リリカルってなんだっけ   作:assault

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新学年

「うわー……」

 

「すごいな、これは……」

 

聖祥行きのバスに乗り、着いたは我らが小学校。

そのクラス分けの掲示板の前はすごい人だかりだ。

 

「見える?」

 

目の前には黒い人だかり。

掲示板までは少し距離がある。

いくら俺でもこんな後ろからじゃあ……あ……。

ふと思いつき、カバンを探ると目的のものがあった。

 

「……なんでそんなもの持ってるの?」

 

俺が持ってるのは単眼鏡。

それを手で弄びながら答える。

 

「機密事項だ」

 

 

 

無事にクラス確認が終わった後、俺達は割り当てられたクラスに向かった。

 

「新しいクラスってドキドキするよね」

 

「そうだな」

 

だが実際のところ、俺はそれ程ドキドキしているわけではなかった。

クラス編成を見たときに見知った名前が2つあったからだ。

なのはにはそれは伝えてない。

きっとすぐに――――――

 

「Hello! なのは、悠!」

 

「にゃ!?」

 

突然後ろから声をかけられてなのはが驚いた声を上げる。

振り返ると2人の友人の姿があった。

1人は去年、そして今年も同じクラスになった友人、『アリサ・バニングス』だ。

そして隣には、

 

「おはよう。 なのはちゃん、ゆぅくん」

 

こちらも2年連続同じクラスとなる『月村すずか』の姿があった。

 

「おはよう、アリサ、すずか」

 

「お、おはよう……アリサちゃん、すずかちゃん」

 

なのは、笑顔がぎこちなくなってるぞ。

 

「なのは、どうしたの?」

 

「いきなり後ろから声をかけるのはやめてほしいの……」

 

「いきなりじゃない声の掛け方があるのか?」

 

「うっ……」

 

俺のツッコミになのはが言葉に詰まる。

まぁ家で散々俺や恭也さんに驚かされてるからな、苦手意識を持つのもわからなくはない。

アリサもその事を思い出したのか、謝りつつ並んで歩き出す。

 

「ところで、アリサちゃんとすずかちゃんはどのクラスなの?」

 

その言葉にアリサが不思議そうな顔をする。

 

「なのは、掲示板は見なかったの?」

 

「悠くんが見て、『一緒のクラスか』って言われたから悠くんについて行ってるだけで、何も」

 

なのはのその言葉を聞いてアリサは俺をジト目で睨みつける。

 

「あんた……ちゃんと教えときなさいよ」

 

「なのはちゃん、私たち全員同じクラスなんだよ」

 

「そう。 そしてここが我らがクラス、2-Bだ」

 

「なんでそこであんたが偉そうなのよ」

 

アリサが呆れたような声を出すが、無視だ無視。

扉を開け、黒板に目をやると名前の順で座席が決まっているようだ。

HRまではまだ時間があるようなので、真ん中に近いなのはの席の周りでだべることにした。

幸い、なのはの後ろはすずかだったので、特に周りに迷惑にならずに済みそうだ。

 

 

 

出席確認と簡単な連絡のみのHRも終わり、体育館への移動となった。

始業式か……寝よう。

おやすみなさい……Zzz

 

 

 

「起きなさい!」

 

その言葉と同時に振り下ろされる拳を避ける。

 

「ん? あぁ、終わったのか」

 

周りを確認すると退場が始まっていた。

そして俺の後ろのアリサはというと、拳を握りしめたまま、わなわなと震えていた。

 

「どうした、アリサ」

 

「どうしてあんたは寝てたのにあたしのゲンコツを避けられたのよ!」

 

周りに聞こえないよう静かに叫ぶという器用なことを披露したアリサは、俺を恨みがましい目で見てくる。

 

「アリサの拳に当たるようじゃ剣士としてやっていけないだろ」

 

俺はそれに当然とばかりに答える。

俺の言葉にアリサは溜め息を吐きながら呻く。

 

「……そうよね、あんたが『御神』だっていうことを忘れてたわ……」

 

「おい」

 

「別にいいじゃない。 どうせ誰もわからないわよ」

 

確かにそうなんだが……。

『御神』の重さをアリサははたして理解しているのか?

 

「大丈夫よ、わかってるから」

 

「え?」

 

「顔に出てたわよ」

 

俺は思わず顔を触って確かめてしまう。

 

「まぁ、ほとんど表情には出てなかったけどね」

 

「……」

 

アリサの能力が高いのか、俺がわかりやすいのか、頭を押さえてしまう。

アリサは俺から一本取れたことがおかしいのか、必死に笑いを我慢しながらついてくる。

これが家とかだったなら声を上げて笑っていたに違いない。

 

「そんな仏頂面しないの」

 

(これがしないでいられるか)

 

まだ笑いが収まらないのか、目尻に涙を浮かべながら堪えるアリサを見て、俺はそう思うのだった。

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