今回はキャラ崩壊のタグが大活躍します(冷汗)
後一人称です、ちょっと実験にお付き合いください。
どうやらあんさんは死語らしいのであんたに修正しました。(・ω・` )
もう少し寝てたい、いや、もっとや。
でも性で自然と耳をたてやすい方に寝返りをうってしまう。
小鳥の囀ずりが眠りへ再び誘う。
…わけもなく、ドタドタと忙しなく、鳴らされる足音が…ひとつ、ふたつ、みっつ…こっちに来よるのがよっつ目。
ここからでもやかましい程に聞こえる男女共々の声は密集してる数が多すぎて判別がつかん。
こっちに届く音量はその場で聞くよりも遥かに小さいのが殆ど。高低差があると見て間違いない。外からの喧騒も聞こえる、少なくとも地下ではなさそうや。
幸いこっちに近付いてくる足音はひとつ、それ以外は全部下の方から聞こえてきている。手間はかからずに済みそうや。
うっすらと瞼を開けると扉を開けて
「どうにも、接客は馴れませんね」
溜め息を吐いてヤツが入ってきた。
手間かからん言うたはった。けどアレ嘘やった。
仕様がないのでのそりと上半身を起こす。
トンガリ耳は椅子を引いてわしが眠るベッドから少し離れた所に座る。
「今晩は」
「お早う」
「ぐっすり眠れたみたいですね、体に何か異常は?」
そう言われて気付いた。痛みがない。
骨が折れた場所をさすっても特に何もおこらん。
「…わし、どれぐらい寝てはったん」
「貴女に折檻してから半日も経っていませんね」
魔法やろか?現実とは思えん。でも忍術も大概やしなぁ…訊いてみるが吉か?
「……傷が治っとるんやが」
「ポーションを使いました」
「ぽーしょん?」
呆れた顔をしたかと思えば、驚いた表情になった。表情がコロコロ変わるのは見てて嫌いやない。
「便利なんやね。そのぽーしょんは」
「いえ、傷が瞬時に治るわけではないので使い所が限られますが…まぁ、それは今度にしましょう。これ、どうぞ」
「ありがとさん」
効果の程はともかく、春香さんへのお土産としては調度ええかな。
礼を言って盆の上に乗せられたコップを手にとり、水を飲み干す。飲み干してはっ、とした。
「これ、毒入っとらんよな?」
「入ってませんよ…警戒してるのかしてないのか、いっその事はっきりしてくれませんか」
「警戒しとるで」
「してませんよね?」
「しとるで」
目の前のエルフから、自分疲れましたオーラが顔を中継して放出されている。初めて話す時は大体の人が同じような顔をした。最初はな、誰でもそうなるんや。
「わしは気にしない、だからあんたも気にせん方がええ」
「そこは気にしてください」
「せやろか」
「えぇ、気にしてください」
「善処するわ」
真顔で言われる。声のトーンが少し低いし怒っとるんやろか、きっと怒っとるんやろな。ようわからんけど始めんことには何も変わらんて言うしなぁ。
「まぁ、それは置いといて」
「……」
「ここ、ドコ?」
「酒場。の上にある宿舎の一室です」
「あー…わしここで寝ててええの?」
思い出した。目の前のエルフが言う通りなら、わしは働きにここに来たんやった。いかん、危ない危ない。
向けられる目が冷え切り過ぎてこれ以上悪化されても分からんからな。絶対零度より下回れても絶対零度としか判別がつかんのと同じやね。
「貴女はお世辞にも物覚えが良さそうには見えません。それなりの実習期間を経てから、ですかね。後は場数を踏むしかありません。」
簡潔でストレートな物言い。まどろっこしくないのは助かる。けども経験則から言っているのか曖昧だ。バイトにお馴染みマニュアルは無いんやろか。
無かったら無かったらで作る気も全くないけども、しんどいし。
「先輩は実習どれくらいの間やってはったん?」
「私は…それなり、ですかね。」
目を逸らされた。こういう時は何かあると経験則からわかっとる。それが有益かどうかは置いておくとして、他人をおちょくる趣味はわしにはない。
ふと足音が聞こえた。この部屋へ走ってきている。
「ところでここはわしに割り当てられたんか」
「いえ、私の部屋ですが…」
「じゃあ、どないして」
言い終えるよりも早く、ドアが開く。
バァン!と勢い良く開かれたドアはそのまま目の前の薄緑色の頭を強打し、前のめりの姿勢を強制された彼女はそのまま頭を両手で抱えてしもうた。いたそうやな。
一方で、ドアの方からはネコみたいな奇声を上げながら、茶髪の癖っ毛が特徴のネコ娘が現れた。
「に″ャーッ!リューは新しく下っ端が出来るってのにどうしてミャーを呼ばにゃいんだ!」
傍若無人な、と言うよりもおつむが弱そうな娘さん。じっと見ていたら目が合ってしもた。
「にゃっ″、にゃにやつ!出会えー、者共出会えー!」
その新しい下っ端やで。
そんな言葉も猫娘の大声量に掻き消され、その場で全身を左右に振って彼女は更に騒ぎ立てる。しんどい体にこれはこたえる。
ちょっと静かにしてもらわんと
「あんた、ええかいな」
「出会え!出会えーΣにゃっ″!?」
背中に回って両の腕で首をキュッと絞める。数秒たつともがく事をやめて人形のようにだらりと四肢と頭を垂れ下げた。脳に行く酸素を無理矢理遮断するから良い子はやったらいかへんよ。
「なぁ、あんた、大丈夫なんか、ちょっとみしてみ」
取り敢えず猫娘が気絶しているのを一瞥して、頭を抱えて呻く、目の前のエルフの患部へ手を伸ばすと
破裂音がした。少し遅れてから掌がはたきおとされた事に気付く。にしてもごっつ痛い、えづいぐらいに痛い。
「いつつ…」
「!…すいません」
「こんなんこそばゆいぐらいやね、気にすんなや」
言いつつ、振り返る。職業柄触られることを明確に拒絶された事は少なくない。ただ意識的なのか無意識か、強いて言うなら無意識だった様に思う。反射的に繰り出されたみたいやし、速すぎてわからんかったな…
「言ってませんでしたね。私達の種族は心を許した相手以外には肌を触れられたくはないんです」
「随分とふぁじぃやな」
「ふぁ、じぃ?」
曖昧って事。めんどいから口にはせぇへんけど。
「それよか頭の方は平気なんか?」
「あ、はい、少し驚いただけです。大した事ではありません。でもアーニャの方は…」
床で寝てる猫娘のことやろか。
「直ぐに起きるで。その前にコイツの部屋を教えてくれへんか」
「無事なんですね?」
お~、肌がヒリヒリする。妖魔にも負けじ劣らじの殺気やな
「けったいなやっちゃな、また会話の邪魔をされたらたまらんだけやわ。そんな深読みしても何も出ぇへんよ」
猫娘を担いでエルフに案内してもらう。直ぐに隣の扉を開けてもらうとその部屋のベッドへ投げ入れる。疲れてるから少し雑になっとるんは仕方ない。
終った、よし、戻ろう。そう思っとったら
「その子が新人の?」
今度は誰や
薄鈍色の髪にポニーテールの娘さんが視界に入る。ニコニコと笑い、明るい雰囲気は傍らのエルフとは対照的やった。
「シル」
「ふふ、お疲れ様」
「お疲れ様」
にこやかに挨拶を交わしている、花が咲く様な笑顔のシルさんと度合いが違えど薄緑色の頭の女傑も笑っている。意外な一面を見れた、二人がそれほど親しいって事なんやろか。
「で、あなたの名前は?」
突然話を振られた。どないしよ
「すまん、考え事してたわ」
「自己紹介よ、自己紹介」
苦笑しながら言われる。悪い感じのしなさそうな人やな。これからお世話になる、そんな気がする。
「日影ちゅうんや、よろしく」
「色々と変わった子ね、私はシル・フローヴァ。よろしくね」
互いの手を握って顔を突き合わせると目の前のシルさんが少し驚いた様な顔をする。
「あなた…今朝の」
「…?」
大通りの前にシルさんもいたんやろか。まぁ、戦ってたし気付かなくてもしゃーない
「昨日の敵は今日の友って言うやないか。まぁ、センパイも宜しく」
「私を次いでみたいに言わないでください。これから貴女の先輩になる。リュー・リオンです、よろしくお願いします」
ソレを聞いて手を伸ばしかけ、引っ込める。わしだってまた痛い目には会いたくない、まだ手がヒリヒリする。
「その様子だと初めてはリューみたいね?」
「誤解を招く言い方は止してください」
からかいの込められた発言に少し頬を染めたリューさんが言い返す。
こんな人をムードメーカーって言うんやろか。焔さんみたいに周りを引っ張って行くよりは、己の空気を伝染す…違う、引き込む感じやろか。
「じゃあ二人とも仲良くね」
二人はその後和やかに会話を続け、夜もそろそろふける頃に足早にその場を去っていった。
せっかくなのでその場でわしは気になった事とそこから企てを展開する。
「なぁ、リューさん」
「何でしょう」
「シルさんはここに住み込みで働いてないんか」
「えぇ、彼女にも事情がありますから」
「成る程な…ところで、リューさん」
「何でしょう」
「わしにも事情というモンが」
「駄目です」
「女神サマが」
「…駄目です」
「ならわしに自由は」
「駄目です」
なんでや
リューさんには敬語で通してもらってます。
これも単にワイ氏の力不足なんや、許して
シルさんも言う側じゃなくて躱す側だと思ってる。
(・ω・` )
複数の登場キャラを動かすって難しい…