IS 西の男性操縦者   作:チャリ丸

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エタってしまい申し訳ないです…。

原作を追い抜いたと思えば全くうまく描写が思い浮かばず…。意欲も湧かず…。

次話からはどちらももう少しマシになると思います!


ぶっちゃけ初詣に晴れ着を着ていく人はそんなにいない

「あけましておめでとーございまああぁぁあっす!!」

「ふぇ?」

「んぅ?」

「なに?」

「…ん?」

 

 昨日まで時守の誕生日が行われていた和室。

 現在の時刻、朝の7:00。

 持ってきていた私服に着替え終えた時守が、布団にくるまる彼女達を起こした。

 

「お正月やぞー!朝やぞー!」

「……すぅ」

「かーたーなー?」

「ん〜…。もうちょっと寝かせてほしいわ…」

「あかんあかん。今日は一年の始まりの日やからな。しゃんとせな」

「……やだ」

「おーきーろー!」

「んんんんんっ!やだーっ!」

 

 布団を引き剥がしにかかる時守と、それに抵抗する刀奈。

 見れば、簪とセシリア、シャルロットも布団に入り直していた。

 

「全く…。いつもより激しかったからっていつまでもゴロゴロしてたらあかんやろ!」

「…誰のせいでこうなったか分かって言ってるの?」

「寝たいって言ったのに…」

「剣さんのえっち…」

「僕たちは止めてたのに…」

「それはそれ。これはこれ」

 

 手振りで彼女たちに言い訳をする。

 しかし、起きてもらわなければならないのもまた事実。

 

「はよ起きひんかったらお年玉無しやって。二人とも」

「えっ」

「ほ、ほんと…?」

「うん。刀奈と簪のが、それぞれ虚さんとのほほんに行くって」

「お、起きなきゃ…」

「眠たいのに…」

「……で、では。わたくし達も…」

「うん、起きよっか」

 

 折角の正月の朝。

 ゆっくりしていたいという気持ちも分からなくはないが、こんな日こそ早起きをしなければならない。

 

「…剣くん。起こしてくれる?って、いたたたた!?簪ちゃん!?」

「あざといお姉ちゃんが悪い」

 

 布団から両手を突き出した刀奈の脇腹を抓る簪。

 

「あっ、じゃあ僕も起こしてほしい…って痛いよセシリア!」

「あざといことをするからですわ」

 

 全く同じことをするセシリアとシャルロット。

 そんな彼女達を見て、時守は笑った。

 

「はは。んじゃあ、皆起こしたろか?」

「それは嬉しいけど…何その動き」

「ん?さわ…起こすためやで?」

「今触るって言いかけたよね?」

「何のこっちゃ?」

 

 笑みを浮かべながら、彼女たちを起こそうとする時守。

 その両手は、すべての指がいやらしく動いていた。

 

「お年玉を虚ちゃんに取られたくないし、自分で起きるわ」

「わ、私も…」

「ではわたくしも」

「じゃあ僕も」

「あらら」

 

 そのまま素直に時守が起こすはずがないと察したのか、すんなりと起き始める彼女たち。

 布団に包まれたままの白い裸体からは、肩がはだけていた。

 

「はい、着替え。ここに置いとくわ」

 

 それだけ言って、時守は部屋を後にした。

 

 

 ◇

 

 

「お、起きてきたか。おはよう皆。そして、明けましておめでとう」

「明けましておめでとう、お父さん」

「ん、あけましておめでとう、お父さん。叔父さんも、おはようございます」

「ははは、おめでとう、簪ちゃん。セシリアちゃんとシャルロットちゃんも、座りなさい」

「あけましておめでとうございます、皆様」

「おめでとうございます。では、お言葉に甘えさせていただいて」

「もう二人とも、そんなに固くならなくていいのよ?」

「そうよ。刀奈たちの恋人の剣くんの恋人ってことは、私たちにとっては娘と同じですもの」

「んー…」

 

 刀奈と簪の両親、そして虚と本音の両親と自分の彼女たちの挨拶を見ながら、時守は唸っていた。

 あけおめいうだけでスゲェ長い、と。

 

「お腹減った」

「剣くんも男の子ねぇ〜。いいわよ、朝ごはんにしましょう」

「虚、本音を起こしてきてくれる?」

「うん」

 

 普段の敬語ではなく、実の母親に向けているからか、虚の言葉遣いが普通のものになっている。

 その光景にシャルロット、セシリア、時守が驚きながらも、やはり本音の面倒を見るのは虚の役目なのか、と内心哀れんだ。

 

「あぁそうだ。いつもの、用意しておいたよ。刀奈」

「ありがとうお父さん」

「いつもの?」

「えぇ。いつもは私と簪ちゃん、虚ちゃんと本音ちゃんの四人で初詣に行ってたの。その時に着る晴れ着のことよ」

「晴れ着…」

「素敵ですわ!」

「今回は、シャルロットちゃんとセシリアちゃんの分もあるわよ。ね、お父さん」

「あぁ」

 

 その言葉を聞き、彼女たち四人の晴れ着を想像していた時守に、予想外の言葉が飛んできた。

 

「剣くんはどうする?」

「ほぇ?」

「いや、一人だけ私服というのもアレだろう。それに君は、いろんな意味で目立つからね」

「余計目立つのもあかんってことですか?」

「剣くんは普段は晴れ着を着てなかったの?」

「私服で近くの神社にチャリで行ってた」

「…すんごい普通の中学生だったのね」

「このたまに見せる普通っぽさが、娘たちを虜にしたのかも…」

 

 刀奈母と虚母に何やら酷いことを言われている気がするが、今は気にしない。

 

「てか晴れ着って寒ないん?」

「中に色々着込むから大丈夫よ?」

「え、そうなんや。んー。どないしよかな…」

「何だったら、私たちのお古の着物になるが、一枚どうかな?」

「いやいや、それは悪いっすよ」

「貰っていいよ、剣。最近太ってきたお父さんたちが着た方がみっともないから」

「はぐぁ…」

「か、簪ちゃんからの言葉が刺さる…」

 

 何だかんだで着物を入手した時守であった。

 

「ん〜。みんなおはよぉ〜…」

「あ、本音も起きてきたわね。それじゃあ、朝ごはんにしましょっか」

「よっしゃ」

 

 その日食卓に並んだおせちに、数の子、くわい、里芋、八つ頭が多かったのは、また別の話。

 

 

 ◇ ◇

 

 

「なんかすごい見られてる気がする」

「そりゃ、剣くんですもの」

「うん。剣だからね」

「……うん、それ以外に理由はないかな」

「そうですわね」

「どういうことやねん」

「そういうことなのだ〜」

「残念ながら、皆さんの言う通りです」

 

 朝食を終え、彼女たち四人と虚、本音を加えた計七人で初詣に行くことになった時守。

 周囲にいるのが美少女だらけ、ということで視線を集めているのも間違いないが、その最大の理由は時守にあった。

 

「普段はIS学園にいるから実感がないと思うけど、世界に二人しかいない男性操縦者なのよ?」

「あ、そうか。普通に忘れとった」

「そんな人物が変装もせずに初詣に来るんだから、皆驚く」

「さらに、国家代表候補生の皆さんがいるのも起因していますね」

「ほぇ〜。ボディガードとか大丈夫なんかいな」

「ウチとシャルロットちゃんとセシリアちゃんのところの黒服がいるから大丈夫よ」

「むしろ怖い」

 

 先ほどから木の陰をこそこそと動くものを金ちゃんが捉えてんのはそのせいか、と内心ため息を吐く。

 彼らは今、賽銭箱の列に並んでいた。

 

「話ブッとぶけどさ、皆仏さんとか神様って信じてる?」

「…随分と、ロマンチックな話をするのですね」

「いや。俺らを引き合わせてくれたんはISやけど、もしいるんやったら多少褒めたろかなって」

「それは神仏を信じてる人の言葉じゃないね、剣」

「仏様にすごい上から…」

「さすが剣くんというかなんというか…」

 

 基本的に神という存在を信じていない時守。

 もしバチが当たったかのようなことが起きても、運が悪かったで済ませるのだ。

 

「お、そろそろか」

「お賽銭、いくらにするの?」

「5円」

「うん。なんて言うか、知ってた」

 

 ご縁(・・)がありますように、という意味を込められることが多いが、時守の場合はその理由とあまり大きな金額は嫌だというものだった。

 

「みんなは?」

「…500円?」

「ほな、みんな思い思いにしよか」

 

 そうしているうちに、時守達の番が回ってきた。

 それぞれが既に取り出していた小銭を投げる。

 

(―今年一年は、みんなが無事でいられますように)

 500円を投げた刀奈。

 

(―無病息災)

 500円を投げた簪。

 

(―これからもみんなが仲良くいられますように)

 500円を投げたシャルロット。

 

(―これ以上事件が起こりませんように)

 500円を投げたセシリア。

 

(―皆様が、良い成績を収められますように)

 500円を投げた虚。

 

(―みんながずぅ〜っと仲良くありますよ〜に〜)

 500円を投げた本音。

 

(――今年もよろしく。とにかくなんか願い叶えろ)

 5円を放り投げた時守。

 

 まさしく十人十色といえる願い方。

 若干一名宣言通り適当すぎる奴がいたが、それを彼女達が知る由はない。

 

「ねぇ剣。剣は、何をお願いしたの?」

「あ、知らんの?シャル。こういうのって内容を人に言ったらあかんらしいで」

「へぇ〜。そうなんだ。じゃあ僕も秘密にしとくね」

「そうしとき」

 

 全員が終えると、列の外へと捌ける。

 にこにこと微笑みながら隣にきたシャルロットとの短い会話を挟み、少し開けた所で合流した。

 

「さて、じゃあどうしましょうか」

「…初詣が終わったとなれば、やることはただ一つ」

 

 正月に相応しくない、と言ってもいいほどに真剣な声色になった時守。

 何があるのか、と全員が彼の方に向く。

 

「おみくじや!」

「……うん、そうね」

「ん、どしたカナ」

「急に剣からまともな言葉が出たから驚いてるんだと思う…」

「失礼な」

 

 とはいえ、この場で提案されたものに反対する人物もおらず、全員揃っておみくじ売り場へと行くことに。

 

「のほほん。ちゃんと虚さんの手握っときや」

「…けんけんは、わたしを何歳だと思ってるの〜?」

「3歳ぐらいやろ」

「…むぅ」

 

 と言いつつも、本音の右手はしっかりと虚の左手と繋がっている。

 時守の両手は簪とシャルロットの手と繋がっていた。

 

「…お姉ちゃん、最近じゃんけん弱くなった?」

「うーん…どうしてかしら」

「まあ、所詮はじゃんけんやしな。全戦全勝なんて普通はありえへんやろ」

「…あら?でも確か剣さん、学園祭の時は無敗だったはずでは…」

「アレは動体視力を使った裏ワザや」

「えぇ…」

 

 時守の右手の感触を左手で堪能していたシャルロットが呆れたような声をあげる。

 左にいる簪も、声こそ上げなかったが小さくため息をついていた。

 

「具体的に、どうやって?」

「出す手の指の動きを見んねん」

「……無理」

「いけるって」

 

 簪が小さくボヤいたのに軽く返しながら歩く。

 そんなこんなでどうでもいい話をしながら時間を潰していると、おみくじ売り場に着いた。

 

「さてと。ほんじゃ皆、健闘を祈る」

 

 全員がそれぞれバラバラの列に並び、おみくじを買う。

 

 紙を受け取ってもその場で見ることはなく、再び開けた所で合流し、全員で結果を見る。

 心なしか、シャルロットとセシリアの海外組がわくわくしているように見えた一同であった。

 

「せーのっ」

 

 彼の掛け声で、一斉に見る。

 

「あっ。大吉だわ」

「…私も」

「わたしは吉だぁ〜」

「…末吉…」

「中吉だよ!」

「わたくしも虚さんと同じく、末吉でしたわ」

「………凶ってマジで入ってんねんな」

 

 結果、刀奈と簪が大吉、シャルロットが中吉、本音が吉、虚とセシリアが末吉で、時守がまさかまさかの凶というものだった。

 

「願望、叶わぬものもあり。待人、来ず。失物、出がたし。旅行、危険を覚ゆれど後調う。商売、売るは良し。方向、北と東の間なら吉。争事、勝つ。転居、さわがぬ方がよし。出産、さわりなし。用心せよ。病気、思うより易し。縁談、調いがたし。…ほほぉ」

「それで分かるの?」

「大体やけどな」

 

 今日のメンバーの中でぶっちぎりに悪い運勢を引き当てながらも悲観しないのは、やはり神仏を信じていないからだろうか。

 

「言ってまえば、願い事は叶うけど叶わんもんもある。待ってる人は来おへん。失くしたものが出てきにくくて、旅に出たら危ないけど最終的には落ち着く、的な?」

「おぉ〜。……って危ないの!?」

「まあでもそんな旅行する機会なんて無いし」

「…国連訪問の時、は?」

「あ。……ま、まあ大丈夫やろ」

 

 何かしらのフラグが立ってしまったかもしれないと思うが、あのロジャーが危険への対策を怠っているとは思えなかった。

 というかそもそも、国連が危険になるということはそうそう無いだろう。

 

「あとは、商売は上手くいくし、方角は文字通り。勝負には勝って、みたいな感じやな」

「…それ、ホントに凶?」

「んー…。結果見る限りはあかんし、詳しくは分からんけどな…」

「言ってしまえば、ただのおみくじですしね」

「お、そっすね虚さん」

 

 基本的に神仏を信じていない時守は、おみくじもそれほど信じていない。

 それゆえに、初詣の時に引くのは、一種の運試し感覚となっていた。

 

「おみくじの後はお守りや」

「安産祈願、とかでしょ?」

「…うん。その通りやけど、なんでそれを選んだんや…」

 

 シャルロットの爆散発言に軽く動揺しながらも、今度はお守り売り場へと並ぶ一同。

 

「簪は何買うん?」

「…家内安全」

「やってのほほん」

「私はかんちゃんに変なことしてないよ〜」

「私もよ?」

「お嬢様、本音。嘘をついてはいけません」

 

 普段から更識家にて本音と刀奈で弄られている簪と虚は家内安全を、刀奈と本音はそれぞれ、健康祈願と学業成就を買った。

 

「わたくしたちは実家のことを思い」

「商売繁盛だよ」

「うまくいくに越したことはないしな。ええやん」

 

 財閥の当主と社長令嬢。

 この二人が繁盛、というか繁栄を祈願しないわけにはいかなかった。

 

「剣さんはどれにしましたの?」

「健康祈願やで。一応な」

「一応?」

「そ。2年になるし、なんかあるかもしれへんしな」

 

 IS学園には、年明けの短い三学期にもそれなりのイベントが控えている。

 それだけではなく、代表である時守にはIS学園外でも予定がつまってきているのだ。

 

「休めますようにって願い込めたった」

「あ、あはは…。切実な願いだね…」

「もっとゴロゴロしてたいねん」

「わかるよぉ〜けんけん〜」

「ちょっとでも長く休むと動くのめんどくさくなるよな」

 

 三学期が始まるということは、学校が始まるということ。

 せっかく冬休みの宿題を免除され、思う存分に訓練に明け暮れ、体を動かしてきた時守からしたら座学が苦痛に変わってきていた。

 

「まあ何はともあれ、今年もよろしくな」

「うんっ」

「こちらこそっ!」

 

 普段のイベント事とは打って変わって、特に荒れることなく、7人の初詣は静かに終わった。




次回は冬休み最終日を予定しています。

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