序盤で何言ってんだ、この人とか思わせてすんません。
とりあえず、それではどうぞ!
俺たちは遺跡から戻ってきて、そのままリーンボックスの教会で一日を過ごした。
そして、次の日。
正直、色々ありすぎて疲れた。
一日休んだだけでも取れそうにねぇよ、この疲れ。
俺は頭をボリボリと掻きながら、ため息を吐く。
「相棒、ため息を吐くと幸せが逃げるぞ」
「これ以上、俺のどこから幸せが逃げるのか教えてほしいね。不幸体質の俺のどこから」
「意識的な問題だろ」
「そうか、意識的な問題か」
意識的にも不幸に見舞われそうだな。
そうなったら、俺もう鬱になるわ。
俺は立ち上がると、ヘッドホンをつけて部屋から出る。
「そろそろ帰るか。プラネテューヌに」
「ふむ、あそこか。我は相棒の中で十分見て回ったから問題ないな」
「まぁ、俺が住んでんのはプラネテューヌだし、兄貴がどこに住もうと構わないんだけどな」
俺は欠伸を一回して、ベールさんと兄貴がいるであろう広間の方の部屋へと向かう。
ここ数日……黒星座の騒ぎはなかったな。
珍しい事もあるもんだな。
それとも俺が新しい力を身に着けたから警戒しているのか?
まぁ、わかんねぇけど、平和なのは良い事だし、気にする必要はねぇか。
ただ……ここまで来ないとなると少し怪しい。
下っ端クラスがどれだけいるのかは知らないが、多くもないハズだ。
一等兵から三等兵まであり、後は幹部クラスだ。
後、下っ端は少しってとこか。
あまりにも下っ端がやられるもんだから、警戒しているのかもしれないな。
これ以上、戦力をそがれないためにも。
だが、下っ端クラスはほとんどは神話が存在しない奴らだ。
三等兵辺りから神話を持つ奴らが現れても不思議じゃねぇ。
実際にドラコは神話の力を持っていた。
三等兵から持っているとしたらかなり厄介だ。
幹部クラスは神話もあれば、その名の通りの能力を持つ奴らがいる。
となると、もう一人も大体想像がついてきた。
「まぁ、相棒。難しく考えなくてもいい。幹部クラスは確かに厄介だが、我もいる。それに女神共と淳平もな。後は頼りたくもないが、混沌者もな」
「あぁ……」
思えば、ずっと気になっているのはもう一つ。
秀司の正体だ。
アイツは混沌者だと言っているが、本当に何者なのだろうか。
星と混沌……関係はない様に思えるこの力。
なら、どこかで繋がっていると考えるべきなのだろうか?
確かに混沌の中に星の光は届かないが……。
「難しく考えたとこで仕方ないか……。アイツの事を知るには情報が少なすぎる」
「……我も同感だ。奴が混沌者以外、本当の正体は知らないからな」
「そうか……」
ルプスでも秀司の正体は知らないか。
本当に何者なのだろうか。
そう思いながらも、目的の部屋につき、俺たちは中へと入る。
そこには兄貴がいたが、ベールさんの姿はなかった。
「おはよう、浩平、ルプス」
「あぁ、兄貴……。ベールさんは?」
「あぁ、見に行ってきたんだけど……浩平の言う通り、ネトゲーしてたよ」
「やっぱりな……」
あの人、昨日あんな事が起きたのによくできるな。
俺はため息を吐くと、椅子に座る。
目の前には料理……兄貴が作ったであろうものが並んでいた。
ルプスは受け皿に入っているドッグフードを見て黙り込む。
「我は犬ではないと何度言えばわかるのだァァァァ!人の飯を食わせろォォォォォ!」
「仕方ないな……」
「相棒……!」
俺はルプスの前に座り込むととあるものを取り出す。
それは骨である。
それを見たルプスは黙り込み……口を大きく開いて、こっちに近づいて……って!?
「ぎゃああああああああ!?」
思いっきり口を閉じてきたので、俺はすぐさま横に飛んでかわす。
危ねぇ!食い殺されるところだった!
ルプスは軽く涙目でこっちを見てきている。
「我をナメてるだろ、相棒!」
「うん」
「素直にうなずくか!?コイツ、根は黒いぞ!」
「アハハ、今更知ったのかよ!」
「くっ、我も人の姿に変わる事ができれば」
現状維持で必死なルプスには狼姿がやっとなのだろう。
というよりも、人の姿を手に入れる事はできるのだろうか。
「星力が十分あればなれるんじゃないかな?」
「え?」
兄貴の言葉に俺は固まる。
思えば……星の力と呼んでいる『星力』は万物の力、森羅万象をも引き起こす事ができる力だ。
新たな体を作るのも容易なのではないだろうか。
何この力、魔力とかよりも恐ろしいんですが。
「そうか。そうだな。そして、相棒と共有している俺は相棒から少し星力を貰えば」
「やらん!お前が人の姿になれば、色々とややこしくなる!そのまま狼の姿でいろ!」
「いいではないか!我だって、この姿だと疲れるんだ!人の姿になった方がいい!前世でもそうだったしな!」
「知らないな!」
誰がやるものか。
コイツが人になれば、そりゃかなりの戦力になるだろう。
だが、お前に乗って戦うというのがなくなるだろうが!
「重要なのはそこなのか!?もしもの時は狼の姿にもなってやるから、星力をくれ!頼む!少しでいいから!」
「……ホントに少しでいいんだな?」
「あぁ、それでいい!」
「そんじゃ」
俺は少し……本当に少しだけ星力をルプスへと流し込む。
それを受け取ったと同時にルプスの体は光り始め、狼の姿から人の姿へと変わっていく。
それと同時にベールさんが入ってきた。
「あ、ベールさん。おはようございます」
「おはようございます、浩平。それで何が起きてるんですの?」
「今、ルプスが人の姿になろうとしてるんで」
「ルプスが?てっきり、なれないものかと」
「まぁ、俺が星力を少しあげたからでしてね。えぇ、ホントに『少し』だけですが」
俺はニヤッと笑う。
そして、光が消えるとそこには黒髪で紅い目、狼の耳と尻尾を持つ男の子が立っていた。
そう、ブランより少し低いくらいの年相応に整った顔立ちの男の子が。
「……相棒、少しとは言ったが、成人男性になれるくらいの星力を普通くれるものではないのか!?」
「いやぁ、そっちの方が面白いって。ロムとラムと遊ぶ時とかいいじゃん」
「相棒ォォォォォォォォォォォ!?」
ルプスは雄叫びを上げ、俺はそれに思わず笑ってしまう。
ヤベェ、とりあえず写メ撮って、これブランに送っておこう。
ルプスを見た事あるのはブランんとこくらいだからな。
「相棒!?なぜ写真を撮った!?」
「送信」
「どこに送信したァァァァァ!?」
ルプスは俺に掴みかかり、俺は笑いながらかわしていく。
「アハハ!ルプスを弄るのは楽しいなぁ!今までの不幸への鬱憤が晴れ晴れとするぜェ!」
「我でストレス解消するなァ!」
「微笑ましいですわね」
「アハハ、そうですね。それとベールさん、気のせいでしょうか。鼻血流して」
「まさか、ルプスが男の子になるとは思っていませんでしたので……。浩平×ルプスもありですわ!」
(あ、腐女子か)
兄貴の目がなんか納得した様な目でベールさんを見ている。
とりあえず、俺はルプスの片腕を掴んで宙づり状態にしながらベールさんに近づく。
「ベールさん、一日だけでしたが、お世話になりました。もう色々とありすぎて疲れたんで、プラネテューヌに帰ろうと思います」
「あら、そうですの?こっちでもうちょっとゆっくりしていけばいいのに」
「いえ、いいんです。それに……ネプ姉妹といた方がやっぱ、楽っすから。長い付き合いみたいな感じで」
「ようは遠慮なしで居れるって言いたいだけだよね?ノワールとブランのとこでも変わらなかったよね?普段通りだったよね?」
「ベールさんの前じゃ、無理なんだ。年上にはちゃんと敬意を払わないとね……」
「それらしい事並べて遠い目しない」
兄貴、さっきからツッコミが鋭いです。
そして、朝ごはんを食べ終えてから、俺たちは荷物を持って外に出ていた。
「それじゃ、お世話になりました」
「えぇ、それでは」
「また来ますよ、ベールさん」
それだけ言って、俺たちはバイクを走らせるのだった。
☆
そして、プラネテューヌに到着。
何?速いだって?
その間はどうしたとか、そういうのはな……気にするな。
「相棒、誰に言っているんだ」
「いや、誰にだろうな。俺、たまにあるんだよな」
「危ない人だな、完全に」
「酷っ!?」
俺だって、なんでこんな事言ってんのか、自分でもわかんねぇのに!
そして、俺と兄貴はプラネテューヌの教会につき、バイクを止めると、背伸びをする。
「久々のプラネテューヌだな。やっぱ、一番長い事いてたから、ここが落ち着くわ!」
「自分の国が一番って言う感じみたいなものだね」
「で、兄貴は色々と見て回ったが、どこか住もうと考えたのか?」
「う~ん、俺はしばらく浩平といたいし、浩平の考えと同じかな。俺もプラネテューヌがいいよ」
「そうか」
俺は微笑んで頷くと、こちらに歩いてくる人物が見える。
それはアイエフとコンパだ。
「よぉ!アイエフ!コンパ!」
「浩平と淳平じゃない。意外と早いわね。もっといるかと思ったわ」
俺が声をかけると、アイエフたちは気付き、話しかけてくる。
まぁ、普通そう思うだろうな。
「色々とあってな、疲れたんだよ」
「色々って、何があったです?」
「色々だよ、色々」
「そ、そうですか」
俺の遠い目を見てか、コンパはとりあえず頷いた。
すると、二人はルプスに気付く。
「浩平、その子はどうしたのよ?」
「ホントですね」
「あ、紹介するわ。オイ、ルプス」
「あぁ」
ルプスは頷くと俺と兄貴の一歩前に出て、アイエフとコンパを見る。
「我は『ルプス』という……。浩平の前世であり、『狼座』だ。以後、よろしく頼む」
「えぇ、よろしく……って、ちょっと待ちなさい。今、何て言った?」
「我はルプスと」
「その後」
「浩平の前世であり、『狼座』だ」
「「……」」
それを聞いて黙り込む二人。
そして、二人はすぐに下がって警戒する。
「まさか、黒星座……!」
「浩平さんの前世って一体、どういう事ですか……!」
「待て待て!落ち着け!」
俺はすぐに間に割って入り、今にも襲い掛かりそうな雰囲気を出しているアイエフと警戒しているコンパを止める。
「浩平!そいつは黒星座なんでしょ!というより、なんで一緒にいるのよ!?」
「いや、黒星座だけど!聞け!人の話を聞け!とりあえず、落ち着けってんだよ!」
俺がそういうと二人は身構えるのをやめる。
俺はため息を吐くと、二人に説明を始めた。
国を巡っている間に何があったのかを、そしてルプスの事を。
それを聞いて二人は驚いていたが、全てを聞くと納得してくれた。
「なるほどね。そんな事があったの……。そりゃ、疲れるわね」
「じゃあ、ルプスさんは味方なんですね」
「あぁ」
「それじゃ、よろしくです!ルプスさん!私はコンパです!」
「アイエフよ。さっきはゴメンなさい」
二人は自己紹介をすると、ルプスは軽くお辞儀をする。
ホント、コイツ変わったな。
そして、プラネテューヌの教会に入ろうとした時だった。
黒の気配を感じ、俺はすぐさま辺りを見渡す。
すると、後ろの方に一人の男が立っていた。
猫の様な尻尾と耳を持つ男。
その手には鋭利な爪を持っており、猫の爪の様だ。
そして、ニヤッと笑うと、手をこちらに向けて星力の球を放ってきた。
俺はそれに反応してヴィルゴを呼び出し、上空へと弾く。
もし、別の方向へと弾けば一般人に当たる可能性があるしな。
そして、さっきの出来事が起きた事により、さっきまで騒がしかったここは静かになり、そして……。
「きゃあああああああああ!」
一つの叫び声を引き金に逃げ惑い始める。
たくっ、街中で襲ってくるって初めてじゃねぇか?
そして、兄貴やアイエフたちも身構え、男の方を見る。
「いつの間に……」
「星座の奴ら、神出鬼没だからな。気付けばいますって言うのは当たり前かもな」
「それはそれで怖いです……」
「まぁ、奴らには移動手段があるからな。まぁ、下っ端にはないがな」
男は俺たちへと近づいてくると、ニヤッと笑う。
「見つけたぞ、導き者。女神共は一緒ではないのか……。まぁ、いい。俺の名前は『リンクス』!貴様らを引き裂き殺す者の名だ!」
「リンクス……『山猫座』か」
「ふん、下っ端か」
俺は星座の名を思い出すとルプスは軽く鼻で笑う。
お前、幹部クラスだからってそれは酷いだろう。
すると、リンクスはルプスに気付く。
「あ、貴方はルプス様……!?今までどこに!?」
「どこに?コイツの中にいたが?」
ルプスは俺を指さすとリンクスは驚く。
「ど、どういう事だ!」
「いや、生まれ変わりで十分か?」
「き、貴様がルプス様の!?」
一々反応がでかいな。
まぁ、下っ端か……。
勝てる自信はもうついてきた。
が、ルプスの力を使ってみるのもいいかもしれないな。
「ルプス」
「あぁ、わかっている」
ルプスは俺に近づくと黒い闇となって俺の中へと戻っていく。
俺はそれを確認すると、ニヤッと笑う。
「る、ルプス様!?一体どういう!?」
「テメェ等の仲間に伝えな!ルプスは俺の仲間だとな!」
そう言った瞬間、俺の瞳は瞳孔が縦になり、獣の様な瞳となる。
そして、黒の狼の耳と尻尾が生え、歯は鋭くなって牙の様になる。
「ルプス状態……。さぁ、晩餐会の時間だ」
「お、狼の耳と尻尾が」
「生えたです~!?」
「まぁ、驚くよね」
兄貴は苦笑いしながら、驚いている二人を見る。
「まぁ、行くぜ。うおおおおおおおおおおおお!」
俺は一度雄叫びを上げる。
それにアイエフとコンパは耳を塞ぎ、リンクスも塞ぐ。
「す、凄い!鼓膜が破れそう……!」
「み、耳が痛いです~!?」
「これが『狼の遠吠え』か……」
兄貴がピンピンしてるところを見ると、幹部クラスになるとそこまで意味をなさないのか。
いや、力の問題だろうな。
俺は身構えると、俺の両手に黒い刀身で、刃の部分が紅い三つの刃がついたクローが装備されていた。
これがルプスの武器……。
俺はクローを構えると、リンクスを睨みつける。
リンクスは耳が戻ったのか立ち上がると、俺を睨んでくる。
「殺して……やる!導き者ぁ!」
リンクスは走り出すと、一気に俺との距離をつめてくる。
やはり、下っ端クラスでも光の速度はあるのか。
それに動物関連の星座だから少し速い……が。
「狼とスピード勝負ってのは、凄い自信だな」
俺はリンクスの後ろに回り込んでおり、それにリンクスは驚く。
そう、先ほどまでそこに俺はいたのだ。
だが、瞬きもしない内にリンクスの後ろに回り込んだ。
「なっ!」
「星座の中じゃ、最速を誇った星座だぜ?勝てるとでも?ソラァ!」
「チッ!」
俺は右手を振り上げ、クローで攻撃するが、前に飛んでかわされる。
それと同時に俺の方目掛けて星力の球を放ってくる。
俺はそれを焦る事なく、手を伸ばす。
「浩平!?何してるの!?手が吹き飛ぶわよ!?いや、体が……浩平なら手だけね。とりあえず、手が!」
確かに星力は恒星並のエネルギーを持っている……下っ端クラスはな。
だから、その一発を人間が受ければ、跡形もなく吹き飛ぶ。
つうか、俺は手だけで済むって、どれだけ人外扱いなんだよ。
「心配ねぇよ。だって」
俺の手がリンクスの星力の球に触れた瞬間、それは消滅した。
それにアイエフとコンパは驚く。
「どんなものだろうと喰っちまうんだからよ」
「な、なにが起きたの……」
「こ、攻撃が消えたです……」
二人は驚きながら見ており、リンクスも驚いている。
俺は手を伸ばした状態でリンクスを見る。
「返すわ」
そう言った瞬間、さっきの星力の球が現れ、リンクス目掛けて飛んでいく。
リンクスに直撃すると爆発し、地面にクレーターを作り、周りの建物のガラスが割れる。
つうか、建物も微妙にヒビが入っている。
オイオイ、どんだけの威力のもんを放ったんだよ。
そして煙が消えると、ボロボロのリンクスが姿を現す。
体から血を流しながらも、俺を見てくる。
「クソが……クソがァ!最後の下っ端である俺がお前を!」
「それ誇れる様なもんか?」
「殺してやるぅ!」
リンクスは走り出すと、俺は身構える。
リンクスは俺目掛けて蹴りを放ってきて、俺は飛躍してかわし、リンクスの上を通ると同時に蹴りを叩き込む。
顔面に蹴りを叩き込まれたリンクスはそのまま倒れ、俺はすぐさま振り返って、右手のクローを振り下ろして、リンクスの腹に突き刺す。
「ぐあああああああああああ!」
「これでもう動けねぇよな」
俺はそういうと左手のクローを消して、拳を作る。
それにリンクスは気付き、目を見開く。
「や、やめろォォォォォォォ!俺が人間なんぞに!」
「晩餐の時間だ」
そう言って、拳をリンクスの顔面に叩き込む。
その瞬間、リンクスは俺の拳に吸い込まれていき、『捕食』される。
と言っても、まだ口の中にいるような状態だ。
「ごちそうさま」
そう言った瞬間、リンクスは消え去った。
つまり、かみ殺した様なものだ。
俺はルプスの状態を解除し、ルプスは人の姿で俺の中から出てくる。
「よし、特に問題はないな。というより、今まで以上に力が湧いてきたぜ」
「だろうな……。まぁ、これからは三等兵クラスが来るだろうから、頑張るぞ。相棒」
「あぁ」
俺は頷き、アイエフたちの元へと向かう。
そう、俺は護るために戦うさ。
俺は笑みを浮かべながら、歩いていくのだった。
☆
それを見ていた者……ルーフスはクスッと笑う。
「良い方向に行っているな。ルプスの力も良い様だ。七代目、導き者よ……。いや、『 』よ。お前の活躍、期待しているぞ」
ルーフスはそれだけ言い残すとその場から消えるのだった。
どうも、風狼龍です!
如何でしたでしょうか!
楽しめたのなら幸いです。
それではまた次回!