天才少女の魔法的黒歴史   作:KYO

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その2

 カーテンを閉め切った薄暗い部屋の中、相変わらず今日も唯一強い光を放つモニターに向かい端末をカタカタと打ち鳴らす。ちなみに今日はまだ徹夜をしていない。

 今回作っている魔法プログラムは本来なら徹夜で今日の朝…というか午前三時頃に完成していた筈なのだけれど、昨日私の数少ない…というか多分唯一の友人がやってきて強制的に眠らされてしまったのでまだ完成していないのだ。

 すぐに完成させてしまいたかったのに…と思ったものの反論は全然出来なかった。あの子怒ったらこわいんだもん。あと、共働きで泊りがけの仕事も多い両親の代わりに私の保護者みたいな事をしているからというのもある。

 なんで同い年なのに保護者?と思う人もいるかもしれないけど、一度作業を始めると端末に向かってばかりの私の心配をして料理を作ってくれたりもするので私ももう普通に保護者みたいに感じてしまっている。

 あれ、私ダメな子…?

 

 いやいや、それはさておいて今はもうすぐ完成するプログラムの話だ。

 現在プログラムを構築している最中の魔法は珍しく友人が「変なもの作るな!」と怒らなかったものだ。友人はこの魔法は何に使うのかわからないといった顔をしていたけれど、私が考え付く使い方を教えたらむしろ良い魔法だと褒められたくらいだ。

 今回の魔法は元々戦闘用に使われていた魔法を参考にしたものなので一見魔力消費が多そうに感じるかもしれないけれど、効果を微弱なものにして負担を極限まで抑えてあるので戦闘用魔法に適性の無い人でも使える様になっている。

 試作プログラムの魔法を試しに友人に使ってみた所、「私にはちょっとくすぐったいだけね」って言われてしまった。友人曰く、大人が使った方が効果があるんじゃない?とのこと。

 友人からのアドバイスとして多少は強弱などを自分で設定出来る様にすると便利なんじゃないか、何かに付与出来たらいいんじゃないか等良いネタを言われたので、それも今の完成品に組み込んである。友人のおかげでこの魔法の完成度が上がって本当に助かった。

 やはり持つべきものは優しくて頼りになる友人だ。一人でもそんな人が居たら人生は素晴らしいものになるとと思う。私まだ人生10年しか生きてないんだけどね。

 …同じ10歳なのに友人の保護者レベルの高さはどうなっているんだろう。料理も家事も出来て、気が利いて優しくて時には厳しい。迷惑かけると怒ったり嫌そうな顔をする事もあるけど結局助けてくれる。あれ…比べるとやっぱり私ダメな子…?

 い、いや、私にはまだこの頭脳がある。天才って言われてるからって調子に乗らないで努力を続けていればきっと…人間的にはどうかわからないけど、魔法に関しては凄い人に!!

 

「…それでも勝てない気がする」

 

 …ま、まあそんな子が友人で居てくれる事に感謝して今は魔法を組もう。あとそのうち感謝とお詫びした方がいいかもしれない。割と本気で。

 

「…よっし、できたぁ」

 

 今回も新たな魔法が完成した達成感と共に思いっきり背伸びをする。ポキポキ鳴る骨の音を聞く度に、やっぱり子供の体から聞こえてくる音じゃないよね、と思ってしまうが今更である。

 今日は眠気は無いもののずっとモニターと向かい合って居た為少しだけ頭が重たい。コツコツと右手で頭を叩きながら左手で目頭を揉み解して目の疲れを少しだけ発散した。

 …丁度いいので完成したばかりの魔法を試してみようかと思ったけど、別にそこまで疲れていないのですぐにいつもの場所…ネット上の同志達の場所へとアップロードする。

 今回のは誰かに頼まれた訳は無いけど、確か会話中でこんな感じのが欲しいって言ってた気がするから喜んでくれると思う。

 

 …よしアップロード完了。感想が来るまでこれからどうしようかな…あ、そういえばあの子に一緒に買い物行こうって誘われていたんだっけ。

 えーっと今の時間は…「こらー!やっぱり遅刻じゃないのー!」って、お、怒られる!?

 

「ご、ごめーん!すぐ準備するから!」

「早くしなさい…ってあんた起きてから顔も洗ってないでしょ!?髪もボサボサじゃない!」

「あ…す、すぐ何とかするから!」

「もう…急がなくていいから、ちゃんとしなさい!」

 

 や、やっぱり私は友人に勝てないかもしれない。

 

 数時間後、買い物から帰宅して早速感想を見てみる事に。ちなみに隣には友人が居る。

 いつも通りなら感想を見て友人が怒ったりするのでちょっと不安だけど…今回は友人も変な魔法って言ってないから大丈夫だよね。

 えーっと感想は…あ、来てる来てる。

 

『今回は普通の魔法か?』

『マッサージ魔法か…試しに使ってみたけどこれ普通に良いかもしれん』

『ソース見たらブレイクインパルスの魔法を流用してるのな』

『何そのこわいマッサージ。でも確かにこれいいかも』

 

「あ、いつもと反応が違うけど好感触だよ!」

「いや、普通はこんな感じのでいいのよ…」

 

『しかしあの人が作った魔法がこれで済むとは思えないな…』

『ん?これ振動の強弱がつけれるみたいだぞ』

『振動のタイプも縦揺れと横揺れ選べるんだな。ストロークの大きさも調節出来るわ』

『おい、これ物にも付与出来るみたいだぞ』

 

「うんうん、頑張って機能を追加した甲斐があったよ。皆が会話の中で欲しいって言ってた気がしたんだよね」

「…なんか、嫌な予感が」

 

『ちょwww右手で息子握って使ったらやべぇwww』

『お前天才か!』

『ホールに付与して使ったら大変な目にあった…俺もうホール以外いらない』

『両手で使って嫁にイタズラしたら効果強すぎてアヘったwww』

『ソロプレイでも協力プレイでも使えるだと…流石はあの人だな』

『マジ天才だな。普通かと思ったら相変わらず素晴らしい魔法だ』

『やべぇ興味本位で妹に使ったらアヘ顔に…過ちを犯してしまうかもしれない』

『通報しました』

 

「うーん?ねえ、『ホール』ってなんだろうね?『アヘ顔』ってどんな顔なんだろう?」

「こ、こいつらは…やっぱりアホ共…」

「ねぇ、なんで妹さんに使ったら通報され…」

「気にしちゃダメよ!さっさと忘れなさい!」

「え、あっう、うん」

 

 今回は私は怒られなかったけど、物凄く期限悪くなってこの後に「やっぱりここの奴には関わっちゃダメ!」って言われてしまった。

 ど、どうしよう…ここなら何でもOKだから一番使いやすいし人も多いのに…

 

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