気付けば、お気に入りが大分増えてました!
嬉しいです!
それではどうぞ!
リーンボックスに到着してから次の日。
俺は頭をボリボリと掻きながら、大きな欠伸をする。
眠たい……。
兄貴に朝早く叩き起こされたため、眠気が来ているのだ。
と言っても、起こされたのは朝の九時。
普通なら起きている時間だろう。
だが、俺が普段起きている時間はもう少し起きているのだ。
そこ、寝すぎだとか言わない。
俺だって、こっちに来てからは早起きだからね。
早起きは三文の得とかいうけど、俺に起きるのは得じゃねぇよ。
むしろ、不幸しか起きない様な気がして仕方ねぇんだよ。
「まったく、だらしないな。相棒」
「まったく、お前が黒の星座か信じられないくらいの言い様だな」
「むっ、我は黒のままだが、純粋な黒だ。性格が少し光共と同じ方向に傾いてもおかしくはないだろう」
「まぁ、そうだな。あんな性格のままだと、俺が接しにくいわ」
俺はルプスを見ながらそう呟くと、目の前から兄貴が歩いてくるのが見える。
「おはよう、浩平、ルプス。起きたみたいだね」
「まぁな。叩き起こされれば、俺だって起きるわ」
俺はため息を吐く。
兄貴、さすがに俺をダメ人間扱いしすぎじゃねぇか?
いくら、俺がメンドくさがりで、最低限の事しかやらない不幸野郎だからってさ。
そうさ、例え鉄球が顔面に直撃しようと、隕石が直撃しようと、何かが脳天に突き刺さろうと、なぜか地雷があって、爆発する様な事が起きたり、たまに戦闘中で敵味方両方の流れ弾が俺に直撃するなどなどが起きる不幸体質だとしても……ヤベェ、泣けてきた。
自分で思っておいてなんだけど、俺の不幸体質って、ダメージばかりじゃん。
ラッキースケベとか呼ばれるものも何度かあったが、アレはラッキーとは言わん。
ただの不幸だ。
女性に叫ばれ、しばかれ、警察に連行されるだけの悲しいものだぜ。
あんなものは二次元だからこそ許されるんだよ。
あぁ、思えばネプギアとユニにもそんな事をしちゃったけど、俺……よく殺されなかったな。
いや、ユニには蜂の巣にされかけた様な覚えが……。
変に思い出そうとしない方が身のための様な気がする。
あぁ、何だろう……。
思い出しただけであの二人に凄い申し訳ない気持ちと罪悪感が込み上げてくる。
また謝っておこうかな……。
いや、待て……もう気にしてないであろう事を無理にぶり返せば、俺が酷い目に遭うだけでは……。
「ずっと、何を考えているんだ、相棒。過ぎた事などもう忘れろ」
「だぁ!?人の思考読むな!」
「ずっと考えてこんでいるお前が悪いのだ。というよりも、いつの話をしているのだ」
「まさか、お前……」
「あぁ、見ていた。お前の奥底にいたとはいえな……。いやぁ、なかなか面白いものだったぞ。光となっても、ジェミニどもの悪戯好きは治らない様だな」
ケラケラ笑う様に言うルプスと苦笑いを浮かべる兄貴。
俺はルプスに軽く怒りを覚える。
殴ってやりてぇ……いや、マジで。
人の不幸を見て笑ってるんだぜ?
「あ、そうだ」
兄貴は何かを思い出したかの様に言う。
そして、兄貴は俺を見てくる。
「そういえばさ、ベールさんどこか知らない?挨拶しようと思ったんだけどいなくてさ」
「さぁな。だが、別にいいんじゃねぇか?会った時で」
「う~ん……そうかもしれないね」
ありゃ、兄貴ならちゃんとしないと、とでも言うかと思ったが案外あっさりと納得したんだな。
まぁ、あの人の事だからネトゲーでもしてんだろうな。
とりあえず、今日は暇だし、何して過ごそうか。
ベールさんからは自由にしてくれとは言われたが、どうしたものか。
「ルプス、お前に乗ってどこか行くか」
「何で我に乗ろうとする。我は馬じゃないぞ!」
「いや、狼を乗り回すのもカッコイイじゃん。アニメとか漫画でもたまにいるじゃん」
「相棒の目が凄く輝いているのだが……」
「そこら辺は男の子だね……」
ワリィかよ。
でも、それってかっこいい気がするんだよなぁ。
だから、ルプス?
「ダメだ。頭で呼びかけても我は答えんぞ」
「いざって時はお前の足が頼りなのに」
「我を足とするな!戦闘の時は構わんが、日常で使うな。我はこれでも星座の中では最速なのだぞ?」
「え?そうなの?」
「あぁ、速度だけなら大幹部の十二星座よりも速かった」
やっぱ、そこら辺は狼なんだな。
スピードがある上に攻撃力もかなりある。
アレ……コイツ、結構強い?
「速いからと言って、攻撃が弱いとは限らんぞ。手数で攻めるのは苦手なのでな」
「アハハ……じゃあ、ルプス状態になった浩平の拳は狼の牙と爪そのものなんだね」
「ふん、いくら速くても、攻撃でダメージが通らなければ意味がないからな」
なるほどね、確かに一理あるな。
大体、力を極めた者は技が、技を極めた者は力が劣る。
その両方補っているって、ある意味強いな。
「二人揃えば、『心技体』だね」
「あ?どうしてだよ、兄貴?」
「うん?だって、浩平は精神力……心が強いじゃないか。どんなに深い闇に絶望に直面しようと諦めない鋼の心を持っている。まぁ、技術もルプスよりは上だろうけど、力は今のとこ、ルプスが上だしね。だから、二人合わせれば、『心技体』が揃ってるなぁって」
「今のとこって、俺は人間だ。コイツ等みたいに星砕く腕力とかは」
「いや、あるぞ。相棒……。星座と戦っている内に覚醒した様だが」
「……」
アレ、おかしいな。
俺って、人間ですよね?
列記とした人間ですよね?
人間の腕力で星砕く事ってできましたっけ?
何……俺の腕力もアイツ等と同じやろうと思えば星砕けるほどの腕力になってるの?
末恐ろしいわ。
「まぁ、幹部はそれ以上の力だ。例えようがないがな。ブラックホールを消し飛ばせるほど……でいいか?」
「規模でかすぎてわかんねぇよ!」
コイツ等の力おかしいんじゃねぇの!?
いや、星座って星だけどさ!
星と星を繋げて、見るけどさ!
まぁ、神話も存在するんだ。
それくらいできて、当たり前なのかもな。
俺はそう思いながら、ルプスの背中に乗る。
「って、オイ。何乗っている!」
「いいじゃねぇか。おぉ、もふもふだな。ラムとロムが気に入るのもわかる気がするな」
「たくっ……仕方ないな」
ルプスは諦めたかの様に呟き、歩き出す。
おぉ、快適かな。
ただし、お前の速度で走るなよ。
幹部クラスで亜光速なんだ。
お前、それ以上って……もう考え付かないからな。
「了解した。それでは淳平よ、我らは出かける」
「俺も軽く出かけようかな。このままジッとしてられないし、朝ごはん食べたいしね」
「んじゃ、一緒に行こうぜ」
「あぁ」
兄貴は俺の言葉に頷くと一緒に歩き出す。
そして、玄関の方まで来ると、偶然ベールさんと出会う。
「あ、ベールさん。おはようございます」
「あら、浩平君たちですわね。おはようございます。これからお出かけですの?」
「えぇ、まぁ……。そうだ、ベールさんも来ます?ネトゲばっかしてないで、たまには外にでも出ないと」
「そうですわね……。せっかく三人が遊びに来てらっしゃるんですから、私もお供しますわ」
「んじゃ、ルプスに乗ってください。後ろにでも」
「オイ、相棒!?何を勝手に」
「それでは」
「オイ!?緑の女神!?」
俺の言葉に答える様に俺の後ろに乗るベールさん。
それにルプスはため息を吐きながら、もういいという感じの態度をとる。
「珍しいな。お前なら何か言ってきそうなんだが」
「もう気にしないでおく。我が何を言ったところで無意味だとわかったからな」
「いや、忠告とかは聞くぜ!」
「この状況は無意味なのだな!よし、わかった!相棒の性格が大体わかったぞ!」
俺とルプスはそんな会話をして、それを見て苦笑いを浮かべる兄貴とクスッと笑うベールさんだった。
☆
しばらくルプスに乗って歩き、ルプスが珍しいのか、人の目が集まる。
まぁ、それに乗っている俺やベールさんにも視線が行くわけで。
更に女神のベールさんが来ていれば、余計に集まるわけで。
「目立ちすぎだな……」
「今更か!」
今更だよ、あぁ、今更さ!
だが、何が悪い!
「開き直るな!」
「別にいいじゃねぇか。乗り心地は良いんだし」
「それは主等だけだ!我は嫌だというのに」
「まぁまぁ。後でなんか奢ってやるから」
「ホントだな?」
「あぁ、ホントさ」
俺が頷くと、ルプスは「仕方ない」と呟いて歩き出す。
いやぁ、これは快適ですな。
にしても、緑が多いここはいいな。
「それにしても、ここも良い国だね。どの国もよかったよ」
「そう言ってくれると嬉しいですわ」
「前は襲撃で来ちゃっただけだからね。どういうところか満喫した事なかったし……。あ、あの時はその……」
「気にしなくてもいいの。あの時は仕方なかったんですから」
「……うん、ありがとう」
兄貴は一瞬顔を曇らせたが、ベールさんがそういうとホッとした様な安堵の息を吐く。
兄貴もまだ気にしてんだろうな。
まぁ、兄貴の性格考えりゃ、それが普通なのかもな。
その時だった。
ルプスが歩みを止め、俺たちはそれに反応する。
「どうした、ルプス?」
「相棒……何かがおかしいと思っていたのだが、さっきまでの人混みが消えているぞ」
「は……?」
俺はルプスの言った事に反応して辺りを見渡す。
すると、さっきまで人がいっぱいいた道は俺たち以外誰もいなくなっていたのだ。
まるで、最初からそこにいなかったかの様に。
それに俺たちは反応して、ルプスから降りるとベールさんもルプスから降りる。
確かにさっきまでいた人達が消えている。
「どういう事ですの?さっきまで人がたくさん」
「これは……黒星座の襲撃か?」
「いや……。違うな。このニオイ」
ルプスが鼻を動かしながら言う。
俺は少ししてからニオイに気付く。
このニオイ……ルーフス達と同じ、よくわからないニオイ。
別に臭い訳ではない。
ただ甘い訳でもなく、ツンとしたニオイでもなく、その人のニオイだというわけでもない。
本当に正体がわからない様に、ニオイでも正体がわからない様にされている様な感じなのだ。
だが、このニオイが来たって事は……正体はただ一人。
「ルーフス達の仲間か」
「正解です」
「! 上か!」
俺たちは声がした方……空の方を見上げると、そこには緑色のフードマントをしており、フードで相変わらず顔が見えない様にしている。
だが、そこから覗く緑色の瞳が光って見える。
何で、本当に目だけ見えるのか不思議だねぇ。
「お前は……何者だ」
「私ですか?私は『ウィリディス』と言います。以後、お見知りおきを」
緑色のフードマントの女性……ウィリディスは微笑んで見せる。
顔だけがわからないが相変わらず不思議だな、アレ。
「貴方は『表裏』を知り、『真実と虚無』を知った。次は何を知りたいですか?私から」
「彼女はルーフスの仲間……ですのね?」
「間違いないっすよ。あのフードマントが何よりの証拠ですし、顔を隠す理由はわからないですがね」
何故、わざわざフードマントをして、顔を隠す必要があるのかは俺にはわからないがな。
見られちゃやばい事なのか……それとも別の何かがあるのだろうか。
とりあえずはフードを取る事はないのが確かだ。
「もう一度聞きますよ。次は何を知りたいですか?」
「別に何かを知りたいとは……。アンタの質問の意味が見えねぇな」
「知識欲はそこまで強くない……。いえ、色々と知りすぎたからもうそこまでの欲がないというところでしょうか?」
「ん?」
この人は一体、何を言っているんだ。
「私は『罪と聖』の『ウィリディス』です。『欲望』とは生きる者なら持つ罪……大罪。貴方が知るのはそんな事。力を持つ者は『罪』を……『大罪』を背負う事となるという事を知る事になるのです」
そう言うと同時に俺たちの足元から地面が消え、穴が現れる。
また星の穴か!
「クソッ!こうやらねぇと歓迎できねぇのかよ、オメェ等は!?」
「こうでもしないと黒星座に気付かれるので……。それではまた向こうで会いましょう。七代目」
俺はウィリディスのその言葉だけを聞いて、ベールさんたちと一緒に堕ちていくのだった。
そして、穴が閉じると同時にいきなりそこに人混みが現れる。
まるで最初からいたかの様に。
ウィリディスはそれを空中から見てから、とある方向を見る。
そこには同じ様に宙に浮いているルーフスがいたのだ。
「それでは、私はあの子たちの元へ」
「あぁ、頼んだ」
それだけ言うとその場からウィリディスが消える。
それを見送ってから、ルーフスはフッと笑う。
「力を持つ事は『罪』を背負う事になる。だが……使い方次第で『聖』にもなる。さぁ、浩平……君はどれくらいの『罪を背負っている』?」
ルーフスはそれだけ言うと、その場から姿を消すのだった。
どうも、風狼龍です。
最後は『聖と罪』です。
それではまた次回!