東方剣槍録   作:hotoke 814

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黒の龍

何で…何でコイツがまた……?

 

伊月はその見開いた目でヤツを捉えていた。

黒い鱗の蛇。というよりは蛇龍。

それは伊月が最初に倒した龍に酷似していた。しかし前回の銀の龍とは全く雰囲気は別物で、銀の龍の時もかなりの威圧感があったがこの黒の龍の威圧感は銀の龍の比ではなかった。

それは黒の龍と距離を置いているはずの射命丸達にも充分に感じ取られた。

黒の龍を呼び出した龍凱に伊月は目を向ける。龍凱は腕を組み、戦う姿勢ではなかった。

伊月は極彩霧を出現させる。

龍凱に戦う意思があるのかないのかは分からなかったがどちらにせよ戦わなくてはいけない。伊月は紫色のメッシュの入った黒髪を掻き毟り極彩霧を握り直した。

黒の龍と伊月の間には10mくらいの距離があった。ここからではいくら何でも剣が当たるわけもなく、技を使うにしてもBeginning of collapsはもう少し近くではないと効果はない。少しのダメージは与えられるかもしれないが龍凱との戦いの後で、体力は技1発打てるか打てないかくらいしかない。

それほど龍凱は強敵だった事を伊月は再確認する。

---とりあえずあの龍をなんとかしないと…

チラリと横を見ると赤い服を着た巫女ー博麗霊夢が微笑を浮かべ立っている。

その手にはお祓い棒を持ち、先端に付いている白く長い紙を揺らしている。

霊夢は少しも恐れている様子はなく、相変わらずやる気のなさそうな目をしていた。

とにかく異変がないのを確認すると伊月は黒の龍に目を戻し、極彩霧を握り直す。

少し深呼吸して息を整える。

黒の龍を睨む。

息が整ったのを感じたら、姿勢を低くし一気に前へ飛び出す。

伊月は大股で進み、10mの距離も直ぐに縮まった。

黒の龍も龍凱も伊月の速さには驚いたのか少し反撃のタイミングがずれた。

黒の龍は真っ直ぐに突っ込んできた。

伊月に大きな口を開いた。

その口から紫色の炎が現れた。

伊月はその攻撃を右に左にと避けながら進む。

黒の龍もその動きに合わせて首を右に左に振りながら紫色の炎を出し続ける。

 

---ここだ!

伊月は黒の龍が右に首を振った瞬間に黒の龍めがけて飛んだ。

黒の龍もこの動きは予想してなかったのか動きが鈍った。

伊月は右手に全ての力を込め突き刺した。刀は黒の龍の額めがけて伸びていき刺さった。

---刺さるはずだった。

刀はカキンッと鉄独特の音をたてて弾かれた。

「なん……でだ……!?」

伊月は今、空中にいる。

幻想郷とはいえ当然物理法則はある。

伊月は下へ下へと落ちていった。

その時、黒の龍は少し頬を吊り上げ不気味な笑いを見せた。

伊月の上に黒い塊が落ちてくる。

伊月本人は分からなかったがそれを見ている射命丸はなにかわかった。

巨大な尻尾。

それが虹色の刀を持った青年に振り下ろされている。

---この距離なら私でも行ける!

射命丸は全力で伊月に突っ込んだ。

射命丸と黒の龍の差は12mあるかないかくらい。

射命丸はかなりスピードには自信があった。

事実、12m程度の距離など直ぐに縮まった。

伊月の手を握った。

ただ、当然黒の龍の攻撃の方が先に出ていた。射命丸が到達した時にはもう当たる直前だった。

 

---間に合いませんでしたか!?

怯み目を瞑る。

覚悟していたはずの鈍痛は訪れなかった。恐る恐る目を開ける。

 

お祓い棒を持った赤い巫女。

博麗霊夢が巨大な尻尾を結界のようなもので受け止めていた。

「全く…手間かけさせないでよ…」

霊夢は心底呆れたような声を出したが力を弱めていないのが見て取れる。

「さっすが霊夢さんです!!」

射命丸は伊月を地面に下ろした。

「サンキュー。助かった。」

伊月は頭を軽く下げ感謝の言葉を述べた。

「それよりあれはどうしましょう…」

上を見上げると霊夢は結界を解き直ぐに避けた。当然尻尾は誰にも当たっていない。

「でも、もう打つ手なしじゃない?」

霊夢が伊月達の傍にやってくる。

「いや、一つだけ手がある。」

「「?」」

射命丸と霊夢は何言ってるかわからない様子で首をかしげている。

「これには慧音達の協力もいる。一旦慧音達の元に……」

そこまで言うと、地面に振動を感じた。黒の龍がズシズシと音をたててこちらに向かってきている。

「とりあえず死なないように、ね?」

そういった伊月は引きつった顔で笑いながら黒の龍を見ていた。

 

 

 

 

 




お久し〜ぶりの〜ほとけです〜♪(ごめんなさい)
今回もまぁ、遅いこと遅いこと。皆様にはすみませんの一言しか出てきません。今回は地の文多めに作ったのですが読みづらいですかね?こと細かく状況がわかるように書いたのですが…大丈夫かな?
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