仕事……連勤で更新がなかなかできませんでした。
それではどうぞ!
髪は女の命って言うよね
夜……プラネテューヌの街道。
人通りがない道を一人の女性が走っていた。
肩で息をしながら走っており、その顔は何かから必死に逃げているというのが窺える。
女性は振り返り、追ってくる、とある存在を見る。
女性はそれを見ると、顔を青くして、前を向いて必死に走る。
逃げる様に走り続け、女性は角を曲がり、その少し先にあった角を再び曲がり、壁に背を当てて、その場に隠れる。
女性は肩で息をしながら、自分が通った道を覗く。
すると、そのとある存在がおり、辺りを見渡すと、そのまままっすぐと進んでいく。
女性はそれを見ると、安堵の息を吐き、目に涙を浮かべて座り込む。
「ハァ……ハァ……。こ、こわk「見ぃ~つけた」……え?」
女性は上から声が聞こえ、その声に反応して上を見ると、さっきまで追いかけていたものが浮遊してその場にいたのだ。
女性はそれに目を見開き、逃げ出そうとするが、恐怖で足が震えて立ち上がれない。
その存在は女性が逃げる事が出来ないとわかるとゆっくり近づいてくる。
「い、嫌……来ないで……」
「貴方の髪……綺麗ね。私にちょうだい?」
「い、嫌……嫌ァァァァァァァァ!」
女性の悲鳴が響き渡るのだった。
☆
「変な事件?」
俺はアイスキャンディーを加えながら呟く。
今、このリビングには俺しかいない。
兄貴は出かけ、ネプ姉妹は仕事へと行ったのだ。
ネプテューヌがイストワールに怒られてだがな。
それよりも、イストワールが急に何を言いだすかと思うと……事件ねぇ。
「ハイ、そうなんです」
「どんな事件?」
「それが女性ばかり襲われる事件でして……」
「変質者だからって、変な事件はなしで」
「誰もそんな事は言いません」
ですよね~。
イストワールがそんな事言うハズねぇわな。
俺とかじゃあるめぇし。
「その事件のどこがおかしいんですか?」
「それが襲われた女性は髪をなくなっているんです」
「つまり、切られたと?」
坊主になるまで?
なくなっているという事はそういう意味だろう。
何、髪フェチな変質者が犯人かもしれないじゃん。
何で、俺に話が回ってくるんだよ。
「いえ、違うんです。切られたというのではなく……毛根ごとなくなっているんです。その人達は」
「確かに、そりゃおかしいな……。無理矢理抜かれたとかじゃなくて?」
「ハイ。元々なかったかの様に綺麗に抜かれていたんです。襲われた女性たちはどれも髪が綺麗な人たちらしいです。誰もがもう生えてこないと医者から言われてから悲しそうにしていて……放心状態の方もいまして」
「髪は女性の命って言うもんな……。それを奪われるってのは、そりゃ悲しいし、苦しいよな……」
絶望に真っ逆さまだな。
で、結局は何が言いたいかはわかる。
「星座の仕業じゃないのか、という事だよな」
「ハイ。貴方の先代の導き者でも似た事件が起こりましたので……」
「ちなみにプラネテューヌだけで起きてる事件なのか?」
「いえ、ラステイション、ルウィー、リーンボックス……四つともで起こっている事件です」
「つう事はアレか?俺はそんなものを予測して、先回りしてやらなきゃならんのか?メンドクセェなぁ」
いくらなんでも難しいなぁ。
ルプスの探索能力でも、相手が出ない限り難しいし、その国の範囲しか無理だ。
別の国に星座が出現しては探索も意味がない。
「四つの国で起きている事件ですし、浩平さんでも難しいかもしれませんし、あまり無理は」
「しなくてもいいだろうなぁ。そうだな。俺でも四つの国を一気に、なんて無理だしな」
俺の体は一つだし。
それなら兄貴にも言って、別の国にでも行ってもらえばいいんじゃないか?
俺と兄貴で二分割して。
秀司もいりゃ、協力させるんだが、アイツは神出鬼没。
いつ現れるかもわからないし、飄々としているから、指定しても絶対やるとは思えない。
「しゃあねぇ……やるしかあるめぇか。よし、旅でも始めるか」
「え?四つの国を常に動き回るんですか?」
「まぁ、そうした方がいいと思う。兄貴にはこっちの仕事手伝ってもらってな。イストワールもその方が楽だろう?」
「それはそうですが……」
「大丈夫だろ。そん時はノワールとか、そこの女神に手伝ってもらうしな」
俺は微笑んでいうと、イストワールもわかりました、という感じで頷く。
さてと、数週間前に国巡りをしたばっかだが、次は常に動きながらか。
体力的にも、精神的にも問題はないからいいか。
『髪を奪う星座か……。大体予想がつくな』
あぁ、俺も思いっきり予想がついている。
これが星座の仕業なのならば、もうその星座しか当てはまらないだろう。
よりにもよって、メンドくさそうな星座だなぁ。
俺は立ち上がると、自分の部屋へと向かう。
旅立つために準備をしに行くのだ!
とりあえず……プラネテューヌで星座のニオイはないから、ラステイションに行くか。
俺はそう考えると、歩き出すのだった。
☆
で、俺はバイクを走らせてやってまいりました……ラステイション。
「さてと、まずは教会にでも行って、ノワールから話でも聞くか」
俺はバイクのエンジンを噴かすと走り出し、教会を目指す。
野宿の道具だって、一応は揃えている。
全てが街中で起きるとは考えにくいからな。
ダンジョンとかでも対応できる様にしておいたのさ!
「……誰に言ってんだろ、虚しくなってきた」
『我にじゃなかったのか?』
「うん」
『あ、そうか……』
寂しそうな声出すな。
そろそろマジでロムラム姉妹の元に突き出してやろうか。
『や、やめてくれ!もう疲れるのは嫌だ……。子供は元気すぎるな』
子供の元気に負けていいのか、この星座の神は。
まぁ、子供モードにはなれるんだから、大丈夫だろう。
『大丈夫じゃない!』
大丈夫だ、問題ない。
『それはフラグだァァァァァ!?』
何で知ってんだ、コイツ。
あ、俺の中で色んな情報を見てきたんだっけか。
ネタの知識とかもあるわな、そりゃ。
そんな会話をしている間に教会に到着した。
前もって連絡は入れているから問題はないだろう。
俺はバイクを教会の前に止めると、中へと入る。
ルプスも子供の姿で現れ、俺の後に続く。
そして、エレベーターに乗って、ノワールがいる階へと向かう。
「思えば、ルプスはノワールとユニとは初めて会うんだったな」
「あぁ。だが、相棒の中で見ていたからな。どんな奴らかは知っている」
「そりゃ、そうか」
まぁ、コイツとは一心同体の様なもんだし、今更だよな。
俺が得た情報をコイツは全て知っている。
コイツが持っている情報は見れないが、得た情報はわかる。
だからこそ、分かれて調査してもいいのだが、いざって時にルプスの力が引き出せないのは困る。
それにコイツ自身も俺が近くにいなけりゃ、星力を供給できないので、なくなったら戦えなくなる。
だからこそ、俺たちは離れる事ができないのだ。
敵が現れたら、ルプスはすぐに俺の中へと戻る。
分割されても別に困らないが、ルプスがやられたら、ルプスの力を使えなくなる。
「我だって、元幹部だ。そう簡単にはやられん」
「ハイハイ」
そう言い合っていると、エレベーターが目的の階に到着し、扉が開く。
そこにはノワールがいて、待ってましたという様な目で俺を見てくる。
「よぉ、ノワール。久々だな」
「久々って、前にも会ってるじゃないの」
「おう、そうだな。じゃあ、お邪魔してるぜ、嬉しそうな顔したノワールさん」
「べ、別に嬉しそうにしてないわよ!」
いや、顔が嬉しそうなんですが。
お前、どんだけぼっちなんだよ。
友達が来ただけで、見てわかるほど笑顔だぞ。
これを嬉しそうな顔と言わずに何というか。
そして、ノワールはルプスの方を見る。
「貴方が浩平が言っていたルプスね。子供の姿になるなんて」
「相棒のせいだ。元はちゃんとした大人の姿だ」
「いいじゃねぇか、ロムラムと仲良くするにはこれくらいがいいって」
「相棒、我に思いっきり相手を押し付けるつもりだろ」
「Yes!」
「コイツは……」
ルプスは額に青筋を浮かべ、拳を握って震わせているが無視だな。
とりあえず、ノワールから事件の話を聞かないとな。
「ノワール、ラステイションでも髪が奪われる事件が起きているんだろ?何か情報はないか?」
「残念ながら……正体も掴めてないわ。だけど、これは星座の仕業なんでしょ?」
「あぁ、恐らくな」
「髪に拘る星座なんているの?」
「拘っているかはわからないが、髪に関連する星座ならある」
「それはどんな星座よ?」
まぁ、合っているかはわからないが、教えても構わないか。
「その星座は『髪の毛座』だよ」
「か、『髪の毛座』?髪の毛って、この髪の毛?」
ノワールは自分の髪を手で持ち上げ、それを指さす。
俺はそれに頷くと意外という顔をする。
「そんな星座もあるのね」
「文房具の星座もあるほどだぞ?こんなもので意外と思っていたらいけねぇよ」
「相棒のいう通りだぞ、黒の女神よ」
「わ、わかってるわよ!だけど、その星座なら納得いきそうね」
「とりあえず、現れるのは夜だと聞いている。俺はずっとプラネテューヌにいたからな。まぁ、その時間帯は寝ていたが、ルプスが何度か感じ取った事もあったらしいし。つい最近も感じ取ったらしいからな。次はここかもしれねぇし」
「なるほどね」
俺がそういうと納得した様にノワールは頷く。
そして、エレベーターの扉が開く音が聞こえ、見てみると、そこにはユニがいた。
「よぉ、ユニ」
「あ、浩平。もう来てたんだ」
「あぁ、まぁな。事件の調査で今回は大忙しだよ。たくっ、メンドクセェのになぁ」
「そう言っても、浩平か、淳平さんがいないと太刀打ちできないし」
ルプスから聞いた話だが、女神たちが光の速度やそれを超える速度で動く星座を感じ取れるのは俺が近くにいるからだそうだ。
導き者はその世界の守護的存在などと共同するため、影響を与えるらしい。
まぁ、見える様になってないと厄介だしな。
「まぁ、やるしかあるめぇよ。星座の奴らを倒して、追い払わないといけないしな」
「メンドくさがりな浩平にしては珍しいわね」
「メンドくさがってばかりもいられねぇんだよ。星座に関してはな……」
俺も襲われるし、コイツ等も襲われる。
ダチは護り抜かないとな……。
もう二度と亮とほのかを失った時の様な後悔はしたくないからな。
だからこそ、この世界では護り抜いてみせるさ。
「こ、浩平!」
「ん?なんだノワール」
ノワールに呼ばれたので反応して振り返る。
少し不機嫌そうな顔をしているノワールがいた。
え?何?少し、ユニと仲良くしてただけじゃん。
もしかして、それだけ寂しがりましたか?
どんだけだよ……オイ。
「敵は夜に主に行動しているそうだし、お、お茶でもどうかしら!」
「ん?あぁ、そうだな。ずっと動く気もねぇし、ゆっくりできるならいいぜ」
「そ、そう!なら、用意するわ!」
嬉しそうにしながら準備を始めようとするノワール。
……まぁ、嬉しそうで何よりだよ。
こんな俺が友達でいいならさ。
「友達以外にもありそうだがな……」
「なんか言ったか、ルプス?」
「いや、別に」
毎度ながら、コイツ……たまに独り言呟いてんだよな。
ユニはルプスがいるのに反応して、ルプスを見る。
「貴方はルプス?」
「あぁ、如何にもそうだ。我が相棒……浩平の生まれ変わりである、『狼座』のルプスだ」
「貴方はまだ黒星座だと聞いたけど……浩平に影響はないの?」
心配してくれてなのか、ルプスにそれを訪ねる。
「あぁ、問題はない。我の闇はアーテルから聞いているだろうが、言うならば『純粋な闇』だ。全てを飲み込む危険な闇ではない」
「俺だって、何度かルプスの状態になっている。だけど、影響が出てねぇってところは大丈夫なんだろうよ」
「そう。なら、いいわ。これからよろしく、ルプス」
「あぁ」
ルプスは頷くとユニと握手をする。
そして、ユニはノワールが行った方へと歩き出す。
「お姉ちゃんの手伝いをしてくるわ」
「おう、了解」
俺はそういうとユニはノワールの元へと向かう。
俺はそれを見てから、軽く微笑むと、外を見る。
「さてと、事件の犯人が『髪の毛座』ならどんな能力なのかだな。ルプス、知っているか?」
「……さぁ、どうだったかな。我の管理外だったからな……。能力までは知らないが、階級は知っている。奴は三等兵だ。それも三等兵の中でも上の方だ。かなり強敵だぞ」
「……そうか。それだけ知れりゃ十分だ。俺は七つの星座とお前がいるんだ。後、目覚めてない星座も五つある……負けねぇよ」
やるだけやって、星座たちを倒してみせるさ。
例え、この命を捨てる事になろうとな……。
「……まぁ、そういう覚悟をしている奴ほど凄い力を発揮するものだ。その想いと覚悟、忘れなければ、相棒は強くなり続けるさ。相棒の成長速度は異常だからな」
「そうかい……」
俺は微笑むと、呼ばれる声が聞こえて振り返ると、準備を終えたノワールとユニが目に入る。
さてと、そんじゃ……髪の毛座と戦う前の一休みと行きますか。
俺はそう考えると、二人の元へと歩き出した。
という事で髪の毛事件編です!
それではまた次回!