インフィニット・ストラトス〜再始動するもう1人の天災 作:ネヘモス
今回は純一郎のISのスペック解説回です。
純一郎がIS学園に入学する宣言をした2日後のこと。鑑家の玄関の呼び鈴が鳴った。
「はーい、どちら様で…」
応答しに行った純音が言葉を詰まらせた。
「どうした?ス、ズ……」
玄関先に立っている黒いスーツ姿で切れ目の女性。純一郎が、否、世界中の誰もが知っている人物がそこに立っていた。
「顔を合わせるのは初めてか。束から話は聞いてるだろう。IS学園教師の織斑千冬だ」
泣く子も黙る、
千冬を鑑家に上げると、純音が3人分のコーヒーを出す。
「あの、お口に合えばいいのですが…」
「お気遣いありがとう。いただくとしよう」
そう言うと机に置かれたコーヒーに口をつける千冬。そして、純一郎が本題に入ろうと切り出した。
「で?何の用事でここに来たんですか、ブリュンヒルデ様?」
「お前が私の生徒なら容赦なく引っ叩いてるだろうが、それは置いといて。鑑、お前の専用機の性能テストをさせて貰いたい」
「それは建前で本音は?」
「お前の実力のほどを知りたいので私と模擬戦をしてくれ」
流れに乗せられてか本音が出てしまった千冬は純一郎をキッと睨んだ。下手するとあの
「別に構わないが、それ俺がIS学園に入学してからでもいいんじゃないか?」
「お前のニュースを見た私の担当してるクラスがお前の専用機と実力を早く見たいとうるさくてな、すまない」
ぺこりと頭を下げる千冬に動揺する純音。すると、純一郎がとんでもない爆弾を投下する。
「その模擬戦、やってもいいぜ。ただし、相手はあんたにやってもらうがな」
「ちょっと!?兄ぃ、本気!?相手は世界最強のブリュンヒルデなんだよ!?」
純音が言うのも理解できる。織斑千冬を相手にするというのは、世界を敵に回すと言っても過言ではない。それに、この事が知れたら、それこそ女性権利団体が黙っていないだろう。
「ほう?世界最強と言われてるこの私に勝負を挑むとは、その根性だけは認めてやろう。少なくとも、弟よりも肝が座ってて安心した」
「はっ!お前が『世界最強のブリュンヒルデ』なら、こっちは『忘れ去られた天災』だぜ?こうでもしないと面白くないだろう?」
千冬は知らないだろうが、純一郎は面白くないことには全然やる気を出さない性格だ。それが彼の最大の欠点であり、同時に最強の武器となることを妹の純音は知っている。
「では明日、IS学園のアリーナで模擬戦を行う。送迎はするから安心しろ」
「ご丁寧にどうも。では…次会うときは戦場で」
ゾクリ
千冬は久し振りに寒気がした。純一郎から発せられる謎のプレッシャー、これが原因だと純一郎の眼を見てわかった。
純一郎の眼は、一言で言えば濁りがなかった。一点の曇りも見えない、それでいて鋭い眼光。それが彼女の闘争心をより一層引き立てた。
「ではまたな。いい試合になる事を期待するぞ、鑑」
そう言い残すと千冬はコーヒーを飲み干して学園に帰っていった。
翌日、IS学園アリーナの観客席。表向きでは「世界初の男性適合者」の織斑一夏はとてもソワソワしていた。自分以外にも男でISを動かせる人間がいると言うだけで自室で喜んだほどだった。そんな2人目の男性適合者を見てみたい、それが今の一夏の頭を支配していた。
ところがそれとは裏腹に、女性陣は純一郎の言ったことが信じられないと思い、アリーナに来ていた。特に束の実妹である箒は現実を受け入れられずにいた、いや、受け入れたくなかった。そして片方のピットからアリーナに出てきた人物を見て会場は騒然とする。
「織斑先生!?」
そこに立っているのは打鉄を纏った織斑千冬その人だったからである。そして、反対側のピットから赤いISが姿を現す。打鉄とは打って変わって西洋風の赤い装甲で、腰には2本のブレードが装備されていた。一夏はその姿にある人物の面影を重ねた。
「『神速の赤騎士 ザ・ファースト』と同じ…?」
自身がこっそりプレイしている「ウロボロスオンライン」で、最強と謳われるプレイヤー「神速の赤騎士 ザ・ファースト」によく似ていたためである。気のせいだと思いたかったが、試合開始のブザーが鳴ると同時にそれが現実だと思い知ることになる。
試合開始のブザーが鳴るとほぼ同時に千冬は
「シールドエネルギー全変換、
純一郎は瞬時加速で詰め寄った千冬の攻撃を紙一重で躱し、更に上空へと飛び上がる。そして、2本のブレードを引き抜き中段に構える。
すると、上空に幾何学的な紋様が幾つも浮かび上がり、そこから無数の剣が千冬に向かって放たれた。
「凌げるもんなら凌いでみろ!『バレットソードインフィニティ』!!」
ツイン・ウロボロスの単一仕様能力「バレットソードインフィニティ」。質量保存の法則を完全に無視したように見えるとんでもない大技。代償として「零落白夜」同様シールドエネルギーを消耗するが、これは一騎打ちでも、集団戦でも使えるある種最強の能力である。
表立てって出てきてる武器は2本のブレードのみだが、実際はそれ+スナイパーライフル1丁とバレットソードという特異武装が100本ストレージに入っている。
千冬はこの「バレットソードインフィニティ」に脅威を覚えた。躱しきれない程ではない。だが、凌ぎきれない。なぜかと言うと、この技、剣が被弾する・しないに関わらず、自分を通り過ぎると量子化され、再度襲いかかってくるのだ。そしてジリジリとシールドエネルギーを削られ、
『試合終了!勝者、鑑純一郎!!』
僅差で敗北してしまった。認めざるを得ない、この男の、鑑純一郎の実力を。
「いい模擬戦だった。次は…」
次は負けんと言おうとした矢先、純一郎が倒れこんだ。やはり、一見完璧に見えるこの男にも欠点は存在するようだ。
さて、この程度で倒れられては生徒なぞ務まらない。一体どうしたものかと思ったその時だった。
「私にいい考えがあります」
アリーナに現れた扇子で口を隠してる1人の少女。あの生徒会長かと思ったが、白いスーツに身を包み、銀色の髪色をしていたので違うと確信した。
「鑑純一郎。彼には『IS基礎』の担当教師になって貰えばいいのです」
「なるほど、その手があったか。恩にきる、柊暦」
「いえいえ、それもこの国を面白くするためですから」
そう言い残すと柊暦は扇子を展開すると不敵な笑みを浮かべてその場を立ち去った。
はい、純一郎の専用機の説明回でしたね。それにしても、これってチート以外の何者でも無いよね!?
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