というわけで髪の毛座の事件を追います!
それではどうぞ!
夜……。
俺は仮眠から目を覚ますと、目を擦りながらも起き上がる。
夜の調査だから、それに備えてお茶を飲んだ後、すぐに眠ったのだ。
俺は借りた部屋から出ると、俺の体から闇の球が出てきて、それが人の形になるとルプスの姿へとなる。
「よく眠れたか、相棒?」
「あぁ、まぁな。星座の反応は?テメェが出てきたから、俺は反応できねぇんでな」
「相棒の鼻や耳はよく利くとはいえ、我並ではないからな」
「国一つを探索できる鼻と耳なんて人間じゃ無理だからな」
「我は星座だからな」
「ハイハイ、さすが神様だな」
ルプスは自慢げに言って、俺はため息を吐く。
まぁ、コイツがいれば、犯人をすぐにでも見つけられるだろう。
俺は外に出ると背伸びをしてから、辺りを見渡す。
「お、いたいた」
俺はノワールとユニを見つけて二人に近づく。
二人も俺に気付いて、こちらを見てくる。
「遅いわよ、浩平」
「そうか?深夜に犯人は動いてるんだし、これくらいの時間じゃね?」
「知らないわよ。けど、犯人を早く見つける必要があるんだから、少しは早く起きなさいよ」
「メンドクセェ」
「こんな時までメンドくさがってどうするのよ……」
ノワールはため息を吐きながら、俺に言ってくる。
こんな時でもマイペースで行くのが俺なのさ。
ルプスは辺りを見渡しながら、鼻を動かしながら探っている。
「ルプス、どう?」
「黒の女神候補生か。今のところ、ニオイはしないな。星の残り滓のニオイはするがな」
ルプスはユニにそういうと、また探す様に鼻を動かし始める。
「敵の探索はルプスに任せるとして、相手が髪の毛座だった場合だな……。一体、どんな能力を持っているかが謎だな」
「やっぱり、髪に関する事じゃないかしら?」
「髪に関する事か……」
ノワールの言う事もわかるが、そんな単純だと考えていいのだろうか。
俺の持つレオの様に、想像とは違う能力の可能性もある。
やはり、獅子と言えば攻めの様な武器に思えるが、盾という護りの武器であった。
これは神話が関係している事もあるのだが。
神話から能力が生まれていると考えられる可能性もあるが、髪の毛座の神話から考えても、難しい。
ならば、やはり髪に関する能力なのだろうか。
「浩平はどう思っているの?」
「……。俺もそう思うな。相手の髪を毛根から抜く事が可能なほどだしな」
ユニの問いに俺は自分の考えを言う。
まぁ、そのまま人を殺さないのは髪の毛座の気紛れなのか、目的が髪だけなのか。
それはよくわからないが、結構変わり者の星座なのかもしれない。
いつぞやのロリコンの星座みたいなのかもしれねぇな。
……髪フェチの星座?
ヤベェ、変態にしか思えない。
もし、そんなのが敵だったら色々とメンドクセェなぁ。
変な事言ってきてそうだ。
それと同時にルプスがピクッと反応し、辺りを見渡す。
「見つけたか?」
「あぁ、このニオイ……予想通りだな。髪の毛座の仕業だ。それに……誰かを追いかけている。このニオイ、女だな……」
「人が襲われてるのね!すぐに案内して!」
「わかっている。それに相棒はともかく、お前達が走っては間に合わん」
ルプスはそういうと体を闇で体を包むと、その姿は人の姿ではなく、狼の姿へとなる。
確かにルプスは星座の中で最速を誇る。
コイツに乗れば、すぐにつくだろう。
一秒も経たない内に。
初めて、狼としての姿を見たノワールとユニは驚いた顔をしている。
「これが貴方のもう一つの姿なのね……」
「あぁ、そうだ。さぁ、早く乗れ。黒の女神姉妹よ」
「わ、わかったわ」
二人はルプスの背中に乗り、それを確認すると、俺も走る態勢を取る。
「こ、浩平は乗らないの!?」
「大丈夫だ、問題ない。ルプスほどのスピードは出ねぇが、すぐに追いつく」
「そういう事だ。我は亜光速を超えるスピードで動くからな。光速までしか出せない主では追いつかないわけだ」
「光の速度って……私達の体が耐えられないわよ」
「何、心配ない。星の力で影響がない様にしている。後はお前達が我にしっかり掴まっておけば問題ない。振り落とされたくはないだろう?」
ルプスはそういうとノワールとユニはルプスの毛をギュッと掴む。
ルプスはそれを確認すると、駆けだす態勢へと入る。
俺はそれを確認すると、俺も走る態勢を取る。
そして、同時に走り出し、ルプスは俺の前を走っていく。
俺は一瞬はルプスを見失うが、すぐにニオイで後を追って、到着する。
一秒も経つ事なく、目的の場所に到着すると、俺はすぐに辺りを見渡す。
左の方に尻餅をついて、涙目でいる女性、右の方には追いかけていただろう髪の長い女性がいた。
「あ……あぁ……」
「導き者……それに裏切者と女神共……」
「よし、お前が犯人なのは確かだな」
涙目の女性はいきなり現れた俺たちに驚いていて、声がうまく出ていない。
いや、追われていた恐怖からもあるのだろう。
ノワールはルプスが走り出してから、ワープかと思えるほどの速度でついていたのに驚いていたが、すぐにハッとすると、ルプスから降りて涙目の女性に近づく。
「貴方、大丈夫?」
「あ、の、ノワール様……。は、はい……!」
「そう、よかったわ。早く逃げなさい!ここは私達がどうにかするから!」
「あ、ありがとうございます!」
そう言うと女性は走り去っていき、それを見た髪の毛座であろう女性は舌打ちをする。
「邪魔しないでくれる……?後、少しであの子の髪を貰えたのに」
「お前がやっぱり、今回の異変の犯人だな。テメェ、一体何座だ?」
「私?わかっている癖に聞くの?」
髪の毛座であろう女性はクスクスと笑うと、不気味な笑みを浮かべる。
「私の名前は『コマ』……。貴方達が予想している通り、『髪の毛座』よ」
「やっぱりな……。だろうとは思っていたが、髪の毛を集める趣味があるのか?」
「まぁ、そういう事でいいわ……。私が美しい髪を集める理由は私の髪を更に美しく、綺麗にするため。そして、髪を失った事になって抜け殻の様になった人間たちを見て、楽しむためよ」
「地味に嫌な方法だな」
女性にとっては辛いだろうにな。
男だって、ハゲてるとか言われると、精神的にキツイのにな。
……俺、将来ハゲたりしないよな?
何か……嫌な予感がする。
いや、でも、髪は薄毛じゃないし、大丈夫な……ハズだ。
……髪の手入れ、今度からしてみようかな。
ルプスは人の姿へとなると、俺の隣に立つ。
「ふん、所詮は雑魚がする事だ。嫌がらせ程度しかできんのさ」
「うるさいわよ、裏切者」
「裏切者とは心外だな。我は面白い奴の方につく。コイツの方が面白いから、我はコイツについたのさ」
「今では、強大な闇さえも感じられないわね。逆に……変わった闇を持ったわね」
「まぁ、相棒のおかげだがな。この闇も悪くはない」
ルプスはクスッと笑うと、ノワールとユニは武器を構えて、コマを見る。
「黒星座、これ以上被害が出る前にここで止めるわ!」
「それに奪った髪も返してもらうわ!」
「嫌よ。私の髪がここまで綺麗に……『強くなった』んだから」
そう言うと同時に髪が生きているかの様に動き出し、髪が伸びて襲い掛かってくる。
コイツ、髪が武器なのか!?
ルプスはすぐに闇の球になると、俺の中へと戻り、俺はヴィルゴを呼び出すと、ヴィルゴで髪の毛を受け止める。
髪の毛はヴィルゴに巻き付き、綱引きの状態となる。
「髪が巻き付いたァ!?」
「フフフ……」
そこから髪の毛一本一本が動いて、俺の顔目掛けて伸びてくる。
そして、鋭く突きを放つ様に伸びてくる。
俺は顔を右に動かしてかわし、ヴィルゴを消してから、再びヴィルゴを呼び出して、後ろに飛んで距離を取る。
「『髪を武器にする』能力か?本当に見たまんまだな……」
『……』
「フフフ、そう思いたければそう思うがいいわ。本当の能力なんて普通は教えないものよ」
まぁ、そうだよな。
サジタリウスの射撃やアクアリウスの液体操作の様にそれが基本能力だという可能性がある。
となると、奴の能力は本当に一体、何なのか。
それが謎だな……。
まぁ、今は……奴を倒すのに集中しよう。
とりあえず、接近は危険だな。
俺はヴィルゴからサジタリウスへと変えると星の矢を生み出す。
「次はサジタリウスね……。少し私には厄介ね」
「だろうな。髪の毛が届く前にサジタリウスの矢がそれを焼き切るぜ?」
俺はニヤッと笑うと構える。
すると、ユニが隣に立つと同じ様に銃を構える。
「ユニ……」
「私も遠距離の武器よ。なら、私も一緒に戦った方がいいでしょ?」
「ありがてぇ。ノワールは隙をついて攻撃してくれ!」
「わかったわ」
ノワールは頷くと女神化して、ブラックハートへと姿を変える。
ユニも女神化をし、ブラックシスターへと姿を変える。
「さぁ、晩餐会の時間だ」
俺はそういうと星の矢を放つ。
その星の矢はそこから分裂していき、百くらいに分裂する。
その矢が一気にコマに襲い掛かるが、コマは髪の毛一本一本を器用に動かし、星力を纏わせた髪の毛で次々と星の矢とぶつけて相殺していく。
そして、最後に一本を弾こうとした瞬間にビームが飛んできて、ビームを弾く方へと動いてしまい、星の矢はそのままコマに襲い掛かる。
そのビームを撃ったのはユニであり、ユニは銃を構えたまま、集中している。
迫りくる最後に一本を弾こうとするが、次々とユニが撃って、妨害していく。
「邪魔を……するなァァァァ!」
「邪魔をするに決まってるじゃない!」
そう言って、ユニは次々と撃ち、髪の毛はそれを弾く事に集中してしまう。
女神化した攻撃とはいえ、相殺はできない。
星と神が合わさった存在なのだ。
女神の攻撃で相殺は難しいだろう。
だが、妨害はできる。
星の矢なら星の神に対しても大ダメージをくらわす事ができるのだから。
そして、星の矢はコマの腹部に刺さり、そこから血が出てくる。
「うぐっ……!」
『むっ……?』
「ノワール、怯んだ!今の内に!」
「わかっているわ!」
そう言うとノワールは一気に距離をつめて、剣を振り下ろす。
それが直撃し、体に縦の傷ができると血が噴き出しながらも、後ろに下がって後退する。
「ぐっ……カハッ!」
「……?」
コマは口から血を吐きながらも、俺たちを睨んでくる。
……おかしい。
何か、何か違和感がある。
だが、その違和感の正体がわからない……なぜ?
「導き者、このままじゃ終わらない!」
そう言うと髪の毛は周りにあるもの……電柱やポストなどを折って持ち上げる。
髪の毛で持ち上げるって、マジかよ。
「オイオイ、髪の毛でそんな事は普通できねぇよ」
「私は星座の神よ……。不可能なんてないわ!」
「チッ!ノワール!ユニ!俺の後ろに来い!」
二人は俺の声に反応すると、すぐに俺の後ろに移動する。
そして、俺はサジタリウスから盾のレオへと持ち替えて、足に力を入れて身構える。
レオに次々と電柱や信号機などがぶつかってくる衝撃が伝わってくる。
そして、攻撃が止むと同時に俺はレオからカプリコルヌスへと持ち替えると、俺はそれを持って突進していく。
「くっ!来るなァ……!」
コマは俺目掛けて無数の髪の毛で襲い掛かってくる。
俺はそれをかわしながら、突進していき、コマの目の前まで来た瞬間、突きを放ち、腹部を貫く。
そこから血が流れてきて、コマは大きく目を見開くと口から血を吐く。
「導き者ぁ……!」
コイツ、本当に三等兵に属しているのか?
三等兵相手だと、俺は苦戦する。
勝てる時もあれば、負ける時もある相手だ。
少し余裕がある……。
やっぱり……何かおかしい。
何処か違和感がある。
他にも違和感を感じている……。
「貴様を……道連れに……!」
「……」
俺はカプリコルヌスからヴィルゴへと持ち替え、横薙ぎに振るう。
空間に横に斬れた跡ができ、その空間がずれるとコマの体も横にずれる。
そして、空間は元に戻り、コマは血を噴き出しながら倒れる。
俺はそれを確認すると、血の雨を浴びながら、ノワールとユニの元へと歩く。
ノワールとユニは女神化を解除する。
「……」
「今回は早めに倒せたわね」
「……あぁ」
「? どうしたの、浩平?今回はほぼ無傷で倒せたのに」
「……いや、何でもない」
ユニが心配そうに俺を見てくる。
ノワールも首を傾げながら、俺を見てくる。
違和感が……あった。
いや、違和感というより……この感じは何処か、昔に感じた感覚だ。
俺は浴びた返り血をアクアリウスの水で流すと、ノワールとユニを見る。
「さぁ、帰ろうぜ。せっかく早く終わったんだ……。さっさと帰って寝たいからな」
「昼間に寝たのによく眠れるわね……」
「人間は……夜行性じゃないんでな」
「女神もよ」
ノワールの言う事もごもっともだ。
俺たちは歩き出すと、教会へと帰っていく。
でも、どうしてだろうか。
星座を倒したというのに、喜べない。
いや、相手を殺して喜ぶのはどうかと思うが……どうしてか倒したと思えない。
何故だろうか……それどころか、どこかで……この感覚が久々な感じがしてならなかった。
俺は妙な違和感を感じながらも、その場を去るのだった。
コマの……がピクッと動いている事に気付かずに。
ルプスはすでに眠りについていて、気付かなかった。
どうも、風狼龍です!
気付けばお気に入りが百を突破してました!
これからも楽しんでいただける様に頑張りますのでよろしくお願いします!
それではまた次回!