IS 西の男性操縦者   作:チャリ丸

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楯無と簪がヒロインの作品って大体このサブタイ名あるような気がするのは作者だけでしょうか。


姉妹

「いや。」

 

……えっ…。

【速報】二人目男性操縦者の時守剣くん、日本代表候補生更識簪さんに模擬戦を断られる。

…ニュースになりそう。てかかなりショック。

 

「せ、専用機の開発やったら手伝うから。な?」

「…1人でやる。」

 

…え?

 

「できんの?」

「…できる出来ないじゃない。…やるの。」

 

言葉だけ聞いたらスポコン精神丸出しやけど…うん、全然簪からそんな感じせぇへん。

 

「なんでそんなにこだわるん?」

「…あなたにいう必要は無い…ことも無いかな。あなたは織斑一夏とは違うし。」

 

おう?どういう区別の付け方や?…関東人と関西人?…いやちゃうな。

 

「…白式か?」

 

無言で小さく頷く。…なーるほーどねー。

 

「んならやっぱ手伝わせてくれ。」

「…なんで?」

 

くっ…こ、ここまで強固やとは思わんかったぞ。なんであの姉でこの妹やねん。正反対やんけ。

 

「…なんでって…」

 

…あれ?

 

「なんでやろ。」

「……ぷっ、ふふふ…」

 

お、おい?笑い方かなり怖いよ?簪さん。周りの人からジロジロ見られてるよ?

 

「…多分アレやな、代表候補生の力が知りたいねん。」

「…それなら打鉄かラファールでも…」

「やるなら簪も専用機の方がええやろ?」

「…それは…、うん。専用機を早く完成させたいっていうのも、ある。」

「せやったら―」

「でも嫌。…模擬戦はいいけど、専用機は…打鉄弐式だけは自分で作りたい。」

 

おおぅ!?まだアカンの!?…なんでなーんで?

 

「なんでそこまでこだわんの?」

「…あなたには関係ない話。」

 

俺には、ねぇ…ってことはのほほんには関係あるってか?そうなると。

 

「楯無か?」

「っ!」

 

急に顔がこわばった。ビンゴ。

 

「ま、これから一旦部屋戻ってから簪んとこ行くわ。詳しいことはそん時な。のほほんとおんなじ部屋やったっけ?」

「そーだよ〜。」

「んじゃまた後でな。」

 

 

 

 

 

 

「…本音、お姉ちゃんと、…彼、剣に何か言った?」

「何も言ってないよ、かんちゃん。」

 

本音はいつもとは違う話し方で簪に返す。本音がこの話し方をする時は、簪とご主人様とメイド、という関係ではなく幼なじみとして話す時である。

 

「かんちゃん、剣ちゃんなら大丈夫だよ。」

「…でも…」

 

それでも打鉄弐式だけは自分の手で完成させたい。なぜなら…

 

「お姉ちゃんは1人で完成させたし…」

「かんちゃん…」

 

完全無欠の姉、楯無が自身の専用機を1人で完成させたと思っているからである。そして…

 

「…負けたくないもん。」

「…でも剣ちゃんの話を聞いてみたいとも思ったんでしょ?」

「それは……うん。」

 

それはそうだ。なぜ一般人である彼が姉と自分が不仲なのを知っているのか、知りたいと思った。

 

「それに〜、楯無お嬢様とも仲直りしたいんでしょ〜?」

「………………うん。」

 

あの言葉を言われる前は大好きだった。2人で話し、遊ぶのが楽しかった。…それでも

 

「…でも、お姉ちゃんには負けたくない。」

「かんちゃんらしいねぇ〜。じゃあ剣ちゃん呼んで整備室へゴー!」

「…本音も…来るの?」

「もちのろ〜ん」

「……まあ…いいか、な?」

 

なんだかんだで幼なじみに甘い簪であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お、いたいた。…にしても整備室って暗いな。…僕ちゃん怖い。アカンキモいわ。自分で考えといてめっちゃキモなってきた。

 

「ちっすーのほほん、簪。」

「けんけんちっすー」

「…」

 

いや返せよ!!そこはちっすーって!『…ちっす』でもええからさ!

 

「……ちっす。」

 

返すんかいっ!!

 

「で?どこまで進んでんの?」

「…外装や武装は大丈夫なんだけど……って、その前に…なんで剣がお姉ちゃんのこと知ってるの。」

 

…話を反らせませんでしたちくせう。

 

「同居人や。」

「…あっ、そっか。…護衛か。」

 

こいつマジの天然か。

 

「…で、剣から見て……お姉ちゃんって、どんな、人?」

「どんな、どんなかぁ……」

 

…猫?アカン、怒られる。…乙女…って言ったら照れよるし…

 

「普通の女の子って感じか?」

「……真面目に答えて。」

 

割と真面目やってんけど…後は…あぁ。

 

「…可哀想、やな。」

「…どういうこと?」

「自分を、殺してる。俺は『楯無』が真名ちゃうこと知ってるし、あいつがどんなことしてるかも大体想像はつく。それにアイツ…お前のこと嫌ってないで?」

「…え?」

「いや嫌ってたら俺にどうやって仲直りしたらいいかとか聞いてこーへんやろ。」

 

あの時の表情ガチ過ぎて引きかけたからなぁ…

 

「…ほんとに?」

「おぅ。しかもお前のこと話す時めっちゃ楽しそうに話すしな。まあそれは…あっこにある本人から聞いたら?」

「え?」

「っ!?」

 

え…後ろの扉からガチで楯無出てきてんけど。半分冗談やってんけど。

 

「あ、楯無マジで居てんや。」

「勘で当てたの?…時々剣くんのそういうの、本当に勘なのかどうか怪しいんだけど。」

「勘やって。…ほら、楯無、こっちこっち。」

「…うん。」

 

 

 

 

 

 

「…」

「…」

「…」

「…いや、喋ろ?」

 

なんでのほほんもそんな真剣な顔してんねん。

 

 

 

 

 

 

「…か、簪ちゃん。」

「……」

 

先に切り出したのは姉であり…そして過去、簪を突き放してしまった楯無である。

 

「…ごめんなさい!」

「えっ…」

 

簪は目の前の光景が信じられなかった。完全無欠、完璧、そんな存在だと思っていた姉が、自分に対して深々と頭を下げたのだ。

 

「…こんなことを言ってもすぐに信じてもらえるとは思ってないわ。…でもね、私は簪ちゃんのこと、ずっと大好きよ。」

「…なら…なんで…!」

 

そんな今の姉にだからこそ聞きたかった。聞けるような気がした。…こんな自分でも。

 

「なんであんなこと言ったの!?…わ、私だって……私は…!」

「…」

 

楯無は黙って簪の言葉を聞く。

 

「…私は…無能なんかじゃ…ない!私にだって……出来ることぐらい……あるもん!」

「………うん。分かってた…いや、分かってるつもりだったのよ。…だからこそ…」

「……」

 

言葉を続ける楯無をじっと見つめる簪。それは睨んでいるようにも、続きの言葉を期待しているようにも見えた。

 

「…完璧であり続けようとした…か?」

「…剣くん…」

 

予想外の方向から声がしたため、2人共そちらを向く。そこには普段の様子とは違い、壁にもたれかかり、腕と足を組み、表情を真剣そのものにした時守がいた。

 

「お前見てたらそれぐらい分かるわ。…2人共、怖かってんやろ?」

「「っ!」」

「楯無は完璧が崩れるのが嫌、んでもって妹に暗部としてのを仕事に関わらせたくなかった。…で、簪はさらに楯無に突き放されるのが怖かった。…やろ?」

「…それは…」

「何となく分かんねん。…あのな、1つ言わせてもらうわ。」

 

真剣な表情のまま、時守は続ける。その隣に立つ本音も、どこか不安げな表情を浮かべている。

 

「アホ。」

「…は?」

「…え?」

「いくら姉妹でも言葉にせな伝わらんこともあるやろ。それにな、簪。…お前は楯無になる必要はないやろ。お前はお前や。楯無とおんなじ事で頑張らなアカン理由なんて1つも無い。んで楯無。もうちょい簪の立場に立って考えたれ。…お前ら2人共お互いのこと大切に思ってんねんやったらな、そんなしょうもないすれ違いで仲悪なったらあかんで?」

「「…」」

 

2人は俯いたまま言葉を出さない。

 

「ま、簪が思う程楯無も完璧ちゃうけどな。…初日にあんなことしたもんな。」

「ちょ、ちょっと剣く―」

「裸エプロンで出てきてアレやもんな。」

「い、言わないでって―」

「…お姉ちゃん?」

「他には…ドMやったりとか?」

「だからそれは違―」

「…お姉ちゃん…何してるの?」

「ち、違うのよ簪ちゃん!」

「後は簪の魅力をひたすら語ったりとかやな。」

「…もう…やめて…」

「…お姉ちゃん…嬉しいけど…ね?」

「ははは。ほら、すぐ仲直りぐらいできるやろ?」

 

その言葉で気がついた。いつの間にか以前のように話せていることに。

 

「ま、後は2人だけで話し?専用機は明日からや。…ほら、のほほん、行こ。」

「うん、じゃーねー、かんちゃん、お嬢様ー。」

 

そう言って2人は整備室を出た。

…不思議と、さっきよりかは気が楽だった。

 

「…剣くんの言う通り、簪ちゃんに暗部の仕事に関わってほしく無かったの。」

「…それって…」

「うん、簪ちゃんが心配だったから、大好きだからよ。…ダメな姉ね、私って…簪ちゃんに…あんなことをしないと…守ってあげられない…」

「…そんなこと…無いよ?」

「…えっ?」

 

先ほどまで黙っていた簪が口を開いた。

 

「…私も、何となく…分かってた。…楯無としてのお姉ちゃんと…刀奈としてのお姉ちゃん。…あの時の、言葉は…楯無の言葉だって。」

「簪ちゃん…」

「…お姉ちゃん、私も…謝りたい。今まで、ずっと意地になってた。…ごめんなさい。」

「で、でも…簪ちゃんを…」

「…お姉ちゃんのそういうとこ、悪い癖、だよ?」

「え?」

「…なんでも自分でしようとして…疲れてる…でしょ?…分かるよ?……妹だし…お姉ちゃんのこと、大好きだもん…」

「簪ちゃん…!」

 

大好き、という言葉を大好きな妹から貰い、顔がぱあっと明るくなる楯無。

 

「…ねえお姉ちゃん?」

「…なあに?簪ちゃん。」

 

自然と、完全に昔の2人へと戻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドMって……お姉ちゃん、剣にそういうことされて…嬉しいの?」

「ち、違うのよ!簪ちゃん!」




超ご都合主義…なのかな?
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