネタが思いつかなかったのかここにいる目的から話し出す。
その声を聞き少年は顔を上げる。その顔には彼女の不器用な気の使い方と少し間抜けな提案に苦笑していた。
「始めようかって言ったって……ルルと僕の2人しか集まってないし、これじゃ始めようがないよ。あと、会議まであと十分はあるからね」
「十分くらい変わらないじゃない。第一、会議を通達したのはあいつのほうなんだから先にここにいて準備しておくのが普通でしょ?」
嗜めるように言う少年に、先ほどまでのすまし顔はどこへ行ったのか、少女は唇をとがらせて言う。この場にいない者まで責めるように反論したのは、全てわかっているような少年への気恥ずかしさから出たものか。
「そうかもしれないけど、その肝心な兄貴もいないんじゃ会議の内容がわからないし、会議の始めようがないよ」
少年の言葉に、返す言葉がない少女はそっぽを向いてしまう。
その様子をみてまた苦笑する少年。
少年は顎に手をやり、少々考える様子を見せると彼女に話しかける。
「とりあえず連絡してみなきゃ。僕は姉さんに連絡するから、ルルは兄貴に連絡お願いね」
「いやよ!」
凄い勢いで振り向いた彼女の強い拒否の言葉に少年は驚き、しばし動きを止めてしまった。
「……またケンカしたの?」
すぐに我に返った少年は訝しげな表情で彼女に問う。
若干責めるような少年の口調に、ルルはバツが悪そうな顔をして小声で文句を言いだした。
「だってあいつ……いつまでたっても戦い方を教えてくれないし」
「兄貴の戦い方は変わってるし、しょうがないよ。それに……」
「もっとレベルを上げなきゃいけないのはわかってるわよ!」
またも苦笑し、嗜めるように言うレルの言葉を遮り、声を荒げるルル。
しかし、その後の震えた声でこぼした彼女の声は先ほどとは違う、強い語調だが苦し気な声だった。
「レルはいいわよ。最初からきちんとフォトン使いこなして一人でも戦えるんだもん」
「でも私は違う。一人じゃ戦えない」
「パーティーでだって、周りに気を遣ってもらってやっと
日ごろから溜め込んでいたのか、彼女は淡々と、しかし、悲しさや悔しさといった複雑な感情が入り混じっているのが言葉の端々に見えている。
「ただでさえ世話になってるのに、チームのお荷物のままなんて嫌なの」
最後の言葉はレルの目を見据えて宣言するかのように言う。
迷いを捨て自分自身を奮い立たせるようなその言葉に、またも苦笑してレルは話す。
「ルルが気づいてないだけでちゃんとパーティーにもチームにも貢献しているよ」
「何もない所で転んだり、武器と間違えて携行食を換装しちゃったりする可愛い所もあるけどね」
「ちょっ! それは、わ、わざとよ!」
「それにね……」
その先の言葉は、二人を覆い尽くす巨大な影とともに現れた者に遮られた。
「ルルもレルもいないと思ったらこっちにおったのか」
巨大な影の主は、白い巨体を曲げ、レル達を上から覗き込んでいる。
その巨体はルルとは違った機械的なフォルムが目立つ、と、いうより全身が機械パーツで構成されていた。
かの有名な
ルルは自分たちが十分以上話し込んでいたことに気付く。
結局、時間通りに来たのは自分達だけだと認識した彼女は、自慢げに後から来たキャストに話しかける。
「ロル爺……今頃来たの? いつも先にいるのに何してたの? またシグ爺とレギアスの良さについて話込んでた?」
そう問う彼女に対し、ロル爺と呼ばれたキャストは頭を振る。
「いやいや、会議の時間なのに二人ともおらんから探しに来たのじゃよ」
その言葉にルルとレルは疑問符を浮かべつつそろって首を傾げた。
会議の時間通りに来ているのに会議にいないと言われ、少し混乱する二人。
「ふむ、ルルが連絡したのか。なら仕方なし」
唐突に一人で納得し、腕を組んでしきりに頷いた彼は、しばしの間をおいて告げた。
「集合する部屋、間違っておるぞ」
思わずルルの方を向くレル。
すでにそっぽを向いていたルルだが、その耳は部屋の色とまったく同じく真っ赤だった。
ありがとうございました