やる気の方が大きい様な気がするが。
それではどうぞ。
俺はあの後起きてから、ノワールに謝罪された。
俺がピンピンしている事に驚いていたが、もう今更だよね。
で、今はネプテューヌとノワールを見ながら、苦笑いを浮かべている。
なぜなら、ネプテューヌが書類を持って、どんどん落としてまき散らしてしまっているからだ。
いや、これはさすがにダメだろう。
まぁ、ネプテューヌの修行なんで俺は見てるだけだがな!
「やめて~!それ以上書類を触らないで~!」
「え~?女神の心得その一は書類の整理からって」
「それはあなたの仕事場でやって!」
「チェ~。やる気なくすな~」
「なっ……!どうしてそんな上から目線なのよ!」
この状況をどうすればいいのか。
否、言わせてもらおう。
……そっとしておこう。
そう、そっとしておくんだよ。
こうすれば、俺への被害は皆無……。
「あ、こう君書類が!」
「あ?」
俺がネプテューヌの声に反応して振り返ると、なぜか刃かと思えるほど鋭い勢いで飛んできている書類があり、それが頭に直撃すると突き刺さる。
そのまま頭から血を噴き出しながら倒れる。
それにネプテューヌ達は驚く。
「か、紙がこう君の頭に刺さった~!?」
「どうしてなのよ!?アレ、ただの紙よね!?」
「こ、浩平さん。大丈夫ですか!?」
「凄い勢いで血が……って、止まったわ」
「ネプテューヌ……テメェ、何しやがる……」
俺は書類を頭から引き抜きながら、ネプテューヌを睨みつける。
当の本人は手で後頭部を掻きながら、笑顔で俺を見てくる。
「いやぁ、ゴメンゴメン。なぜか書類がものすごい勢いで飛んで行っちゃってさ。こう君に直撃しちゃったんだよ」
「ありえねぇよ!?物凄い勢いで飛んでいっただけで頭に直撃するハズもねぇよ!?刺さるハズもねぇよ!?」
「それにピンピンしてるあなたがありえないわよ!?」
「ノワール様、浩平に常識をぶつけるのが間違ってます」
「え?これ、私が間違いなの?え?」
アイエフがため息を吐きながら言ったのを聞いて、ノワールは驚きながら言う。
確かに驚くしかないであろう。
まぁ、そんなのは無視して、俺はため息を吐きながら、エレベーターの方を見る。
ネプギアたちでも戻ってきたのだろうかと思うと同時に扉が入ってくる。
「お姉ちゃん!ネプテューヌさん……ッ!」
「ユニ、どうしたの……」
「ね、ネプギア!?」
「うぅ……」
ノワールはネプギアを見て黙り込み、ネプテューヌはすぐにネプギアに近づく。
アイエフとコンパも近づき、コンパが急いで治療を開始している。
俺も心配になり、近づこうとすると、パンッ!という発砲音とともに俺の方に鋭い痛みを感じた。
触れてみると、頬が切れており、そこから血が出ているのだ。
そして、その発砲音の元をたどると……拳銃をこちらに構えているユニがいた。
「は……?」
「近づくな!岩崎浩平!お姉ちゃん、急いで離れて!」
「きゅ、急にどうしたのよ、ユニ!?」
「そ、そうだぜ。いきなり何を」
「動かないで!次、動いたら眉間を撃ち抜くわ!」
「ッ!」
ほ、本気だ……。
これは本気と書いてマジだぜ。
あの目には殺意がある。
俺に怒りと殺意をぶつけてきている。
何でそんなものをぶつけられるかは知らないが、ユニの言う通りにした方がいい。
俺は両手を上げ、何もしないというのを見せて、ノワールを見て、行く様に顔を動かす。
ノワールはとりあえず頷くと、ユニたちの元へと向かう。
俺は両手を上げながら、冷や汗が出てくる。
何故、ユニが狙うのか。
その理由はわからない。
黒星座の奴らにでも洗脳されている様子でもない。
その割には感情があるし、瞳だって虚ろじゃない。
大抵、洗脳された人の特徴って感情がなかったり、目が虚ろだったりするもんだろ。
え?そういうもんだよね?
つうか、あそこまで睨まれると怖いんですが。
俺は苦笑いを浮かべながらも、ユニを見る。
「ユニ……だっけか?何のつもりか知らねぇが、話せばわかる。混乱するんじゃない!銃を降ろすんだァァァ!」
「何のつもり?ネプギアを殺そうとした癖によく言うわね!」
「こう君が……?」
「な、何を言っているの、ユニ?」
ネプテューヌ達はユニの言葉に驚いている。
それはそうだ。
浩平は今まで、ここで気絶して眠っていたのだ。
起きてからも、ずっとここにいたのだから、ネプギアとユニの元へはいけない。
だが、ユニは浩平を睨んだまま、普段戦闘で使う銃へと変える。
「お姉ちゃん!アイツ、寝返ったのよ!その証拠にネプギアを斬ったの!」
「お、落ち着け!俺ぁ、今までここで気絶してたんだぞ!?お前等二人の元へ向かった覚えは」
「うるさい!ネプギアを傷つけただけじゃなく、お姉ちゃんたちまで騙して殺そうなんて……許せない」
そう言った瞬間、引き金に指をかけるのに反応する。
「ッ!『レオ』!」
「攻撃!?させない!」
そういって、ユニが発砲すると同時に巨大な盾……『レオ』が姿を現し、俺はそれで銃弾を防ぐ。
別にヴィルゴで防ぐのが無理なのではないが、敵意があると勘違いされて、更に状況が悪化するのはよくない。
それにユニは反応し、俺を睨みつけてくる。
「どうしたの?あの時みたいに刀で斬りかかればいいじゃない!女神を殺すのが目的なんでしょ!」
「チッ……。怒りで聞く耳持たんか」
「ユニ、落ち着いて。彼は」
「……」
「ユニ……」
友達を斬られて黙ってられないのは俺も痛いほどわかる。
……失っているからこそ、痛いほどわかる。
怒りで襲い掛かろうとしてくるのもわかる……が、身に覚えがない。
これは事実だ。
となると……考えられる可能性は一つ。
俺にソックリだというと『コルヴス』の仕業だという事だ。
それしか考えられない。
俺との友好が一切ないユニを利用しようとでも考えたのだろう。
そこから連射してくるが、俺は盾で全て防ぐだけで動こうとしない。
金属と金属がぶつかり合う音が聞こえるだけで、皆はそれに黙り込む。
発砲音と弾く音だけ。
それだけがこの無言の空間を支配する。
これは……敵の何らかのたくらみに違いない。
コルヴスの奴……何を企んでこんな事をしたんだ?
何故、ネプギアをわざと生かした?
何故、その場で殺すという事をしなかった?
騙せたのならば、殺す事までできたハズだ。
なのに、せずに生かした。
理由は一体何なのか?
けど、今考える事じゃねぇか。
「ユニ、聞いて!浩平はずっとここにいたわ!」
「嘘よ!現にネプギアが斬られているのよ!」
「ホントだよ!ずっとこう君は私達と一緒にいたんだから!」
「それはこるv」
ネプテューヌがそこまで言ったと同時に俺の視界は一気に切り替わり、なぜかラステイションの街中に佇んでいた。
「「……え?」」
俺の声と被る様にもう一つの声が聞こえた。
その方向を見てみると、ネプテューヌが立っており、ネプテューヌも俺と同様に驚いていた。
何が起こっているのかまったく理解できていない俺とネプテューヌ。
さっきまでラステイションの教会内に確かにいた。
なのに、気付けばラステイションの街中に佇んでいた。
何故……こうなっているのか俺にもわからない。
「それ以上喋ってもらっては困るのでな……。入れ替わるついでに貴様も一緒に来てもらったぞ。プラネテューヌの女神よ」
目の前には銀髪の青年が立っており、腕には懐中時計の時計だけがある。
つまりは針や数字などがない装飾だけなのだ。
腕時計もつけている様だが。
「テメェは」
「俺の名は『ロギ』……。『ホロロギウム』様に仕える『
「『星天』だぁ?なんだそりゃ?」
「簡単に言うなら、星座の神々によって選ばれた人たちであり、そうだな。『天使』だとでも言っておこう」
ロギはそういうと、腕時計を見る。
ロギという男はホロロギウム……つまり『時計座』の遣いの様だが、コイツが何かしたに違いない。
いや、こんな瞬間移動みたいな事ができるという事。
そして、俺たちの前に姿を現さずに可能としたこの行動。
考えられる可能性はただ一つ。
ロギは『時を止める』事ができる。
来てほしくもねぇタイプが来たもんだな、オイ。
俺は苦笑いを浮かべながらも身構える。
ネプテューヌも身構えており、それを見たロギは軽く鼻で笑う。
「今、貴様らと戦う必要はない。そもそも俺がやる必要もないからな」
「それはどういう事だ……?」
「お前を入れ替えると俺は言ったハズだ……。その意味がわからないのか?」
入れ替える……?
一体、俺と誰を入れ替えた?
あの場にいるのはまさか……いや、まさかじゃなくて黒星座に違いない。
なら、大変だ。
俺は奴らと入れ替えられたという事になる。
……ちょっと待てよ。
わざわざ俺と入れ替えるという行為が必要だったのだろうか。
何故、俺と入れ替えたのか。
それに周りが俺を見てくる目がとても冷たいのはなぜだ。
何故、殺意を感じるのか。
俺は顔を上げて、前の人達を見る。
その目を見た瞬間、ピクッと俺は震える。
「……で」
「ん?何か言ったこう君?」
「ないでくれ……」
「なんて言ってるの?聞こえないよ?」
「そんな目で俺を見ないでくれェ!」
「こ、こう君!?」
そんな目で俺を見ないでくれ……。
そんな冷たくて、蔑む様な目で見ないでくれ。
何でそんな目で俺を見るんだ……俺は『化け物』なんかじゃない!
「俺は人間だ……!俺は……!」
「……『一匹狼』」
「ッ!」
「カッコイイあだ名だな?星の導き者」
「テメェ!」
俺が殴りかかろうとする前に顔面に衝撃が走り、殴り飛ばされて倒れてしまう。
時を止めて、殴り飛ばされた……!?
俺は驚きながらも態勢を立て直そうとすると、いつの間にか足を掴まれており、俺はそのまま投げ飛ばされてしまう。
建物の壁に激突すると、口から血を吐いて倒れてしまう。
「こう君!」
ネプテューヌはこっちに走ってくる。
俺は立ち上がると、ロギを睨む。
「なるほど……確かに丈夫だ。一応、人間なら体がミンチになっているんだがな」
「こちとら丈夫だけが取り柄なんでな……」
クソッ……克服したつもりでいたが、やっぱ慣れねぇな……『あの目』は。
ロギは腕時計を見ると、ツマらなさそうに俺たちを見てくる。
「やはり、『時』に対抗はできないものだな。導き者だろうと、女神だろうとな。そろそろ、俺はこれでお暇させてもらおうか。じゃあな」
ロギがそういうとその場から姿が消える。
時を止めて移動しやがった!
いや、それよりも今は教会だ!
「急いで教会に戻るぞ!ノワールたちが心配だ!」
「うん!」
俺の言葉にネプテューヌが頷くと同時に俺の後頭部に痛みが走る。
見てみると、誰かが石を投げつけてきた様だ。
一体……どうなっている?
それを合図に色々な物が俺とネプテューヌ目掛けて飛んでくる。
いや、正しくは狙いは俺だけだ。
「くっ!」
「うわわ!?何々!?急になんなの!?」
「この『化け物』が!」
「よくもウチの妻を……!」
「『死』を与える化け物がいるぞ……」
これは……コルヴスが街にも何かした!?
それと同時に目を見てしまい、ビクッと体が反応する。
ダメだ……見なけりゃいいんだ。
俺はネプテューヌを突き飛ばす。
「ねぷっ!?きゅ、急に何をするのさ!?」
「先に行ってくれ!この人たちは俺に用があるみたいだからな」
「だ、だけど、こう君!」
「いいからさっさと行け!」
「……すぐに来てね!」
「おう!」
俺は笑顔でうなずくと、手で顔に物が当たらない様にする。
さてと、どうしますか。
俺は苦笑いを浮かべながら、考え始める。
★
浩平とネプテューヌが消えた同時刻。
そこにはノワールとユニ、アイエフとコンパ、倒れているネプギアと浩平がいた。
そう、確かに浩平がいるのだ。
赤と黒のパーカー、ヘッドホン、そして黒いズボンをはいた青年、浩平が。
だからこそ……『入れ替わっている』という事に気付いてない。
「あ、アレ?ネプ子は?」
「きゅ、急に消えちゃったです!?」
「ネプテューヌはどこに……」
「アンタ!ネプテューヌさんにまで!」
「……」
「落ち着いて、ユニ。きっと、ネプギアを攻撃したのは浩平のそっくりn」
そこまで言った瞬間、アイエフがその場から消え、ノワールたちの後ろから何かの煙が舞ってくる。
それに反応して振り返ると、アイエフが浩平に首と掴まれて、壁に叩き付けられていたのだ。
その一撃でアイエフは気絶している様であり、アイエフをゆっくりと降ろして寝かすと、ノワールたちを見る。
黒い翼を広げると、それにコンパは反応する。
「まさか、こるv」
そこまで言った瞬間、コンパの後ろに回り込んでおり、首をトンっと叩く。
そのままコンパは倒れてしまい、それを見てから残ったノワールとユニを見る。
「お姉ちゃん!見たでしょ!遂に本性を現したわね!」
「本当に浩平……なの?」
ノワールはなら、今まで一緒にいた浩平は何だったのだろうと考える。
ユニの元へも行っていないとは言っていたが、何らかの方法で言ったんじゃないのか?
自分たちに気付かれる事もなく、ユニとネプギアの元へと。
浩平は黒い刀を構えると、走り出す。
ノワールがそれに反応して武器を取り出し、浩平が黒い刀を抜刀して、振り下ろしてくると同時に剣で攻撃を防ぐ。
だが、ノワールは力負けし始める。
それに驚き、すぐに蹴りが腹部に叩き込まれ、それにより口から血を吐いたと同時に頭を掴むと床に叩き付ける。
それと同時にイストワールから聞いていた事を思い出す。
(コイツが……コルヴス……浩平にそっくりな奴……)
気付かなかった事に後悔し、そのまま気絶してしまう。
浩平……コルヴスはゆっくりと立ち上がると、ユニを見てくる。
ユニはそれにビクッと反応し、銃を構える。
「わ、私だけでもやってみせる!」
「……」
ユニは銃を構える。
その手は震えており、標準が定まらない。
怖い……それとしか言いようがない。
目の前の黒い星……鴉が今にも自分に襲い掛かってきそうで。
自分の肉を啄むために襲い掛かってきそうで怖いのだ。
その黒い翼は『死』を連想させるほど、恐ろしいのだ。
一歩、また一歩と近づいてくるコルヴスを撃ち抜こうとするが、指が動かない。
カチカチと引き金に指が当たるだけで、動かない。
そして、気付けば……目の前にコルヴスが来ていた。
その瞬間、ユニの全ては時が止まった様に見えた。
その一瞬が、何十秒、何分にも感じられるほどに。
コルヴスは軽くユニを見ると、肩に手を添える。
「すまない……」
「え?」
そんな声が聞こえたと同時にユニの視界は反転しており、床が目前に迫ってきたと同時に体に強い衝撃が来て、そのまま意識が遠のいていく。
コルヴスはそれを見ると、黒い翼を広げて、ネプギアをチラッと見る。
どうやら治療中の様で、包帯を巻いている途中の様だ。
胸はもう巻き終わっていたらしく、見えてはいない。
コルヴスはゆっくりと近づくと、ネプギアの元に座り込む。
それに遠のいていく意識の中でユニは手を伸ばす。
「ネプギアに……何を……」
ユニはそれだけつぶやくと倒れてしまい、コルヴスは何かを始めるのだった。
どうも、風狼龍です。
ラステイションでは大変な事になっている浩平です。
さて、これからどうなるのか。
コルヴスがネプギアに……?
それではまた次回。