オラリオに家族を求めるのは間違っていない!   作:ソモ産

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閲覧ありがとうございます。

今回で、原作一巻の内容が一応終わりです。


命の重さ

はぁ…はぁ…

息を切らして、裏路地を走り回る。

大通りの声が聞こえなくなるにつれて、私の鼓動が早くなる。

 

「どこ…、どっちに行ったの…?」

 

迷路のような路地を右へ左へ走り回るも、ベル兄とヘスティア様の姿は一向に見つからない。

―でも、見つけてどうするの?ベル兄より弱い私が行ったところで…。

そんな考えが一瞬頭をよぎるも、すぐに頭を振って追い出す。

 

「どうにかならないじゃない!どうにかするんだ!!」

 

私のすべてをかけて、家族を守る!!

言葉にして気持ちを新たに、足を前に進めると先の角から轟音とモンスターの叫びが。

そこにいる!!そう確信して全力で音のした方へ、駆け出す。

 

「いた!!」

 

角を曲がると、目の前にはオークに追い詰められている二人がいた。

もう1体は?とかそんなことは今はどうでもいい!今は2人を逃がすことだけを考える!!

とっさに弓へ手を伸ばすも、それでは間に合わないと判断し、オーク目がけてさらに加速する!

 

「やぁぁぁぁーーーー!!!!」

『グピャ!?』

「メル!?」「メル君!?」

 

オークの側頭部に蹴りを見舞い、怯んだ隙に2人の前に立つ。

けど、すぐに後ろでオークが動き出す気配が。

全然効いてないじゃん、どうしよう…

 

「メル君!なんでここに?」

「2人が追われているのが見えたからです。そんなことよりベル兄はやく、神様を連れて逃げて!」

「え、メルはどうするの!?」

 

メル兄…。なにそんな当たり前のこと聞いてんのさ。

ヘスティア様を連れて逃げるなら、どっちかが足止めするしかないじゃん。

しかも、ヘスティア様を連れて逃げられるのは、身長的にベル兄だけ、つまり…。

 

「ここで、オークの足止めをするよ。」

「ちょっ!?そんなの無理だよ!!」

「いいから早くいって!!このままじゃみんな死んじゃうから!!」

「で、でも!?…」

「お願い。早く行ってベル兄!!!」

 

この間にも、オークはじりじりと距離を詰めてくる。

もう言い合いしてる時間はないかな…。

すると、ヘスティア様は苦い顔を一瞬し、覚悟をした声で私に話す。

 

「…メル君?無理をしないと約束できるかい?危なくなったら逃げるって」

「か、神様!?」

 

ヘスティア様…。ありがとうございます。

そしてごめんなさい。つらい選択をさせてしまって。

 

「できます!私だって死にたくないですし。」

「…わかった、頼んだよ。それじゃあ、ベル君逃げるよ!!」

「か、神様!!め、メル?!」

 

ヘスティア様はベル兄の手を引っ張ってさらに奥へと走っていく。

それを追うように、オークが動き出そうと一歩踏み出した。

え?ヘスティア様を追ってる??

 

「って!行かせるわけないでしょ!!」

『ブホォ?』

「これは…どうしよっかなぁ…」

 

コンパクトな蹴りをオークに当て、意識をこちらに向ける。

えぇ…、さすがにこれは。

なにその、え?何か当たった??みたいな反応。

 

『ブオォォォォォ!』

 

ヘスティア様たちを完全に諦めたのか、雄叫びを上げ、私に狙いを絞ったみたい。

ひとまずは目的達成っと。

ん?この感じあの時の!?なんなんだよもう!あぁ、ムカつく。

けど、今は倒すことに集中しなきゃ。そうと、決まったら先手必勝!!

両腿からナイフを抜き取り、一気にオークとの距離を詰めようと―

 

『ブゴッ!!!』

「きゃっ!」

 

気が付いたら、オークの剛腕が目の前に迫り、とっさに横へ飛ぶ。

しかし、軽い私の身体はその風圧だけで、家の壁に吹き飛ばされそこにあった木箱に突っ込む。

じょ、冗談でしょ?ここまで…

その力強さに驚愕し近づくことを、諦める。

遠距離戦に持ち込むため、立ち上がりながらナイフをホルスターに戻して背中の弓を取り矢をつがえてすぐに放つ。

 

「はっ!!」

『ブギィ?』

「この豚…」

 

私の放った矢はしっかりとオークの身体に突き刺さった、けど。

ちょっと、刺さってるのに全然効いてないとか勘弁してよ…。

オークは、矢を何でもない風に引き抜き私に突っ込んできた。

って、落ち込んでる暇もないし!?

 

『フガァァァ!!』

「くぅ!?」

 

気付くのが遅すぎて、今度は避けきれず手のひらに掠り吹き飛ばされる。

痛みで体が動かない中、目を開け状況を確認する。

すると、オークが腕を振り上げ攻撃態勢に入っているのが見えた。

ま、マズッ!

とっさに弓を探すも、さっきの吹き飛ばされた反動でどこかに行ってしまったみたいで近くにはない。

あぁ、直撃したら死んじゃうかなぁ…。

一瞬、諦めの感情が浮かぶもすぐに思い直し気持ちを入れ直す

 

でもここで、こいつを倒さないと!家族が死んじゃうかもしれないんだ…。

だから!!

 

『ブフォ!』

「っ!!!」

 

思いっきり横に跳び、今度は完璧に避ける。

はぁ、はぁ…そうだ。私は倒さなきゃいけないんだ。家族を守るために。

両腿からナイフを抜き、フラフラの状態で構える。

 

『ブフゥ?』

 

その時、オークの目が驚いて開かれた気がした。

へぇ…?モンスターでも驚くんだね…。

もう動けないとでも思ってたの…?

 

残念、家族のためなら私はどんなになっても立ち上がるよ…。

たとえ、腕や足が折れても……。

そこで見てる奴も、覚えておけ。私はこういう奴なんだよ!

そんな思いを込め、一瞬視線の方向に目を向ける。

そして、すぐにオークに戻す。

よし、まだオークは動いてない、それならこのチャンス、絶対にモノにする!!!

そう判断し、痛みが走る体を気持ちだけで前へ前へと走らせる。

 

「こんのぉぉぉぉぉ!!!」

『プギィィィ!?』

 

今、出せる渾身の力を込めてオークの右足にナイフを突き刺し振りぬく!!

すると、オークは汚い血をまき散らしながら、悲鳴を上げ膝をつく。

効いた!!

このまま、畳み込む!

すぐに、方向転換してもう一度オークに向かってひた走る。

 

「今度は、左足ィィ!!」

『プギャァァァ!?』

 

間髪入れずに、逆の足を切られたことで今度は前のめりに倒れこむ。

これなら勝てる!!

ひと息に行ってしまおうと、足に力を入れるも急に力が抜ける。

ちっ、さっきのが足にきてた。

 

『フガァァァ!!』

「っ!!」

 

雄たけびをあげ立ち上がる、オークを見て歯噛みをする。

今ので仕留められなかった自分の不甲斐なさと、あれだけの傷があっても立ち上がるオークの強靭さの両方にだ。

それでもまだあきらめない!確かにダメージを与えられたんだ。

勝てる可能性はある!!

ナイフを再び握りしめ、オークを睨みつける。

 

「さぁ…、もう一回倒れてもらうからねっ!」

『ブギ、ギギィィ!!』

 

もう手加減はしないぞ、とばかりの雄叫びをあげ私に走ってくる。

チッ!向こうから攻められたら隙が…!

すると、オークの向こう側に私の弓が見えた。

あ!これなら隙が作れるかも!

一か八か、行く!!!

 

「てりゃぁぁ!」

『ブギャァァァァァ!!!!』

「ここっ!」

 

ちょうどオークが腕を振ったタイミングで、その足元に滑り込む。

よし抜けた!

そのまま、転がる弓のもとへ走る。

よし!矢は?

すぐに腰の矢筒に手を回すと、数十本ほど確認できた。

ちょっと少ないけど、贅沢言えないよね…

そうこうしている間に、オークも振り返って私に向かって走ってきた。

 

『ギャァァァァ!!!』

「ふぅ……」

 

ゆっくりと息を吐き、ギリギリまでオークを引き付ける。

チャンスはそう何度も来ないと思う。

だからこの一回で決めるため気持ちを落ち着かせる。

気持ちが落ち着くにつれて、オークの動きがゆっくりと見えてきた。

このタイミング!!

 

「ふっ!ふっ!くらえっ!!」

『っ?!ブギャァァァァァ?!』

 

オークの攻撃が私に届く直前に、矢をオークの両目に3本打ち込む。

当たれ!!その祈りにも似た願いが届いたのか、見事放った矢すべてが命中した!

それによりオークは、目を抑えもんどりを打ってその場に倒れこんだ。

今だ!一気に叩き込む!!!!

 

弓をすぐに背中に戻し、ナイフを再び握りしめオークへ突っ込む。

 

「せやぁぁぁぁ!!!」

『ブギャア!!』

「もう絶対に手を休めない!!!!」

 

勢いのまま、オークを切り付けたあとすぐに路地の壁を利用してもう一度切りかかる。

今の私の力で出せる限界の速さで動き続ける。

止まったら最後、オークに握りつぶされる!!

 

『グッ、ガァ!』

「切れろぉーー!!」

『プギャァァァ?!』

 

何とか、打開しようとオークが伸ばした手を2本のナイフを合わせて断ち切る。

よし!このまま頭を落として…。

パキッ!

音のした手元を見ると、ナイフが2本とも折れていた。

くっ!でもまだ武器はある!

 

すぐに切り替えて、背にある弓を手にオークの頭にまたがる。

 

「この距離からならっ!!!」

『プギ?!』

 

矢をつがえては撃つを、繰り返し行う。

一つ一つに渾身の力を込めて、同じ場所に何度も撃つ、撃つ、撃つ!

振り落とそうと、オークが頭を振ったけど全力でその場にとどまる。

 

矢筒に手を回し、最後の矢を掴み、自分のすべての気持ちを込めて放つ!

 

「こっれでぇ!!とどめだぁ!!!!」

『ピギャァァァァァ!!』

 

最後の矢がオークの頭を貫通し、断末魔を上げた。

や、った?オークの頭から、立ち上がり仕留めたか確認するために思いっきり蹴飛ばす。

…よ、し。勝、ったぁ……。そのまま地面に倒れこみ、空を見上げる。

あ、でも、2人を追わないと…。ってあれ?、力が…

 

「べ…兄、ヘス…ィア様」

 

もう限界みたい、それじゃあ少し休んでから行こう。

そう決め、目を閉じる間際、誰かの足音が聞こえた気がした。

 

―――――――

 

「メ…く…!」

 

ん、誰かが私の名前呼んでる?

身動きをするとフカフカした感触が体に伝わる。

ここどこ?ってか、私何してたんだっけ?

 

徐々に記憶が鮮明になって、体を起こす。

 

「ヘスティア様!ベル兄!?今助けに―」

「へぇ!?」

「「あいたぁぁぁ!?」」

 

うぅ、痛いぃ…。

何か前にも似たようなことがあった様な。

そんな風に考え始めようと、すると今度は非難の声がかかった。

 

「いきなり、起き上がらないでくれよ、メル君!!」

「え…ヘス、ティアさ、ま?」

 

そこには、私の守りたかった家族の一人がいた。

あぁ…、無事だったんだぁ…。

そう思った途端、私の中の何かがはじけて、涙が溢れ出した。

 

「う、うぇえ~、ベ、ベズディアざまーーー!!」

「う、うおぉ!!どうしたんだい?どこか痛いのかい?」

 

心配して慌てている、いつものヘスティア様がみれて心の底から安心する。

よかったぁ、よかったよぉーーー。

安心から、ヘスティア様に抱き着く。

 

「もう、大丈夫だよ。メル君」

 

そう言って背中をさすりながら、ヘスティア様は優しく抱きしめてくれた。

あぁ、あったかい。ヘスティア様は、本当にあったかいよ。

落ち着いてくると、もう1人の家族のことが気になってくる。

 

「あ、あの、ベル兄は?」

「あぁ、ベル君ならもう起きてるよ?まぁあの後いろいろあったけどね…」

「よかったです。ところで、ここは?」

「あぁ、ここは―」

 

部屋の外から、あわただしい足を音がまっすぐにこの部屋に向かってくる。

誰だろう?ってか本当にここどこなの?

そんなことを考えている間に足音が部屋の前で止まり、扉が勢いよく開かれる。

 

「神ヘスティア、プーランさんはどうですか?」

「あ、リューお姉さん??」

「あ、起きたのですね。よかった。」

「彼女が、君を運んでくれたんだよ?」

 

リューお姉さんが?わざわざ私を探してくれた?

意味が分からず、首をかしげると。つかつかと、リューお姉さんが近づいてきた。

 

「プーランさん…」

「何で――」

 

厳しい顔をしたリューお姉さんに頬をたたかれた。

え?遅れて徐々に痛みを感じ始めていると、リューお姉さんは口を開く。

 

「あなたは、もう少し自分の命の重さを考えた方がいい」

「私の命の重さ…?」

「あなたが思っているほどあなたの命は軽くない。それは覚えておいてください。」

 

それだけ言って、リューお姉さんは部屋から出ていった。

私の命の重さ…?そんなの

 

「言ってる意味が分からないって顔だね?」

「ヘスティア様…」

「ボクもあのエルフ君と同じ気持ちだよ?メル君、君はもう少し自分を大事にしてもいいんだよ?」

 

自分を大事にか……。

でも私は、今までひどいことばかりしてきて…。

そうやって、否定しようと考えが進む前にヘスティア様は布にくるまれた長い物を差し出してきた。

 

「よし!それじゃあそんな君へ、ボクからプレゼントだ!」

「そ、そんな!貰えま―――」

「君がボクやベル君を大切に思っているようにボクもメル君を大切に思ってるんだよ?」

「え?」

「もちろんベル君だって同じだと思うよ?ボクもベル君も君が死んじゃったら悲しい」

 

私が死んだら、2人は悲しんでくれるんだ。

そっか、私だけが大切に思ってるわけじゃなかったんだ。

 

そっか、そうだったんだ。

じゃあ、絶対に死ねないや。

これがリューお姉さんとヘスティア様が言っていた『自分の命の重さ』って言葉の意味なのかな?

だとした、これからは気を付けないと、私の命は私が思ってるよりずっと重いんだってこと。




読了ありがとうございます。
毎度のことながら、読みにくい文章ですみません。

何度読み返しても、まだまだな部分が多い私ですが、感想などで指導お願いします
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