艦隊これくしょん -Blue submarine- 作:イ401
今回は視点移動が何時もより多いです。それと、とある艦娘が登場するのですが…キャラ崩壊してます。ご注意を。
第13話
-Reboot-
-Maintenance program start-up-
-Checking…-
-Hull damage rate 83%.Check a fatal damage-
-Mental model damage rate of 42%. Check the body damage by the arithmetic processing capacity reduced-
-Union core damage rate 0%. Arithmetic processing capacity 46%-
-Check the 43 system error-
-The judgment that there is no hindrance to the minimum required activities-
-The main system restart-
唐突に、視界が開けた。
同時に、
起き上がろうとしても、異常なまでの身体の重さを感じ、思うように身体を動かす事が出来ない。先に顔を起こし、周囲の状況を試みる。
「──ッ」
見る限り、CICは悲惨な状態だった。
船体は19度右、32度前に傾き、殆どのモニターがひび割れており、明かりとなっているのは非常灯と生きているモニターの光のみ。所々に意識を失っている妖精達が転がり、既に意識を取り戻してた妖精が手当てをしている。
それを認識したイオナはようやく身体を起こし、壁に寄りかかる。そこに1人の妖精が駆け寄った。
「だいじょうぶー?」
「大丈夫…とは全く言えないな」
そうやって右腕を視界に入れるが、肘の先端から先が無くなっており、その断面は六角形のエネルギーフィールドが覆っている。
いや、それだけではない。身体の所々が消失しており、イオナ自身の状態をも物語っている。
(演算処理能力の低下が原因か…だが、この程度なら)
イオナの周りの床が光り、砂上のナノマテリアルが出現。宙に浮き、イオナの損壊部に終結し、因子を再構成。2秒経てばイオナの身体は元に戻っており、身体の重さも無くなっていた。
「他の妖精達を頼む。私はエンジンの再起動を試みる」
「りょうかーい」
パタパタと妖精が離れると同時に、イオナはエンジン始動を試みた。しかし、エンジン音は疎か、一切の反応も示さない。
(…やはり、エンジンもやられたか。妖精達は手一杯な以上…)
イオナはゆっくりと立ち上がり、破損して僅かに隙間が空いたまま固定されたCICの扉に立つ。
(私が行くしかない)
左手を隙間に入れ、無理矢理こじ開けた。
罪禍悪鬼の攻撃によってメチャクチャ&水浸しにされた船内を進む事、数分。何とか機関室の前まで辿り着くことが出来ていた。
「…かなり酷いらしいな」
半壊した機関室のドアから多量のガスと水が流れ出しており、機関室の惨状を外からでも物語っている。
一応ドアの制御を試みるがやはり開くわけも無く、強硬手段でドアの上半分を破壊。機関室への通路を開け、中へと進入した。
機関室はほぼ8割の面積が浸水。残りの空気は、エンジン循環冷却系の液が気化した事により発生したガスが充満。機関室の各部にある円球状のコアセルはほぼ全て破損。更に右奥にあった壁と床がそっくりそのまま"無くなっている"。
(…とにかく、今はエンジンと欠落部分の応急修理からだ。だが最悪の場合…覚悟した方が良いな)
そして、余裕が無くなった僅かな活性化ナノマテリアルを各所から取り出し始めた。
「…これで、完了だ」
エンジンと装甲を応急修理し、"何とか動かせるかもしれない"レベルまで回復される事に成功した。排水が出来ていない為水浸しだが。
(起動)
──キィ……ン……ィ……
(ッ…出力50%!!)
──ィ………ィィィ、ィィィィィ、ィィ
(今出せる最大出力でギリギリ、か…しかも損害状況を見るに、これ以上の潜行は不可能…)
「深度0まで浮上。
ゴゴン、という低い音が響き、船体を大きく揺らして浮上を開始。破片を落としながら、光が届く海面へとイ401は上がっていった。
横須賀鎮守府。
首都東京へと通ずる海路の防衛を担当する、日本で最重要基地であるそこは、 平均的な基地の規模を大きく上回っていた。
最大40隻の軍艦が入港可能な港。巨大なドックに工廠。敵性航空機に対する対空網。所属する艦娘達の人数と練度。艦娘達を運用する為の資源量──数えれば数える程キリが無い。
更に横須賀鎮守府には、陸海軍から独立した指揮系統を持つ防衛軍が設置されており、常に本土防衛の準備は整えられている。
そんな、深海棲艦の侵攻に対して常時厳戒態勢にあるような鎮守府の敷地の比較的奥に存在するレンガ状の建物。
その中にある"提督室"に、2人の女性の姿があった。
「…今日の捜索結果も空振りか。中々姿を見せてくれないわね」
比較的安そうな椅子に座り、纏められた書類を読んでいるのは、26歳にして最重要基地の指揮を首相から任された、羽沢 静香提督。
「仕方ないわよ、提督。何せ探す相手が神出鬼没だもの」
小さな書類の山が一つある机に腰掛けながら静香の独り言にそう応えたのは、静香の秘書でありながら横須賀鎮守府の主力"第一艦隊"旗艦を務める、金剛型巡行戦艦1番艦"金剛"。
「とは言ってもねぇ…現れてくれないと、貴重な資源が…」
「ここの資源はまだまだあるでしょ?
そう言って、手に持つティーカップから一口紅茶を飲む金剛。
「…はい」
金剛の毒舌に対し、生返事しか返せない提督。
秘書である金剛は提督である静香よりも軍事的な階級は下だ。しかし、2人にはそんな壁は存在しない。
人類と艦娘の敵、深海棲艦に対して共に戦う"戦友"。それだけで、2人にとっては充分だった。それ以上も、それ以下でもない。
金剛はティーカップを机に置き、そのまま器用に書類の山から一枚取り出す。
「ただ…深海棲艦の動きが妙。提督は、どう思う?」
「同意見。報告を見るに…約1週間前から、深海棲艦の規模がほんの僅かだけ縮小している。普通なら気付かない位小さな変化だけど…深海棲艦の異常発生の約1ヶ月後に、隠蔽しているかのような規模の縮小…金剛、貴女の意見は?」
「………私達が知らないナニカが起きている、かも知れない」
「…」
手に持っていた書類を机に置き、思案に集中する静香。
「…提督、一つ提案があるわ」
「何?」
「"私"が動いても良いかしら?」
その言葉に、静香は思わず金剛に目線を移した。
「…貴女が?」
「ええ。私が直接行った方が良いだろうし、何より私が気になる海域が海域。生半可な練度じゃ恐らく近付けないわよ」
金剛は身体を捻じり、側にあった海図を指差す。
「…分かったわ。だけど、流石に時間は掛かるわよ。"最初の10人"をその海域まで動かすとなると、上も渋るだろうし」
"最初の10人"。
人類に始めて接触した10人の艦娘の事を指し、初接触から約20年経った今も尚、戦場に在り続ける戦乙女。
その戦闘能力は、誰もが単独で並の艦隊を凌ぎ、数々の伝説を作り上げた。(デマも混じっているが)
それ故に"人類の最高戦力"の別名が存在する最高機密。それが彼女達"最初の10人"。
「その時間は船体のメンテナンスに利用させて貰うわ。久し振りの実戦だし」
「…一応言っとくけど、艦隊を置いてかないでよ」
「する訳無いでしょ」
そう言って笑う金剛が出す気迫は、正に"戦士"だった。
というわけで、「誰だお前」レベルまでキャラ崩壊した艦娘は、金剛さんでした。
理由は下記の用語解説にて。
ー用語解説ー
「最初の10人」
人類に初めて接触し、今なお戦場に在り続ける10人の艦娘達。長い間戦い続けた所為でその性格は製造によって生まれる艦娘とは全く違う戦士然としたものになっている。
"人類の最高戦力"とも言われ、その能力は平均的な艦隊を単艦で凌ぐ程。
最高機密であり、高位の軍人と艦娘でなければその存在を知る事はない。