急展開だぜぇ?
―タッグトーナメント当日―
この二週間でやったことを言えと聞かれたら真っ先に『女子の身体をマッサージしたこと』としか答えられないぐらいマッサージをさせられた。その次にシャルとの訓練が来るぐらいに刺激的すぎた。何故かお尻もやらされた。やらされたのだ。柔らかかった。はい。ありがとうございました。
柔らかさ?…カナ、セシリー、シャル、簪の順番やった。まあシャルと簪はどっこいどっこいやったけど。
あれ?そういやなんでシャルにも俺マッサージしたんや?
…そんなことよりも、今はタッグトーナメントに集中せな。
「?どうしたの?剣」
「い、いや…何でもないで?」
癒される。…うん、ここら辺ではっきりさせておこう。
俺はカナ、簪、セシリー、シャルの四人が好きや。
何でか、と聞かれたら上手く答えられへんけど気づいたら『一緒にいてほしいと思う人』、から『ずっと一緒にいたい人』になっていた。四人と喋ったり、一緒にいるだけで楽しくて、嬉しくて、幸せな気分になる。…男が言うときっしょいなこれ。
もちろん俺は誰か一人に告白しようと思う。…まだ、自分の中では答えは出ていない。…でも、いつかは出したい。…そのためにも…
「…勝とな、シャル」
「うん!」
今は目の前の試合に集中しよう。
◆
「剣さん!」
「け、剣…!」
「やっほー、剣くん、デュノアちゃん」
「ん?おぉ…」
対戦相手が決まり、シャルと2人でピットで待っているとセシリーと簪と楯無が来てくれた。こうして応援に来てくれるのは嬉しい。…最も、今回はそれどころやなさそうやけど…
「どした?応援しに来てくれたんか?」
「そ、それもそうですが…あ、相手が…!」
「あぁ…せやな」
そう、対戦相手が問題なのだ。
「気を……付けてね?」
「…正直、ラウラちゃんの実力は1年の中でもトップよ」
「分かってる…やから勝ち進んで待っとけ、かん「そうじゃないの!」…ざし…?」
え?…俺と戦いたいから…とかそういうんじゃないの?
「剣くん?ここにいるのは皆ね、剣くんがこの前みたいなことにならないか心配なのよ?」
「…この前…、あぁ、あの無人機か」
「そう。…ねぇ剣くん?わたし達と約束して?もしまたあんなことがあっても、絶対、無事に帰ってくるって」
「…また大怪我したら許しませんわよ?…だからどうか…」
「…無茶…しないでね?」
「……何があったかは後で聞かせてもらうよ?剣。僕も知りたいし」
……ここまで想ってくれる彼女達に、直ぐに俺の心は決まった。だから、それを伝えるためにも…
「大丈夫や、絶対に戻ってくるから」
今は、戦おう。…ラウラ・ボーデヴィッヒと篠ノ之箒のペアと―
◇
「…っふん、まずは貴様か」
「いたたたた…シャルー、あいつになんか良いお薬持ってない?」
「…それで煽っているつもりなのだろうがどうでもいい。貴様を潰し、その後で織斑一夏を叩きのめすだけだ」
「まるで自分がワンサマと当たるまで負けへんみたいな言い方やな」
「当たり前だ。…この私がこんな奴らに負けるはずがないだろう」
「…へぇ…」
――油断大敵、火がボーボーってな。
「―では」
試合開始まで―5、4、3、2、1……開始!!
「消えろ」
ラウラが瞬時加速を使い、俺に突進してくるその刹那――
俺はシャルをランペイジテールに巻き付け、箒の元へと送った。
「何っ!?」
「これなら僕のエネルギーの節約になるからね。いきなりで悪いけど…やらせてもらうよ!!」
箒の元へとシャルが行ったことを確認し、ランペイジテールを解き、ラウラのプラズマ手刀をラグナロクモードのオールラウンドで受け止める。
「…っち」
「さあて………やろか?」
◇
「ふあー、凄いですねぇ。二週間ちょっとの訓練であんな信頼が築けるなんて」
観察室でモニターに映し出される戦闘映像を眺めながら真耶は感心したように呟く。
「…アレを連携と取るかどうか、だな。まあボーデヴィッヒのワイヤーブレードの使い方よりかはマシだな」
「で、ですよね…流石にあれはちょっと見逃せませんね」
剣・シャルルペア
剣の金獅子の武装であるランペイジテールを使い、シャルルを箒の間合いから強制脱出させ、シャルルはその間ラウラが攻撃をしないように銃で牽制をする。というのがこのペアの特徴だ。これによりシャルルは回避に意識を集中させる事無く攻撃を続けることができた。…もっとも、急にランペイジテールで引っ張られる時は多少驚くのだが。
ラウラ・箒ペアは対照的だった。ラウラが完全に2vs1を想定して戦い、もし自分の戦闘の邪魔をするものならペアである箒もをワイヤーブレードで弾き飛ばす。
箒も箒で、ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡを使いこなすシャルルに全くと言っていい程、ダメージを与えられていなかった。代表候補生にして高速切替を得意とするシャルルが攻撃に専念してくるのだ。もし仮に隙が出来たとしても、間合いに入った途端にシャルルが自身から離れていく。といった具合で、攻撃がかすりもしないのだ。
「…まああれだけやれば少しは武装の特徴ぐらいは分かるか」
「時守くん…ですか?そう言えば毎週末はお二人でどちらに?」
時守がここまでの急成長を見せたのには理由が幾つかある。その中で最も大きいのが…
「なに、ニューヨークの国連本部に行ってな、そこで軍隊の隊長やら国家代表やら過去の国家代表と模擬戦の嵐だ。イーリス・コーリング…聞いたことは?」
実力者との試合である。
「あ、あります…候補生時代に結構やられちゃったなぁ…」
「ほう…真耶が、か。…まあ今はそれは良い。そして、平日は私と更識姉によるISの模擬戦…これで逆に実力が付かない方がおかしいだろう…」
「よ、良く考えたらすごいですね…。?あれ?ISのエネルギーとか、あとアメリカにはどうやって?」
「エネルギーは時守がしっかりやっている。更識妹や黛に頼んだりしているらしい。…まあ、アメリカには、あれだ。許可を貰っているからISでな。」
えぇ〜っと、真耶は心の中でため息を付く。…しかし、真耶にはまだまだため息の元が増えそうである。
「…せ、先輩……アレは…?」
「ん?……なっ!あ、アレは…!!」
先程まで剣・シャルルペアvsラウラ・箒ペアの戦いを映し出していたモニターに映るラウラのIS、『シュヴァルツェア・レーゲン』の姿がドロドロと形を変えていた―