天才少女の魔法的黒歴史   作:KYO

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ハーメルンに登録だけしておいて何も投稿していないのは何か勿体無かったので、ブログに置いてあった短編ネタを転載。天才だけに。
ブログとのマルチ投稿です。


天才少女の魔法的黒歴史

 カタカタと端末を打ち鳴らし、画面に映る文字の羅列を増やしてゆく。

 既に三日間も完徹している為に速度は普段よりも遅くなってしまっているが、そんな事は関係無い。私はただ私が作りたい物を完成させる為だけにこの作業を続けているのだ。

 いわばこれは仕事であり、これは生きがいなのだ。たった三日間の徹夜程度では止まる事は出来ない。実際、過去には一週間徹夜したこともあったのだ。あの時と比べれば厳格も見えないし幻聴も聞こえないのだから問題は無いだろう。

 それに・・・もうじきこの術式は完成するのだ。それならば休憩するよりもさっさと完成させた方が後でゆっくり休みながら堪能できるというものだ。

 

 私が作っているのは魔法を構成する為に術式。簡単に言えばプログラムだ。

 幼い頃から・・・といってもまだ十分に幼いのだが、私は周囲から天才と呼ばれてきた。

 私個人としてはそんな評価など全然気にした事は無かった。私はただ、自分が興味を持った事に関して全力で挑んでいただけであったし、たまたま頭の回転が速かっただけなのだ。

 私がここまで自分のやりたい事に集中出来る性格でなければ、ちょっと計算が速い程度の子供だっただろうと思う。・・・いや、ちょっと計算の早い、変な子供か。

 

 どうやら周囲には私の考える事はよくわからないらしい。実際に何度も言われた事があるから事実なのだろう。

 天才は周囲に理解されないと何かの本で読んだ覚えがあるので、多分そういうものなんだろうと気にしない事にしているが・・・しかし、同じ趣味を持つ友人が中々見付からないのはちょっと寂しいものがある。

 というか、流石に同じ趣味を持つ人間がネット上にしか居ないというのは幼い子供としてはどうなんだろうと思う。友人は一応いるものの、私のこの趣味・・・ちょっと風変わりな魔法を作るというものに関しては、ついていけないと言われている。

 友人曰く、ちょっとじゃなくてかなり変な魔法らしいが・・・一応管理局に採用されたものもあるんだけどなぁ。

 

「・・・よしっ!完成!」

 

 新たな魔法を完成させた達成感をこの身に感じながら、思いっきり背伸びをする。

 まだ10歳だというのに体がまるで会社でひたすら書類仕事をしている父の様に固くなっていて、背伸びをした時にボキボキと鈍い音が部屋の中に鳴り響いた。

 ・・・10歳のうら若き少女から出る音じゃないなぁ。

 

「まぁ、そんな事はどうでもいいけどね。コレの完成の喜びに比べちゃ」

 

 眠気でボーっとしている頭をコツコツと右手で叩きながら、つい先ほど完成させた魔法を使う。

 今回作ったのは魔法変換資質に似た様なプログラム。変換資質は本来生まれ持ったものなのだが、適正があれば訓練次第では使えるものが多い。それでも全ての変換資質を使える魔導師は存在せず、多く使える人でも三種類がせいぜいだ。

 私の作った術式はこれを何とかする為のものであり・・・簡単に言えば、擬似的に様々な魔力変換を行う為のものだ。

 それぞれの属性ごとに新たに術式を改変しなければならないので使い勝手はまだまだ良くないものの、その代わりに、天然では存在しない変換資質をも作れるのがこの術式の凄いところだ。

 実際今回テスト用に作ったものも、次元世界中探しても無いだろうと思われるものにした。丁度ネットの向こうの同志達・・・友人曰くアホ共の要求で面白そうなものがあったので、それと同時に作ったのだ。

 

「さて、どんな感じかな・・・うわぁ・・・」

 

 素晴らしい。まさに私が考えた通りのものだ。色に関しては要求された通りの物が作れているかどうかは知らないものの、それ以外は何の問題も無いはずだ。

 確認は完了。ならばさっさとネット上にアップロードして渡してしまおう。・・・ただ、魔力変換の術式部分は他にも使えそうなので、ここを抜いて改変してからだ。ものの数分で終わる。

 ・・・そして改変を終わらせネット上に術式を流した私は、端末の電源をつけたままベッドに潜り込んだ。

 久しぶりのベッドは、実に幸せだ・・・

 

 

 翌日目覚めた、というか26時間ずっと寝ていた私は、眠りすぎで重くなっている頭を右手でコツコツ叩きながら端末の前に座った。

 理由はネット上にアップロードした術式の感想を見る為。満足してくれているといいんだけれど・・・

 

『ちょwww完璧すぎwww』

『なんという仕上がり』

『これは酷い・・・良い意味で』

『ちょっと嫁に使ってくるわwww』

『じゃあ俺はペットに使うわwww』

『獣www』

 

 どうやら喜んでくれているようだ。割と頻繁に良くわからない単語が出てくるものの、何となく喜んでもらっている事はわかる。

 ・・・良くわからない単語については以前ネットで調べようとした事があるものの、友人に

 

「ダメ!絶対調べたらダメ!そんな事知らなくていいから!」

 

 と言われたので、気になるものの調べないようにしている。数少ない友人の言う事だから、守らなければいけない。

 しかし・・・何の話をしているんだろう?私ももう少し大人になればわかる様になるんだろうか。

 

『アレだな、魔力変換資質:粘性を注文した奴マジgjだwww』

『しかも色www白濁とかwwwどう見ても精液www』

『この前のバインドも凄かったしな。微振動しながら体を這いずる触手バインドなんて明らかにプレイ用www』

『俺最近来たんだけど、これ作ってる奴ってどんな奴なんだ?凄い事はわかるんだが』

『こんなもん作ってくれるくらいだからおっさんなんじゃね?』

『いや、ここはあえて幼女を押しておく!』

『卑猥な魔法を作る幼女か・・・股間が熱くなるな』

 

 本当にどういう意味なんだろう・・・『ひわい』ってどういう意味なんだろう。『プレイ』って何をするんだろう。

 『せーえき』って何の液体なんだろう?・・・気になるなぁ。

 

 

 魔法構築の幼き天才少女。

 魔法以外に関しては全く知識が無い故に発生したこの凄まじいまでの黒歴史は、友人が我慢の限界を超えるまで積み重ねられる事となった。

 

「このアホっ娘がぁぁぁぁ!!何であんな馬鹿みたいな魔力変換作ってるの!?」

「ひゃぁぁ!?何でいきなり!?」

 

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