第1話
「ねぇ、生きてる意味ってなんなんだろうね」
俺はその言葉を聞いたとき、生涯忘れることはないだろうと思った。
これは、彼女の残した最期の言葉である。
仕事に追われ、なかなか会うことは叶わなかったが、それでも愛していた、彼女の。
彼女はこうも言っていた。
「お仕事がなければ、たくさん会えたのに、ね。」
彼女が死んだ日。俺は…
俺は、生きていくことをやめた。
女?「で?その後はどうしたの?」
女は興味がなさそうな声で聞いてきた。興味ないなら興味無いと言えばいいものを…
「その後は…どうしたっけな。覚えてないや」
女?「ふぅん…つまらないわね」
「そうかいそうかい、残念だったな」
俺の名前は「有村 渚(ありむら なぎさ)」。死人である。
さっきの話を聞いてればわかると思うが、ニートだ。働きたくない。
そしてさっきの女は、通称「七色さん」。レインボーという名前なんだそうだ。
そのまんまじゃねえか。
七色さんは地獄の人間で(てかなぜ地獄に人間が…?)、閻魔の審判で地獄行きが決まったやつの地獄案内をしているらしい。ベテランだとかドヤ顔で言ってやがった。腹立つ。
俺はついさっき閻魔に地獄行きを言い渡されて、こいつに案内してもらってるってわけ。かれこれ何時間か歩いてるけど、まだ着かないのかよ…長ぇ…
七色「まだ着かないのかよって顔してるわね」
人の思考を読むな、お前はエスパーか?
渚「ん、まあ…そうだな。」
七色「いつもいるのよね~長い長いって文句言うやつ」
さいですか。
七色「でも、あんたは言わなかったわね」
渚「まあ、歩くのと待つのには慣れてるからな…あいつにも何度も待たされたし」
七色「あいつ?」
七色さんが、あいつという単語に反応して、こちらを見つめてきた。
渚「…ッ、なんでもねえよ」
不意を突かれた俺は、下手くそにごまかすことしかできなかった。
俺たちはその後3時間ほど歩いて、地獄の入り口である、「冥界門」にたどり着いた。
七色「この先の門をくぐればもう地獄よ」
渚「へぇ…これが入り口か…」
その門は、ひどくボロボロで、それでいて威厳を感じることができるものだった。
七色「ボロっちいとか思ってるでしょ?でもね、この門、私たちでも壊せないのよ」
基本的に地獄の人間は俺たちと違って化け物もびっくりの力を持っているらしい。(七色談)そのこいつらでも壊せないなんて…相当固いんだな。
七色「まあ、そんなのはいいわ。早くここ越えて地獄へ行って。次の仕事もあるんだから」
渚「へいへい、わかったよ」
つれない案内役だなぁ、地獄まで一緒に行ってくれよ…
俺は門に向って歩き出した。と、その瞬間…
ピカ――――――――――――ン
門が光りだした。
渚「な、なんだこれっ!?」
俺は七色さんに助けを求めた。のだが…
七色「えっ、な、何…?これ…私こんなの知らないわよ!?」
お前ベテランなんじゃねえのかよ!?
だんだん光が強くなっていく…!
渚「ど、どうすれば…!?」
そうこうしているうちに俺たちは、門から出る光に飲み込まれた…
渚「で、出てきた場所が…」
七色「現世…?」
さっきとはうって変わった、都会ではないにしろ、地獄のそれではなかった。
こいつほんとにベテランなのか…?
渚「てかこれさ、超展開すぎるだろ」
七色「私は知らないわよ!」
渚「知らないわよって言われてもなあ…」
俺たちが最初に見たものは、俺の住んでいた家だった。
しかもなんにも部屋の中に変化がない。かたづけとかしなかったのか…?
というか…
渚「俺ほとんど幽霊みたいな状態なのに昼間出てても大丈夫なのか?」
かなりの炎天下だ。暑い。
七色「現に大丈夫なんだし、大丈夫なんじゃないかしら?」
んな適当な…
とりあえず家の中も見ていきたいな…入れるのなら入ってみたいんだが…その前に気になることが一つ。
渚「そもそもここは本当に現世なのか?」
七色「…どういうこと?」
ここは本当に現世なのか。さっきまで地獄がどうのこうのしてたやつらがいきなりこんなところ、なおかつ自分の家の前に送り込まれたら…たぶんそうなるはずだ。
渚「ほら、飴と鞭的な感じで…この後真の地獄が待ってたりするとか…」
七色「えっ…てことは私も…?」
おそらく…
渚「ああ、巻き添えだな」
七色「うわああああああああああああ!!」
七色さんはすさまじい断末魔を叫んで、膝から崩れ落ちていった。
かなり無様である。
七色「せっかく…せっかく生き返ったのにぃ…」
あ、地獄の人間って生きてるんだ。てか地獄の人間なら自力で帰れるだろ…
いろいろと面倒な奴らなんだな…
渚「とりあえず暑い…家に入ろうぜ?」
七色「うん…わかった」
まだ死ぬと決まったわけじゃなかろうに…
俺の表情には、いつの間にか笑みが戻っていた。
見事、家に入ることに成功。
案外簡単だった。俺は普通に壁をすり抜けられたし、七色さんは持ち前の怪力で扉を破壊して入ってこれた。扉どうやって直そうかな…?あ、でも涼しいから当分はいいかな…などと考え事をしていると、下の階のほうが騒がしいことに気が付いた。
渚「はっ…!ま、まさか…!」
俺は忘れていた。あの恐怖の存在を。
俺の頭には、この世の何より恐ろしいたった一人の人間の顔が、なおかつ怒りをあらわにして、浮かび上がってきた。
マズイ、さっきの扉の破壊音を聞かれたか…!?
渚「七色さん!マズイ!隠れるんだ、早く!」
七色「えっ、な、なんで?」
渚は叫んだ。とっさには七色さんも動けはしなかった。
渚「くっ…!」
渚は七色さんの手を取って、机の下に隠れさせた。
渚「絶対に喋るなよ!?」
七色「な、渚…!?」
と、次の瞬間、あの恐ろしい顔がこちらにあらわれた。
渚「大、家さん…………」
そこには、年端もいかなさそうな一人の少女がニコニコしながら立っていた。
七色(か、可愛い…)
渚(よし…さすがに死人は見えないはずだ…これならやり過ごせる…)
渚は余裕の表情。つまりこいつは隠れてないのである。
渚(あとは七色さんが見つかりさえしなければ…)
しかし、その時の七色さんはというと。
七色(うう、もうちょっと顔よく見たいなぁ…)
穏便にやり過ごそうという渚の計画をぶち壊そうとする努力をしていた。(決して本人にその気はないが。)
と、七色さんが顔を動かしたその時である。
ドサッという音とともに、七色さんは横に90度回転した。
渚(!?)
渚の顔から血の気が引いた。
渚(ま、マズイ!七色さ…)
渚が七色さんに駆け寄ろうとしたその時。
グイッ
渚(……?)
渚の服の袖が、何かに掴まれた。
おそるおそる振り返るとそこには…
不穏な笑みを浮かべて袖をつかむ、大家さんがいた。
大家「何を…しているの?」
その笑顔は、人々に死を告げる、暗黒の笑顔だった。
渚(見つかったのは…俺……!?)
続く、と思う。いや続いてくれ、頼む。
はい、初投稿でございます。汐留夏華です。
なんかいろんな意味で残念な作品になってしまいましたね、すいません...
今回から、「有村 渚は死してもなお働かない。」を頑張って書いていこうと思います!(つまり頑張らないと書けない。)
こいつ、NEETと紹介した割には意外としゃべりますねw
本人いわく、「働く気はないが、しゃべったりするかどうかは全くもって別問題」だそうです。
あとがきってそもそもなに書けばいいんですかね?w
まあ、そんな問いかけに答えてくれる人はいないんで、次回から何かテキトーに書いていきたいなと思いますw
まあ、そんなわけで、この作品を読んでくださった方々、大変ありがとうございます!
評価を見るまでもなく駄作ですが、ネタが尽きない程度にのんびり書いていきます。
では、また次回までこの作品が続いたら、お会いしましょう。