ARMORED CORE for Answer ~白銀の風~ 作:AXL=GLINT
カラード本社。
カラードに所属するリンクスにとっては一部を除いてオーダーマッチを目的として訪れる場所だ。
今日ここに出向いたアキラとスミカも例外ではない。
折角なので次の依頼が来るまでに経験を積んどこう、というわけだ。
現在のアキラのランクは31。
ついこの間カラードに登録されたばかりなのだ。
当然のごとく最下位である。
それを聞いたアキラが最初ぶーたれていたが、スミカの一言でいい方向にヒートアップした。
ちなみにその一言は何なのかと言うと・・・。
「最下位が全員蹴散らしたら面白いだろ?」
これだけである。
それで「やったろうやないかい」と燃え上がるのだからこの男、単純である。
今日は残念ながらランク30「チャンピョン・チャンプス」とランク29「ミセス・テレジア」は多忙の為、オーダーマッチが出来ず。
なので最初の対戦相手はランク28「ダン・モロ」である。
シュミレーションとはいえ、スミカ以外との初めての対ネクスト戦。
スミカは緊張するものだと踏んでいたのだが・・・。
「いやいやいや待て待て待て、何なんだよ絶対新参じゃないって!!!」
対戦相手であったダンが思った以上にポンコツだったため思わず頭を抱える羽目になった。
「えっと・・・ありがとうございました・・・?」
「なんで疑問形なんだよ!!嫌味か!!」
アキラもあまりの呆気なさに何と言えばいいのかよくわからないまま、とりあえず対戦相手の礼儀として感謝しにいったのだが、泣かれることになった。
事の経緯はこうだ。
まずかなり緊張した様子でアキラはスミカと共にカラード本社に訪れた。
アキラがきょろきょろとあたりを見回している最中にスミカが「さて、誰と戦わせたものか」と唸っていると、何かいつの間にかアキラが消えていた。
「あの野郎あの年になって迷子か」と捜そうとあたりを見回すと、ダンがアキラを捕まえて「オーダーマッチしようぜ」みたいな流れになっていた。
ダンはヘタレでビッグマウスだという話だけはスミカの耳に入っていたが、「まぁ初めての対戦ならそれでもいいだろう」と快く引き受けた結果がこれである。
「どうしてこうなった」とため息をついていると、なんとかなだめようとしているアキラの姿が見えた。
「えっと・・・機体カッコいいよね」
「ヤメテ、その慰め方結構クルから・・・」
完全に取ってつけたような慰め方なのでいい加減にしないと止めを刺しかねないと判断したスミカはアキラをとにかくどこかに連れて行こうとしたが・・・。
「そういや思ったけど、なんか見たことある。っていうか何かに似てるような・・・。」
「え?アンタセレブレティ・アッシュの漫画知ってんの?」
「うーん、わかんないけど・・・なんかあの色合いのヒーローもの見たことある気がする」
「マジか!よし分かった!今度会ったときは漫画貸してやるよ!」
「マジで!?」
・・・急に仲良くし始めた。
何が切っ掛けでこんなことになったのかよくわからないが、まぁ面倒なことにならずに済んだだけで良しとしよう・そう思ったのでスミカは何も言わないことにした。
(・・・まぁ傭兵同士がこう仲良いというのもアレだが・・・いいか)
恐らくアキラが体験していなかったことだ。
それを無理やり止めるのも気が引けるので、スミカはその場を放置して離れていった。
「用があったら呼ぶから自由にしていろ」というメールを入れるのを忘れずに
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1時間後・・・
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「全く・・・電話に出ないとはどういうことだ・・・!」
任務の依頼が来たから呼び出そうとしたら、見事に電話に出ないアキラに業を煮やしたスミカが直接アキラを引っ張って帰ろうとカラードに戻って来たのだ。
どうせ男同士の話に花を咲かせているのだろうとイライラしながら向かうと・・・。
「・・・どういうことだこれは」
増えている・・・そう、増えているのだ。
人数が。約2名増えている。
「あ、スミカ先せ・・・アレっ?怒ってる?」
「そうだな、非常に怒っているが・・・まずお前の端末を見てみろ」
「へ?・・・・あっ・・・」
恐る恐るアキラが端末と取り出し、画面を見れば・・・着信7件。
本来なら気づく音量に設定してあるのだが、ご丁寧にマナーモードなのだ。それもサイレントマナーモード。
「さて、言い訳する用意は出来たか?」
「待って待って!!早い早い!!」
指をボキボキ鳴らしながら近づいてくるアキラは慌ててどうにかして納得させようと頭を回らせる。
「えっとあの、ダンと話してたらさ、カニスとロイが来てさ。」
「ほう?それで?」
「なんか話に夢中になっちゃいました(テヘ)」
「有罪(ギルティ)」
「ちょまっ・・・いっでえええええええええええええええええええ!!!」
ゴチィンといかにも痛そうな音を立ててスミカはアキラにめがけて拳骨。
本日のデイリー「アキラへの拳骨」達成の瞬間である。
その様子を見ていた三人のうち、ダンとカニスはガタガタ震えており、ロイは「おーこわ」と楽しげに見ている。
「済まないが、コイツに依頼だ。」
「「・・・ハイ」」
頭の痛みに悶絶しているアキラの引っ張りながら連れてゆく様を見ながらダンとカニスはただそう返事して見送るしかなかった。
一方ロイは「流石ウィンディーの師匠だ、美人さんだな」と感心していた。
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「で、随分楽しそうだったじゃないか」
「いてて・・・いいじゃん別に」
「私の電話に出るなら別に問題なかったがな」
「うぐっ」
スミカと共に車で帰宅中、そんな会話をしていた。
楽しいことは問題ない・・・いや傭兵と言う立場上問題が生じるかもしれないが。
大事な用事であるにも関わらず電話に出なかったアキラに非がある。
そこを突かれたアキラは黙るしかなかった。
「ねぇスミカ先生」
「・・・なんだ。」
「俺さ、ロイに『これで俺らは友達だな』って言われたんだ」
「・・・そうか」
まるで今日の出来事を報告するような子ども、それに静かに反応する母親のような姿がそこにあった。
「でもさ、俺って友達って意味がよくわからないんだ」
「・・・分からなくたっていい」
「え?」
「正直に言おう、私にだって分からん」
今まで友達などというものを知らなかったアキラはスミカにそれが何なのかを聞き出そうとする。
が、スミカ自身友達は多い方では無かった。
いや、職業上友達が出来るのは難しい。アキラも例外ではない。
「それでもいいだろう、学べ。友達というものが何なのか」
「・・・スミカ先生は?」
「私か?私は良いんだ。」
「・・・そうなんだ」
アキラは「どうして?」と聞くことが出来なかった。なぜか、これ以上聞いてはいけない気がして・・・。
「私から教えられることには限界がある。恐らく、その時が近くなっているかもしれない」
「・・・そんなことないよ、スミカ先生は俺にとっては先生で母さんだから」
「・・・そうか。だが、私だけに学ぶんじゃない。いろんな人から、いろんな出来事から学ぶんだ。」
「うん、わかった」
「それでいい」
アキラが頼ってくれること、それが嬉しくて思わず笑みがこぼれる。
その顔をアキラは見ることは出来なかったが。
ただ、スミカには一つこれで不安材料が増えてしまった。
スミカには一応友人と呼べる人物はいた。
少ないながらも仲は良かった。
だが、仲良くなっていられたのは・・・エイ=プール、スティレット、二人とも同じインテリオル陣営だったからだ。
アキラは違う。独立傭兵という立場で、いつ誰が敵になって殺し合うのかが分からないのだ。
そんな中、同じ傭兵。それも同じ独立傭兵。
もし、その友達になった傭兵と、殺し合うことになってしまうとなれば・・・アキラは耐えられるだろうか・・・。
本来なら、馴れ合いなど起こすなと止めるべきだった。
戦場に臨む以上、子どもも大人も関係ない。
いずれも平等で不平等だ。
その立場をアキラには理解させるべきだった。
だが・・・もしこんな嬉しそうに、楽しそうにいるアキラに現実を思い知らせたらどうなるだろうか・・・。
命がけの世界で生きて来たかどうか、とはまた別問題だ。
きっとアキラは泣いてしまうだろう。
アキラは若いのではなく幼いのだ。
どこまでも子供なのだ、この男は。
(もし・・・お前にそんな時が来たら・・・私は支えてやれるだろうか)
一つの楽しい思いでと引き換えに、これ以上ない不安を抱えることになった。
そんな不安を抱えていることを、アキラは知らない
というわけで今回はミッションなしです。
偶にこういった回を挟みます。
戦闘といっても結果だけですが、今回はオーダーマッチにでダン・モロとの対戦。
瞬殺です。斬ってクイックターン斬ってクイックターンの繰り返しです。
仕方ないじゃない、レギュ1.20だもの。
そしてほぼ出番がありませんでしたが、カニスとロイも登場。
これからも関わることになると思います。