星は生命に死を与えた。
星は物質を創造した。
星は物質を破壊した。
星は始まりであり、終わりである。
星は自分の存在がために、循環方法を作る。
そして……人は星に抗う可能性を秘めた。
それでは始まります。
「行きます!」
ネプギアが先に動き出し、自分が持つ武器を振るう。
コルヴスはそれを軽々と受け止めると同時に俺は手に星の力を生み出す。
サジタリウスを構え、コルヴスに標準を合わせる。
「『流星』」
俺がそう呟いて、手を離した瞬間、光となってコルヴスに襲い掛かる。
コルヴスはそれに反応して、刀で弾く。
それも軽々と。
「だろうなぁ。だから、『スターライト』!」
矢はさっきよりも大きく、サジタリウスを構えると、放つ。
それは光となり、それが通った後は地面が抉れて、突風が吹き荒れる。
コルヴスはそれを刀で弾き、走り出す。
「人は色んな存在と対峙してきた。そのたびに退け、倒してきた。そう、化け物を倒すのはいつだって人間だ。だが、人間は『神』を殺す事は出来ない。それも星であり、神である存在を。生き物が住むべき『星』であり、全てを生み出した『神』のこの二つが合わさった俺たちには絶対に勝てない」
コルヴスはそういうと、刀を振る。
そこから起きた突風は俺に襲い掛かり、足に力を入れて何とか耐える。
だが、それと同時に顔や体に切り傷ができ、血が噴き出す。
まさか、鎌鼬を引き起こしたって言うのかよ!
「星の神の一太刀は星を斬り、二太刀で太陽系を斬り、三太刀で銀河を斬り、四太刀で次元を斬る。あくまで例えだが……本気でやればこの世界を斬る事なんて造作もない」
「それが幹部クラスの実力かよ!」
「人は星に、神に抗えない。服従しかないんだ」
コルヴスの目は何かを語っている様だった。
まるで、自分が人間の頃を思い出すかの様に。
「だから、浩平。お前の努力は無駄なんだ。お前の意思も無駄なんだ。どれだけ抗おうと、どれだけ星の力を手に入れようと、人間はそれを完全に引き出す事は出来ない。お前は十二星座の力を完全に引き出せない」
コルヴスはそういいながら、俺とネプギアの攻撃を弾いていく。
連続で攻撃を放っても、全て刀で弾かれる。
俺たち人間や女神は星の神には抗えないと物語るかの様に。
「諦めろ」
「ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ!」
「何……?」
俺は睨みつけながら、矢を新しく作り、サジタリウスを構える。
「人は星や神に抗えない?星の力を引き出せない?くだらねぇ。まったくもってくだらねぇ。いつ、人が星に抗えないと決めた。いつ、人が神に抗えないと決めた。いつ……誰が人は弱いものだと決めつけた」
「いや、そうなんだよ。人は劣等種なんだよ。完全な力も引き出せず、勿体ぶったまま終わる悲しい生き物だ」
「そんな事ありません!」
「!」
ネプギアが武器を振り下ろし、コルヴスは刀で防ぐと鍔迫り合いになる。
「人はそんなに弱くありません!浩平君の様に強い意思を持って、立ち向かう勇気を持っている!どんなになったって挫けず、どんな相手だろうと、どんな力だろうと立ち向かう覚悟があります!貴方にだってあったハズです!コルヴスさん……。いえ、淳平さん!」
「……」
コルヴスはネプギアの言葉に無言になりながら、刀を振るってネプギアを弾き返す。
俺は矢を引く弓に力が入る。
「人間は可能性の塊だ。無限の可能性を秘めている。その可能性はどこまでだって伸びる。そして、その可能性の先にあるものは……成長だ」
俺は矢を放つと、コルヴスは身構える。
だが、その矢は形を変え、そこから木のツルが大量に姿を現す。
それにコルヴスは驚き、大量のツルに絡みつかれる。
「こ、これは!?」
「サジタリウスの能力、『生』を司る力。『生命』を生み出したんだ。人は時に『神』すらも凌駕する。ナメてると、喰っちまうぞ!」
(! 狼……!)
コルヴスは驚いた様に俺を見ており、俺はサジタリウスを構える。
「人は勇気を持つから戦える!人は覚悟を決めるから前に進める!人は恐怖に立ち向かえるから成長する!強い意思を持つから行動に出る!それは人だけに言えた事じゃねぇ!お前等女神だって一緒だァァァァァ!」
「「「!」」」
「勇気をもって、恐怖を受け入れろ!覚悟を決めて、前進しろ!それができて、初めて成長という一歩を踏み出せるんだ!」
「浩平……お前は」
コルヴスの目は俺の言葉にどこか嬉しそうにしている目をしていた。
何で……なんで今になって、そんな目をするんだ。
見間違いじゃなければ……俺はその目を見た事がある。
ネプテューヌ達、姉が妹であるネプギアたちに向ける優しい眼差しそのもの。
何で、今になって……そんな目で俺を見るんだ。
そして、コルヴスは無理矢理ツルたちを引きちぎると、走り出す。
「お前は……やはり導き手だったんだな。迷う者を導き、悲しむ者を導き、止まった者を導く。お前はいつだって、皆の前に立つ存在なんだな」
「コルヴス……」
「お前が導いた者たちは新たな一歩を踏み出す」
コルヴスは俺目掛けて刀を振り下ろそうとした時、俺とコルヴスの間をビームが通り過ぎる。
それはネプギアの武器からだった。
アレ……銃と剣が一体化してるのかよ!?
カッコイイじゃねぇか!
「浩平君はやらせません!」
「……」
「……ラムちゃん、私達も戦おう」
「うん、浩平とネプギアばかりに任せてられない。私達で、コルヴスをやっつける!」
そう言った瞬間、ロムとラムは光に包まれ、それが消えると女神化した二人が姿を現す。
俺はそれを見て、ニッと笑う。
「お前の意思の強さは他を一歩前へと踏み出させる。お前は全ての存在においての先駆者だ」
「「アイスコフィン!」」
「……」
ロムとラムは氷の魔法を放ち、それがコルヴスに迫る。
だが、それを刀の一薙ぎで破壊し、俺へと迫りくる。
「だからこそ……お前は危険視される。先駆者となって、導く存在であるお前は。全てが見えてしまうお前は……」
「何をわけのわからねぇ事言ってんだよ!俺はどんな存在だろうと関係ねぇ!俺は俺、岩崎浩平だァァァ!」
俺はサジタリウスの矢を放つと、それは形を変え、鋼の刃へと変わる。
物質もまた生きているんだよ。
コルヴスは刀で弾きながら近づいてくる。
「死んでもらう!」
「サジタリウス!」
俺はサジタリウスでコルヴスの攻撃を受け止める。
星座を半分宿したおかげか、光の速度以上の攻撃が見えている。
そして、ユニをチラッと見る。
「浩平……」
「ユニィ!やれェ!」
「……!」
ユニは構え、標準を合わせると引き金を引く。
それは俺の頬をすれすれで飛んでいき、コルヴスの肩に直撃する。
それにコルヴスは驚愕し、そこから溢れ出してくる黒い光に苦しむ。
「うぐっ……攻撃が」
コルヴスはそれを見たと同時にユニを見る。
俺もユニの方を見ると、ユニの姿は変わっており、女神化した姿になっていた。
迷いは……なくなった様だな。
「もう迷いはないわ」
「やるじゃねぇの、ユニ。変身もおめでとさん」
「え?あ……ホントだ」
どうやら、変身している事に気付いていなかった様だ。
ネプギアたちはユニの元に集まり、嬉しがっている。
俺はそれを見て微笑むと、コルヴスを見る。
「コルヴス……。いや、淳平。テメェは本当に敵なのか?」
「……」
「お前の一瞬でも見せる目……。優しいんだ。太陽の様に暖かいんだよ。お前は本当は何か考えがあって、そっちにいるんじゃないのか?」
「……戯言を。全てのくだらない生物たちを殺す。それが星である俺たちなのにか?」
コルヴスはそういいながらも、嬉しそうな目をしている。
まるで俺たちの成長を待っていたかの様に。
「星は生命を生んだ。そして、星は生命に死を与えた。星は物質を作った。そして、星は物質を破壊した。この世は星が生み出した理に満ちている。人はその一部に過ぎない」
「……」
「だが、時にイレギュラーが存在する。浩平……お前の様にな」
「淳平……」
コルヴス……いや、淳平は微笑みながら、俺を見ている。
俺はサジタリウスからヴィルゴに持ち替えると、居合いの構えを取る。
淳平もそれを見て、居合いの構えを取る。
「ここからは星座もクソも関係ねぇ。俺たちは俺たち。男と男の一本勝負だ」
「あぁ。今の俺は星座でもない。人としての全力で行く」
「道が違えど」
「どこかで交わっていた道」
「相容れなかったのではない」
「お互いに譲れないものがあったから」
「「だから、その決着をつけるために、ここでお前を……喰らう!」」
「浩平君!淳平さん!」
俺と淳平は走り出す。
淳平は星の神としてではなく、人としての力で。
俺は一瞬で淳平の目の前に現れる。
(浩平は……強い!コイツは星座を宿しているからじゃない!全て、『素』の力なんだ!)
「ウオラァ!」
「くっ!(その一太刀は星をも壊す鬼の如く……!)」
俺は抜刀して振るった刀を、淳平は急いで刀を抜刀して防ぐ。
俺はそのまま力押しをして弾き飛ばし、走り出し、一瞬で後ろに回り込む。
(その速度は光をも超える狼の如く……!)
「ウオラァ!」
「くっ!」
俺はヴィルゴを振り下ろし、淳平は防ぐと同時に受け流し、俺に刀を振り下ろして斬りつけてくる。
「がっ!」
「浩平!」
深く斬られたが……問題はない!
そして、前を向いたと同時に淳平が目の前に来ており、刀で突きを放って、俺の腹を貫く。
俺は口から血を吐きながらも、その刀の刃を握り、抜けない様にする。
「なっ!(その生命力は不死鳥が如く……!)」
「つ~かまえた」
「くっ!」
淳平が刀を離そうとするのを見て、俺は拳を作ると、淳平の顔に叩き込み、殴り飛ばす。
それと同時に刀から手を離し、刀を持ったまま吹き飛んで、俺から抜ける。
淳平は地面を転がりながらも、何とか態勢を立て直して立ち上がる。
(そして……恐怖に屈せず、前へと進む強い意思を持つ者……)
「覚悟しろ、淳平。次の一発は痛いぜ?」
(人は……時に神をも殺す)
「うおおおおおおおおお!」
(何かを背負った者は……強くて)
俺は拳を作り、微笑んでいる淳平目掛けて走り出す。
「行っちゃえ、浩平ェ!」
「浩平お兄ちゃん……!」
「そのまま!」
「目を覚まさせてあげて、浩平君!」
「浩平が幹部を倒す時……ね」
「でも、兄弟で殺し合うなんて間違ってるです……」
四人の女神候補生が叫ぶ中、アイエフとコンパはそんな会話をする。
だが、笑顔の浩平と淳平を見ると、アイエフはため息を吐く。
「アレは殺し合いって言うより、『世界最大の兄弟喧嘩』よ」
やれやれという感じで呟いた。
「ウオラァァァァァ!」
俺は拳を前に突き出し、淳平はそれに反応して受け止めると、空いている手で拳を作って殴りかかってくる。
俺もそれを受け止め、お互い両手が塞がると蹴りを放ってぶつけ合う。
それは正しく双子とでも言いたいかの様に、お互いの行動が一緒だからだ。
そして、俺は蹴りをやめ、頭を後ろに下げると、淳平も同じ行動に出る。
それと同時に前へと突き出し、お互いの頭突きを放ってぶつけ合う。
ガンッ!という音が響き渡り、お互いの額から血が流れ出てくる。
俺と淳平はその状態で止まっており、お互い睨み合っている。
「動かない……わね」
「浩平君……淳平さん……」
ネプギアがそう呟いた瞬間、淳平はそのままずり落ち、地面へと倒れこむ。
俺は肩で息をしながら、淳平を見て、拳を上に突き上げる。
「俺の……勝ちだ。淳平……いや、クソ兄貴」
俺はニッと笑ったまま、額の血を拭うと歩き出す。
そして、ネプギアたちの元まで行くと、皆が俺に近づいてくる。
「浩平、勝ったわね!」
「凄い凄い!」
「浩平お兄ちゃんならできるって信じてたよ……」
「おう、ありがとよ。後は黒幕さんとネプテューヌ達を助けに行くだけだな」
俺はユニたちにそういいながら、何か言いたそうなネプギアに気付く。
きっと、淳平の事だろう。
「ネプギア、兄貴なら心配いらないぜ。今はちっとばかし眠ってもらってるだけだからよ。これが終わったら、俺……兄貴と暮らせる気がするんだ。だから、その時は一緒に説得してくれよな!」
「うん……協力する。浩平君のお兄さんを説得するのも。だから、今は!」
「あぁ、助けに行くぞ。お前達の姉貴たちを」
そう言って、俺たちはネプテューヌ達の元へと移動を開始した。
その時、気絶しているだろうと思われている淳平の指がピクッと動いたのに、誰も気付かずに。
どうも、風狼龍です!
如何でしたでしょうか。
ここで女神化させちゃったから、マジェコンヌ戦はオリジナルでいいよね。
兄弟喧嘩は浩平の勝利です!
人としてぶつかり合ったけど、人のスペックを軽く超えている浩平でした。
それではまた次回!