IS 西の男性操縦者   作:チャリ丸

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ちょっと短いですが閑話。妥協しちゃいました。許してちょんまげ。


閑話 〜第一次世界○○大戦〜

 

「――だから、ここはこうなる訳だ。…織斑、先ほどから頭を抱えているが…復習しておけよ?」

「はいぃ…」

 

とある平日の5限。昼食後にいきなり千冬が受け持つ授業がある1年1組では、いつも通りの雰囲気で授業が進んでいた。

 

「あと…10分といったところか。では最後に、この作品を…時守。簡単にまとめてみろ」

「うぃーっす」

 

千冬に指名され、席を立つ時守。

現在の授業、現代文で扱っている小説の内容も終わりに近づき、授業自体もまとめに入ってきている。

授業が終わりに差し掛かり、最後のまとめになぜコイツを指名したのか、という声が彼の地元の知り合いから上がりそうだが、そんなことは千冬が知る由もない。

 

「『門の変なとこに変なババアいたわず。やべ、何とかして着物剥いで逃げたけどキモいからどっかいこーっと』で、どすか?」

「……お前は…芥川を馬鹿にしてるのか?」

「いやいやいや、してるわけないですやん。簡単に、って言われたから簡単にしたんすよ!」

「そう、か。ところで時守、前から気になっていたんだが…」

「はい?」

 

IS操縦に収まらず、世界有数のレベルの高さを誇るIS学園で、学力までも学年トップクラスをキープし続ける時守があっさりと答え終えたことにより、授業の終了時間までにかなりの時間が残ってしまった。

こういう時に教師のとる行動は主に3つ。

 

一、授業を延長して次の範囲に進む。

二、雑談の時間にする。

三、『早いけどここまでにしておきます』と職員室に戻る。

 

自身も元IS操縦者であり、勉学との両立が精神的にかなりの負担をかけることを知っている千冬は、極力『一』を選ばない。かといって、『三』にしてしまえば、騒がしくなり隣の2組に迷惑をかけてしまうかもしれない。

よって千冬はこのような場合は大半、『二』を選ぶのだ。

 

「お前のそれは本当に敬語…なのか?」

「は?いや、そうに決まってますやん」

「…試しに、今のを標準語で言ってみろ」

「えぇ…?…まぁいいですけど」

 

どう変換するのか、それを思案する時守に、彼以上に集中した視線をこの教室にいるほとんどの者が向ける。

 

関西人に標準語を喋らせるとどうなるのか。

 

この議題で、時守以外の生徒や教師間は度々盛り上がっていた。文面にするのには何も不自由は無い。だが、実際口にしてみるとどうなるのか。至極どうでもいいことだが、気になって仕方無かったのだ。

 

「えっと…」

「…どう、した?」

「いや、いけました。いきますよ?」

「あぁ」

 

すぅ、と息を吸いこみ。

 

 

「そうに決まってるやん」

 

 

ただの関西弁を発した。

 

「…それは関西弁だ、馬鹿者。ただ敬語が抜けて悪化しているだけではないか」

「え、ほんまっすか?いやー、標準語なんて使う機会無いんで…」

「大有りだろうが!」

「ちょい待ってくださいちっふー先生。それには俺にも異議があります」

「何…?」

 

くだらない議題に似つかわしくない世界最強と国連代表の真剣な面持ちに、いつの間にかクラス全員も会話に集中する。

 

「なんで関西人が標準語使わんとあかんねん、ってことっす」

「まあ、一理あるが…如何せん分かりにくいのでな」

「どこが分かりにくいんすか!めっちゃ分かりやすいですやん!」

「いや、お前…。それ本気で言ってるのか?」

「もち!」

「では、『この本はとても面白いから、1度読んでみた方がいい』という文を関西弁で言ってみろ」

「これやばいで」

「分かるわけ無いだろうがそんな言い方で!」

 

ここでついに千冬の怒りが爆発した。彼自身、決して語彙力が低い訳ではないのだが、会話となると全く違ってくるのだ。

 

「だって、会話ってことは本見せてるんでしょ?一々そんな長く言うんめんどくさいですやん」

「…まあ、これはまだいい。酷いのは道案内だ」

「俺以上に分かりやすい道案内とかありませんやん」

「逆だ馬鹿者」

「悪い、俺も織斑先生に賛成だ、剣」

「私もだ」

「すまない師匠。…私も、だ」

「あ、あはは…僕も、かな?」

「すいませんが…わたくしも…」

「なん…やと…?」

 

予想外の方向からのダメージに、思わず狼狽える。あのラウラはまだしも、箒や一夏、挙句、セシリアやシャルロットにまで通じていなかったとは思わなかったのだ。

 

「嘘やろ…?あんな懇切丁寧な道案内ないやろ…」

「じゃ、じゃあ剣。試しに『そこを右に曲がってください』って言ってみろよ」

「あっこを、こう」

「言葉だけ聞いて分かるわけないだろ…」

「これは…ひどいな…」

 

一夏と千冬、姉弟揃ってため息をつかれた。

 

「え、嘘。じゃあ『なんきんの炊いたん』とかも通じひんの?」

「南京のタイタン?なんだそいつ」

「人ちゃうわ!食べもんや!」

「関西人タイタン食うのかよ…。ってかタイタンって実在するのか?」

「どの家庭にも出てくるやろ」

「関西怖ぇ!!どの家庭もダンジョンかよ!」

 

通じない、理解できない、そもそも知らない。様々な要因が絡み合い、その結果。

 

「フランス語の発音の方がしにくいのだ!シャルロット!」

「酷いよラウラ…。日本ではドイツ語がちょっとオシャレみたいな扱い受けてるからって…」

「そうですわ!だいたい、日本で長く使われているのは英語!イギリス発祥の英語なのですわよ!」

「ふんっ、変に訛っているイギリス英語と比べるな」

「なんですって!?」

 

第一次世界言語戦争が始まった。

 

「英語の方がいいですわ!日常で使う単語も、文法も楽なのですわよ!」

「関西弁ぐう聖」

「うーん、フランス語ってそんなに発音しにくいかなぁ…」

「関西弁ええで」

「シャルロットが先ほど言っていただろう!今の日本ではドイツ語の方がカッコいいのだ!はいろんぱ!」

「論破になってませんわ!!」

「ここは日本だ。それに校則にも原則日本語とあるだろうが馬鹿者共。…ん?」

 

大きくなった騒ぎを収めようとした千冬が、とあることに気づいた。

 

「どないしたんすか?ちっふー先生」

「いや、関西弁も日本語だと思ってな」

「当たり前やないっすか」

「何を私は意固地になってお前に標準語を使わせようと思っていたのか、と気づいたのだ…」

「十年以上関西弁しか喋ってこーへんかったのにいきなりやれ言われても無理っすよ」

「それもそうか」

 

こうしてこれからも、時守剣は関西弁を使い続けるのだった――。

 

 

 

 

 

「なあ真耶、知ってるか?」

「はい?」

「モテたいがために似非関西弁を使うとな、関西人に殺されるらしいぞ」

「えぇ!?本当ですか!?」

「あぁ。時守から聞いた。イントネーションが違う、関西弁喋る私かわいいと思ってるぶりっ子、関西人馬鹿にしてんのかボケ、等と思われるらしいぞ」

「…この前の合コン、酔って使っちゃいました…」

「…ちなみに、関西の人は?」

「いました…。2人…」

「…今日は、呑むか」

「……はい」

「ま、いざとなったら誰か貰ってくれるさ」

「そう…、ですかね」

「…あぁ。き、きっと。多分、な」

「……私、決めました」

「ん?何をだ?」

「ふっふっふー。…ナイショ、です」

「…なるほど、時守が苛立つ理由が何となく分かった気がする」

「何でですかぁ!?」




東北の方の方言とか難しいですよねぇ…。

一節によると日本の地方の方言などが世界で一番難しい言語だとか。ひえぇ…。
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