それにしてもどうしよう。
関西弁あるなし関係なくシリアスなしギャグ全振りIS書きたくなってきたゾ。
「あばばばばばばば」
「もうっ。どんどん北上するんだから寒くなるに決まってるでしょ?」
「こたつ欲しい…」
「それは日本人皆が思っていることだ、時守」
空路でフランスを出発し、イギリスに到着した空路組。
彼らを待っていたのは、とんでもない寒さだった。
「金ちゃん助けて」
「防寒ですぐにISを使おうとするな」
千冬は数年前にドイツで購入していたコートを、シャルロット、簪、ラウラはそれぞれ事前に準備していたものを着ていたが時守にそれはなく。
フランスに着いた時と同じく、シャルロットと簪のコートとマフラーを共有する形となっていた。
「あっ!剣さん!」
「お、セシリー達や」
空港を出てすぐにあるロータリーで先行していたドイツ海路組と合流する。
セシリア、箒、鈴、そして一夏がそこには立っていた。
「モッピーこたつ持ってきてへん?」
「お前は私をなんだと思っている!?」
「大和撫子」
「だからと言ってこたつを持ってきているわけがないだろう!それにこんな所でどうやって入るつもりだ!」
「…ワンサマ、コレよコレ」
「あぁ。流石は箒だぜ…!」
「な、なんの話だ?」
十中八九ツッコミのキレの話だが、周りのせいで気づかぬうちにツッコミも強化された箒は知る由もない。
時守の元へと駆け寄ったセシリアに続くように、三人もフランス空路組に歩み寄った。
「そっちはどうやった?」
「船が気持ち悪かった」
「小学生か」
「でも実際マジよ?案外揺れるとキツいっていうか…」
「ISの揺れとはまた違うものだったからな」
お前揺れるもんあるんか、とは鈴には聞かなかった。
セシリアが時守の近くで再開の喜びに浸っている間、他の三人の旅の様子が伝えられる。
どこの中継地にも寄ることなくイギリスまでノンストップだったドイツ海路組。
一番辛かったのが―
「…あー、時守くぅーん」
―真耶だった。
「うわぁ…。大丈夫っすか?山田先生」
「えと、はい…。なんとか…。凄く、揺れたので…」
「その光景簡単に想像できますわ」
ぴょんぴょんと小さく跳ねるセシリアと3人の少し後ろで青ざめた顔で少し屈んでいる真耶。
その光景は、男子として非常にくる物があった。
「そう言えば時守。なぜ私はあだ名で山田くんは先生のままなんだ?」
「えっ。今さら?もしかして嫌でした?」
「そういうわけではない。ただ気になっただけだ」
じゃあちっふー先生の新しいあだ名も考えよー、と考える時守。
その前に、真耶につけるあだ名を模索する。
「んー。んー…」
その視線は、どうしても真耶の胸部装甲に釘付けになってしまっていた。
「剣?」
「やっぱりおっきい方がいいの…?」
「わたくしの大きさでは足りませんの?」
「いや待て待て待て待て、あだ名考えてるだけやから」
とは言うものの、時守がつけるあだ名は全て名前から由来しているものがほとんどだ。
確かに、胸を見る必要は無い。
「よし。んじゃ、まっちゃん」
「どこの大御所芸人さんですか…!」
「やーさん」
「私そんなに怖く見えますか!?」
「全然?」
山田真耶という良くも悪くもいじりにくい名前。
篠ノ之束とかいうインパクトしかない名前の方がシンプルなあだ名が生えるのだが、妙につけにくい。
「じゃあもうまーちゃんでよくね?」
「はい。もうそれでいいです…」
船酔いの影響でこんなことに考えを割きたくない真耶。
以後、この時の適当な返事のせいで生徒の9割以上からまーちゃん呼びされることになるとは、この時は思ってもいなかった。
「っていうか、テレビで見たわよシャルロット。リヴァイヴがなんか凄いことになってんじゃない!」
「ほえ?」
ずい!と鈴から差し出された新聞。
それは今朝のフランスの新聞の一面であり、鏡で見慣れた自分の姿が載っていた。
「えっと…『フランスの
「おっ、それ確かお義父さんがやけに気合い入ってたやつやん」
「剣知ってたの!?」
「おう。それに、その小見出し見てみ?」
でかでかと書かれている、シャルロットからすれば恥ずかしいにも程があるその見出し。
さらにそのすぐ下には―
「『男性操縦者の一人、時守剣国連代表もその進化に期待の眼差し!「1度戦ってみたいですね」とコメントも』…剣、これ、いつインタビュー受けたの?」
「シャルと簪とラウラが寝てから、ちっふー先生と俺とお義父さんの3人で」
「国連代表の名前を出してるってことは…」
「お仕事の一つやなー。ま、ええやんええやん」
「良くないよぉ…」
シャルロットが顔を真っ赤に染めて蹲る。
専用機持ちの中でも比較的常識人である彼女にとって、身内の恥とも言えるようなことが起きてしまったのだ。
「お、おほん。では改めまして、ようこそ皆さん。我が祖国、グレートブリテンへ」
うやうやしくお辞儀をするセシリア。
スカートを摘む仕草も、その後ろにずらりと並ぶメイドたちを従える姿も非常に様になっている。
しかし、やはりというかそこにチェルシーの姿はない。
「セシ―」
「ちいちゃああああああん!!」
明らかに落ち込んで見えるセシリアに時守が声をかけようとしたその時。
ずどどどどどど、と凄まじい土煙を上げながらこちらに向かって走ってきたのは、現在絶賛国際指名手配中のISの開発者、篠ノ之束だった。
「会いたかったよおおっ!あっ、箒ちゃんもいるねぇ!剣ちゃんも、もちろんいっくんも!」
「うざい死ね離れろ」
千冬を見つけるや否や、躊躇うことなく彼女に抱きつく束と、それをうっとおしそうに片手で制する千冬。
いつも通りの二人。だが、生徒達はそうではなかった。
京都の一件で、すでに束が亡国起業の一員になっていることは分かっているのだ。
「千冬姉?」
「今から説明する」
一つため息をつき、千冬は静かに言葉を紡いだ。
「今回の作戦行動では、欧州統合政府、IS学園上層部、そして……亡国起業との共同あたる」
「なっ!?」
ざわつく一同。
一人眉間に見たこともないほどに皺を寄せた弟子を見やり、千冬が一歩前に出た。
「静かに。作戦時刻は現時刻より四時間後、16:00に開始する。作戦名は―」
いつにも増して真剣な面持ちの千冬。そんな彼女の口から告げられたのは―
「
高校生でも口にするのが憚れるほど、厨二病に染まったものだった。
◇
場所は変わり、イギリスのIS空軍基地。
何十人ものスタッフが慌てふためきながら作業を進める中、時守は不機嫌そうに一夏と話していた。
「何がどうなってるんだ…?」
「さあなー。まっ、また碌でもないことに巻き込まれてんのは確かやろなー」
頭の後ろで手を組みながら柱に凭れかかる時守。
その視線の先には、国連所属のIS整備スタッフの姿があった。
「…チッ。気にくわんわ」
「拡張領域が埋まってるのはどうするんだ?それに、内容極秘のパッケージなんて使いたくねえよ…」
一夏の視線の先では、実戦仕様と追加装甲、そして一夏の言った通り内容不明の極秘パッケージの取り付けに職員たちが追われていた。
「よっ、青少年」
「ぬっ!?」
そんなつぶやきをした一夏の尻を、ペロンと何かが撫でた。
「またまた会ったね〜」
「か、篝火ヒカルノさん!?」
「いっえ〜〜す。ヒカルノお姉さん、呼ばれて見っ参!」
一夏のケツを撫でたのは、スク水仕様のISスーツに白衣、水中眼鏡にモリと、ものすごく場違いな格好をした変態だった。
「一夏、誰この人」
「あ、あぁ。剣は知らないよな。倉持技研の所長さん、篝火ヒカルノさんだ」
「はいはーい。君のことはもちろん知ってるよ、時守剣くん!」
「どもども」
こんな個性の塊のような存在を目の当たりにして、時守が反応しないということは、真面目モードのスイッチが入っているということ。
一夏はなんとなく、彼の性格について理解してきたのだ。
「その辺りはご安心を〜。白式にも付けられるよう、外付け増設で統一してるからねー」
「へー。ほな金ちゃんに付けさせてるやつ外させよ」
「えっ、ちょちょちょ時守くん!?」
こんな格好をしているヒカルノだが、これでもれっきとした研究員。
その彼女が作戦のためにつけさせようとしているものを、時守は外させようとしたのだ。
「なんすか?」
「いやいや、聞いてたの?それ、作戦に必要―」
「それを決めれんのは俺と金ちゃんだけや。そもそも、せっかく実戦仕様にしたのに他の邪魔なやつ付いても動きにくくなるだけやからな」
「う、ぐ…」
有無を言わさぬ時守の圧力。
年下とは思えぬほどのそれに、ヒカルノは返すことができなかった。
「にゃっほほーい。元気そうだねー、剣ちゃん」
「おぉたーちゃん。なぁ、あの装備って金ちゃんには要らんよな?」
「え、うん。要らないよ?」
「ほれ見ぃ。広告塔に使おうとしてること、バレバレでっせ」
作戦本番にさしかかろうとしているこの時間帯。
この男は、一切のおふざけがなくなっていた。
「おい、男子二人!それから変態とアホ!作戦の説明を始めるぞ!」
千冬のやや怒りの籠った声に振り向いてみると、彼女の元には一夏と時守以外の作戦に出るであろう人員が集まっていた。
「おっ、よう雑魚。またアレにボコられに来たか?」
「ほざけ。お前との直接対決では私が勝っているだろう」
「よう言うわ。あんな機械相手にボロボロになっときながら」
「いい加減にしろ。今からお前たちは共に作戦を完遂させるために共闘するんだぞ」
そのメンバーに近づき、その中の一人、織斑マドカを見て時守が発した言葉は、とてもこれから同じ作戦に取り掛かる仲間に向けるものでは無かった。
「ってかチェルシーさんいるやん」
「剣さん。あの時、なぜ剣さんとわたくしの前にチェルシーが現れたのか、その理由がはっきりとしましたわ」
「申し訳ございません、時守様。これは、一種の私のワガママのようなものでして」
「ほーん。それに、亡国も関係してるって普通に考えておかしない?」
どこまでも鋭い時守の一言に、チェルシーは息を飲んだ。
「…順を追って、話させていただきます。今回の作戦のターゲット、エクスカリバー。あれは、イギリスとアメリカの共同開発によって生まれた攻撃衛星―」
「っつーのは建前。生体同期やろ?」
「し、知っておられたのですか!?」
「前に資料で見た。…で、そのエクスカリバーがどないしてん」
時守のIS、どころか彼の持つ国連代表という権限をうまく使えば、改ざんする前の情報を見る程度容易いことなのだ。
今の所一夏も話に着いてこれている。
「アレに乗っているのが、私の実の妹、エクシア・カリバーンなのです」
「チェルシーに妹がいるということなど、今の今までわたくしも知りませんでしたわ…」
「そして〜、そのエクスカリバーが暴走しちゃったーって焦ったイギリスと亡国起業が白羽の矢を立てたのが―」
「このISを大量に保有してるIS学園ってか?」
「さっすが剣ちゃん!ちなみに、狙われてるのは女王様が住んでるお家らしいよー」
言ってしまえばこうだ。
イギリスとアメリカの共同開発の生体同期ISが、亡国起業に奪われ暴走。
それが女王陛下の宮殿を狙っており、その始末を手伝わされているということ。
しかし、セシリアの母国であり、狙われている場所も場所なので、IS学園側からしても無関係ではないということだ。
「んで、この作戦を自分の手でやり遂げるためにブルー・ティアーズ三号機を盗みたかったからチェルシーさんは亡国に入ったと」
「はい…。いかなる罰も、受けるつもりです」
「それは全部やり終えてからや。で、どうやってあんなん破壊するんすか?」
大人組に作戦に概要を聞こうとする時守。
颯爽とポーズをとったのは、ヒカルノだった。
「はい!この私が開発した特殊パッケージ外装『
イエイ!とピースサインをするも、緊張感に包まれたこの場では誰も返すものはいなかった。
「ええっと、この『O.V.E.R.S.』は少量のエネルギーを増大、反転させることでより強力なエネルギーを引き出すという―」
そこまで言ったところで、待ってましたと言わんばかりに束が飛び出した。
「まるで紅椿の単一仕様能力、『絢爛舞踏』のようだね!不思議な偶然もあったもんだよ!まるで―」
そこまで言い、束はヒカルノの眼前に迫った。
「―紅椿のコピー品みたいだね!」
「うっ…」
この場で束とヒカルノ以外知る由も無いが、この『O.V.E.R.S.』こそが、ヒカルノが成し遂げようとしている計画の第一歩のようなものなのだ。
しかしその考えは当然、束にはバレていた。
「説明に戻る。今回の作戦ではこの『O.V.E.R.S.』搭載機による連携が必須となる。この装置は搭載に同士のエネルギーを均一化する効果もあるため、今回に限り紅椿にも搭載される。…時守、こればかりはつけてもらうぞ」
「了解」
時守の返事を受け、千冬の説明は続く。
「バックアップは山田先生と…簪。デュノアの機体はまだ不安定な部分もあるため、楯無と共に地上に残ってもらう」
地上。そこに残るのがバックアップ班以外で二人のみ、ということは。
「今回の作戦の目標は」
自らの真上を指差す千冬。
「宇宙だ」
「…ってことは、マドカとチェルシーさんも宇宙っすか?」
「いや。ブルー・ティアーズ組は地上から超長距離射撃を行う。これこそが、この作戦の要と言ってもいい」
「なら俺たちは?」
「…言葉を選ばないのなら、囮だな」
「なんや、適任ばっかっすね」
さりげなく遠距離攻撃において役に立たないと言われた一夏、箒、鈴、ラウラ。
実際のところ本人たちも気が狂うほど遠くにあるものを狙い撃つなど性に合わないので、怒る気にもなれなかった。
「そして、だ。お前たちの中でも前衛、後衛を決めておけよ」
「やとさ、どーする?」
「俺は死にたくないぞ」
「そんなんみんなそうよ」
ううむ、と唸る一同。
女王陛下の宮殿を消滅させかねない代物相手に、誰も前衛に行こうとはしなかった。
「ほないつも通り適当に立ち回るか」
「っ、いいのか?そんな適当で」
「言うてもまあ、暴走して機械相手やろ?」
「お前が言うからこそ、嫌な予感がするのだぞ。剣」
ゴーレムⅠ、VTシステム、銀の福音、ゴーレムⅡ、ゴーレムⅢ、そして白騎士。
無意識だったり、機械だったり、完全無人機だったりと、人が操作していないISの相手が非常に多い時守。
勝ち負けで見れば全戦全勝だが、時守の肉体へのダメージを見れば2勝4敗なのだ。
「だいじょびだいじょび」
「その余裕はどっから出てくんのよ…」
「…あ、そか。まだドイツ海路組には…ってか誰にも言ってへんかったな」
「また何かしでかしたのか?」
「ちゃうわ。まあなんや、色々上手いこと行ってんねん」
「なになにー?束さんも気になるなー」
ことある事に何かをしてきた男、時守。
「…まあそれは、いざという時のお楽しみということでー」
「むぅー!ヒントぐらいちょうだいよー!」
「せやなぁ…。強いて言うなら、目に見えるもんだけを信じるなってか?」
彼がまた、何かをしでかそうとしていた。
大学が春休みに突入したのでペース早めです!
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