イズル何してくれとんねん!(11巻中盤読みながら)
イズルゥ!色々とパクんなァ!(11巻終盤を読みながら)
…プロット1からやり直しやんけ…。(11巻読了)
そんなこんながある、インフィニット・ストラトス11巻。好評配信中!(ダイマ)
乙女達の闘い、開幕
「はい、あーん」
「あーん」
「あーん」
「あーん」
「…あ、あーん」
「…何アレ」
「まるで餌付けだな」
件の襲撃事件。
噂が歪曲しすぎたせいで、生徒に伝わっている名前が『アメリカ産5分カップラーメン襲撃事件』というとんでもないモノに変わってしまった出来事の翌日。
専用機持ち達は、食堂にいた。
「もぐもぐ…。餌付けって…そんなこと言うけどね、箒ちゃん。剣君の本気料理食べたことないから、そんな事が言えるのよ?」
「…、そうですわ。この一流料亭にも匹敵するほどの腕前、そうは頂けませんのよ?」
「それに、彼氏があーんってしてくれてるんだもん。ちゃんと答えないと」
「妬みは、やめて…」
「はぁ!?そんなんじゃないわよ!」
「そ、そこまで言うなら食べさせてくれ!剣!」
「え?いや」
時守の言葉を聞いた瞬間、鈴と箒がテーブルに頭を強くぶつける。
ゴスッ!という音と共に沈んだ2人は、額を赤くしながら再び時守の方を向いた。
「なんでよ!」
「そうだ!説明を求める!」
「ちゃんとカナ達の好物作ってきてんもん。また言ってくれたら作るやん」
「…酢豚」
「では肉じゃがで頼む」
「むっ。では師匠、私はうさぎの和菓子で」
「おっけー、ワンサマはプロテインでええか?」
「なんでだよ!俺にももうちょいまともなもん―」
「じゃあ卵かけご飯」
「なっ…、いや…。卵かけご飯アリだな…」
ワイワイガヤガヤと騒ぐ9人は、周りの生徒から好奇の目を集めていた。
「…あ。そういやさ、カナ」
「うん?」
「体育祭どないすんの?」
「うーん…、正直、微妙なところなのよねー。3年生達は体育祭どころじゃないし、2年生も大して乗り気じゃないらしいし…」
「じゃあ1年だけ?」
「そうなるんだけど、意外と人数が多いのよ…。あっ」
「あ?」
時守の声に合わせるように、他の7人も同時に首を傾げる。
その視線を一身に受ける楯無は、ニヤリと口端を釣り上げた。
「良いこと考えちゃった」
◇
「という訳で、1年生による専用機持ちヴァーサス・マッチ大運動、開幕じゃあああ!!」
ボッゴーン!と、楯無の背後に用意されていた巨大なコンテナが盛大に爆ぜた。
千冬の頬が引きつった。
「ルールは簡単!戦うのは専用機持ちの、織斑一夏を除く1年生のみ!勝った者には、織斑一夏と1年間同じクラス、同じ部屋になる人を選ぶ権利を約束します!他の1年生は誰が勝つかを予想し、見事的中したら豪華景品を贈呈するわ!…あ、2、3年生は、準備期間の裏方ポイントの反映が終わるまで、ちょっとだけ待っててねっ」
千冬のこめかみに、青筋が走った。
時守が最近やたらと特訓に懸命で、何かを隠すように動いていたのはこの為だったかと、気づかぬ自分に腹が立つ。
そもそも、ログもプログラムも『金色』により書き換えられているので発見のしようが無いのだが。
「なお!お昼ご飯を用意出来ていない生徒は、回ってきた紙に頼みたい物を書くように!」
生徒達の昼食を出前。流石は羽振りのいいIS学園。普通の高校とは違う。
しかし、同じところもある。
高校での運動会、上は体操服。ここまでも普通だ。
下がブルマで統一され、景品が織斑一夏だということを除けば。
「それでは、選手宣誓を、時守剣くん!」
「ほーい」
楯無の隣に立っていた時守が、マイクスタンドの前に立つ。
数多の生徒の視線を浴びても、一切緊張することなく普段通りの自分を貫き通せるのは、一種の才能かもしれない。
「せんせー。…あ、先生のことちゃいまっせ?」
「そんなこと分かっている!」
軽くネタを挟むのも忘れない。
別にちっふー先生のこと言うたんちゃうのになー。と、心の中で1人ボヤく。壇上から見える千冬の顔が僅かに赤くなっているのを見ると、言った後に彼女も気づいたようだ。
「あー、あー…んじゃ、宣誓。我々ー、選手一同はー、スポーツマンシップに乗っ取りー、日頃の努力と鍛錬を信じー、その成果を存分に発揮しー、競技に望むことを誓いまーす」
間延びしつつも割とガチな選手宣誓に、生徒達から拍手が湧き上がる。
しかし、そんな生徒達に流されない六人がいた。
紅組、蒼組、桃組、橙組、黒組、そして鉄組の団長である、箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、簪。
彼女達の戦いが、今始まる。
◇ ◇
「マッサージ、要る!?」
「べ、別にいい…。それにその手つき…、今ここでだと、流石に恥ずかしい…」
「そうか」
両手をいやらしく動かし、簪、シャルロット、セシリアの3人の元へと向かった時守。
生憎マッサージは拒否されたが、そもそもダメ元だったので良しとする。
「てか、生徒会長権限使えば5人1部屋ぐらい出来そうやけどな」
「それ言っちゃったら元も子もなくない?」
「と言うよりも、できるのですね」
既に時守と関係を持っている1年生の、セシリア、シャルロット、簪の3人としては、今回の大運動会はあまり乗り気では無かった。
同室になる必要が無い。が、流石にクラスが離れると言われれば本気を出すしかなかった。
「…最初は50m走。ええなー、俺も出たかったなー」
「…剣が出たら、色々反則」
「あはは…。ほとんど女の子ばっかりだもんね」
大運動会が楯無により立案された瞬間、ほぼ全ての競技に立候補し、物の見事に拒否された時守は、一晩中枕を濡らした。
千冬に肉体面で扱かれまくっている時守が、IS学園の鍛えられている女子とは言え、その中に入って競技をするのは反則に近い。
「景品はまあアカンとしても、俺はええやん」
「景品言うな!」
鈴の柔軟を手伝っていた一夏から、お約束のツッコミが飛ぶ。
「…なんかさー、一夏」
「お?なんだ?鈴」
「アンタ最近、ツッコミ適当じゃない?」
「なっ…!」
鈴の、斜め上を行く質問に、一夏の表情が固くなる。
「ほら、今も。言葉詰まらせたりとか、一文で言い切ったら会話続かないわよ?」
「うっ、ぐぅ…!鈴に言われる日が来るとはな…」
「あたしもそれなりには鍛えられてんのよ!」
誰に、何を、という必要は無い。
目の前で、セシリアの透けたブラジャーを堪能しながら柔軟を手伝っている関西人だということは、ここにいる誰もが分かっているのだから。
――――――
――――
――
ぱぁん!
「いけっ、いけっ…!しゃあっ!勝ったァ!」
「クソが!凰!なぜ勝った貴様ァ!私の諭吉がパァになったではないか!」
第1種目、50m走。
それを見守る運営テントの中で、千冬が時守に10000円札を1枚渡した。
「あ、あの…織斑先生?何を…?」
「応援と、その予想。そしてそれを当てた祝いとして、時守に小遣いを上げただけだ。何か問題でもあるか?更識生徒会長」
「い、いえ…。何も…」
良くも悪くも有無を言わさぬ千冬の口調に、楯無は実況に戻らざるを得なかった。
「こういうとこで勝たなストレス発散なりませんわぁ…」
「外道が。すぐに赤字にしてやるからな。…っ、おい見たか時守!篠ノ之が勝った!今のは私の勝ち―」
「大丈夫かシャル!」
「―だ…」
「…千冬姉。そろそろそういうの辞めないと、本気でやばいぞ?」
「…あぁ」
初戦を落とした千冬。しかし、二戦目に予想していた箒が見事勝利。
これにて先ほどの負けを取り返せるか、そう思った瞬間。
時守が彼女であるシャルロットの元へと走っていったのだ。
スタート直後に転んだ彼女の膝からは、血が流れていた。蹲り、涙を堪える彼女の元へ、全力で走る。
そんな彼女を背負いながら、一歩一歩ゴールへと向かう時守。
その姿を見て、弟の言葉を聞いて、千冬は心の中で涙が止まらなかった。
「はぁー、役得役得」
「むっ、私も出てくるわ。剣くん」
「おんぶぐらいなら、いつでもやったる…っ、大丈夫か簪ぃ!」
第三戦、わざとらしく転んだ簪にも迷わず走っていく時守。
慌てふためき、顔を真っ赤に染める彼女を無視して、お姫様抱っこのままゴールする。
「はぁー…。…なあカナ」
「っ、こ、ここじゃダメよ?流石に、ね?」
「おい、手を離せ愚弟。校内での不順異性交遊は教師として見過ごす訳にはいかん…!」
「け、剣!楯無さんも!千冬姉!落ち着けって!」
「私は行き遅れてなどいない!」
「そんなこと言ってねぇ!」
年に1回の大運動会ということで、彼女も少しテンションが上がり、残念になってしまったのであろう。
千冬の口から、ボロボロと普段は聞けない言葉が飛び出てくる。
「先輩。そう、あまり悲観しないでください…」
「っ、真耶…!」
振り向けば、仲間がいる。
涙ながらに、少し微笑みながら振り向いた千冬は―
「30までには出来ますよ!」
―真耶の止めの一撃に、膝から沈んだ。
千冬が運営テントの中で撃沈している中、50m走は鈴組が勝利をもぎ取った。
◇ ◇ ◇
「うっひょー。すっげえなおい」
「お、剣」
「ん。ほいスポドリ。500円な」
「ボッタくんなよ。ん、160円」
「まいどー」
事前にスーパーで買っていた80円のスポーツドリンクをワンサマに倍の値段で売りつける。
自室の冷蔵庫に取りに行っただけなのだが、どうも自販機で買ってきたものだと思い込んでくれたようだ。
「めっちゃおもろそうやんアレ」
「そうか?まあ、燃費が悪いから楽しくなさそうに見えるだけかもしれねぇけど」
「100%それやろ」
現在の競技は、『玉撃ち落とし』
フィールド中央に鎮座する全自動標的投擲機から発射される玉を撃ち落とす競技で、玉が小さいほど得点が高い。
「…うん、やっぱ見てるだけじゃ足りひんわ」
「あら、ならやってみる?剣くん」
「やってええん?」
「えぇ。みんなへの遅めのデモンストレーションってことにしたら大丈夫。…って、ちょっと箒ちゃん!?その機械高いのよ!?」
カナの大声を聞き、フィールドへと再び目を向ける。
モッピーの放った『穿千』が、一直線に全自動標的投擲機へと向かっていく。
「時守」
「あいよ」
そんな短いやり取りで会話を終わらせる俺とちっふー先生。
千冬が出したのは、『穿千』を止めろという命令。
俺が返したのは、了解の意を示す返事だった。
「っ、『雷轟』!」
「ほっ…。…箒ちゃん?後で織斑先生と剣くんにちゃんと謝っておきなさい?」
「は、はいっ!」
穿千が全自動標的投擲機に辿り着く前に、雷が叩き落とした。
凄まじい轟音を鳴らしたものの、投擲機には一切の傷一つついていなかった。
「よっ、と」
『あ、剣くん。今からデモンストレーション開始してもいい?』
「お?ええけど、ワンサマもか?」
「あぁ!」
白式を展開したワンサマが、フィールド上へと躍り出た。
元から競技に参加していた面々は既に下がり、ワンサマと俺の2人だけの戦いが始まろうとしていた。
『あぁそれと、時守。お前は『雷轟』と『雷動』の使用は禁止だからな』
「分かってるっすよ、そんぐらい」
指先一つでISを展開することなく玉を落とせる手段と、ほぼ瞬間移動は流石にアウト、ということで『雷轟』と『雷動』の使用が禁止された。
まあでも、ぶっちゃけそんぐらいの方がおもろいしな。
「俺は全力で行くぜ!」
「あぁ。俺も、本気で行かせてもらうわ」
またとない、全力で動くことの出来るチャンス。
逃す手は、無い。
『っ、始め!』
ちっふー先生の掛け声で、投擲機から一斉に玉が射出される。
「はぁっ!」
先手必勝。そう言わんばかりにワンサマが飛び出し、『零落白夜』を発動。リーチを伸ばしたそれは、複数個の玉を一気に切り落とした。
「どうだ!」
「あぁ、やるな」
バチリと、『金色』に光が走る。
どうやらこいつもやる気のようだ。まあぶっちゃけ目立って悪い気分はせんからな。
「『完全同調・超過』」
「うげっ!?」
瞬時加速で次の玉へと向かっていたワンサマを抜かし、通過ついでに玉を叩き落とす。
ふむ。流石に速いし、動きやすいな。
「…ま、まだまだ改善の余地しかないけどな」
「クソっ…、雪羅!っ、あぁ!ま、またかよ剣!」
ワンサマが雪羅を放った方向にある玉目掛けて方向変換をし、再び通りざまに叩き落とす。
「…こういう競技ってな、相手にポイントやらんかったら勝てんねん」
もうワンサマに、軽く点は取らせない。
◇ ◇ ◇ ◇
「はぁ〜。すっごいわね、あいつ」
「だ、第3移行する前からでも充分でしたのに…」
「アレでまだ足りないって言うんだもん。…ほんと、早く追いつかないと」
「だな。…今の師匠は、少しだけ嫌な予感がする」
「嫌な予感?どういうこと?ラウラ」
「…何でもない。気にするな」
ラウラの意味深な言葉を流し、少女達の観戦は続く。
『雷動』は使っていない、とは言っても、『完全同調・超過』により鋭角機動が可能となった時守の動きは凄まじく。一夏の広範囲への『零落白夜』よりも早く玉を落としていた。
「ISの動き、と言うよりは武闘家のそれよね」
「かかと落とし、肘鉄、膝蹴り、裏拳…。ISを、パワードスーツって扱ってないみたい…」
一夏が、振りかぶり、斬る。
その動作の中で、時守は移動し、攻撃する。というのを何度も繰り返していた。
『クソッ、追いつかねぇ!』
『当たり前や。追いつかれたら、俺のメンツが保てへんやろ!』
広範囲への同時攻撃。それを繰り返す一夏を、どんどんと突き放していく時守。
しかし―
「…うん?あまり、差が開いていない…?」
「そうですわね。剣さんも、決して手を抜いている。という訳では無さそうですが…」
「答えは簡単よ。ただ、一夏君が上手くなってるの」
箒とセシリア、2人の疑問に答えたのは楯無だった。
他の4人も口にはしていないものの、不思議に思っていたようで、顔を楯無の方に向けていた。
「一夏君、一見適当に振り回しているかのように見えるけど、遠くの玉だけを『零落白夜』で落としてるの。そして、その間に自分の周りに溜まった玉を、今度は普通の刀で落としている」
「つまりは、エネルギーの消費を抑えているということか?」
「えぇ。まだ使いこなせない『雪羅』はそもそも使わずに、自分の得意分野だけでってことね」
「まずは雪片を扱えるように、か…。意外と考えてるじゃない」
楯無の解説に、ラウラと鈴が言葉を挟む。
射撃センスがまだ磨かれていない一夏が、普通の銃ですらない『雪羅』を動く敵に直撃させることは至難の技だ。
相手にダメージを与えるどころか、むしろ自分のSEが減ってしまう。
そこで一夏が取ったのは、まともに扱えるようになるまで『雪羅』を封印するという至って単純な手。
そもそもの『零落白夜』の火力に、二次移行の速さがあれば、並みの機体には負けなかった。
「それでもやっぱり、三次移行の速さには勝てないのよ」
しかし、さらにその上を行くのが時守と『金色』。
二次移行を上回る火力と俊敏性、武装の豊富さ。いくら『雷轟』、『雷動』という2つの強力な単一仕様能力を封じているからとはいえ、一夏はなかなか追いつけなかった。
「はぁ…。ほんと、嫌になっちゃうわね。あんな奴に追いつけー、だなんて。国も無茶言うわよ」
「だが、そうでもしないとモンド・グロッソで太刀打ち出来んからな」
「それにね、鈴?」
「…何よ」
鈴のボヤキにラウラが当然のように返事をした。
未だムスッとした表情を浮かべながら時守を見る彼女に、今度はシャルロットが声を掛ける。
「剣のあの表情見てたら、頑張ろうって思わない?」
シャルロットの視線の先、そこには、嬉々として玉を撃ち落としている時守の姿があった。
「…シャルロット。嫁も、一生懸命やっているのだぞ?カッコイイではないか」
「そういう皮肉ではありませんわ。わたくし達も含めて、1年生で一番強い剣さんが、あれほどまでに楽しそうにしているとなれば、そこに辿り着きたいと思っただけですわ」
学年最強の生徒が、楽しそうに日々強くなっていく姿。
それは1年生の中に大きな変化をもたらしていた。
圧倒的な成長速度を見せる時守に、何とか追いつこうと、時守から何かを学ぼうとする者が増えているのである。
「…ふんっ」
鈴以外が一夏と時守の姿を見ている中、彼女は1人、頬を僅かに朱に染め、顔を逸らしていた。
『あ、ランペイジテール全部使えば勝ち確やん』
『ちょっ』
空中では、時守がランペイジテール8本を展開したことで、試合が決まった。
第二種目、玉撃ち落としのデモンストレーションは時守の勝ちで幕を下ろした。
ガッカリされない程度の挿絵を書きたい今日この頃。
画力降ってきて(他力本願)
2017年 5/2718:57
最後の一文を修正させていただきました。