亀更新のタグがあるけど、頑張って続きを更新!
今回もよろしくお願いします。
「ん~!今日もいい天気!!」
晴れ渡る朝日を浴びて、今から数日前のヘスティア様と出会ったあの日の夜を思い出す。
ヘスティア様とクラネルさんが、開いてくれた歓迎会の後、私は自分のことを話した。
家族を物心つく前に死んじゃったこと、生活していくために盗みをしていたこととか全部。
クラネルさんもヘスティア様も何も言わずに聞いてくれた。
そしてヘスティア様は笑顔で、こう言ってくれた。
『そんな事かい?自慢じゃないが、ボクはつい最近まで
その言葉にクラネルさんも頷いて笑顔を向けてくれた。
と言うわけで、これを経て正式にヘスティア様達の家族になったわけだ。
そして、そして、私は今何をしているかと言うと…
「おぉーーい!メル君、何をぼーっっとしてるんだ!早く手を動かせぇ―-!」
「は、はぁーい!?」
絶賛アルバイト中だったり。
ここはヘスティア様が働いている北のメインストリート近くにあるじゃが丸君販売の露店だ。
あの日の夜の言葉には少し続きがあって、あの後ヘスティア様は一つの試練を私に課した。
それは、-まっとうな方法でお金を稼ぐこと-だ。
難しくない試練でホッとしたけど、私の考えが甘かったみたいでした…。
いつものヘスティア様からの変わりようと言ったら…
「こぉら!メル君、笑顔だ笑顔を忘れるな!近くを通るおじ様にはあざとく笑顔で!さんはい」
「い、いらっしゃいませ!!」
「完璧さ!その調子でどんどん行こう!メル君」
こんな感じです…。
すごいなぁー、まるで別人だよ…。本当につい最近までヒモだったんだろうか…
まぁ、なれなくていろいろ大変だけどこんな風に働くの楽しいし、盗みをしていた時よりすっごく充実してる。
はぁー、幸せだぁー。
「メル君!?え・が・お!!」
「は、はいぃー!」
ーーーーーーー
疲れたぁー……。
今日でヘスティア様のバイト先で働き始めて、ちょうど一週間。
慣れてきてわかったけど、あれってすっごく難しいんだなぁ。
そんなことを考えながら一緒にホームへ帰っているとヘスティア様が話しかけてきた。
「今日で一週間。メル君もだいぶ仕事に慣れたようだね?」
「はい!ヘスティア様のおかげです!」
「違うさ、君が頑張ったからだぜ?ボクの与えた試練は、もう乗り越えたと言っていいね」
そういって私の頭を撫でてくれる。
まだ、家族になって一週間とちょっとだけど、ヘスティア様に頭を撫でられる事が私の密かな楽しみだ。
こうやって撫でられると、胸がポカポカしてくるから。
目を細め、撫でられるがままになっているとまだ続きがあるのかヘスティア様は話し出す。
「そこでだ!メル君、君はどんな仕事がしたいかい?」
「仕事ですか?」
「あぁ!ベル君みたいにダンジョンに潜る、冒険者だったり、今やっている売り子とか。いろいろあるだろ?」
私がしたい仕事かぁ…。
ここには漠然とした理由で来ちゃったから、そういうの考えてなかったや。
うーん、私のやりたい仕事……。
考えれば考えるほどわかんなくなりそう
ヘスティア様はそんな私の考えを見抜いた様にこういった。
「まぁ、そんなに急いで考える必要はないよ?焦らずにじっくり考えればいいさ」
「はい、わかりました。」
やっぱりヘスティア様はすごいなぁ。
私の考えてることなんて、すぐわかるんだもんなぁ。
うーん、でも私って何がしたいんだろう。
そんなことを考えながら、神様とホームへの帰路についた。
「さて!それじゃあ、夕食の支度を始めようか」
「はーい」
神様の一言を合図にテーブルに食器を並べていく。
ちなみに今日の夕食は仕事先で分けてもらったじゃが丸くんと帰りに安くなっていたパン。
さらに、なんと今日は一番人気のじゃが丸くんチーズクリーム味あるんだ!
クラネルさん、喜ぶかなぁ?ふふっ、反応が楽しみ
「神様、メル、ただ今帰りましたー」
「おかえりなさい、クラネルさん!」
「お!帰ってきたね?さ、ベル君早くてを洗っておいで?今日の夕食はいつもと一味違うぜ?」
ドヤッとした顔で、ヘスティア様はクラネルさんに言う。
ふふ、クラネルさん驚いてくれるよねー、わくわく。
その感情が表に出ていたのか、クラネルさんは申し訳なさそうな顔をしてから、頭を下げる。
「ごめんなさい。外で約束をしてきちゃいまして…」
「むっ!まさかベル君女の子じゃないだろうね」
「ひっ!」
「まさか!ボクとメル君は頑張って仕事をして稼いでいたのに君は、ダンジョンと見せかけて女の子と遊んでいたのかい!」
「いや、あの…」
ヘスティア様は、自慢の黒髪を左右にゆらゆら揺らせてクラネルさんに、小言を言っている。
かく言う私もちょっとショックだったり。
クラネルさんに、相談してみようと思ってたのになぁ。
「ええい!もう君は、どこにでも食べにいくがいいさ。ボクはメル君と二人でパーティをしているから!」
「え、いや、あの…」
「いいから、早く行ってしまえ!」
「うぅ…」
怒鳴られ、トボトボと部屋から出ていくクラネルさんの背中がすっごく小さく見えた。
それを見ちゃうと、なんだか悪いことをしている気になっちゃうよ。
彼の姿が見えなくなると、ヘスティア様は顔を真っ赤にして私の顔を見た。
ひっ!ヘスティア様が見たことないような顔をしてる…
「メル君!!今日はヤケだ!全部食べるぞ!」
「は、はい!?」
鬼気迫る勢いに慌てて頷き、準備していた三人分の食事に目を向ける。
前には壁のように連なるじゃが丸くんとパン。
この量は…私、食べ切れる自信がないです、ヘスティア様。
目を隣に向けるとヘスティア様が、目の前にあるじゃが丸くんとパンを、恐ろしい勢いで食べていた。
はぁ、神様ってすごいんだなぁ~
でもこれは、やっぱり無理ですよ、ヘスティア様…
ーーーーーーー
うっ。も、もう食べられない…
どれだけ時間をかけてもさすがに、3人分は無理があったよぅ
寝ているヘスティア様を起さないようにそーっと外に出て、近くの石に座る。
夕食のときはいろいろあったから、この時間まで忘れてたけど
ヘスティア様から、言われたこと考えないとなぁ
「私のやりたい事かぁ…」
そうつぶやいて空を見上げる。
したいことって言われて一番最初に思い浮かぶのは、
これはどんな仕事だってできるしなぁー。
うーん…、どうしよ?悩むよー
「メル君、ここにいたのかい?」
「あ、ヘスティア様。」
そう声をかけて、ヘスティア様は私の隣に腰かける。
さっきまでの、怒りはどこに行ったのかもう普段通りの顔。
良かった。いつもの優しいヘスティア様だ。
そんなヘスティア様は、空に目を向けて私に問いかける。
「もしかして、今日のことを考えていたのかい?」
「はい、私は何がしたいのかなって」
そう答えるとヘスティア様は何でもないように笑って、私の頭を撫でた。
撫でられ自然と目が細くなり体から力が抜ける。
それを見計らったようにヘスティア様は、話の続きを始める。
「昼間も伝えたけど、そんなに悩む必要はないし、焦らなくていいんだよ?」
「え?」
「君のやりたいことが見つかってからでいい。どれだけ時間がかかってもボクも、もちろんベル君だって君を置いて言ったりはしないよ?」
「ヘスティア様……」
「さ、今日はもう寝よう!もう遅いし、明日もあるだろう?」
神様は、石から飛び降り、私に振り向く。
この人はいつも私の不安をなくしてくれるなぁ。
改めて、この人の家族になれてよかった!
そう思えた瞬間だった。
あ、そういえば。
「でも、まだクラネルさん帰ってきてませんよ?」
「ベル君なんて知らん!いいからもう寝るよ!」
「でも、いくらなんでも…。って、え?」
「ん?どうし…。って、ベル君!?」
私とヘスティア様の目線の先にはボロボロのクラネルさんが。
一目見ただけで、重症だと分かるケガの数々を見て、慌てて駆け寄る。
「どうしたんだい!?そのケガは!!」
「……ダンジョンに、潜ってました」
それを聞いて、私は息が止まった。
ダンジョンにって、モンスターがいっぱいいる所にただの服で!?
冒険者じゃない私でもわかる、そんなの正気の沙汰じゃない
死に行ってるのと同じだよ!
ヘスティア様も、同じく一瞬息を止め、それから目を吊り上げて声を上げる。
「ダンジョンって……そんな恰好で、今までずっと潜ってたっていうのかい!!!!」
「…はい、すみません」
「君は、何を考えているんだよ!そんな死にに行くような真似…」
「ごめん、なさい…」
それを聞いてクラネルさんは頭を下げると、足元がおぼつかずふら付く。あ、危ない!
慌てて、脇に回り体を支える。
触って分かったけど、もう服の血が乾いてる。
どれだけ潜ってたんだろう……。こんなになるまで一人っきりで…
ヘスティア様もしょうがないと思ったのか、ため息を一つついて私の反対に回り、クラネルさんを支える。
「まったく…君ってやつは…。しかし、なんで、急にこんなことをしたんだい?」
「……」
「クラネルさん?」
どうしたんだろう、急にしたなんか向いて。
何か言いたくないことがあるのかな?
「わかったよ、聞かない。」
「…ありがとう、ございます。神様、メルも」
「いえ…」
クラネルさんの弱弱しい笑顔が胸に刺さる。
何か理由があるのかもしれないけど、こんなになるまでダンジョンに一人っきり…。
「さ、中に入ろうぜ?もう、明け方だ。特にベル君はゆっくり休んだ方がいい」
「はい。…神様」
「ん?どうしたんだい?」
そうだよ、一人っきりなんだ。
右も左もモンスターだらけ、そんな場所に自分一人だけ…。
そんなの私は耐えられない!
だったら私……
「僕、強くなりたいです…!」
「ッ!」
クラネルさんがこの言葉を口にして、私の気持ちは固まった。
冒険者になろう。クラネルさんの隣に立っていられる、冒険者に。
そうすれば、どんな時でも、クラネルさんの家族の助けになれる!
ーーーーーーー
翌日、昨日の決心をヘスティア様とクラネルさんに話した。
「え!?メル、冒険者って危ないんだよ?わかってる??」
「そうか、わかった。君がそう決めたのなら、ボクは応援するよ。」
「ありがとうございます!」
「ちょ、神様~。」
と、まぁ最初はクラネルさんが心配していろいろと言ってくれたけど無事に認めてもらえた。
それじゃあ、さっそく!
くるりと、クラネルさんの前に出て言う。
「よし!それじゃあ、クラネルさん。行きましょう!」
「え?どこに行くの?」
「そんなのダンジョンに決まってるじゃないですか!さぁ、行きますよ!」
思いったらすぐ行動!
私のこれまでの人生の中での唯一の知恵を実行に移そうと意気揚々と一歩を踏み出した。
すると後ろからクラネルさんとヘスティア様が全力で私を止め、コケた。
うぅ、痛い…。
「つぅ、何するんですかぁ…」
「それはこっちのセリフだよ!」
「まったく、ダンジョンにはギルドに冒険者として登録しないと入れないよ?それに君は、そんな恰好でダンジョンに潜ろうとしているのかい?」
そういわれ改めて自分の格好を見る。
このファミリアに入った時にもらったヘスティア様のお古の動きやすいワンピースに昔から着ていた深緑の
うん、完璧な普段着だね。
「はぁ、ベル君!悪いけど、メル君の冒険者登録を一緒にしてきてくれないかい?」
「わかりました、神様。さ、メル?行こうか」
「う、はい」
「あ、装備を整えてくるのも忘れずしてくるんだぞー!」
ところどころ包帯を巻いたクラネルさんの手を借りて起き上がり、一緒にギルドに向かう。
うぅ、舞い上がっちゃって恥ずかしい…。
こんなんじゃ、クラネルさんの助けになれないよぉー。
二人で、北西のメインストリートを進んでいるとクラネルさんが話しかけてきた。
「そういえば、メル。装備どうしようか?小さいから結構絞られてくるとは思うけど…」
「あ、それでしたら決まってますよ?弓とナイフ二本にしようかなぁと」
「そうなんだ!もしかして、使ったことあるとか?」
「まぁ、一応ですけどね」
盗みをして生活してたって言っても、毎日稼ぎがあるわけない。
そんなときは、時々近くの森で弓とかナイフを使って狩りをしてたからある程度は使えるはずだし。
まぁ、実際、私の身長と力じゃそれぐらいしか選べないんだけどね。
そんな話をしていたら、もうギルド前に到着していた。
クラネルさんは中に入ると、あたりをキョロキョロと見回し一人のハーフエルフのお姉さんを見つけて駆け寄っていった。
私もそれを追う。
「あれ?ベル君、おはよう。今日はこんな朝からどうしたの?それにその女の子は?」
「エイナさん、おはようございます。今日はこの娘の冒険者登録をしに来ました!」
「この女の子が冒険者に?」
どうやらギルドの職員で、クラネルさんの知り合いみたいだ。
私は頭を下げ、自分の名前を名乗った。
「私はメルク・プーランと言います。よろしくお願いします」
「あら、こちらこそよろしくね。私はエイナ・チュール。ベル君の冒険のサポートをしてるの。」
そういって、エイナさんは私と目線を合わせて笑った。
きれいな人だなぁ-。凛としてるのにすごく優しい笑顔だった。
そんなことを考えていると、彼女は立ち上がり本題に移った。
「自己紹介はこのぐらいで。えっと、メルクちゃんだったよね。それじゃあ、冒険者の登録始めましょうか。」
「はい!」
「さ、こっちでやりましょう?細かいことを書く欄があるけど、それは私の方でやっちゃうから」
そういって、エイナさんは受付に移動し、下からいろいろなことを書き込む紙を取り出した。
そこには、見た目やら、特徴やら確かにものすごく細かいことを書く欄があったけどそれは彼女がやってくれるみたいだ。
この人もいい人だな。
「えっと、じゃあ所属してるファミリアと年齢を教えてもらえる?」
「はい。所属はヘスティア・ファミリアで、歳は13です」
「あぁ!あなたがベル君の言っていた後輩ちゃんね?わかった。それじゃ、手続きを済ませちゃうから待ってて?」
「はい!」
すると、彼女は隣の机に体を向けて書類に必要事項を買い始めた。
文字書くの早いなぁ。私なんか、読むので精いっぱいでしかも、書くのはへたっぴ。
文字も練習しないと、だね。
やることがいっぱいだー。
短い間、考え事をしていると手続きが終わったのかエイナさんが私に向き直った。
「はい、おしまい!これであなたも冒険者だよ。あと、あなたの冒険の手伝いも私がするから、今後ともよろしくね」
「ありがとうございます!こちらこそよろしくお願いします、エイナさん!」
そういって、受付から離れるとクラネルさんが顔を少ししかめて立っていた。
ん、どうしたんだろ?なんで少し機嫌悪そうなんだろう?
近づいていくと、クラネルさんが話しかけてきた。
「ね、ねぇメル、聞いてもいいかな?」
「なんでしょう?クラネルさん」
「それだよ!なんで僕は家名なのに、エイナさんは名前なの?」
「いえ、特に深い意味は…」
何てことだ、クラネルさんが些細なことで怒ってる。
確かに、ちょっと他人行儀だから変えなくちゃとは思っていたけど、そんなに気にしていたとは。
えっと、じゃあ
「ベル兄」
「え?」
「ベル兄って呼んでもいい、ですか?」
「うん、うん!!もちろんだよ、できれば敬語もなくしてほしいな!」
「わ、わかった。そうする、ベル兄」
男の人には変な表現かもしれないけど、花が咲いたような笑顔のベル兄。
ふふっ、年上だし言っちゃいけないのかもだけどかわいいかも?
「それじゃ、メル。さっそく支給品だけど装備を揃えに行こうか!」
「うん!ベル兄!!」
よし!ベル兄との仲も深くなったし、冒険者の登録も済ませた。
あとは、装備だけだけどそんなに時間もかからないうちに決められると思う。
それじゃあ、明日からはベル兄と一緒にダンジョン探索だ。
ベル兄の力になれるよう精いっぱい頑張らなくちゃ!!!
読了ありがとうございます。
ソモ産でございます。
今回は、主人公の冒険者になる動機を書いてみました。
文才がなく至らないことばかりですが、次回も読んでくれると幸いです。
では、また次回にて