リリカルってなんだっけ   作:assault

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prologue

――――――ここは、どこだ?

 

俺は気がつくと真っ白な部屋に居た。

天井も壁も白く塗りつぶされ、一つの染みもない空間。

目の前に立つ人が居なければ俺はおそらく気が狂うであろう程の遠近感の無さ。

まるで作りたての病室のようであり、発光する白い箱の中でもあるような一室。

 

「あなたは死んだのですよ」

 

目の前の女性はそう言った。

 

――――――しんだ……シンダ……死んだ? ……俺が、死んだ?

 

女性の言葉を飲み込むのに数秒の間を要した。

何故死んだか思い出すのに更に数秒。

 

「どうやら思い出していただけたようですね。貴方は飲酒運転の乗用車に撥ねられて、そのまま死んだのです。

 救いだったのは苦しむ間もなく即死だったというところでしょうか」

 

女性は感情も込めずに淡々と述べていく。

普通は怒りを感じるところだろうが、俺は何故か何も感じなかった。

そう、身体の感覚も、感情の起伏も、何も感じなかった。ただ思考する事だけが許された行為のように……。

 

――――――そうか、死んだのか、俺……。

 

実感は無かったが、妙に納得している俺が居た。

それは死ぬ直前の記憶があるからだろう。

少し前の経緯を思い出してみると、車にぶつかるその瞬間で突然映像がブラックアウトし、その次にこの場所につながっている。

 

――――――なぁ、ここはどこなんだ? あんたは誰だ?

 

俺は情報収集の為に訊いてみる事にした。

 

「私は貴方方人間が神と呼ぶ存在の一柱。 ここは転生の間。死んだ人間が誰もが通る道です。

 貴方は輪廻転生という概念をご存知ですね? その転生をする為に行き先を決める場所でもあります」

 

――――――それじゃあ俺は魚にでもなるのかな?

 

俺は多少の皮肉と諦めを込めながらそう言う。

海で自由気ままに泳ぐのも悪くない、そう思いながら。

 

「いえ、貴方は特殊な事情により違う世界に転生していただくことになります」

 

――――――特殊な事情?

 

「今の貴方には知る権利はありません。 いずれわかる時が来ます」

 

にべも無く切り捨てられた。

今の、という言葉が気にかかったが、どうせ教えてもらえないだろう。

 

「貴方には『魔法少女リリカルなのは』というアニメの平行世界に転生していただきます。

 ただし、並行世界なので、原作とは違う部分があります。 どこがどう違くなるかは私にもわかりません。 未来は貴方方が決めてください。」

 

――――――わかった、どうせ一度死んだ身だ。 それに、二度目の人生が歩めるなんて、考えてみたらラッキーなのかもな。

 

「ご理解いただけたようでよかったです。 では、転生するにあたって特典を5つ仰ってください。」

 

――――――特典? よく二次創作である無限の剣製とかのアレか? 5つとか多くないか?

 

「そうです。なるべく具体的に仰ってください。 曖昧なものだと自分の意識したものと違うものになる事になりますので。 5つなのは……貴方の魂を秤にかけた結果です」

 

――――――秤?

 

「魂の質、というべきでしょうか。 生前の貴方の徳を測らせていただき、決まったのです」

 

言っていることはいまいち理解できなかったが、正直気にならなかった。

自分の好きだった世界に行けるのだから、期待に胸が躍らない方がおかしいというものだ。

 

――――――5つか。 その前に、質問いいか?

 

「はい。ただし、私の神としての力は決して強くないので、増やしたり強力すぎるものはできませんのであしからず。」

 

質問の一つが先回りして答えられてしまったが、まぁいいか。

 

―――――――リンカーコアはどうなんだ? あの世界の魔法には必ず必要なものなんだろう? あと、生まれる家はどうなるんだ?

 

「安心してください。魔力ランクはAA、生まれは海鳴市、主人公の家の隣です」

 

―――――――それを聞いて安心した。

 

「それで、願いは決まりましたか?」

 

――――――あぁ、一つ目は、アニメ歴史問わず、錬金術と呼ばれるものの全ての知識と技術を、鋼の錬金術師のエドみたく一行程で、ノーリスクで行えるように。

――――――二つ目は、過去から現在まで、種類を問わず魔法技術と知識を。

――――――三つ目は、頭脳、肉体、魔力の努力をすれば必ず実る才能と結果を。

――――――四つ目は、Fateのギルガメッシュのスキルと宝具、持ち物全てを。

――――――五つ目は、式と志貴の直死の魔眼を。

 

「以上でいいですか? 変更はありませんね?」

 

――――――あぁ、これでいい。 ただしカリスマはBくらいまで落としてくれ。

 

深く考えて決めたことではない。

ただ、一度は使ってみたかった能力たちを並べ立てただけのものだ。

 

「わかりました。 貴方はこれから苦難に挑むこととなるでしょう。 そんな貴方に私から」

 

そう言って女神様は身体がないはずの俺の頬にキスをした。

自分を見れるならきっと赤くなっていただろう。

はっきり残っている感触と自分の感覚が消えていくのを意識しながら俺はずっと気になっていた事を尋ねた。

 

――――――な、なぁ、あんたの名前は?

 

「ふふふ、案外初心だったのですね。 他の転生者はどこに潜んでいるか、どんな状態か全くわかりません。 くれぐれも、お気をつけて」

 

薄れゆく感覚の中最後に聞いた言葉は――――――

 

「私の名はアテナ。 苦難の道を歩む貴方に神の祝福を」




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