お金を稼がなくてはならなくなってきました。
とある夏のある日…。
このお話の主人公、NEET幽霊である「有村 渚」は、地獄で出会った「七色さん」と共に、なんと現世に戻ってきてしまった。たぶん地獄に戻ることもできないし、別段戻りたくもない渚達は、現世に留まり、そこで生活を送ることを決める。そして、そんな二人が一番最初に直面した問題は…夏の暑さと食料だった…
ミンミンミンミンミン…
セミが泣き叫ぶ夏の日。今日はいつにもまして気温が高く、暑さ対策をしていない彼らにとって、恐ろしく辛いものになっていた。
「…暑い…」
幽霊なのに暑いとは何事なのかというものがあるが、暑さは感じるらしい。
炎天下の日差しが部屋を差し込んでいる。彼らは寝転んでダラダラしていた。
「…お腹空いてきたかも…」
こちらの女性が七色さん。
地獄で独自に進化した地獄人という種族らしい。
その力は凄まじく、渚のアパートのドアを拳で粉砕する程だ。
おかげでめっちゃ涼しくなったが、さすがに夏の暑さには勝てなかった。
ちなみに、お腹が空いたり、栄養が足りないと倒れたり、その辺は普通の人間と変わりないらしい。不便だなぁw
「んー…家にまだなにかあったかな…」
「冷蔵庫の中はもう何も無いんでしょー…あったとしても腐ってるでしょうが…」
渚が死んでからはお金を払ってないので、電気は現在止まっている。
冷蔵庫の中身はおそらく腐りきっているだろう。
「なんか金目のものがあれば、それ売ればいいだろ…七色さんが、だけどな。俺持ってけないし」
幽霊である渚は、ものに触れることはできない。すり抜けられるので、探し物をする時はとっても楽なんだが。
「お、これなんかどうだ?」
「どれ…?」
渚が何か見つけると、七色さんもそれを取りによろよろになりながら立ち上がり、それを手に取った。
手に取ったそれは、ネックレスだった。
「え、これは…」
「俺の元彼女の物だ。もう死んじまったから、使わないだろうからな…置いておくのもなぁと思ったし…」
渚は悲しそうな目をしながら言った。
うつむいているその表情には、涙が零れているようにも見えた。
「それを…「ダメ!!」
七色さんは渚の言葉を遮り、ネックレスを渚の手に渡した。
「大事なものでしょ…取っておかなきゃ。きっと…その、彼女さんも…それを望んでる…」
七色さんの言葉に勢いがなくなっていく。何か思うことがあるのだろうか。
「その変わり、これを売るね!」
そう言って取り出したものは、渚のゲーム類だった。
「おう…そうし…いや、なんでお前それを!?」
「売ったらお金になりそうだし!いいよね!」
「待て、それはダメだ!!絶対ダメだ!!返してくれー!!」
こうして、どんどん時間は過ぎていくのだった…
その日の夜。
七色さんは、大家さんが用意してくれた夕飯を食べ、お風呂にも入れてもらっていた。渚は相変わらず渚の部屋にいるが。
「お湯加減どうですか〜?」
「とってもいいでーす!!」
大家さんがすごく優しい。現世に来てからハプニング続きだった七色さんには、この安らげる時間がとっても幸せだった。
「あいつ、泣いてたな…まだ覚えててくれたのかな。ふふ…嬉しい、な…」
七色さんはいつの間にか鼻歌を歌っていた。大家さんに聞かれたのか、外からクスッと笑い声が聞こえた気がした。
「何かいい事でもあったんですか?」
大家さんはおそらくニコニコしながら聞いてきているだろうなぁとか思いつつ、私は
「ええ、とっても!」
と答えた。事実、とても嬉しかった。
「ふぅん…そうですか♪」
「あ、そういえば大家さんは何のお仕事をしていらっしゃるのですか?」
私は大家さんに、今まで気になっていた質問を投げかけた。すると、大家さんの声が、楽しそうなものから、低い、恐ろしい感じの声に変わった。
「…知ってしまったら、後戻りは出来ないわ。それでも…知りたいのかしら?」
私は身震いした。地獄には恐ろしい人が何人も何人も送られてくるが、ここまで恐怖を感じたことは初めてだった。
「なーんてね、冗談よ。私はただの大家。副業もやってるけど…大したことはしてないわ♪」
「そ、そう…ですか…」
私は、この後言葉を繋ぐことができなかった…。
「ふぅーっ…ただいま〜」
「おう、おかえり」
お風呂に入ってきた七色さんが帰ってきた。ってこいつ、けっこういい体して…あぁいや何でもないぞ?
服は大家さんに借りたらしい着物を着ていた。…不覚にも可愛いとか思ってしまった。
「ん?どうかした?」
「いや、なんでも…てかお前、この部屋で寝るつもりか?」
枕まで持ってて、けっこう寝る気まんまんだ…
「え、ダメだった?」
ダメに決まってんだろうが、何考えてんだこいつ…お前仮にも女だろ…
「あ、そういえばそのベッドじゃないと寝られないんだったよね、ごめんごめんw」
「そうだよ、だからお前は大家さんの部屋で寝てくれ」
俺は七色さんにさっさと出ていくように促す。…全く。
「はーい、じゃ、おやすみね」
「あぁ、おやすみ。」そう言いかけた途端、俺はあいつの事を思い出した。
そういえば、いつもこんな感じで寝てたなーとかなんとか…いや待て、なんで七色さんが俺が部屋のベッドじゃないと寝れないの知ってるんだ…?この事を知ってるのは…
「七色さん!!」
とっさに呼びかけたが、七色さんはとっくにいなくなっていた。
「…どういう事だ、閻魔はそんな事まで調べたのか…?趣味の悪い奴だな…」
「ふぇっくし!?…風邪か…?」
分からないことをいつまでも考えても仕方が無いので、閻魔のせいにして今日はもう寝るか。…ところで俺は寝る必要あるのか…?w
俺はそんな考えも忘れて、眠りについた。
有村 渚は死してなお働かない。第3話でした!
今回投稿がかなり遅れてしまった理由は、私が書いていた第3話が消えてしまって、少しやる気が削げてしまった事にあります、すいませんw
少しシリアル気味になってた感じありますね、今回の話。
でも本業はやはりギャグなんで、たくさん笑っていただけると嬉しいです!
みなさんには、大切な人、いますか?
別に恋人である必要は無いですが、大切な友人、恋人、家族など。大切にしてくださいね!
贈り物などは取っておきたいですね、私はw
では、次回もお楽しみに!