俺たちはズーネ地区の上空まで来る。
「見えてきましたわよ」
グリーンハートになっているベールさんの言葉に反応して見てみると、そこには機械型のモンスターが大量に蔓延っていた。
うわぁ、どこから湧いて出た、コイツ等。
「くっ、うじゃうじゃいやがる」
「数は多いけど、大した事ない奴ばっかじゃない」
「だけど、万が一街に渡ったりしたら大変よ」
「そうだな。アレだな、モンスターが一匹いたら百はいると思えって事で」
「それはGでしょ!?」
「え?ごきb「言わせるか!」グフッ!?」
ネプテューヌの言った事をちゃんと言おうとしたら、ブランに斧で思いっきり殴り飛ばされたよ。
俺は態勢を立て直して、殴られた場所をさすりながら、ブランを見る。
「いってぇ、何も殴るこたぁねぇだろうが」
「お前がハッキリ言おうとするからだろ!?」
「何が悪い!」
「キメ顔で言うな!」
「グフッ!?」
次はボディーブローを叩き込んできやがったぞ……コイツ。
俺は腹を抑えながら蹲る。
空中で蹲るって、なかなかない事だぞ。
それと同時にズーネ地区の地面が割れて、そこから巨大な機械型モンスターが現れ、砲台と思わしきものをこちらに向けると撃ちこんでくる。
俺たちはそれに反応してかわし、武器を出す。
四体……ねぇ。
俺はヴィルゴで飛んできたビームを弾き、ネプテューヌ達を見る。
「あのデカブツが真打か!」
「敵に不足なしですわね!」
「敵は四体ね。誰が先に倒せるか、競争ね!」
そういうとノワールは突っ込んで行き、それに続く様にブランとベールさんも突っ込んで行く。
オイオイ、オメェら。
「三人とも待って!ここは一体ずつ協力して倒して行くのがセオリーじゃ」
「腰抜けのセオリーね」
「まったく、変身すると皆、妙に強気なんだから」
まったくだな。
何でコイツ等、変身すると強気になるんだよ。
ネプテューヌもそうだけどよ。
「まぁ、私もそうだけどォ!」
「あ、オイ!」
ネプテューヌも敵に向かって突っ込んで行き、俺はそれを見てため息を吐く。
「アイツ等は勝負好きか。ハァ」
俺はため息を吐くと、星力を噴射させて追いかける。
だが、俺が辿り着く頃には四人が巨大モンスターを倒した。
一番がノワール、二番がブラン、ほぼ同着に思えるネプテューヌとベールさん。
俺はそれを上空で見ながらため息を吐く。
「浩平がビリね」
「ハイハイ、ビリで構わんから、さっさと回りのモンスターでも」
「やっつけようと?」
「あぁ、そうそう。やっつけよう……と?」
俺は後ろから聞こえる、聞き覚えのある声に反応して振り返る。
そこには闇に紛れる様な黒い大きな翼を持つコルヴス……いや、俺の兄貴、淳平がいた。
「淳平!?」
「ふん!」
「がっ!?」
淳平が力を入れる声を出すより先に攻撃を叩き込まれ、地面へと突っ込んで行く。
そのまま地面に激突し、俺を中心にクレーターを作る。
「ガハッ!」
「こう君!」
「アレはコルヴス!」
「お前が噂のコルヴスか!」
「浩平君のお兄さん……でしたわね」
「……」
淳平は俺の近くに降り立つと、冷たい目でネプテューヌ達を見る。
それにネプテューヌ達はビクッと反応する。
どこまでも冷たい目……身が凍るほどに。
それにより、一瞬動きが止まり、冷や汗が噴き出す。
俺はそんなネプテューヌ達を横目で見ながらも立ち上がる。
そして、首に手を添え、軽く動かして、骨を鳴らすと淳平……いや、コルヴスを見る。
「コルヴス、前の様に倒せると思うなよ」
「……構わないが、俺に気を取られていていいのか?」
「何?」
俺はコルヴスの言葉に眉を潜める。
それと同時に地面からコードの様なものが現れ、それがブランとノワールに襲い掛かる。
「ノワール!ブラン!」
そのコードがノワールとブランを捕まえ、ネプテューヌとベールさんの後ろからコードが飛び出してきて、同じく捕まえる。
「四人とも!」
俺はすぐに助けに行こうとするが、いつの間にかコルヴスが目の前に現れ、俺を見てくる。
「邪魔だぁ!」
俺はヴィルゴを振り下ろして斬りかかるが、刀で受け止められてしまい、逆に腹に衝撃が走って吹き飛ぶ。
「ガハッ!?」
俺は口から血を吐いて吹き飛び、地面を転がりながらも、何とか態勢を立て直して立ち上がる。
コルヴス……一体、何を企んでいる。
「な、何なの!?」
「くっ!ざけんなよ!」
「気持ち悪いわね!」
「こんなもの!」
四人は抵抗する様にコードを引っ張り始める。
そうだ、女神の力ならアレくらい引きちぎる事ができるハズだ。
だが、コルヴスは変わらず、無表情で、冷たい目でネプテューヌ達を見ていた。
「そろそろか」
「ん?」
声がした方を見ると、そこには一人の女性が立っていた。
肌色が薄い紫なんだが……人間じゃねぇ!?
「いや、つうか」
「アイツが黒幕?」
俺とネプテューヌはその女性を見る。
すると、女性は何かをケースに入れる。
「女神たちよ。我がサンクチュアリに堕ちるがいい!」
そう言って、ケースを投げ込むと、それはネプテューヌ達の上で止まり、紅く光り始める。
一体、何が起きるというんだ……。
だが……だが、とても嫌な予感がする。
そして、同じものが三つあったのか、そこから線が出てきて、上のケースとつながると、ピラミッド状の結界の様なものが張られる。
アレは一体、何だ?
いや、そんな事を考えるより!
「皆ぁ!」
「動けると思うな」
俺が走り出そうとした瞬間、腹に重い一撃が叩き込まれ、口から血と唾液が混ざったものを吐き出し、腹を抑えて蹲る。
「うがああああああああああああああああああ!」
あまりの痛みに叫びをあげながらも、何とか立ち上がる。
今まで色んな攻撃を受けてきたんだ……これくらいでへこたれるかよ!
すぐさま起き上がって、ネプテューヌ達の方を見てみると、コードに縛られていた。
抵抗する力でも失ったかの様に。
「ネプテューヌ……ノワール……ブラン……ベールさん……。今、助けに」
「しつこいぞ」
「あがっ!?」
「こう君!」
俺がまた走り出そうとすると、次は頭に蹴られた衝撃が走り、地面に倒れてしまう。
今のは間違いない……踵落としだ。
奴らの……コルヴスの攻撃が見えない……動きが見えない。
このままじゃ、殺される……。
その前にアイツ等を!
俺はフラフラとしながらも立ち上がり、ネプテューヌ達を見る。
「こう君!……あの石、あの石を破壊すれば!」
そう言って、ネプテューヌは刀を投げるが、ケースに当たる直前で……刀が消えた。
まるで打ち消されたかの様に。
「どうなってる……?」
「フフフ、シェアエナジーを力にしている者はその石には近づけない。それが武器だろうと、女神自身だろうとな」
何だと……?
あの石はそういうのを無効化する能力か何かがあるって言う事なのか。
それなら星の力で今すぐに……!
俺は歩き出し、助けに行こうとするが……。
「動くなと言っているだろ」
「がぁぁぁ!」
次は顎に衝撃が走り、いつの間に空高く、宙を舞っていた。
そのまま頭から落ちて、強くぶつけてしまう。
それにより、脳が揺さぶられ、意識が朦朧とするが、すぐに頭を横に振ってハッキリさせる。
「どういう事だよ」
「……アレはアンチクリスタルという。シェアクリスタルと女神たちのリンクを遮断し、力を失わせるものだ」
「そんなものが……」
「そして、それを破壊できるであろうお前を俺が止めるというわけだ」
「……そうかい」
俺は立ち上がり、ネプテューヌ達の方を見る。
近くではネズミが写真を撮っている。
野郎……その写真を公開して、ネプテューヌ達の信頼をなくそうとでもしてんのか!
「させっかよォォォォォォォ!」
「させるかと」
「退きやがれェ!」
「何!?」
俺は手を伸ばすと、そのままコルヴスの頭を掴み、力強く地面へと叩き付ける。
それにコルヴスは驚いているが、俺の腕を掴むと、軽々と持ち上げ、振り下ろして地面へと叩き付けられる。
「カハッ!?」
その衝撃で肺から空気が漏れてしまい、すぐさま息を吸おうとするが、再び持ち上げられ、地面に叩き付けられる。
「うぐぅ!」
「今のは偶然か」
「まだだァァァァ!」
「うぐっ!?」
俺はコルヴスの首に足を巻き付けると、腕をひねって、掴んでいる手から外れ、そのまま前のめりに倒れると、両手を地面につけ、コルヴスを捕まえている足を上にあげ、そのまま回転してコルヴスを思いっきり叩き付ける。
「コイツ……偶然じゃない!」
「ネプギアに言ったんだ!俺に任せろって……。男は一度決めた事は何が何でもやり抜くもんなんだよ!日本男児は皆、侍よ!」
「侍……所詮は貴様の理想だ」
俺はすぐさまコルヴスから離れ、ヴィルゴを構えて走り出す。
コルヴスは口から唾を吐き捨てると、俺を見る。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「遅い」
俺がコルヴスで斬りかかるが、最小限の動きでかわされ、そのまま腹に蹴りを叩き込まれた。
カウンターを入れられたのだ。
俺は目を見開き、口から血を吐きながら吹き飛ぶ。
目が……慣れてきた?
亜光速はあるであろう奴の動きが?
いや、気のせいだろう。
「しぶとさは次元一だな」
「しぶとさなら誰にも負けねぇ自信があるんでな!」
「本当にしぶとい!」
そう言って、いつの間にかコルヴスは目の前に現れる。
それと同時に体に殴られた感覚を数回感じ、吹き飛ぶ。
しかも……今ので。
「右腕の骨とあばら骨を一本折った。それだけで済ませてやったのはまだ優しい方だ」
「うぐぅ……アリエス!」
俺はすぐにアリエスを呼び出し、治療をすると、アリエスを装備して構える。
奴が格闘だけしか使わないのなら、俺だって!
「思えば、アリエスがいたか……」
「へへへ、まだ終わらないぜ!」
「小賢しい!」
そう言って、走り出そうとするが、俺の目の前に来るよりも、少し先でピタッと止まる。
そして、刀を振り下ろすと、そこに張ってあった星力の糸が切断される。
そのまま通り過ぎてくれれば、糸によって体が切られたって言うのによ。
「いつの間に……」
「へへ、攻撃を叩き込んだ隙にな」
「抜け目のない奴だ……。だが、所詮は時間稼ぎ」
そう言って、コルヴスが目の前から消える。
その瞬間、右から衝撃が走り、よろめいて左に動くと、次は左から。
前によろめくと前から、後ろによろめくと後ろからと光速で移動しながら、次々と俺に攻撃を叩き込んでくる。
ありとあらゆる方向から……攻撃を。
俺は腕をクロスして防ごうとするが、全方向から来る攻撃を防ぎきれるハズがない。
俺は何発か受けてしまい、口と頭から血を流し、腕も痛くなってくる。
「このままじゃ」
「浩平、負けんじゃねぇぞ!」
「わーってるよ……」
俺はブランの言葉に呟きながら、辺りを見渡す。
目で追えないほどのスピードで動いているのだ。
感覚でやっても意味がないだろう。
「負けないとでも?負けるんじゃない。貴様はここで死ぬんだ」
「浩平、後ろよ!」
「ッ!?」
俺はノワールの言葉に反応して、横に少し動いたと同時に腹を貫かれる。
恐らく、心臓を狙っていたのだろうが、動いた事によって軌道が変わったのだろう。
「……構わん。俺は『烏座』だぞ?鴉は死を呼ぶ……。つまり、俺の能力は『死』の能力」
「まさか……!?」
「このまま……『死』を流し込んでやる」
「『死』をって……こうくぅぅぅぅぅぅん!」
「あ……」
ネプテューヌの声が聞こえたと同時に俺に黒星座の力が流れ込んでくるのが感じ取れた。
星座の力で押し返そうとしたが、向こうの方が強く、そのまま入り込まれる。
その瞬間……心臓がドクン!となり、苦しくなる。
コルヴスが腕を抜くと、俺は胸を押さえて倒れ、身悶える。
「あああああああ!ハァ……ハァ……!」
「心臓が止まろうとしているのだ。苦しいのは当たり前だろう」
「あぐぅ!ハァ……ハァ……!」
「安らかに眠れ……弟よ」
「あぁ……」
『浩平(こう君)(君)!』
遠ざかっていく意識の中で皆の声が聞こえる。
双子座を装備していたのが失敗だったか。
俺はここまでなのだろうか……。
俺は虚ろな目でネプテューヌ達を見る。
必死に何か叫んでいる……何を言っているのだろうか。
何も聞こえない……何も。
あぁ……暗闇に落ちていく。
死んだら……どこに行くんだろうな。
真っ暗な世界かな……それとも、天国か地獄でもあるのだろうか。
段々苦しさもなくなっていき、目を閉じようとする。
ネプテューヌ達の変身も解けている。
「あぁ……俺はここまでなのか?」
俺が目を閉じ、暗闇に落ちて行こうとした時だった。
「お姉ちゃぁぁぁん!」
ネプギアの……声?
ネプギアが……来ているのか?
……ハハハ、何倒れてんだ、俺。
ネプギアの不安を取り除こうとして、この有様かよ。
「浩平君まで……?浩平君!コルヴスさん!何をしたんですか!?」
「……」
ネプギアが……コルヴスに何かを聞いている?
何を聞いてんのかわかんねぇけど……約束を守らないと。
俺は……このまま死ぬわけにはいかねぇ。
「うぐぅ……あがぁ……」
「何!?息を吹き返した!?」
俺はフラフラながらも立ち上がり、止まりそうな心臓を動かそうとする様に胸を強く叩く。
駄目だ……死の能力が働いている。
俺は肩で息をしながらも、コルヴスを見る。
「本当に馬鹿げた生命力と精神力だ。それで死を遅らせているというのか。だが、逆にそれは自分自身を苦しめる事になる。あのまま死んでいれば、楽になれたのに」
「まだ……だぁ。俺の命なんていくらでもくれてやる!だが、俺の大事な人たちに手を出すのは許さねぇ!」
「……直接、死へと送り込んでやろう」
そう言って、コルヴスが俺の頭を掴むと時間による死ではなく、一瞬の死を流し込んでくる。
だが、俺はそれに耐える様に歯を食いしばり、睨みつける。
「お前は……」
「人間か?と聞きたいなら答えてやる。人間だ!人間……ナメ……んなよ?」
(コイツ……生命力と精神力だけで死に耐えているというのか?それを人間とは言わない。人の姿をした鬼だ。神をもその力でひれ伏せさせる鬼そのものだ)
「誰かを護るためなら……獣にでもなってやる。誰かを失うくらいなら……鬼になってやる。俺は……狼にだってなって……」
俺はそこまで言った瞬間、意識が遠のき、その場に倒れる。
それにネプテューヌ達は驚く。
「う、嘘だよね……。こう君」
「死んでないわよね……浩平?」
「浩平……冗談はいらないわ」
「三人とも……」
ネプテューヌとノワール、ブランが浩平を呼ぶが、ピクリとも動かない。
コルヴスはそんな浩平を見て、悲しそうな目を向け、刀を振り上げる。
「本当に死んだのかわからないからな。首を切って、トドメを」
「浩平君!」
「ッ!ウオラァ!」
俺はすぐさま起き上がり、蹴りを放つとそれにコルヴスは驚き、後ろに飛ぶ。
そして、俺は連続で飛躍して、アイエフとネプギアがいる元へと来る。
「ハァ……ハァ……!」
「浩平君、酷い汗……」
「すま……ねぇ……。少し寝るわ」
そう言って、俺は再び倒れてしまう。
「浩平君!」
「ネプギア!早く浩平を運んで!逃げるわよ!」
「でも、お姉ちゃんが!」
「今は逃げるの!」
そう言って、浩平をバイクへと括り付け、ネプギアが後ろに乗ると、アイエフはバイクを走らせて、その場から去る。
それをコルヴスは見送りながら、空を見る。
「お前が『死ぬ』のか……。それとも死に打ち勝つのか……。どうなるんだろうな」
そう呟いて、その場に座り込むのだった。
どうも、風狼龍です。
実はコルヴスの能力はやばいです。
なんせ、『死』を司ってますから!
浩平は『死』に打ち勝てるのか!
それではまた次回!