IS 西の男性操縦者   作:チャリ丸

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今回のお話はツッコミ不在となっております。
読者の方自身がツッコミを入れながらお読みください。


招かれざる客達

 

「ぬぐおおぉ…」

 

 

6500万円した新居である一戸建てに適当に家具家電を買い揃えた翌日、俺、時守剣は人生最大の死闘に挑んでいた。

 

 

「ま、まだ朝の8:30やぞ…、な、なんやねん…」

 

 

否、人生最大ではないかもしれない。というより確実に違う。

人生最大は俺の誕生日である大晦日から三賀日終わるまでの完徹。

ユニバ行って帰ってきてから誕生日パーティオールでして(大晦日)、初詣行ってゲーセンで遊んで屋台行って帰ってきてから部屋でオールで遊んで(正月1日目)、流石にここでちょい寝かけたけど皆に妨害されて結局寝れんとそのまま遊びたおして、友だちん家回ってお年玉貰って(正月2日目)、流石に勉強しよってなって勉強して寝た(正月3日目)。

中学三年の時のいい思い出や。まあ大晦日からの元旦オールは中学入ってからずっとしてるけど。

 

 

「朝の…アレが今当たったんか…?」

 

 

朝のアレ、というのはセシリーお手製のフィッシュ&チップスだ。俺、カナ、簪、シャルの地獄の特訓のおかげでなんとか常人が食える程まで昇華したポイズンクッキングだが、ごく稀に、何らかの毒性を持つことがあるのだ。

もちろん、セシリーの手作りなので残すなんてことはしない。

以前、『食べ物で何が好きなのか』と聞かれたので『好き嫌いはない。強いて言えば甘いものが好き』と答えたら、鈴が『雑食とか…ゴキブリかい!』とツッコんできたことがあった。

ムカついたのでとりあえず鈴のベッドにゴキブリのフィギュア(全長8cm)を10匹ぐらい入れておいた。ざまあみやがれ。

 

話がそれたな。

 

 

「…ま、まさか…マジで今くるとはな…しかも気絶せえへん程度の腹下す毒性……くそぅ……糞だけに…」

 

 

かれこれ本日4回目の個室トイレ。…今日だけは…今日だけはなんとしても外に出なければならないのに……!!

 

 

 

「よ、4人分のデートコースの下見に行かねばならんのに…!」

 

 

 

4人とも同じデートコースで良いんですか?

いいわけないやろ!

ちゃんと4人とも好きなもんとか嫌いなもんもあんねん!

まあ飯はおんなじとこ行こかなって思ってるけど…

 

 

 

 

 

 

 

「メニューとかどんなんあんのかな……@クルーズ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだな、私服で外出など…まあ1人なのは変わらんが…、確か…@クルーズ…か。…束のやつ、真面目に聞いてくれればいいのだが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ!くーちゃん!束さんは今からちーちゃんと会ってくるね!」

「?千冬様と…ですか?…一体何を?」

「んふふ〜、これはいくらくーちゃんでも言えないなー。な・に・せ!あのちーちゃんが『束にしか相談できないことだ』って言ってきたんだからね!あの時は一瞬心臓が止まったよ!比喩じゃなくてね!」

「…まあ束様なら止まった心臓を自分で動かせそうですね」

「そんなの余裕余裕!束さんの手にかかればボールペンで文字を書くのと同じぐらい簡単だよ!」

「そうですか…、…ところで、一体どこに行くのですか?」

「@クルーズっていうメイドカフェ?なのかな?ま、帰ってきたらメイドがどんな格好してたか教えてあげるね!」

「はい、楽しみにしています。では、いってらっしゃいませ」

「じゃーねー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「@クルーズ@クルーズ…お、ここか」

 

 

大型ショッピングモールのレゾナンスやその付近で下見、デート当日に渡すプレゼントを買った俺は、昼飯を食べるために@クルーズに行った。

 

 

「…メイドカフェ…か、シャルとか喜びそうやな。…簪は…どうなんやろ。カナとか目新しい、とか言ってくれるかな?…セシリーは日本にはこんな文化が…!とか…いや、それはラウラやな」

 

 

 

シャルとかメイド服見たら『ふわぁ…可愛いよぉ〜…』とか言いそう。

簪は…『……は、恥ずかしい…』ってなんでか知らんけど自分が着たときのこと考えそう。

カナは『私こういうとこ来たことないから結構楽しみなの!』とか無邪気に笑ってそう。

セシリーは『変わったメイド服ですわね』とか言いそう。

 

 

 

「まあとりあえず入るか」

 

 

 

 

カランコロン、

 

 

>イラッシャーセー

 

 

 

 

「久しぶりだな、束。元気にしてたか?」

「どうしたのちーちゃん。頭に変なウイルスでも打ち込まれたの?」

「…私がお前を気に掛けるのがそこまで不思議か。あと、私はお前ぐらいの実力者でない限り変な薬は打たれん」

「ふーん。じゃ、ちーちゃんが何を聞きたいのかも気になるし、ちゃちゃっと入っちゃおっか」

「そうだな」

 

 

千冬と束は『千冬からの相談』という名目でカフェ『@クルーズ』へと出向いていた。

 

 

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」

「2人だ」

「では……あー、申し訳ないのですが、ただいま込み合っておりまして…男性の方と相席…でもよろしいでしょうか?」

「ふむ…どうする?束」

「別にいーよー。ちーちゃんがいいならね」

「なに、絶対ここでなくてはならない話ではないんだ。少し早めの昼食とするか。…では、その相席の所へ…」

「ありがとうございます。…では、こちらです」

 

 

店員の案内で千冬と束は移動する。…そう――

 

 

 

「お客様、こちらの方と相席…してもらってもよろしいでしょうか?」

「お?いいっすよ、相席かー、初め…て……」

「…何をしている…時守…」

「おー!剣ちゃん、おっ久ー!」

「えっ…?あ、み、皆さまお知り合いのようで。では…」

 

 

 

2人目の男性操縦者のところへ――

 

 

 

 

 

 

「いやー、ちっふー先生にぶるんぶるん、こんなとこでどないしたんすか?」

 

 

まさかまさかの道中でラスボスと裏ボスにエンカウントや。

 

 

「それはこっちの台詞だ。なぜ1人でカフェにいるのだ」

「あ!束さん分かったよ!剣ちゃんぼっちなんでしょ?…なんなら束さんが――」

 

 

は?…ぼっち?

 

 

「いや、ただ嫁達とのデートコースの確認とプレゼント買っただけですよ?ここには昼飯食いに来る予定なんで、まあ下見です」

「よ…嫁…達…だとぅ!?」

 

 

ハッハッハ、ぶるんぶるんがビビっとるわ。

 

 

「なかなか女心というものを分かっているな、時守」

「いやそりゃ分かってなかったらこの年で婚約とか無理でしょうよ」

「…っ!そ、それで?それぞれ何を買ったんだ?」

 

 

?プレゼントの話かな?…そりゃあもちろん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひ・み・つ♡」

「ふんっ!!」

 

 

グワシッ!

 

 

瞬間!俺の視界は闇に包まれた!

否、それだけではない。どこか人肌のような温もりが……ッ!?

 

 

 

 

「ぎゃああああぁぁぁぁ!!」

「みぎゃあぁぁぁぁ……なんで束さんまでぇ!!」

 

 

…アイアンクローってこんなに力入るもんなん…?

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまあふざけるのはここまでだ。おい起きろ二人とも」

「ちっふー先生が眠らせたんやないっすか…いてて…」

「そうそうちーちゃん、話ってなんなの?ずっと気になってたんだけど。後剣ちゃん居てもしていい話なの?」

「あぁ。…むしろ時守がいたほうがいいかもしれんな」

「「え?」」

 

 

…最近俺とぶるんぶるんの息が合ってきたような気がする。まあこれで会ったん2回目やねんけどな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が結婚するためにはどうすればいいか、だ」

「無理や思います」

「ブロリーとかがいいんじゃない?相手としては」

 

 

妥当やな。

 

 

「まあ束は後で殴るとして、だ。…時守、お前そもそもどうやってあいつらと付き合ったんだ?」

「?ただ皆に好かれてるっていうのがなんとなく分かって、それで俺もあいつらが好きやからです。…4人の内誰か1人でも離れてほしくなかったんで…」

「ただちーちゃんの場合まず女子力とか云々の前に足りてないものがあるよね」

「せやな」

「…教えてくれ」

 

 

 

 

 

おぉぅ…あのちっふー先生が教えてくれ。…なんて…。まあ教えたりましょ!

 

 

「「愛嬌!」」

「うぐっ…!」

「釣り目とかー、ちーちゃん言い訳にするかもだけどー、ちゃんと女の子してたら『ギャップ』でいけるのにさー」

「そうっすよ。人バシンバシンしばきすぎっす。もうちょい控えめにしたらええんちゃいます?」

「…そうだな…女らしさで言えばまだ束の方があるしな…そうだ。…どうせ私は世界最強。どうあがいても男等近寄っても来てくれないのだ…」

 

 

す、すごい落ち込みようやな…

 

ここから話はズレにズレ…

 

 

 

「ちーちゃんって例えるならオベリスク〇巨神兵だよね」

「分かるわー」

「失礼だな。ブラ〇クマジシャンガールだ」

「「それはない」」

 

 

ズレ…

 

 

「プレモル派なんすか?俺はのどごし派なんすけど」

「待って。まず剣ちゃん、お酒飲んじゃダメだよね!?」

「え?」

「え?って何!?ちーちゃん!私がおかしいの!?」

「お前はいつもおかしいだろう」

「あ、そうだったね」

 

 

 

ズレ……

 

 

 

「で?誰が一番気持ちよかったんだ?おぉ?」

「…なんでこのタイミングで下ネタなんすか…」

「束さんも気になるなぁ〜…」

「…彼氏にアレコレしてもらったらええやないですか。話聞くよりその方がええと思いますよ」

「「死ね!!」」

「うぎゃあああああ!!」

 

 

 

たまに戻り…

 

 

 

「束さんは結婚とかする気ないよ。なんで束さんが凡人の子なんか産まなきゃいけないのさ」

「…その子どもが自分より天才で産まれてくるかも…とか考えへんの?」

「…っ!剣ちゃん……剣ちゃんやっぱり天才だよ!そうだよ!ちーちゃん!私より天才な子が産まれてくるかもしれないんだよ!」

「…お前よりも…か。…はぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、ありがとーございましたー」

「ありがとねー!ちーちゃーん!!」

「くっ…!相談に付き合ってくれたから奢る、と言った途端に…!」

 

 

ちっふー先生の奢り、という形で幕を下ろした。

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