次回はギャグに走れたらいいな~。
それではどうぞ!
「よっと」
ルーフスは座っている石から降りると、フードによって隠れている顔から瞳だけが見える。
血の様に紅い瞳がフードによってできた暗闇で不気味に光る。
それに俺たちは生唾を思わず飲んでしまう。
そんな俺たちを知ってか知らずか、微笑んでみせる。
「ようこそ、五人とも。俺は……『ルーフス』というものだ」
「今の間はなんだ?」
「いや、すまない。これは本名じゃなくてね。コードネームみたいなものだ。言い慣れないもんだから、本名を言いかけたよ」
「それじゃ、ウィオラも?」
「あぁ、ウィオラもコードネームみたいなものだ」
「まぁ、今はこれが私の真名みたいなものだけどね」
ウィオラはそういうとルーフスの隣へと行き、俺たちの方へと向き直る。
「とりあえず、俺はここまで来たんだ。約束は守ってもらうぜ。星の導き者の秘密を」
「……まぁ、そう焦るな。まずはゆっくりお茶でもしよう」
そう言って、ルーフスは指をパチン!と鳴らすと、テーブルと七人分の椅子、そして紅茶が入ったカップとクッキーが盛ってある皿が出てくる。
俺たちはマジックの様に出したのに驚き、ルーフスとウィオラは椅子に座り、俺たちもとりあえず座る。
そして、俺はルーフスからの言葉を待つために、思わず睨んでしまう。
それを見たルーフスはため息を吐く。
「聞きたいと焦る気持ちもわかる。気になる事を知りたくなるのが人間だ。だが、そう固くなるな。紅茶でも飲めばいい。落ち着くぞ?それともコーヒーがよかったか?」
「どっちかってっと、俺はコーヒーが……じゃねぇよ!?俺は話を聞きにきたのに、呑気にお茶しに来たわけじゃねぇんだよ!?」
「まぁ、落ち着けと言っている。話してやるから、今はお茶でもしようじゃないか。コーヒーがいいか?」
「チッ……コーヒーで頼む」
「あい、わかった」
そう言って、ルーフスはまた指をパチンと鳴らすと、紅茶が消えて、コーヒーが出てくる。
ブラック……ねぇ。
飲めないわけじゃねぇが、少しは砂糖とミルクが欲しいね。
そう思いながらも、俺はブラックコーヒーを口にする。
「あ、このクッキー美味しい!」
「それはよかった。あらかじめ、作って待っておいた甲斐があったものだ」
「作ったの!?」
「あぁ、それをここに出しただけだ」
「召喚系の類なのか?」
「少し違うな」
ルーフスはそういうと、紅茶を一口飲み、手に黄金の光を出してみせる。
それに俺はピクッと反応する。
それは星の力である、星力だからだ。
あの時もルーフスは簡単に出して見せた。
「貴方も星の力を扱えるのね……」
「確かにそうね。浩平が出して見せた黄色い光と一緒ね」
「まぁ、黄金とよく言う奴はいるんだ。この黄色が光ってみせるからな」
ルーフスは苦笑いしながら言うと、星力を消し、俺を見てくる。
ブランとノワールもこの男が簡単に出して見せた星力を見て、驚いている。
「これを出してみせたのは星の力だと言いてぇのか?」
「そういう事だぜ。星というのは万物の力だ。星の力は星そのもの。森羅万象の力を持っている。宇宙の真理だってな。宇宙の始まりであるビッグバンだってな……」
「遠回しに言い過ぎなのよ。ようは『万物の始まりであり、終わりの力』なのよ」
「ざっくりしすぎだ。扱うのが危険な力なんだから、わかりやすい様にだな」
「……え?」
この二人の会話に俺は驚いてしまう。
今、当たり前に言ったこの二人の言葉に驚かざるを得ない。
ようは『万物、森羅万象の力』であると言った。
そして、宇宙が生まれた事となるビッグバンをも引き起こせるという事ではないのだろうか?
そうしたら、太陽系なんて簡単に終わるんじゃないだろうか。
いや、ゲイムギョウ界が星で表すとどこら辺にあるのかは知らないけどさ、結構やばい力じゃないの?
俺は黄色に輝く光を出すと、苦笑いを浮かべてしまう。
「だが、その星の力なら安心して使え。俺やお前が出した黄色の星の光は基本の光だ。そうだな、『恒星』の力だと考えてもいい」
「『恒星』ほどでもかなりあるじゃねぇか。惑星一つ、消し飛ばせるぜ……」
「まぁ、そうだな。今のお前だったら、太陽くらいはあるんじゃねぇか?」
地球簡単に飲み込めるほどの威力があったァァァァ!
今の俺の力、太陽系を簡単に消し飛ばせるほどの威力があるんだけど!?
え?じゃあ、俺今までそんだけのもん放ってたの!?
怖いよ、逆に怖すぎるよ。
「だから、安心しろと言っているだろ。『太陽』ほどの威力があると言っても、それは超圧縮した攻撃を放った場合だ。例えるなら『かめ○め波』とか、『元○玉』みたいに放ったら、星一つくらい簡単に消し飛ばせるというだけの話だ」
「凄いわかりやすい説明ありがとうございます!でも、バカスカ撃てないわ!?」
「そうですわね。何かの間違いで浩平君がゲイムギョウ界に超圧縮させた攻撃を放ってしまって、壊してしまったら」
「いやいや、さすがにそこまでしませんから!?そんなの聞かされて、放つバカはいませんから!?」
俺は思わずベールさんに叫んでしまう。
それと同時にとある事に気付く。
それは黒星座たちが扱う黒い星の力だ。
絶望、負などを意味する力だと思っていたが、それだけではなさそうな気がする。
「ルーフス、黒星座たちが扱う黒星座の光も恒星並の威力があるのか……?」
「……下っ端はな」
「下っ端はって……ドラコやコルヴスの幹部クラスだとどうなの?」
ネプテューヌの疑問に俺たちは飲み物を飲む手を止め、ルーフスを見る。
確かに気になる。
下っ端でも『恒星』レベルなのだ。
いや、それは当たり前かもしれない。
元々星座とは地球から見て、『恒星』を繋いだのをそう言っているのだから。
「まぁ、そうだな。まぁ、三等兵から一等兵、幹部クラスまでで言うなら」
「ちょっと待って!そんなクラス分けがあるの!?」
「あぁ、あっちはそう分けられている。幹部クラスは少数だ。安心しろ……」
安心しろと言われても、安心できないんですが。
それでも『恒星』クラスの力を持つ奴らがいっぱいいるという事でしょうが!?
「まぁ、言うならば『三等兵』で『恒星二つ分』、二等兵なら『三つ分』、一等兵で『五つ分』くらいか。後は幹部なら……恒星というべきではないな」
ルーフスはそういうとため息を吐き、俺たちを見てくる。
それほど厄介な力なのだろうか。
「『ブラックホールを生み出せる』ほどの力だ。ようは『ブラックホール』だ。恒星さえも飲み込んでしまう、宇宙で最も出会ってはいけないもの」
「ぶ、ブラックホールって本気で言っているの……?」
「白の女神よ、ホントだ。俺は嘘はつかない」
「それというのならば、『幹部』クラス以上の者もいるの。気をつけなさい」
「幹部以上って……それは」
俺は聞き返すと、言うべきか言わぬべきかとルーフスは悩んでいる様にしてから、ため息を吐く。
この人もよくため息を吐く様なタイプの様だが。
「ようは『頭』だよ。そいつは『ビッグバン』を簡単に引き起こせる星力を持っている。今のお前等じゃ、わかりきってるかもしれねぇが、勝てねぇよ」
「ビッグバン……!?」
規模が違いすぎる。
奴らの星座の頭がそれほどの力があるとは思っていなかった。
それがどんな奴かはわからないが、星座のどれかだろう。
「……まぁ、今はこんなもんか」
ルーフスは何かを呟いた様だが、俺はよく聞き取れなかった。
俺はブラックコーヒーを飲み干すと、ルーフスを見る。
「それじゃ、教えてもらおうじゃねぇか。導き者ってのは一体何なのかを」
「……選ばれた者。十二星座、闇から光へと変わった者たちに選ばれた奴だ」
「それは知っている。俺が知りたいのは導き者とはどういう存在なんだ?」
「……導く者」
「ん?」
ルーフスのつぶやきに俺は首を傾げる。
俺だけじゃない、他も反応している。
「導く者だ。星の力で、他を導く者。光となる……。ようは道標でもあり、希望となるための存在だ。そして……奴らに対抗するための人物だ。その世界を護る者たちと一緒になってな。この世界では女神か。だから、女神たちも呼んだ」
「なるほど、導き者の事を知ってもらうためか……」
「そして奴ら……黒星座の事よね」
「……あぁ」
ルーフスはノワールの言葉に間をあけてから、頷いた。
何で間をあけて頷いたのかは気になるところだが。
「お前は星に選ばれたんだ。胸を張っていい……とも言えないな。いきなりこんな運命に巻き込まれて、正直混乱しているだろう。だが、それでもお前は立ち向かう勇気を、力を……ウィオラがそれを認めたのだから、いるのだろう?」
「……まぁ、私が一番認めた理由はそれだけじゃないわ」
「……え!?」
さすがの予想外の言葉にルーフスは驚く。
どうやら、ウィオラがそれ以外を見ていたのが意外な様だ。
「え!?お前がか……意外だ。で、何を確かめたんだ?」
「それ、意外と傷つくわよ。そうね、戦う理由を……かしら」
「……そうかい」
ルーフスはそれだけ言うと、ため息を吐く。
そして、立ち上がると、血の様に紅い瞳を怪しく光らせながら、俺を見てくる。
ずっと思っていたが、コイツの瞳……俺と同じ色だ。
俺がどうしても嫌いな俺の瞳と同じ色。
俺はこの瞳のせいで……。
俺は拳を握りしめると、それに反応したかの様に目を細める。
「なぁ、もう一つ教えてくれよ」
「ん?」
「アンタは……アンタは何者なんだ?そのフードはとってくれないのか?」
「……」
俺の言葉に男は困った様に目を細める。
だが、すぐにフッと笑うと、俺たちに背中を向ける。
「今はまだ……知る時じゃない。ただ、一言……お前には言いたい事がある」
「え?」
「俺のせいで、お前には苦労させた。すまないな」
「!? ど、どういう事だ!?」
「……そのまんまの意味だ」
ルーフスはそれだけ言うと歩き出し、俺は掴みかかろうとするが、その場からいつの間にかルーフスは消えており、十メートルほど先にいた。
「ま、待て!お前は俺の瞳が『紅い』理由を知っているのか!?お爺ちゃんも、俺と同じ瞳を持っていた!アンタは一体……」
「じゃあな」
そういうと、ルーフスはその場から姿を消す。
一瞬で、どこかへと行ってしまった。
星力を使って、テレポートみたいな事をしたのだろう。
それを見て、ウィオラはため息を吐き、立ち上がると、俺の肩に手を置く。
「そういう事よ。もちろん、その内私達の正体を知る時が来るわ。それまでは自問自答でもしてみたらどうかしら?」
「ウィオラ……」
ウィオラは優しく微笑むと、俺に背を向けて歩き出す。
ネプテューヌ達も立ち上がり、俺の元へと来る。
そして、少し離れてから振り返って、フードから紫色に輝く瞳でこちらを見てくる。
「貴方達は強くなれるわ。きっと……。確かに貴方は『歴代最弱』かもしれない」
「! それはカニスに言われた」
「だけど、『弱い』からこそ『強い』という意味を知っている。『弱い』からこそ、どうにかしようとする。『弱い』からこそ……『負け』を知っている。『弱い』からこそ『優しさ』を知っている。『弱い』からこそ……『進化』というものを知っている。だから、自信を持ちなさい。貴方は『歴代最強』と言われた『初代』とは真逆の存在よ。戦い方は少し似ているけどね。あ、優しい部分は初代も同じよ。彼は『強すぎた』。だから……知らない物もあった。そして、あの日に……」
ウィオラは悲しむ様に呟く。
この人はまるで、初代と深い絆があった様に感じ取れる。
そして、すぐに口元は笑みへと変わる。
「貴方達ならできると思うわ。『黒幕』を追い詰める事も。信じているから」
黒幕……頭の星座の事だろうか。
そして、ウィオラはルーフスと同じ様に姿を消し、俺たちはボーっと見つける事しかできなかった。
「……」
「こう君?」
「ん?何?」
「何か悩んでる?」
「んにゃ……別に。帰ろうか」
俺はそれだけ呟くと、星の力を出し、遺跡から脱出をして、それぞれの国へと帰るのだった。
どうも、風狼龍です。
駄目だ……俺じゃ、これが限界なんだ!
というわけで楽しめたのなら幸いです。
それではまた次回!