「ただいまー」
自宅はやはり1番安らぐ場所だ。
他人の目を気にする必要もないし、動画を見て笑って睨まれることもない。
ああ^~自宅から出たくないんじゃ^~
「おかえりー」
「およ?姉ちゃん珍しいね」
「今日は午前で終わったからね」
大学というのは午前だけ、午後だけというのがあるらしい。
高校も義務教育じゃないからそういう制度にしてくれたらいいんだけどな〜。
「貴女にお客さんが来てたわよ。
すごく美人な人だったわ」
はて、お客さんとな?
今1番仲がいいのは唐沢と鶴見だ。
けど彼女らは遊びに行くって言ってたし、そもそも家を教えていない。
「俺にお客さんとか何その単語?
初めて聞いたんだけど」
「ああ、うん。それは兎も角として、部屋に上がってもらってるから早く行きなさい」
「おいちょっと待て!俺の話をスルーするのは良いとして、今なんつった!?」
「あんたの部屋に上がって貰ってるわよ」
「アホ姉貴ィィ!!!」
なんで勝手に部屋に入れるの!?
馬鹿なの!?死ぬの!?
「アホ姉貴とは心外ね」
「あんたあの部屋に何が置いてあるか知ってるだろ!?
なんでそれを踏まえた上で上がらせるんだ!?」
「あ、そういえばあんたの部屋は二次元グッズ満載の魔境だったわね」
「魔境じゃないエデンだ!
いや違う今はそんなことはいい!」
「とりあえず行けアホ弟」
リビングから蹴り出された・・・。
こうなりゃヤケクソだ。もうどうにでもなれ!
「あ、そういや貴女の事『弟さん』って言ってたわよ」
は・・・・・?
今あの姉貴はなんて言った?
『弟さん』?
つか、それまずいんじゃないの?
「そゆことだから早く部屋に行くのよ〜」
「おいちょっと姉k」
無情にもそこでドアは閉められてしまった。
俺は男の時に誰かに家を教えた事が無いはずだ。
ましてや大人の女性に知り合いなど母親しかいない。
ん?いや、1人だけ知っている。
先週の金曜日、俺とコンビニで話したあの女の人だ。
「いやまさかな・・・・・」
そんな事があるはずがない。
第一、彼女に家を教えてない。
が、彼女はそれを覆す程のびっくり仰天な事をやっている。
「まあ俺の大人の女性の知り合いはあの人しかいないからな。
恐らくあの人で間違いないだろうな」
「あ、お邪魔してまーす」
部屋のドアを開けると、案の定あの女性がいた。
「やっぱりあんただったのか・・・・・」
「あれ?学校の時みたいに女口調じゃないんですか?」
「いや、見てたのかよ・・・・・」
「見てましたよー全部。
可愛らしい女の子を見事演じてましたね〜」
「そうかい。
んで、口調の話だが、あんたなら俺の本当の性別知ってるからな。
演技する必要もない訳だ」
「えー、お姉さんちょっと期待したのにー」
「白々しい演技やめて本題に入ってくれ。
わざわざ俺の家に来たって事は何か伝えに来たんじゃないのか?」
そう、彼女は何かを伝えるべく俺の家に来た筈だ。
正直、あまり聞きたくないが、内容次第では俺を元の体に戻してもらう交渉も出来る。
これが吉と出るか凶と出るかだが。
「そうですね。貴女に話しておくべき事があります」
「・・・・・」
「まず、貴女が女体化したのは貴女にお友達を作る為の処置です」
「は?」
「貴女は1ヶ月前に助けた猫の事を覚えていますか?」
「1ヶ月前・・・1ヶ月前、ああ、確か飛び出そうとしたところを止めた時か?」
「そうです。私は貴女に命を助けてもらいました。あの時私は貴女に何かお礼をしようと貴女の事を伺っていました」
なるほど、鶴の恩返し的な事か。
それと女体化が何の関係があるんだ?
「貴女を1ヶ月観察していたら、貴女にお友達がいない事に気が付きました」
「いやちょっと待て、話が読めてきた・・・・・。
友達がいない俺に友達を作る事で恩を返そうとしたわけだな?」
「はい。そして私は考えました。
貴女に友達を作る為に何をすればいいかと」
「なるほど、それで悩んだ結果俺の女体化だったわけか」
「はい」
「余計なお世話だよ!!」
「えぇ!?」
「俺別に友達いなくても過ごしてきたし!しかも何をどうしたら俺の女体化で友達が出来るって結果になったんだよ!?
いやまあ実際に友達出来たけど!?」
「出来たのでしたら一件落着ですね」
こいつ頭湧いてんのか?
いや元猫だから頭ぶっ飛んでても仕方ないか。
いや、仕方なくないな。
とりあえず二つ程聞きたいことがある。
「一件落着じゃねぇ!
まず俺をどうやって女体化したのかと、お前の擬人化を説明しろや!」
どうやったらただの猫が俺を女体化させて自分を擬人化させられるんだよ!?
「擬人化くらい普通ですよ?
だって私化け猫ですし」
「What !?」
「ついでに言うと女体化も朝飯前ですよ」
「なるほど、つまり元に戻すのも朝飯前って事だな?」
「あ、それは無理です。
自分と同性にすることしか無理です」
「じゃあ術を解除するとかさ!」
「それはオスの化け猫に頼んでください。
もっとも、オスの化け猫は女性を男性にすることを嫌っていますが」
おいおいおい、本末転倒ってレベルじゃないくらい問題が複雑すぎる。
こいつが俺を女体化させた事はもうこの際諦める。
だって過去に戻るわけじゃないし。
そもそも化け猫がいる事が初耳だし、
男に戻るの為にはある問題点がある。
オスの化け猫を見つけなきゃいけないことと、見つけた上でオスの化け猫が嫌っている事を頼まなければいけないという苦労さ。
もうこれ俺が男に戻るの無理なんじゃね?
「化け猫同士は惹かれるので、私がいたらオスの化け猫を見つける事は貴女だけでやるよりは数十倍楽ですよ」
「だったらお前も一緒に」
「私は貴女の所に居座るつもりですよ。
でも、貴女が学校で女子として過ごしているうちに貴女は」
「男に戻りたいという気持ちが果たして続いているのでしょうか?――――」
ちょっと女体化の理由が強引すぎたかな?
でも元々、鶴の恩返しならぬ猫の恩返し的な事をするつもりだったんですよね・・・・・