これで目覚めてない星座は残り四つ!
それではどうぞ!
「キャンサー……蟹座?この土壇場で!?」
コマは焦りを覚えたのか、俺を睨みつけると、手をこちらに向けて星力の弾を連続で撃ち出してくる。
俺はそれを見ながらも、突っ込んで行く。
「浩平!?危ないわ!?」
「問題ねぇよ。分離!」
俺がそう言った瞬間、キャンサーの鋏はガキャン!と言う何かが外れる音が響き渡る。
俺は左右の持ち手を持ち、左右にずらした瞬間……キャンサーは鋏から双刀へと変わったのだ。
「ぶ、分離した!?」
「切り裂く!」
俺は剣となったキャンサーを振るい、次々と星力の弾を斬っていく。
真っ二つに斬られた弾は爆発せず、そのまま消滅してしまう。
それを見たコマは舌打ちし、俺は二つを合わせて、元の鋏の形態へと戻す。
「もしかして、キャンサーの能力は二種類の武器っていう事なの?」
「いや、違う。鋏の形状だからな。ほら、鋏の中央の止めてる部分あるだろ?あそこ取ったら、剣みたいな感じになるじゃん」
「じゃあ、それは武器に備わってた機能ね……。じゃあ、能力は?」
「さっき見せたじゃねぇか。星力の弾が斬った後、爆発しなかっただろ?それは能力を使ったからさ」
俺はニヤッと笑うと、コマを見る。
まぁ、なんてたってキャンサーの能力はコマにとっては天敵だもんな。
「キャンサーの能力は『全てを切り裂く』能力!どんなものだろうと、コイツの前では無意味だぜ!」
「見た感じまんまね……って、それと爆発しなかったのがどう関係してるのよ?」
ノワールの言う通り、能力で切り裂いたとしても爆発するだろう。
だが、さっきも言った通り、全てを切り裂く力だ。
俺はキャンサーを肩に担いだ状態で、ノワールを見る。
「そのまんまさ。『全てを切り裂く』力だぞ?つまり……『力そのものを切り裂いた』んだよ。そして、念のために『爆発する概念』も切り裂いてやった」
「なるほど……力そのものや概念を……え?」
「ん?」
「え?いや、え?」
「んだよ?そんなに目を白黒させて」
「させるわよ!?概念を切り裂いたってどういう事!?まだ、力なら納得いくわ!だけど、概念そのものを切り裂くって、ありえないわよ!?」
あぁ、そこまで大声で言わなくても。
まぁ、概念を切り裂くっつう事は『理』自体を切り裂いている事になるからな。
コイツ等、理やら、森羅万象やら生み出した星そのものだし、可能だろう。
「コイツ等は星座だ。それくらいできてもおかしくねぇよ」
「いや、それを普通に扱う浩平もありえないわよ……」
「まるで俺が人じゃないみたいな言い方だな」
「あら?違うの?」
「テメェ……!」
コイツ、バカにしてるだろう!?
そうこうしている間に後ろから殺気を感じ、俺は振り返る。
コマが髪をうねうねと動かし、剣や槍の形状などに変えていたのだ。
そんな髪がうねうね動いているのだから、ちょっとホラーっぽいな、オイ。
「私を無視するな……!」
「まぁ、落ち着けよ。綺麗にカットしてやるからよ。あ、もちろんスキンヘッドへとな」
「できるものならやってみなさい!」
コマはそう言って、髪の剣や槍で攻撃をしてくる。
俺はキャンサーを両手で持つと、走り出す。
そして、鋏と同じ要領で開き、振り下ろされてきた髪の剣を切り裂く。
切り落とされた髪は黒い星の光となって消滅し、斬られた部分からも黒い星の光が溢れ出してきている。
「ああああ!?私の髪が!?髪がァァァァァ!?」
「生えてくる事はない。キャンサーによって切り裂かれたんだからな」
「まだ……。まだよォォォォォォ!」
コマは槍の髪で突きを放ってくる。
俺はそれをキャンサーで受け止めて、鍔迫り合いの状態になる。
「蟹座の力に目覚めたくらいで!そんな裏切者の力くらいに!負けるハズがない!たかが人間なんかに!」
「だから、毎回毎回言わせんな……。人間、ナメてんじゃねぇぞ!」
俺はキャンサーを持つ手に力を入れて、槍の髪を上へと弾き、鋏を開いて、それで槍の髪を切る。
さっきと同じ様に切り落とされた髪は消え、傷口からは黒い星の光が溢れ出す。
それにコマは苦虫を噛み潰したかの様な表情を浮かべ、俺を睨みつけてくる。
「私の……。私の自慢の髪を!よくもォォォォォォ!」
「オイオイ、テメェでやっといて、そりゃねぇだろ?」
俺は苦笑いを浮かべながら言うと、鋏を分離させ、双剣の状態にして走り出す。
「串刺しにしてやるわ!導き者ァァァァ!」
そう言って、髪を触手の様に動かし、鋭い突きで放ってくる。
髪の攻撃速度まで光速なのは驚きだが……見えないわけじゃない!
「コマァァァァァ!」
俺は次々と双剣となったキャンサーを振るい、髪を切り裂きながらコマに近づいていく。
コマは俺が近づいていく度に猛攻が激しくなる。
「く、来るなァァァァァ!私の髪を切り裂くなァァァァ!」
「なら、攻撃しなきゃいいだろうが!」
俺は切り裂きながらも、コマに近づく。
コマは手をこちらに向けると、星力の弾をマシンガンの様に連射しながら放ってくる。
光速でそんな攻撃をされたら、ひとたまりもないだろう。
だが、俺には見えている!
俺は次々と飛んでくる星力の弾の間を縫って移動し、コマへと迫る。
「ちょこまかと!」
「覚悟しろ、コマ!」
俺は間合いをつめると、コマ目掛けてキャンサーを振り下ろす。
コマはそれを髪の剣で受け止めようとするが、髪の剣を切り裂き、そのままコマを斬る。
「そ、そんな……!?」
「言ったハズだぜ、全てを切り裂くって。まぁ、所謂防御不可って奴だ。レオくらいだろうな、防げるのは」
「ありえない……。星の歯車の一つにしか過ぎない人間にやられるなんて。ちっぽけな部品なんかにやられるなんて!」
「人間、甘くみるなよ?」
そう言って、キャンサーを鋏の形態へと戻し、俺はコマの体を挟み、押していく。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「私が……星であり、神である私が!人間なんかに!」
「コイツで終ェだァァァァァァァ!」
俺はキャンサーの鋏を閉じる。
それにより、コマは上半身と下半身と分かれ、真っ二つになる。
そのまま、生命力も切り裂いた!
「そんな……私が……消える?そんな……!?」
「ついでに今まで奪ってきた髪を返してもらったぜ」
「私の……私が集めた綺麗な髪が……!?私の髪がァァァァァ!?」
そう言って、コマは黒い星の光となって消滅した。
それと同時に金色の光が大量に現れ、それが色んな方向へと飛び散っていく。
これで奪われた髪は戻っていくだろうな。
俺はそれを確認すると、キャンサーを消す。
「今度こそ勝てたのね」
「ん?あぁ、だな。ルプス、どうだ?」
『奴の消滅は確認した。倒したと見て、間違いないだろう』
ルプスはそういうと、少し軽い欠伸をする。
「消滅確認ってな……」
「なら、今度こそコマの事件は解決ね」
ノワールは俺の言葉にホッと安堵の息を吐く。
まさか、倒したと思っていたコマが生きていたんだから、そりゃ驚くだろうな。
それと同時にNギアが鳴っているのに反応し、取り出して見てみる。
誰からか確かめてみると、ネプギアからの通信の様だ。
俺は出るボタンを押す。
「よぉ、ネプギア」
『あ、浩平君!朗報だよ!』
「あぁ、大体わかる。髪を失った人たちの髪が戻ってきたんだろ?」
『え?うん、そうだけど……。やっぱり知ってるのって、浩平君がコマを倒したから?』
「それ以外何があんだよ。ついでに言うと新しい星座に目覚めたぜ」
『ホントに!?次はどんな星座が目覚めたの?』
「蟹座だな」
『蟹座……。なんだか、あまり強そうなイメージはないね』
「まぁ、蟹って聞けばな」
蟹って言われたら、そういう想像しちゃうよな。
よく食べている様な蟹を。
『あ、ネプギア。もしかして、こう君と連絡してるの?変わって変わって!』
『え?お姉ちゃん!?』
「変わらなくていいぞ、ネプギア。喧しい事この上ない事になるからな」
『あ!?』
『ヤッホー、こう君!元気にやってる?ノワールとは仲良くs』
そこまで聞いた瞬間、俺は電話を切った。
よし、これでいいだろう。
そう考えると、再びNギアが鳴り、出る。
『こう君!?いきなり切るなんて酷いよ!?私とも会話しt』
そこまで聞いてまた切る。
そして、電源も落としておく。
よし、これでネプテューヌから電話がかかってくる事はないな。
「浩平も苦労してるのね……」
「別に、今更だし……」
ネプテューヌに苦労してんのは毎度の事だしな。
俺は歩き出すと、ノワールもその後についてくる。
これで七つの星座に目覚めた。
新たな星座、『蟹座』……『切り裂く蟹』。
後残るは五つの星座。
『魚座』、『蠍座』、『牡牛座』、『天秤座』の四つのみ。
後、もう少しで全ての十二星座に目覚める事ができる。
もし、全ての十二星座に目覚めれば、どうなるのだろうか。
そして、スターゲイザーとしての力も目覚めるという事だろうか。
俺は手をグッと握って、拳を作る。
「あ……」
「ん?」
ノワールの声に反応して、俺はノワールを見てみる。
ノワールは俺を見て、何かに驚いていたのか、そんな顔をしている。
だが、すぐに目を擦ってから確かめる様に俺を見てくる。
「気のせい……?」
「あ?どうしたんだよ?」
「え?あ、なんでもないわ……(今、星の力が浩平の体に纏わる様についていた。まるで羽衣の様に)」
何だってんだ。
まぁ、事件は解決したし、さっさと帰りますか。
「んじゃ、プラネテューヌに帰るとするわ」
「え?ちょ、ちょっとくらいゆっくりしていきなさいよ!お茶くらい出すわよ」
「ん?いやぁ、もう疲れたっつうか、兄貴にも新しい星座の事、報告したいしな」
「そ、そう……」
俺の言葉にノワールは少し落ち込んだ様になる。
俺はそれを見ると、ため息を吐く。
「いいよ、ちっとくらい」
「ほ、ホント!?」
「あぁ、当たり前だろうが。友達からの誘いを断るわけにはいかねぇからな」
「そうそう、友達は大切だよね~」
「ま、まぁ、そうよね!友達の誘いを断るなんてありえないわよね!」
「いや、無理な時は断るから」
「そうそう、いくらなんでも全てに付き合えるわけじゃないからね。ねぇ、浩平」
「そうそう、秀司の言う通り……え゛?」
俺は頷きながら言っていたが、とある事に気付く。
俺とノワールは確かめる様に声がした方を見てみると、そこには見覚えのあるモノクロ青年……如月秀司がいたのだ。
相変わらずニコニコとしており、何を考えているのか読めない飄々とした雰囲気を醸し出しながら。
「てめっ!?今更、何しに来た!?」
「なんだよ~。俺は神出鬼没なんだよ?いつ現れようと俺の勝手なのさ!」
「相変わらず、よくわからないわね。貴方」
「褒め言葉として受け取っておくぜ!」
「褒めてねぇよ!」
コイツ、相変わらず人をイライラさせる奴だな!
秀司はニコニコと相変わらず笑ったままだ。
「と言うわけでノワールちゃん!俺もお茶会に参加していいかな!」
「え?べ、別にいいけど」
「アレ?もしかしてダメだった?あぁ、なるほど!浩平と二人っきりの方がよk「誰がよ!」おっと!」
秀司がそこまで言った瞬間、ノワールが蹴りを放つが、秀司は後ろに飛んでかわす。
相変わらず、余裕でかわす男だな。
秀司は俺を見ると、「なるほど」だけ呟いて、何度か頷く。
「まぁ、八つ目の星座覚醒おめでとう。残りの四つも目覚めるといいね」
「お前、なんでそこまで知って」
「俺は神出鬼没の混沌者さ。知らない事は……まぁ、あんまりないかな。ルーフスほど物知りじゃないからね」
ルーフスの事まで知っているのかよ。
ホントに秀司は一体、何者なんだよ……。
「さぁ、お茶をするんだろう?早く戻ろうよ。またしばらくは浩平と行動するからさ。よろしくね」
「ハァ……その内、またどっかに消えるんだろ?」
「さぁね……それは俺の気分次第かな」
「神出鬼没と言うよりも、放浪者ね」
確かにノワールの言う事にも一理あるかもな。
コイツ、知らない間に消えて、知らない間に現れるからな。
秀司は「そうかもしれないね」とだけ呟いて、歩き出す。
相変わらず、ニコニコとした顔を崩さない奴だな。
そう思いながら、俺とノワールも歩き出すのだった。
「おめでとう。スターゲイザーとしての第二覚醒ももうすぐだよ」
秀司がそんな呟きをしているのにも気付く事なく、歩くのだった。
どうも、風狼龍です!
今回で髪の毛座は解決です!
と言っても、敵としての星座はまだまだいっぱいいるんですよね~。
それではまた次回!