それでは、本編スタート!!
うーん。もう暗殺を始めて一週間になるけど、なかなか決定的な隙がないなぁ。殺せせんせーは。やっぱり、もっと情報を集めたほうがいいかな・・・・・
「考え事しながら歩いていると危ないよ。」
いきなり声がして私はあわてて前を見る。そこには、E組生徒の潮田渚だった。
「あ・・・ごめんね。もしかして余計だった?」
私の表情を見てか、潮田君は申し訳なさそうに問いかける。そんな潮田君に驚きつつ、私は思いついた中で一番差し障りのない返事をした。
「ううん。なんか心配させちゃってごめんね。」
私の返事を聞いて、潮田君は安心したように目線を私から持っていたメモ帳に移した。
その動作に、というかそのメモ帳を見た時に、私の中である計画が思いついた。
「潮田君、そのメモ帳殺せんせーのことが書いてあるんだよね・・・・?」
「うん。弱点とか。流石に全部じゃないけどね。あ、それから渚でいいよ。」
潮田君・・・じゃなくて渚の話を聞いて、私の頭の中にあった計画が徐々に鮮明になっていく。そして計画の事を渚に話そうとした。が、その時、
「あぁ!!!」
渚がいきなり大声をあげたのだ。
私も慌てて渚の目線を追う。
それは、渚が持っていたメモ帳が風に舞い上げられて、本校舎生徒の足元に落ちていくところだった。
「あぁ、もう最悪!!」
私は、さっきから頭の中を渦巻いている感情、を言葉にして吐き出した。多少周りの迷惑になるかもしれないが、最高に機嫌が悪いんだからしょうがない。とにかく、気持ちを落ち着かせるために、私はつい20分程前のことを思い出す。その中から、今機嫌が悪くなっている原因を思い出した。
1、渚のメモ帳を取り返すだけなのに、散々罵声を浴びせられたこと。
2、ただでさえ疲れているのに、1キロの山道を全力疾走したこと。
3、やっとのことで教室に着いたら、とっくに授業が始まっていたこと。
うん、思い出すと余計に腹がたってくる。そんなことを考えていると、
「九ノ瀬さん、今の話聞いてましたか?」
「あーはいはい。聞いてましたよ。」
まったく、見てわかんないかなぁ。私今どう見たって機嫌悪いでしょ!?
そう心の中で毒づいたとき、私はやっと重大な事に気が付いた。
「では、この問題を解いて下さい。聞いていたなら、わかりますよね?」
そう言って殺せんせーは、持っていた白いチョークを差し出す。
そう。お察しの通り、今は授業中だったのだ。
一瞬焦ったが、黒板をみてホッとした。そして、黒板の前まで歩いていき、白いチョークを受け取ると、迷いなく数字を書き始める。この位の問題なら、別に授業聞いていなくても解ける。私は自分に言い聞かせ、次々と問題を解いていった。
全部解き終わったところで、
「解けましたよ。殺せんせー。」
と、挑発的に言い放った。
私が、殺せんせーの反応を待っていると、
パチパチパチパチ・・・・・・
教室中から、拍手が聞こえてきた。その音は、時間が経つにつれて大きくなっていく。
え?どうして?今まで、誰も勉強のことで拍手なんてしてくれなかったのに。
予想外の反応に私が戸惑っていると、殺せんせーが私ん思考を見透かしたかのように、声をかけた。
「あなたがなぜ戸惑っているのかはわかりませんが、少なくともこの教室はあなたの仲間です。凄いことをしたら、賞賛するのは当たり前です。」
あぁ、そっか。私は自分の暗殺に足りなかったもの・・・[仲間]という名のピースを失わないように、右手をギュッと握りしめた。