テントに戻ると、高町美由希さんが素振りをしているところだった。
「あ、恭ちゃん、悠、おかえりー」
俺と恭也さんの気配に気づいたのか、素振りの手を止めた。
「ただいま」
「おはようございます」
「起きたらもう居なかったけど、恭ちゃんたち何やってたの?」
「奥で軽く手合わせを」
美由希さんの質問に答えると、美由希さんは何故か拗ねたようにこちらを見てきた。
俺は助けを求める意思を込めて恭也さんを見る。
恭也さんは俺の視線を受けて、軽く(溜め)息を吐いた後、
「美由希、今からやるか?」
と、フォローなのか微妙な言葉を言った。
だが、美由希さんはそれで良かったらしく、笑顔で頷くのだった。
いいんだ、それで……。
「あ、ご飯の良い匂いだ」
ちょうど朝食の準備が終わった頃に恭也さんと美由希さんが帰ってきた。
「魚が焼けるまで少し時間がありますから、汗を流して来たらどうです?」
俺の言葉に二人は頷くと、それぞれ目的の場所へと向かっていった。
少しして、汗を拭き終えた恭也さんがやってきた。
「どうだ、悠。 魚の焼き具合は」
「もう少しってところですかね」
俺は飯盒をひっくり返しながら答える。
ご飯はこれでよし、と。
山菜汁の方は……大丈夫そうだな。
「しかし、今日で山篭りも最後ですか……振り返ってみるとあっという間という感じがしますね」
「俺が言うのもなんだが、二人ともよくついてこれたものだな」
「まぁ、俺の方は美由希さんより軽めでしたし」
「悠はまだまだ成長期だからな。 無理な運動はさせられない」
そんな事を言ってはいるが、結構ギリギリまで酷使された肉体は悲鳴を上げている。
まぁ、恭也さんのことだからしっかりと考えての運動量だとは思うのだが……この一週間の合宿を考えると疑問に思う。
ここに来てから殆ど休まず鍛錬だったからなぁ……。
パチパチと燃える焚き火を挟み、無言で向かい合う。
川のせせらぎと焚き火の音をBGMにしていると、焚き火の温かさで段々眠くなってきた。
「……ぅ、悠」
肩を揺すられる感触でまぶたをあげると、いつの間にか帰ってきていた美由希さんがいた。
どうやら少し眠ってしまっていたらしい。
魚も火から下ろされ、ご飯も人数分盛られていた。
「あ、すみません、寝ちゃったみたいですね」
まだ少しはっきりしない頭で謝る。
「悠はあんまり寝れてなかったみたいだからな。 気にするな。 それに、大して手間じゃなかったしな」
それより食べろと、勧められてくる始末。
なんだか自分が情けない……。
俺は勧められた朝食を無言で食すのであった。
朝食の片付けも終わって少し休憩をと思った時、不意に携帯が鳴った。
そういえばさっき電源を入れたんだったか。
着信の名前を見ると『高町なのは』の文字。
はて。 何か用事か?
「もしもし」
『もしもし!? やっと出た!!』
「どうかしたのか?」
『どうかしたのかじゃないよ!!』
「うぉっ」
耳が痛くなるほど叫ばれて思わず携帯から耳を離してしまった。
『昨日戻ってこなかったから心配してたんだよ!?』
「昨日?」
『夕べからおかーさんと何度も皆の携帯にかけたのに全然でないから、何かあったのかって心配してたんだよ?』
その言葉に二人に確認してみる。
恭也さんは電池切れ、美由希さんのは……うわ……着信履歴128件。
たぶん俺のも似たようなものなんだろうな……。
「ちょっと待て。 帰るのは今日の予定だって言ってただろう?」
『……今日は何日ですか?』
「6日だろ?」
『はぁぁぁぁぁぁ……』
なんか深~い溜め息を吐かれたんだが。
恭也さんが日付表示モードにした時計を俺に向けてきた。
――――――『4月7日 AM6:48』――――――
……え?
これ、まずくね?
「状況は把握した。 すぐに帰る」
『時間無いから早くね?』
「了解」
通話を終了すると焚き火の火を消し、後始末諸々と荷支度を済ませ、一路海鳴へと帰るのであった。
前に比べて文章が下手になった気がします。
リハビリも兼ねて、ちょこちょこ投稿していけたらと思います。