「自画自賛になるがかなり美少女だな」
駄菓子菓子、本当に自画自賛になるかは不明である。
確かにこの性転換した体は間違いなく俺の物だ。
体が入れ替わるとかいう展開はありえない。
え?なんでって?
関わる様な女子なんて近場に姉ちゃんしかいないからな(泣)
自虐はここまでにしておいて、どうしてこうなったかっていうのとこれからの方針を決める必要がある。
まず、何故こうなったか考える。
恐らく、いやほぼ100%コンビニで出会った女の人が原因である。
だってあの人に言った好きなタイプの女子そのままだもん。
戻るにはあの人に会うのが1番なんだが、手掛かりが全くない人を探す事は不可能に等しい。
つまりしばらくは女で過ごす事は確実となっている。
じゃあこれからの方針だが、家には姉ちゃんと俺が住んでいる。
両親は共働きで二人共海外にいる。
ちなみに職名は知らない。
まずは姉ちゃんを味方にするのが妥当だろう。
だが、ここで懸念される事は、姉ちゃんが俺を見てどう思うかだ。
―――つっても、その前に信じさせる必要がある訳で。
姉ちゃんと俺しか知らないこと・・・。
何かはあるはずだ。
「あっ、1つだけあった」
思い当たるのはこれしかない。
ただ、理解してもらえる利点と引き換えに、とんでもない拷問が待ってそうなんだが・・・。
「ただいまー」
しばらくして、姉ちゃんが帰ってきた。
今日は帰るの早かったんだな。
姉ちゃんは帰ってきた時、リビングに俺がいないと文句を付けに俺の部屋に来る。
勝負をかけるのはそこしかない。
「あ、またいないじゃん!愛しのお姉様のお帰りだってのに迎える事も出来ないの?」
姉ちゃんは毎回こうなのだ。
俺におかえりって言ってもらえないと気が済まないのだ。
まあ、寂しがり屋ってだけなんだが。
「おーい、榛樹ー、またあんた居間にいなかったじゃない!」
ドアを開けながら言い放つ我が姉。
素直に寂しいって言えば可愛いのに。
「――――え?」
やはりというかなんというか、姉ちゃんは入るなり唖然としてしまった。
無理もない。
女気どころか友達すら連れ込んだことの無い弟の部屋に見知らぬ美少女がいるのだ。
硬直しない方がおかしいというもんだ。
「えっと、貴女、誰かしら?
もしかして榛樹の彼女?」
「いや、俺は榛樹本人だ。」
「言われてみればそんな面影もしなくも無いけど・・・。でも確信的な証拠が欲しいわね」
「そんな事だろうと思ってさ、姉ちゃんと俺しか知らないことを思い出してたんだ」
意外にも姉は冷静に対処をしてきた。
確かに姉は冷静沈着に物事を分析して解決するタイプの人間だった。
俺に対してはツンデレなんだがな。
「私と榛樹しか知らない事ね。
確かに証拠としては信憑性が高いけど、そもそもそんな事あったかしら?」
「先週、風呂」
そこまで言ったところで姉の顔が茹でだこみたいに真っ赤になった。
弟に肩周り見られただけじゃねぇか。
「もももも、もういいわ。大丈夫。貴女が榛樹と言う事はわかったわ」
えらく動揺してんなオイ。
普段の冷静さは何処へ行ったんだよ。
「どうしてこうなったわけ?」
「いや、寝て起きたらこうなってた」
「今朝は男だったよね?」
「家帰るまではちゃんと男だったぞ」
家に帰ったら物凄く眠気に襲われて寝ちゃったんだよね。
それで起きたらこの有様だよ。
「なるほどね。大体の事情はわかった。
でも、これから貴女どうするの?」
「どうするって言っても学校サボる訳にはいかないし・・・」
「そうよね。じゃあ諸々の手続きは私がやっておく。制服も私のがあるしね。
けど、下着だけはどうにもならないわね」
姉ちゃん曰く、下着は個人によって細かいところが違うからきちんと採寸して自分に合ったものを買わなければいけないらしい。
女って面倒くさいな・・・。
「生憎、明日は土曜日だし、私服も含め買いに行きましょ」
「その辺はお任せするよ」
確かに明日が休日で助かった。
平日なら確実に休まざるを得ないだろう。
「可愛いんだし、私服がダサかったら台無しだものね」
最後の姉ちゃんの言葉は無視することにした。
今日は午前中から姉ちゃんと買い物に来ている。
最近は休日に外に出ることがめっきり無かったからな。
おいそこ、ぼっち乙とか言うな。
今、俺の服装はブラウスにロングスカートという格好だ。
まだミニスカじゃない分マシだが、ロングスカートでも股辺りがふわふわする。
まあそれはブツが無くなったからかもしれんが。
採寸についてはあまり触れないでくれ・・・
なんていうか、黒歴史の1ページに刻まれそうなくらい恥ずかしい思いをした。
絶対に答えてあげないんだからね!
うん、俺のツンデレは気持ち悪いな。
今の容姿だったら違和感ないんだろうけど、俺の違和感が半端ない。
にしても、男の視線をすごく感じる。
まあ、姉ちゃんかなり可愛いからな。
へ?俺?俺も女だって?
ナンノコトカサッパリデスネー
やはりというか案の定というか、私服選びでは姉ちゃんの着せ替えに付き合わされた。
持ってきた服を着て、それを姉ちゃんに見せる。
時折やけに露出が高い服を持ってくるんだが・・・
しかも着る度に「これも買っちゃおうか」とか言って、もうカゴを越えてカートにいっぱい入ってるレベルである。
お姉様よ、何故貴女はミニスカやショーパン等の脚の露出が高いモノばかり選ぶのだ?
自分はジーンズとかの癖に!
「今日はいっぱい買っちゃったね!」
「そっすね・・・」
いつもなら荷物持ちは俺になるんだが、今は女ということもあり半分ずつ持っている。
こういう時だけ女でよかったって思う。
いや、だからって戻りたくない訳じゃないよ?
なんなら今すぐあの雨女見つけて戻してもらいたいよ?
「もう昼頃かぁ」
姉ちゃんが腕時計を見て言う。
そうか、もうそんな時間なのか。
「どこかで食べていこっか?」
「姉ちゃんの奢りなら食べる」
「けってー!じゃあ何処に行く?」
「へ?」
「ん?」
今なんて言った?
姉ちゃんが奢ってくれるだと!?
馬鹿な・・・あのドケチな姉ちゃんが弟に昼飯を奢るなどありえない!
「貴様、姉ちゃんじゃないな!?」
「あんたなに馬鹿なこと言ってるのよ?
それよりも何処に行くか早く決めなさい」
「ウィッス」
冷静に切り伏せられてしまった。
これがギャップ萌えというやつか!?
あ、違う?スンマセン
だがまあこの対応で自分の姉で間違いない事がわかった。
それにしても飯か。
これといって今食いたいものはないが、強いて言うならそうだな・・・
「お蕎麦?」
「蕎麦ね。丁度そこに蕎麦屋さんあるから入りましょうか」
なんつータイミングのいいことで・・・
全国チェーンの蕎麦屋さんか〜。
ここは手羽先が1番美味しかったりするんだよ実はな。
塩とたれの二つの味付けがあるが、裏メニューに塩とたれ半分ずつというのがあるんだ!
あ、ちなみに俺は塩派ね。
たれは甘くて舌に合わなかったんだよね。
まあ両方頼みますけどね〜。
だって姉ちゃんたれ派だし。
注文をしてしばらくするとざる蕎麦と手羽先が運ばれてきた。
ここの蕎麦屋さんは麺のコシがあって、そのまま食べてもかなり美味しい。
ここでざる蕎麦の正しい食べ方をお教えしよう。
麺は全てつゆに漬けてはいけない。
付けるのは四割程度で十分だ。
大切なのは麺を味わう事であって、つゆを味わう事ではない!
「美味しかったね〜」
「そう・・・ですね――」
姉ちゃんはとても満足そうにしていたが、当の俺は食い過ぎてしまった。
今まであの量食っても足りないくらいだったのに!
手羽先3本とざる蕎麦1段だけで満腹って何!?
もうやだこの体(泣)
女になるだけじゃなく食事制限とかもう完全に拷問じゃねぇか。
タ゛レ゛カ゛タ゛ス゛ケ゛テ゛ェ~!!
おっと、逆鱗に触れる前にやめておくことにしよう。
つか俺、これからほんとにどうなるんだよ・・・