やはり俺の社会人生活も間違っている。 作:若輩者のTakko
いろは「先輩今何か言いました?」
八幡「いや…特に何も」
こうなってしまったら仕方ない。
平塚先生でないことを祈りつつ、万が一のために席も離れた場所にしよう。
そうと決まれば行動に移すだけだ。店の端へ進んでいく。
いろは「どうしたんですか~先輩。」
この甘ったるい声に反応したのか平塚先生らしき人物がこちらを覗いている。
覗いているということがわかるということは、こちらも見てしまったわけで・・・、もちろん目が合ってしまった。
もうだめだ。平塚先生で確定だ・・・。
平塚先生はこちらに歩み寄ってくる。
平塚「やっぱり比企谷じゃないか!久しいな。どうだ仕事のほうは、うまくやってるか…ね?」
八幡「まぁそれなりにやってますよ。」
平塚「そうか…うまくやってるのか…リア充は爆発してしまえ…」グスン
八幡「いや、今仕事の話でしたよね?つーかそんなんじゃないんですけど。こいつ一色いろはですよ」
いろは「どうも久しぶりです先生。って今はもう先生じゃないかー。平塚さん…?」
平塚「昔のまま先生で構わんよ。先を生きているという意味では先生だからな。」
八幡「そうっすね。先生は先生ですよ」
平塚「どういう意味だ?含みがある言い方だが。」
八幡「俺の末路が先生だと思うと納得してしまうんですよ。未婚なとことか」
平塚「なんだかなぁ・・・君らが一緒にいるところ見たら結婚なんてどうでもいいことのように思えてきたよ。」
八幡&いろは「…」
平塚「いろいろ努力はしたのだよ。今では料理もそれなりにできるし、煙草も控えてる。その分酒癖は悪くなったが自制はしてるつもりだ。」
八幡&いろは「…」
平塚「こうなってしまうともうどうしようもない。容姿のほうがダメなんだろうなぁ…」
八幡「いや・・・そんなことはないですよ。昔言いましたよね。「そりゃぁ相手に見る目がないだけですよ」って。あれは本心ですよ」
平塚「ありがとう。そういってくれてたのは君だけだよ。でも唯一そう言ってくれた君の目は腐っているからなぁ…」
八幡「そうですね。」
一色はどう思っているのだろうと思い一色に目を向ける。
いろは「まぁプライベートとかわからないですけどカッコいい女性って感じです。むしろカッコよすぎて近寄りがたいんじゃないですかね。可愛らしさアピール増やしたらいいと思いますよ」
平塚「今さら可愛らしくなんて振る舞えんよ。そんなのは偽物だ。そうだろ?比企谷」
八幡「やめてくださいよ。」
昔のことながら今でも鮮烈に覚えている奉仕部での言葉。
俺の求めた本物は結局手の届かないものだったが、それでも手に入れようと努力したあのころは自分なりの青春をしていたんだろうと思う。
八幡「例え偽物でもうまくやってる奴はいますよ。雪ノ下姉なんてその典型でしょ。まぁ先生に可愛らしさが合うかどうかは別ですけど」
平塚「偽物を嫌っていた君から出る言葉だとは思えないな。」
八幡「それなりに大人になりましたし、その偽物が必要なのも今ならわかりますよ。だからと言って偽物が好きかと言われたら違いますけど。」
平塚「まぁこの話はもうやめだ。久しぶりに会ったんだ。最近の話でもしようじゃないか」
八幡「そうっすね。特にないです。」
いろは「う~ん。最近比企谷先輩とよく会うんですよ」
平塚「比企谷、ストーカーはよくないぞ」
八幡「いやいや、してないですよそんなこと。もし、しようものならこの不審者ぶりもあいまって即逮捕です」
いろは「先輩ですもんね。」
八幡「今さら否定はしねぇけどお前に言われるとなんかうざいな」
いろは「うざいって何ですか…ひどくないですか?」
八幡「普段のお前の態度のほうが酷いけどな。歩く爆弾かと思ったぞ。」
いろは「私ボム兵じゃないんですけど…」
平塚「随分と仲がいいんだな。なかなかいい組み合わせだと思うぞ」
ボム兵が二体もいる!やめて!
八幡「俺が無理矢理連れまわされてるだけですけどね。今日だって相談があるとかなんとかで捕まって拉致されてここにいるだけですし」
いろは「せんぱい嫌だったんですか…そうですか…」
八幡「え。なに。都合いい人だから連れまわしてるだけじゃないの」
平塚「比企谷…君は馬鹿だな。私と違う意味で結婚できないと思うぞ。」
八幡「いや、俺はそんな予定ないですけど。家族なんて持ったら金かかるでしょ。嫌ですよそんなの」
平塚「君に分かれというほうが無理か。まぁそのうち分かると思うが、早く気づくことを祈ってるよ」
八幡「なにがですか」
平塚「私も最初は結婚とかそういう人付き合いとか面倒だと思っていた時期もあったが今は違うということだよ」
八幡「将来的に俺がそうなるかもしれないということですか?」
平塚「かもじゃない。そうなるんだよ。」
八幡「絶対なんて言いきれませんよね…」
平塚「そうだな。でも君と私はどこか似ている。きっとそうなる」
八幡「まぁ一応覚えておきますよ。」
平塚「それよりさっきから一色がかなりのペースで酒を煽ってるんだが大丈夫か?」
八幡「え」
見ると机には空のジョッキがすでに5本。
強い人なら全然余裕の範囲だが一色は大丈夫なのだろうか。
一色を見ると物憂げな顔をして問われた。
いろは「せんぱ~い…」
八幡「なんだ?」
いろは「せんぱいは私のこと嫌いですか?」
これは酔っているのだろうか
それとも酒の力を借りて聞きにくいことを勢いで聞いているのだろうか。
八幡「嫌いじゃないな」
いろは「じゃぁ私のことすきですか?」
八幡「久しぶりに会ってたかだか、数回しか会ってないのにそんな感情あるわけないだろ。」
いろは「私はせんぱいのこと…好きかもです」
ドキりとする。心臓が跳ねる。
だが、こいつは酒に酔っているに過ぎない。途中から確信した。
ふと横に視線を感じる。
そういや平塚先生いるんだったな…。
いろいろ考えた結果すぐ帰れそうな選択肢を選ぶことにした。
八幡「平塚先生。俺こいつ連れて帰るんで…」
平塚「あぁ。了解した。一色は酒が弱いんだな…こんな早く帰る飲みなんて初めて見たぞ(苦笑)」
八幡「俺も驚きです。じゃぁこれで失礼します。」
平塚「あぁ、頑張ってな。」
何を頑張るんだ?という疑問が浮かんだが、仕事のこととか今の一色のこととかのことを言ってるのだろうと納得した。
八幡「一色、大丈夫かお前…タクシー呼ぶからそこにいろよ。」
いろは「だいじょうぶれすあるいてかえれます」
呂律まわってないな…
八幡「いいから待ってろ。外は雨降ってるし歩くの大変だぞ。」
いろは「は~い」
八幡「会計いいですか?」
店主「勘定ね2000円だよ」
なんで酒ってこう高いのかね。
バスで帰れば高いから歩いてとか言ってたのに
その本人は寄ってるし飲み代払わされるし、タクシー代は払うことになりそうだし…。
憂鬱な気分になりながらもタクシーが来たので一色を乗せる。
幸いこいつの家には一回行っているのでその住所を伝える。
いろは「なんでやさしくするんですか…」
八幡「俺からしてみりゃ、かわいい後輩だしな。」
いろは「か…かわいいですか?」
八幡「そうだな。あざといけど」
いろは「そうですか…」(ヘヘヘ)
八幡「明日も仕事あるんだろ。家ついたら寝とけよ。まだ10時回ってないけど」
いろは「そうですね…そうします…」
酒が入ってるからかやけに素直に応じてくれた。こう見るとやっぱりかわいいなと思えてくる。
タクシーの支払いも終えた俺は
一色宅の近くまで一色を介抱し溜息をついた。
いろは「家の鍵は鞄の小さいポケットの中です…」
八幡「開けるだけだぞ。そのあとは帰る」
いろは「はい」
家を開けると女性らしさを感じる玄関が緊張感を仰ぐ。
どうにも居心地が悪いので一色に玄関のとこで別れを告げる。
八幡「じゃぁな。酒はほどほどにしとけよ」
いろは「は-い」
そういって一色は玄関で横になりスースー寝息を立て始めた。
八幡「マジかこいつ」
今はちょうど夏場で風邪をひくほどの気温にはならないだろうが、フローリングに掛布団もなしとなると
夏風邪を引いてしまう。
それにここを出るときどうしたらいいものか。
鍵をあっけぱなしで出ても平気だろうか。
一色を起こしてやれることをやってくれればそれですべて解決なのだが、先ほどから俺の声に一切反応を示さない。
八幡「おーい…一色…ここで寝たら風邪ひくぞ~つーか鍵開けたままでいいか?おーい」
いろは「」(スースー)
こりゃぁ参った。
せめて布団に入ってほしいものだが一色は起きる気配がないし。
帰ろうにも一人暮らしの女性が鍵を閉めずに寝るというのも危なっかしくてオチオチ帰れない。
仕方ないか…置手紙でもしてポストに鍵を入れておこう。
家の鍵ポストに入れておくから俺は帰る。
これでいいか。
やっと家に帰れる…
そうこうして家についた俺は10時頃いつもより早い時間に深い眠りについた。
展開が速いかな?じゃっかん不安ですがまとめて投稿はここで終わりです。
あとは一週間か二週間に一回ほど投稿します。
感想いただけるとやる気につながる単純脳なのでよろしければ!
こういうふうにしてほしいという作品の願望は聞き入れませんが…(笑
間違えの指摘等でも受け入れます