IS 西の男性操縦者   作:チャリ丸

61 / 125
入試一段落着いたどー!!←!?

※この作品に出てくるのは関西人の一例です。全ての関西人がこんな感じとは限りません


関西人、襲来

 

 

 

 

 

「えーっと、ここ…みたいだな」

「うむ、合っているようだぞ嫁。ちゃんと表札に『時守』と書いてある」

「字面だけみたらやたらかっこいいわね」

「字面だけなら私や一夏、楯無さんたちも負けてないぞ?『篠ノ之』、『織斑』に『更識』だからな」

「あれ?…なんで『時守』の隣にスペースが空いてるんだろ?」

「…はっ!ま、まさか…!わたくし達が嫁いだ時用の…?」

「…無いとも…言い切れない」

「さ、皆、剣くん家の表札で騒ぐのはそれぐらいにして、そろそろインターホン押すわよ?」

 

 

時守、フォルテ、ダリルの3人を除いたIS学園専用機持ち8人は、都内某所の一軒家、時守の自宅の前にいた。

シャルロットやセシリア、更識姉妹でさえ1度も訪れたことの無かったその場所に、皆何かしらの興味を抱いていた。

その家のチャイムを、楯無は迷うことなく押した。そして―

 

 

『…ぁ゛ぃ』

 

 

聞こえてきたのは、明らかに眠そうな、そして不機嫌そうな時守の低い声だった。

 

 

『…新聞取ってませんよ…』

「剣くん、私よ、わ、た、し」

『……早すぎ。まだ9時やで』

「ダメ、だったかしら?」

『あかんことないけど…皆いんの?』

「えぇ、ちゃんと皆居るわよ?」

『…行くわ』

 

 

そう言われて待つこと数秒、家の中から半袖半ズボンのパジャマに身を包んだここの主が出てきた。

 

 

「…ねっむ…ってあっつ!!修造本気出しすぎやろ…おはよ皆」

「おはよう、剣くん。こんな時間まで寝てるなんて珍しいわね?夜更かししたの?」

「外出る予定無い時いつもこんぐらいやねん」

「あんた今すっごい顔になってるわよ?」

「…鈴以外上がって」

「うそうそうそ!ごめんってば!」

「…そういうのええからはよ入って」

「あ、うん。じゃ、おっ邪魔しまーす」

 

 

時守は寝癖がつきまくりの髪の毛を左手で弄り、寝ぼけていてまだ普段の半分も開いていない目を右手で擦りながら8人を家の中に案内し、リビングのソファに適当に座らせる。

 

 

「…何飲む?」

「と、とりあえず飲み物の前に、顔を洗ってきたらどうだ?」

「…うん」

 

 

箒にそう促され、洗面所に向かう時守だったが、まだ寝ぼけているようで、右へ左へ、まるで酔っているかのようにふらふらしていた。リビングに残された8人は何か起こらないか心配しつつ、滅多に見られない時守のその様子をじっくりと見ていた。

 

 

「剣って、家じゃあんなんなんだな」

「確かに意外だな。ふざけていることも多いがしっかりしている時はしっかりしているだけにな」

 

 

一夏と箒の言葉に、他のメンバーも頷く。ここにいる全員にそう思わせるほどに、普段の時守は寝起きの姿を頑なに見せない。

リビングで、全員が緊張した面持ちでドアの奥に消えた時守を待つこと数分、先程よりかはすっきりとした顔で、彼が現れた。

 

 

「あーすっきりした。ほんますっきりした」

「なにアンタ顔洗うついでにしっかりお花摘んでんのよ」

「は?目ヤニのこと言うてんけど…お前何と勘違いしてんの?」

「えっ、あ、あー。そういうこと…いや、何でもないわよ?」

「あっそう。…鈴、お久。ラウラとモッピーも。…後ついでにワンサマも」

「それ今?…ま、久しぶり。ニューヨーク以来ね」

「お久しぶりです師匠!」

「久しぶりだな」

「久しぶりだな剣!会いたかったぜ!!…ってあれ?俺ついでかよ!…って簪さんいつの間に剣の膝の上に!?」

 

 

ソファに座った時守の膝の上に、まるで瞬間移動したかのように、簪が座っていた。簪のうなじに顔面を突っ込んではすはすしたい衝動をなんとか抑え、時守は鈴、ラウラ、箒、一夏、という未来の嫁メンバーではない、いつものメンバーにとりあえず適当に軽く挨拶した。

 

 

「こうしないと…剣寝ちゃうから」

「…I'm hungry」

「剣くんまだ朝ごはん食べてなかったの?」

「…うん」

「何食べる?」

「…ドーナツと、野菜ジュース…あとプリン。キッチンにある」

「可愛いなおい」

 

 

朝のメニューを聞いた刀奈とシャルロットが台所に向かう。時守家のキッチンや冷蔵庫の中はやたら綺麗で、整理整頓もしっかりとされており、初めて入った2人でも簡単に目的のものが見つけられた。

一夏のツッコミを軽くスルーし、時守は簪を抱きしめながら右に左に揺れる。

 

 

「…朝からがっつり食えるヤツの胃の中意味わからんわ…。身体休めてたすぐあとにガツガツ食えるとかただのデブやんけ…」

「お、俺や千冬姉は痩せてるぞ!?」

「……頭も筋肉やからエネルギーようけ使うねん。省エネしろ省エネ」

「ひでぇ!省エネはしてるぞ!!」

「きょ、教官の脳は筋肉で出来ているのか!?…も、もしや骨も…?そ、そうなれば…教官は…教官は本当に人間なのか!?」

「とりあえず落ち着きなさい、ラウラ。後一夏、脳筋ってこと否定しないのね。…にしても剣、アンタが結構朝弱いって意外だったわ」

「今日だけな。…朝からテンション上げてたらあいつらに付き合いきれへんねん」

「あいつらって…剣の中学の時の友達?あ、はいこれ」

「剣くんの友達…ちょっと所じゃないレベルで気になるわね。はい。私も」

「あんがと、シャル、カナ。とりあえずテーブルに置いといて。…気になる言うても、普通……とは言いきれへんけどそこら辺にいるようなやつやで?」

 

 

シャルロットと刀奈の2人にドーナツと野菜ジュース、プリンをテーブルに置いてもらい、その中からドーナツを手に取り、齧る。飲み込む。齧る。飲み込む。簪に一口上げて、…強引に口の中に入れて…野菜ジュースで押し込む。

 

 

「ごっちゃんした……片付けて歯ぁ磨いてくる」

「うん、じゃ、簪ちゃん。…ね?」

「…むぅ」

 

 

渋々、と言った表情を隠すこと無く頬を膨らませ、簪は時守の膝の上から降りた。

 

 

食器を洗い、もう一度洗面所へと向かい、歯を磨き終え、自室でとある物を取り、リビングに戻った時守の目に飛び込んできたのは―

 

 

「見なさいよセシリア!このソファふっかふかよ!!」

「剣さんには申し訳ありませんが…実家のソファの方が…」

「僕の家も、この前帰った時に見たらずいぶんと高い物に変わってたし…」

「これぐらいなら家にいくらでもあるわよね?簪ちゃん」

「うん…。でも、基本和室だし…使い道、無いかな?」

「何なのよこいつら全員金持ちか!!…金…持ちか…。うっ、ぐすっ…神は…非情ね…」

 

 

ソファに仰向けになり、ぼふんぼふんと跳ねていた鈴の身体が止まり、ソファに沈み込んでで涙を流す姿だった。

 

 

「…何しとんねんお前」

「え?いや、ソファあってマンションとかじゃないならこれしたいじゃない?」

「…分からんでもないけどな。ってかぶっちゃけその辺に売ってるからな?」

「ほんと?」

「ただ新品ってだけや。そんなんとセシリー達のソファ比べたあらんで。…っとせやせや。多分見たいとか言う思たからアルバム持ってきたで―ってもう来たか」

 

 

テーブルにアルバムを置こうとした瞬間、時守のズボンのポケットにある携帯から、凄まじいほどのバイブ音と通知音が鳴り響く。

 

 

「ごめんやけどもう一回だけ待っといて。あいつら迎えに行ってくるわ」

 

 

そして遂に、関西と関東(世界各国)が一堂に会する。

 

 

 

 

「お待たー」

「ひっろ!リビングひっろ!イオンのフードコート…よりはちっこいな。…誰?」

「剣ちゃん、無駄に金掛けすぎや思うで。こんなとこに金かけるんやったら投資とか不動産とかして金稼げばいいのに……誰?」

「んっはぁ!!さっすが剣ちゃん相変わらずええケツしとんなぁ!まあでも今の俺のブームはドMガチホモ×ドS巨乳フタ〇リやからそこまで興奮せえへんけどな?でもまあ剣ちゃんには別の意味で興奮する……って誰やねんこいつら」

 

 

率直に言おう。

時守に連れられ、一夏たちリビング待機組の前に現れたのはとんでもないキャラをした3人だった。

まず1人目、人の家のリビングの広さを何故かショッピングモールのフードコートの広さと比較した男。

2人目、眼鏡を掛け、やたらデカい端末を左手に持ち、家に入ってすぐ時守家の無駄を探し始めた男。

そして3人目、時守の尻をひたすら凝視し、何故か自分の今の性癖のブームを語りだした男。

『世界最強』織斑千冬を日頃から見慣れており、かつ刀奈以外のメンバーに至っては『大天災』篠ノ之束と直に合っているのだが、その2人と比べても全く劣らない強烈すぎるキャラであった。

 

 

「どした?座んで?」

「お、おう…」

「ほ、ほら簪ちゃん。詰めて詰めて」

「う、うん…」

 

 

そんなメンバーを当たり前のように率いるこの男はどこかイカれているのだろうか、何事も無かったかのように一夏達にそう問いかけた。一夏達IS学園メンバーは文字通り困惑していた。寧ろ―

 

 

「んじゃ揃ったところで」

「合コンか!?」

「ちゃうわぶっ殺すぞ」

「んなら生き返って剣ちゃんに一生憑いたるからな!…はっ!?そ、それって剣ちゃんとずっと一緒ってことやん…。つまりは俺にそんなことしてほしかったってことか剣ちゃんこのツンデレめー!」

「剣ちゃんはそんな非効率なことせへえんと思う」

「とりあえず健君土に還ろか」

「嫌や。土に還る前に冬のおこたにもう一回潜りたい」

『…』

 

 

困惑しすぎて誰一人として会話についていけないまでもある。

 

 

「…話進まんから健君黙っといて」

「うぇ!…あ、これ了解って意味って覚えてるよな?剣ちゃん」

「百回も言わされたからな。…さてと、そろそろ紹介するか」

 

 

リビングに置いているテーブルを挟み、対面して座る両陣営を、その共通の友人である時守が紹介する。

 

 

「…まずIS学園やな。俺らの敵、侍、ツインテ、軍人、嫁嫁嫁嫁」

「紹介雑過ぎんだろ!ってか剣の敵って何だよ!」

「今ツッコんだのがワンサマな」

「侍…私か?」

「モッピー以外に誰がおんねん。あ、モッピーこと篠ノ之箒な」

「ツインテって…あたし?他に言うこと無いの?」

「他の特徴言うたらキレるやん。…で、今のが凰鈴音な」

「師匠!軍人ではなく弟子とお呼びください!」

「…多分俺の弟子のラウラ・ボーデヴィッヒ」

「誰が第一后なのか気になりますわ!」

「もうセシリアったら…剣はそういうの考えてないって知ってるでしょ?」

「シャルロットの言う通り。…剣は、皆平等に扱ってくれる」

「ツッコミやボケも男女平等よね」

「で、この子たちが俺の癒し、セシリア・オルコット、シャルロット・デュノア、更識簪、更識楯無。…以上!質問ないな!よし!」

「はーい!剣ちゃん!あーりまーす!質問あるよー!!」

 

 

時守の紹介に、一人の男が手を上げた。

 

 

「まず!」

「なんや」

「ワンサマとかキラキラネーム過ぎるやろ!」

「本名じゃねぇよ!思いっきり日本人の顔して名前ワンサマとか死にたくなるわ!剣もちゃんと紹介しろよ!織斑一夏ってちゃんと!」

「一夏て…充分キラキラネームやわ…うわぁ…流石東京…」

「東京関係無くね!?」

 

 

一通りのやり取りを終え、思わず立ち上がっていた一夏は肩を上下させる。その際ふと『ツッコミはセンスありやな』や『もう関西に染めかけてるとか流石剣ちゃん』と言ったやたらと採点めいた言葉が聞こえてきたが敢えて無視した。…ツッコめるほどの元気がもう無くなったのだ。

 

 

「何汗かいとんねんワンサマ。次こっち紹介するからな。まずこのパッとせんのが小西亮哉(こにしりょうや)君。一応陸上部でもあり、一応俺らの代の中学の学力No.4。さっきイオンとか言うてた子な」

「一応は余計やで、剣ちゃん。後パッとせんてどこが?…顔やんなぁ…」

「小西君全部が全部一応やん。…んで、この眼鏡かけてて頭良さそうやけど隣のアホに総合で負けてんのが馬場雄星(ばばゆうせい)、通称馬場ちん」

「剣ちゃん、失礼やで」

「そうか?で、最後に変態でアホで頭良くてイケメンできっしょいこいつが神藤健(しんどうたける)

「特技はいろんな性癖を見つけることでーっす☆」

「で、最後に俺を入れたのが中学の生徒会」

「学校崩壊する未来しか見えねぇよ!生徒皆がっこうぐらしならぬその日暮らしだよ!」

 

 

思わず復活し、ツッコんだ一夏を責める者は誰もいなかった。寧ろ、一夏のそれを評価する者までいた。…何故か。それはボケられたらツッコむ、という一連の流れを一夏が自然にしていたからである。

 

 

「なんで崩壊すんねん。俺生徒会長で健君副会長、馬場ちん庶務で小西君が会計で上手いこといってたで?」

「馬場君が会計じゃねぇのかよ!どう見てもこの中で一番賢そうだろうが!」

「外見で選ぶなや。俺らん中でもワンサマパッと見強そうやけど鈴達にも負けてるんやろ?そゆことや」

『あぁーなるほど』

「…納得された…箒にも鈴にもラウラにも納得された…」

「…はっ!ち、違う!そんなことをしている場合ではない!!」

 

 

一夏がいじけたその隣で、箒がはっと気づく。その表情はいつものようにキリッとはしておらず、一夏や学園での友人以外の大切な何かを確認したいという、不安や恐怖などといったマイナスな感情を含んでいた。

 

 

「そ、その…だな。神藤健、剣道をやっていたり…は?」

「うぇ?…あー、してるで。うんしてるしてる。こないだもインハイ優勝させてもろたし」

「やっぱりかあぁぁ!!!」

「うわっ!ちょっ、箒!?アンタどうしたのよいきなり!」

「…箒?…篠ノ之…箒…っ!ってあの中3の時女子で優勝しとったやつや!」

「ぁぁぁ…」

「ど、どうしたんだ?箒…」

 

 

急に目尻に涙を貯め、俯き、声を絞り出し、何かに絶望する箒に、IS学園メンバーは一斉に彼女の方に視線を集める。

 

 

「…私の…代は、だな。言っちゃ悪いが私以外に強い剣士は全国でもほとんどいなかったんだ。…だからという訳でもないが、ふと『男子はどうなのだろうか?』と思ってな。試合を見てみるとだな、圧倒的な強さを誇って中学1年で全国優勝した奴がいたんだ。…正直、感動したんだ。そいつの試合に。見れば容姿端麗、聞けば文武両道、インタビュー等の受け答えは紳士的、そんな奴に付いた名前が『神童』。…そ…んな、そんな奴が…」

 

 

自らが今絶望している元になるであろう話を、箒は一言一言、しっかりと紡いだ。そして、顔を上げ―

 

 

「こんな変態だとは思わなかった!!」

「いやぁそう褒められても…」

「何をどう聞けば褒められたと勘違いできるんだ!?」

 

 

怒った。唯一憧れたと言ってもいい、同世代の剣士。そんな奴がこんな奴だったのだから当然と言えば当然だろう。

 

 

「そんなん俺に求められても困るわ」

「うぐっ…な、なら1つだけ聞かせてくれ。剣を握っている時のお前と、今のお前、どっちが本当の神藤健だ?」

「今。ってか基本そんな使い分けとかあんま無いで?試合中も『今日の晩ご飯肉じゃがかなー?シチューかなー?キムチ鍋やったらええなー』とか考えてるし」

 

 

中学高校、共に学校1を誇る変態である健だったが、流石に箒の試合を見て『すっげ!初めて全国来たけどあの篠ノ之箒って娘おっぱいめっちゃぷるんぷるんしてるやん!いや…ぶるんぶるんやな…挟んだら気持ち良さそうやわ…やっべ!うわっ、他の子もえっぐいわ…。女子の乳揺れもっと見たいわ…え?東…京?…んなら全国までまた行けばええんやろ!ビバ乳揺れ!!』という一心で全国まで上り詰めた事は口にしなかった。今思い出したことだが、それを口にしてしまえば何かが終わる気がしたからである。

 

 

「…肉じゃが…シチュー…キムチ鍋…は、はは…ははは…」

「ハハッ!僕ミッキ〇!」

「剣、ボケやめさせるとかできないのか?箒が放心しかけてるんだけど…」

「無理やな。俺の友達やで?」

「そう…だよなぁ。さっきから簪さんとシャルロットとセシリアと楯無さんに触れてなかったけど…何してるんだ?」

「見て分からん?俺の匂い嗅いでるらしいわ。簪は寝てるけど」

「あっ…そう。…はぁ」

「む?先程からどうしたのだ?嫁よ」

「剣ちゃんトイレ行ってくるわー」

「…まともなのがアタシと一夏しか生き残ってない…」

 

 

鈴の言う通り、そこにはまともな人間がほとんどいなかった。セシリア、シャルロット、簪、刀奈の四人は会話の隙を見て時守とイチャイチャちゅっちゅ。ラウラは関西sideに影響され先程から六甲颪の歌詞を覚えさせられている。箒は一夏の言ったとおり放心状態で、関西組はトイレに言ったりラウラに色々教えたりしている。…一夏と鈴以外、最早まとまってすらいなかった。…が、

 

 

「腹減ったな」

「せやな」

 

 

気付けば12時を越えており、時守と健の声で全員がまとまった。食は万里を超えるのだ。

 

 

「あー、じゃあ俺も手伝うよ。この前俺ん家に皆来た時は作ってもらったし」

「おけおけー。んじゃワンサマ手伝ってー」

「了解」

「おっしゃー。ひっさしぶりに本気出すかー」

 

 

 

 

「あー美味しかった。マジでお店レベルやろ剣ちゃんの料理」

「お店の跡取りになる予定やったからな」

「いや…ここまで美味しい炒飯食べたこと無いわよ…。アンタどうなってんの?」

「どうもなってへんわ」

 

 

時守の炒飯はなかなか好評だった。それこそ、中華にはそれなりの自信を持っている鈴が完敗だと思う程には。

 

 

「なあ剣ちゃん」

「ん?」

 

 

食後、皆がリビングでだらけていると、健が真剣なのかふざけているのか分からないような表情で言葉を発した。

 

 

「…なんか良いことあった?」

「…あ?…ふっ、はははっ!あぁ、あったあった。ええこと尽くしや」

「ははっ!そうかそうか…良かったやん」

「あぁ、ほんまにな。…ようやくや」

 

 

その健と時守の会話に、IS学園メンバーは首を傾げ、残った関西メンバーの2人は笑っている時守と健を見て微笑んでいる。

 

 

「…ようやく…本気になれるもん見つけれたわ」

 

 

瞬間、時守以外のIS学園メンバーを自らの何かを支配されるような感覚が襲った。

時守の表情に。

時守の言葉に。

そして時守の雰囲気に、一瞬にして呑まれたのだ。

 

 

「ずっと探してたもんなー剣ちゃん」

「あぁ。…今までやってきたもん全部がおもんないって言ってるわけちゃうけど、ここまで俺に合ってるもんも珍しいわ。これやったら誰にも負けたない。そう思えるからな」

「なーるへそ。ようやく剣ちゃんの才能の道が決まったっちゅうことか」

「俺にもし才能があったらそうなるなー」

 

 

先程とは一転し、軽く「がっはっはー」と笑う彼に釣られ、次第にリビングが再び騒がしくなる。

 

そしてこの騒がしさは、一夏達が帰る時までずっと続いた。

 

 

 

 

 

「山田くん。時守をどう思う?」

「ふぇっ!?そ、それって男性として…という意味ですか?」

「はぁ…、違う。1人のIS操縦者としてだ」

「あっ…あぁーそうですかー。操縦者、として…。うーん、難しいですねぇ、私よりかは上に行くと思いますけど…」

「あまり自分を卑下しすぎるなよ、真耶。…そう、か。真耶よりは上か…」

「?どうしました?」

 

 

IS学園職員室、そこに真耶と千冬は居た。残った仕事を社畜の如く働き、片付け、午後7:00には全ての仕事を終えていた。

インスタントコーヒーの入ったカップを片手にくつろぐ彼女達の話題は自分達のクラスの生徒、時守剣についてだった。

 

 

「いや、時守の強さが周りに具体的にどれほど伝わっているのかと気になってな」

「時守君の強さ…。あんまり、皆知らないと思いますよ?…ほら、上からの指示で模擬戦の制限があったりしたせいで」

「やはり…か」

 

 

最後の言葉を千冬に聞こえる程度に小さくした声で伝えてくる真耶に同意する。

 

 

「…二学期が楽しみだな」

「確か、時守君の模擬戦も解禁されるんですよね?」

「あぁ、あいつは自分のスタイルを確立したしな。もう変な癖が付くことも無いだろう。…くくっ、一夏や凰の驚く顔が目に浮かぶ」

「…へ?」

「…山田君、君にだけネタバレというか、先に言っておこう」

 

 

千冬の言葉に首を傾げる真耶に、千冬はさらに言葉を繋げる。

 

 

「あいつはまさしく天才だ。ISだけなら、数年後には私をも軽く上回るだろうな」

「……えぇ!?本当ですか!?」

「あぁ。ま、あいつにあって私に無いもの…と言えば分かるか?」

「…恋人?」

「コミュニケーション能力だ。……呑み奢れ。死にたくなければな」

「アッはい。…で、どうしてコミュニケーション能力でそれほど変わるんですか?」

「ISのコアには自我がある。…ということはだ。好みもあるんだ。まあコアに『この操縦者は嫌だ』と思われるようなことがあればそこで成長は止まる。…が、逆は?」

「無限の成長もありえる…ということですね。確かに時守君なら…ISコアと仲良くなって六甲颪とか覚えさせそうですねぇ…」

「…もう覚えさせていた。一軍の応援歌もな。もしかしたらあの束でさえ驚くようなことをしでかすかもしれんぞ?」

「…やりそうですねぇ…」

「しないと断言できないのが怖いな。…さて、そろそろ行くか」

「……はい。あ、そう言えば先輩」

「ん?」

「コミュニケーション能力無いの自覚してたんですね」

「…言うな」

 

 

 

そうして各々の夏休みは、終わりへと向かう。




落第騎士の英雄譚おもしれぇっす。…え?読む前にこれの更新あくしろよ?すんません!許してください!

これについて来そうな感想の返信をあらかじめしておきます。

1.ん?今なんでもするって?
A.(言って)ないです。

2.R-18あくしろよ!
A.…オリジナルルート入ってもいいなら早く出来ますが…

3.千冬さんはヒロインにならないんですか?
A.リアルがちで迷ってます。

3.についてはアンケートを取らせてもらっています。期限は12/13(日)の12:00までです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。