インフィニット・ストラトス〜再始動するもう1人の天災   作:ネヘモス

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かなり遅れました。
続きです、どうぞ。


フルメタル・メイデン

荒木光が専用機持ち。この事実は1年1組の生徒全員の度肝を抜いた。そう、2人の生徒を除けば。

 

「「それはどういう事(だ)(ですの)!!」」

 

1人は黒髪の長いポニーテールの少女、篠ノ之束の実妹である篠ノ之箒。もう1人は金髪の縦ロールの少女、イギリス代表候補生のセシリア・オルコットである。

 

「男でISが使える一夏さんや鑑先生は分かります!ですが、今回転校してきた一介の学生が専用機を持ってるとはどうなってるのですか!?」

 

セシリアがこう言うのも尤もだ。だが、荒木には面白いシナリオを描いてもらう様に頼んでるんだ、抜かりは無い。

 

「あー、じゃあバラすけど、こいつは俺のISのデータ取り用の人間、言わばそこのシスコンと同じ『モルモット』だよ。」

 

「貴様!一夏を侮辱するか!」

 

箒がどこからか取り出した木刀を純一郎に振りかざす。だが、

 

「っ!?」

 

「まだまだだな、ポニーテール。まだうちの妹や束が速いぞ。」

 

紙一重で躱される。そりゃそうだ。昨年1年間、純一郎はマキナや純音から木刀なりバットなりを掻い潜って生きてきて今ここに居る。あの程度、避けれなかったら何度死んでるか分からないのだ。

 

「箒!もういい。荒木、ISを展開してくれ、授業が進まない。」

 

それを止めにかかったのはシスコンの一夏だった。ちなみに何故一夏が純一郎からシスコン呼ばわりになってるかと言うと…過去に繋がるので今は言わないでおこう。(メメタァ

 

「分かりました。行くよ、『フルメタル・メイデン』!」

 

彼女の耳に付いていたアクセサリが光輝く。そして、光の粒子が光の全身を包み込み、それは顕現した。純一郎と光を除く1組生徒全員が唖然となる。

そのISには、装甲らしい装甲が一つも見当たらなかったので溢れ。何せ見た目は青い修道服を着たシスターのそれなのだから。

 

「えっと、よろしくお願いします…」

 

「お、おう…」

 

一夏は雪片を、光は量子化していた自分の得物を構える。光の得物は少し長めのメイス、早い話が棍である。

 

「では、両者始め!」

 

先に動いたのは一夏だった。瞬時加速(イグニッションブースト)をかけて相手の不意をつき、雪片で光を捉えた。…かのように見えた。

光が、忽然と消えていた。雪片を構えながら警戒する。だが、

 

「があ!?」

 

不意に頭に鈍痛が走る。そして、ハイパーセンサーを見ると自分のシールドエネルギーが減ったのに気が付いた。背後に立っている光。彼女がこう切り出した。

 

「今のあなたの実力はこんなものですか?それじゃあ私は本気を出せませんね」

 

流石にこの一言には、逆上せざるを得なかった。

 

「なら、意地でも本気にさせるまで!!」

 

一夏は白式の単一仕様能力(ワンオフアビリティー)「零落白夜」を発動する。自分のシールドエネルギーと引き換えに、強力無比な一撃を与えるエネルギーの刃を光に向ける。

 

「うわぁ、すごい」

 

小さく称賛の声を上げた光。だが、そうゆっくりもしてられない。

 

「千冬姉の誇りを、守る!」

 

エネルギーの刃が光を捉える。そして、そのまま横一文字に一閃した。勝った、そう思い油断した。

 

「一夏!避けろ!」

 

「えっ?」

 

唐突に響いた箒の声で我に帰る。だが、時すでに遅し。目の前の光は、またもや消えていた。すると、

 

「やっと本気を見せたね。なら、僕も(・・)。『単一仕様能力』発動」

 

光のISのシールドエネルギーが棍の先端に集まる。これを見るとあれは棍ではなく杖に見えなくもない。そして、一夏の視界が真っ青に染まる。一夏はある事に気がつく。

 

(これは、結界!?)

 

一般人がそんな解答を聞けばすぐさま彼を笑うだろう。だが、彼は目の前で起きているそれを結界と認識せざるを得なかった。何せ、ISのアシストも零落白夜も例外なく(・・・・・・・・・・・・・・・・・)無力化されていたのだから。ISはアシスト無しで動くとものすごく重い、だから動こうにも動けないのである。

 

「…先生、俺の負けです」

 

一夏は静かに降り立つと光の方に黄色い声援が上がる。

 

「荒木さん凄ーい!最後のあれ、何なの!?」

 

「あれはフルメタル・メイデンの単一仕様能力『妖精結界』。相手のISの単一仕様能力や動きを制限する能力なんだ。まあ、この能力の副作用で僕はこの杖『フェアリーロッド』しか武器を格納できないんだけど」

 

「でもあれ可愛いね!いいなー、私も専用機持ちになりたいよー。あ、その時には鑑先生に作ってもらおう」

 

「じゃあこれから励めよ?ここからが、お前らのステージなんだからな!」

 

こうしてこの日、1年1組の生徒全員が同じ目標を持つようになった。当然、箒やセシリアも例外では無かった。

 

 

 

 

 

そして、学生寮1025室前。箒と入れ替わりで一夏のルームメイトが変わった。その人物とは今日転校してきて早々に自分をコテンパンにした張本人の荒木光である。意を決して部屋に入ると、とりあえず誰もいなかった。…そう思っていたら、

 

「一夏くん?帰ったのかな?」

 

シャワー室の方から声が聞こえる。そして、なんだかデジャブを感じる。

ガチャリとドアが開いた瞬間、一夏は自分でも感心するくらい猛スピードで土下座した。

 

「ゴメン!悪気は無いんだ。ただ偶然荒木がシャワーの時を狙って入ったんじゃなくて「何言ってんの?男の裸を見て興奮するの?」……ゑ?」

 

今、信じられない言葉が放たれた気がする。

 

「この部屋の監視カメラやら何やらは鑑先生の圧力で取り払ってあるから、やっと素に戻れるよ」

 

恐る恐る顔を上げる。目の前の光景に一夏は驚きを隠し得なかった。

そこに立っているのはまぎれもなく「荒木光」である。ここで一夏は違和感を覚えた。

 

(何も、感じない?)

 

普通なら女性の裸を見たなら興奮を覚えるのが男と言うものだ。だが、それが何の反応も示さない。もしやと思い、顔を上げると

 

 

 

 

そこには、女の子顔負けの男の娘(・・・)が全身にタオルを巻いて佇んでいた。

 

「一応この姿では始めましてかな?僕は『荒木光太郎』。一夏君と鑑先生に続く第3の男性IS適合者です。ちなみに、僕のことを知ってるのは鑑先生に織斑先生、そしてIS学園上層部くらいだから」

 

「…………」

 

一夏が考え込むように首をかしげる。そして、ある結論に達した。

 

「なあ、あら…光太郎ってさ、『ウロボロスオンライン』ってゲーム知ってる?」

 

「うん、僕やってるよ?」

 

「なら、『神速の赤騎士』と『鉄壁のシスター』の事は…?」

 

「それは鑑先生と僕だね」

 

あっさりと認めた。自分が、あの「鉄壁のシスター」ルーチェだと。てことは、

 

「鑑先生のISって…」

 

「ウロボロスからとってるんじゃない?デザインは」

 

本当に変わった人だとやはり思う。だが、これで千冬姉の狙いがわかった。ありがとう、と心の中で呟くと一夏は光太郎とウロボロス談義に明け暮れていた。




・フルメタル・メイデン
第3世代型IS
操縦者:荒木光/荒木光太郎
「ウロボロスオンライン」のルーチェと同じ姿のIS。装甲が薄いように見えてかなり硬く、防御に特化した為にライフルやエネルギーサーベルを持つことができない。
武装:フェアリーロッド
単一仕様能力:妖精結界
自分のシールドエネルギーが半分を下回ると発動可能。敵ISをシールドエネルギーの檻に閉じ込める。この時、敵ISのアシスト、武装、単一仕様能力を全て封じ込める。

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