苦手な方はデュエルは流し見してください!(バックしろとは言わない)
時刻はおよそ18時。
空はすっかり暗くなってしまったが、星の数を思わる程のビルや街灯、車のライトのおかげで舞網市の街並みそのものは明るいままだ。
そんな街の歩道を、僕は病院に向かって全力疾走していた。 大通りに並んだ様々なデュエルスクールが視界の端で通過して行く。
山部さん、大伴さん、柿本さんの三人には兄さんを病院に連れて行くよう言ったが、さっき連絡を取ったところ、港から一番近い病院ではなく、大事を思って少し離れた大きい病院に連れて行ったらしい。 今はまだ看て貰っている途中らしいから、尚の事急がなくては。
「っと、こっちに行ったほうが近道かな」
一方通行の曲がり道を通過しそうになったところで一旦足を止める。
人気のない道で少々薄暗いが、路地裏というほど狭くはないこの曲がり道。 ここを突っ切ればかなり距離を短縮できたはずだ。
なら勿論使わない理由は無い。 僕は再び走り出すために足に力を込める。
「………………」
しかし、何故かボクの意に反して足が一歩目を踏み込んでくれない。
………………何も出ないよね?
や、別にこの年になってお化けが怖いとかないよ? でもホラ、暗い道って何かでそうじゃない? 不審者とか。 うんそう不審者とか!
この道結構長いんだよね。 しかも何故か路地裏たくさんあるからどこかしらで引きずり込まれて襲われるとかあるかもしれないし。 ……うぅ……こわ――危ないね!
とはいえ、やっぱり近道はしたい。 早く着きたいし、時間がもったいない。
10秒ほどうんうんと悩んだ結果。
「………………行くか」
暗いと言ったって200mもない一本道。 車が通る可能性も低いし、どうせ全力で走り続ければ20秒程度で出られるんだ。 ここで悩んでる方が時間がもったいない。
そうと決まれば、と再び足に力を込め、タンッと言う音を立てて駆け出す。 だが、正直に言って選んで少し後悔した。
やっぱり暗いなぁ…………や、怖くないよ? 警戒してるだけだから!
この道はやはり電気の消えている建物が多く、月明かりや前後の大通りのなどの光源を頼りにするしかない。 思わず通過する路地裏をチラチラと見てしまうが……うん、なんもない大丈夫。
そんなこんなで残り約20m。 向こうの大通りの光も大分明るく見えてきた。
よし、もう少しで抜けられる! この暗闇の開放されるまで後ほんの少しだ!
が、そう思った矢先、
ピョイっと行き成り路地裏から人影が飛び出してきた。
「うぇうわあああああああああああああああああああああああとととととと!!?」
何事かと自分でもビックリする位の声を上げながらぶつからないようブレーキしてたたらを踏み、何とかギリギリのところで静止する。
な、何!? やっぱり不審者!?
警戒しながら飛び込んできた人影を洞察する。 身長は僕とだいたい――いやほぼ完全に同じで、手首まで隠れるくらいの大きさのロングコートを羽織っているが、その上からでも解るくらいに体つきはとても華奢なうえ、胸部の膨らみを見るあたり、女の子というのが分かる。 顔はそのコートについたフードを深く被っているうえに、この道の光源の少なさと向こう側の大通りの逆光が手伝って全く見えない。
そして、その人物は全く動こうとしなかった。 ぶつかりそうになって驚いたのだろうか。
「あの、驚かせちゃってごめんなさい! 急いでいたもので……」
「………………」
しかし、そう謝ってみたものの、それでも動く気配が無かった。 気絶はしてないと思うけど……。
「……えっと、じゃあ、僕行きますね」
申し訳ないとは思ったが、ここに留まっているわけには行かない。 僕は一言断ってから、相手の横を過ぎる――――――――――その時だった。
ガシッと引き止めるように手首を掴まれ、何事かと振り返る間もなくグイッと相手に引っ張られる。 そしてそのまま――――
「……え?」
視界がグルンと回り、僕の来た道が視界に映った時、何をされたのか全く理解できず、僕はそう零すしかできなかった。 ワンテンポ遅れて、砂糖菓子とは違った甘い香りが鼻腔を擽り、その数瞬後に自分の体が柔かい何かに包まれているのを感じ、そこでようやく僕は相手に抱きしめられたのだというのを理解した。
「…………………………」
…………え、ちょ……え、えぇ!? 何、どういう事!? なんで抱きしめられたの僕!?
「あ、あの、なんですかいきな――」
「やっと……」
「え?」
「やっと、会えた……」
僕の耳元でフードの少女が囁く。 その声はやはり女の子のものだった。 そしてそれは何故かは知らないが、とても愛おしい誰かに対するような、そんな声音をしていた。
あれ? この声…………いや、それより、
「やっと会えた……?」
「うん、そうだよ。やっと会えたね………………………………………………
瞬間。 バチッ! と頭に感じた痛覚と共に視界が一瞬だけフラッシュした時、僕はほとんど無意識に相手を突き飛ばしながら後ろへ跳躍していた。
突き飛ばされた相手は「おっとぉ?」驚いたような声を出しながらも、よろけたというよりはただ単純に突き飛ばされた力の分体重移動しただけのような足取りで後退した。
何で……
「……っ何で、僕の名前を……?」
「ありゃ~……もしかしたらと思っていたんだけど、やっぱりかぁ。 ん~、こりゃ失敗失敗」
先程とは打って変わってカラカラと笑いながらひょうひょうとした口調で独り言を始めるフードの少女。
「質問に答えてください! なんで僕の名前を知っているんですか!」
こんな怪しい格好した女の子の知り合いなんて僕にはいない。
それに、僕の名前を知っているということは、ここにいるのも偶然じゃないということになる。 まさかストーカーなんてことはないとは思いたいが。
フードの少女は小首を傾げ、次に考えるように腕を組んで唸る。
「ん~、そうだなぁ……」
「?」
一つ。 この状況で変わった事がある。 それは、相手と僕の立ち位置だ。
「逆に聞きたいんだけどさ」
僕はフードの少女の横を通り過ぎ用としたところで引き止められ、そして向かい合う形になった。 つまり、先程とは立ち位置が逆転しているのだ。
「君は」
つまりそれは、フードの中身が見えなかった原因の一つであった逆光が、今はむしろ彼女のフードの中に差し込む形となるのだ。 だが、それでもまだ薄暗い。
しかし直後、車が後ろで通過し、そのフロントライトかはたまたバックライトか、ともかくそれが一瞬だけ、だけどそれでも十分すぎるほどに彼女のフードの中を照らした。
その顔は――――――
「ボクの名前を知らないの?」
「――――――ッ!!」
刹那。 僕は踵を返し、この狭い路地を抜け、様々な光で照らされた舞網市の通りを全力で走っていた。
しかしそれは、兄さんの元へ急ぐわけではなく、あの場から少しでも早く離れたい。 つまりは、逃げたいが為にだった。
まるで、見てはいけないものを見てしまった現実を、無かったことにするように。
それから無我夢中で一体どのくらい走ったか。 息絶え絶えになって膝に手をついた時、気付けばそこは大判さん達の言っていた大型病院の門のすぐ近くだった。 無意識だったが、無事目的地につけた。
しかし、走りすぎたせいか足が笑っている。 それに、何故か頭がひどく痛い。 その場で座りたかったが、流石に地面は服が汚れるので、壁に凭れ掛かって息を整えるよう意識しながら、僕はさっき見たものを思い浮かべた。
何だったんだ、さっきのは……?
見えたのは一瞬だった。 それでもボクの脳裏にこびりついて離れない。 ありえない……なんて事は無い。 だけど、何だ? この言い表せられない奇妙な不安感は。
汗を指先で掬うように拭い取って払う。 だけども疲労とは別の理由から出てくる汗は止まる気配すらない。
「……いいや、考えたって解る訳がない。 さっきのは気のせいだった……そう思おう」
正直無理があるけど、今はそんな事より兄さんの方が心配だ。
そう切り替えると、気分と共に少しずつ呼吸は落ち着き、体の熱も冷め、頭の痛みも引いてくる。 首もとの汗を拭ってから壁から背を離す。 そして病院の門通って――――
「ばぁっ☆」
「うわあああああああああああああああああああああああああうわたっ!!?」
通ろうとしたら見覚えのあるフードの少女が陰からひょっこり出できて、情けない叫び声を上げながら後ろに転倒してしまう。
な、なんで!? 全力疾走していたはずなのに、何で僕より先に病院についているの!?
目の前に少女がいる事が信じられず、そのまんまの意味で開いた口が塞がらなかった。
「も~、そんなに驚くこと無いでしょ~? お化けじゃないんだから」
「ぼ、僕にとってはお化けも同然です! ていうか何なんですか貴方。 僕になんか用があるんですか?」
警戒しならが相手を観察する。 やはり深く被ったフードの中身は顔の下半分しか見えない。
少女は腕を組みながら唇を尖らせた。
「む~、ここまで冷たくされると流石に傷つくなぁ~……て言うかキミ結構鈍いねぇ」
「は?」
「用なんてあるに決まってるじゃない。 じゃなきゃ君を2回も待ち伏せたりなんかしないよ」
「た、確かに……」
言い包められてしまった。 不審者に。 というかやっぱりさっきのも待ち伏せだったのか。
「じゃ、じゃあなんで僕なんかを待っていたんですか!」
「ん~、そうだねぇ……色々と理由はあるんだけど、まず一つ。 キミ、さっきまで港の倉庫にいたでしょ?」
「ッ!!」
その言葉を聞いたとき、僕の中は飛び起きて身構えた。 この人、まさか……
「あなた、あの男の仲間なんですか?」
「せいか~い! まったく、鈍いくせに頭の回転は速いんだから~」
あの男――兄さんを襲ったあの黒いコートを来た遊矢にそっくりの男の事だ。 あの状況を見ていたとなればもしやと思ったが、やはりそうか。
となると、
「僕をつけていた理由は、消えたあの男が何処へ行ったかを聞き出す為ってところですか」
「またまたせいか~い! やー、さっすがだねぇ~。 ほんで何処にいるの?」
「知りません。 僕が聞きたいくらいです」
「ほえ? なんでキミがそんなの聞きたがるの? ……え、ま、まさか惚れ」
「違います!!」
え、なんで? なんでそんな発想に至ったの!?
流石にそんな誤解は受けたくないので、噛み付くように言葉を遮った。
「大丈夫だよ遊雅! キミ胸は全く無いけど顔は凄く可愛いからきっと振り向いてもら」
「だから違うって言ってるでしょうがあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
だからなんで! なんでそっちに持って行こうとするの!? 僕は男性にそんな気持ちは抱かないし、そもそも胸も必要ない!!
ていうか、さっきからペースに飲まれててこっちの精神が掻き乱されている気がする……こんの~~っ!
「大体何なんですか貴方は本当に! なんで僕の名前を知っているんですか!」
「あ、その質問もう一回するのね。 ん~、教えてあげても良いんだけどねぇ……」
「?」
腕を組んで唸る少女。 しかし、5秒も経たない内に「あ、じゃあこうしよう!」と、掌に拳を落とす。
「デュエルをしようよ遊雅!」
……一体どういうことなのだろうか。
「え……え? デュ、デュエル……?」
「そ! キミがボクに勝てたらキミの質問にいくらでも答えてあげるよ! どう? 結構お得な話だと思わない?」
「…………」
よくは解らないが噛み砕いて言うと、向こうのほうから情報を聞きだせるチャンスをくれるらしい。
だけど僕としては、デュエルと言うものは楽しんでやるものであり、こんな不審者と賭けをするためにデュエルすると言うのは、正直あまり気乗りしない。
いっその事実力行使というやり方もあるが、そういうのは好きじゃないし、不審者とは言え仮にも女の子にそんな事はしたくない。
なら、自然と選択肢は一つに絞られる。
「いいでしょう。 そのデュエル、受けてたちます!」
腰のホルダーに閉まっていたデェエルディスクを右腕に装着する。
それを見た少女は、フードの下からでもわかるくらいに、口角を上げて見せた。
「オッケ~! じゃあ場所を移そうか! ここだと人目に付くし、流石に病院の前だと迷惑だろうしね」
「え? あ、あぁ、そうですね……」
「む~、なんで歯切れ悪いのさ!」
「や、なんでも……」
不審者の癖に人の迷惑とか考えるのか。 というか、場所を考えずに先制してデュエルディスクつけた矢先にそんな常識的なことを言われると、相手が相手なだけに凄く恥ずかしい。 ちょっと顔が熱くなった。
とは言え、言われている事は勿論正しいし賛成だ。 あえてここでデュエルをする事で注目を集めたところで、「この人が兄さんを襲った人物です!」と糾弾すれば、捕まえる事は出来るだろう。微妙に嘘が入るが。
だがそれでは、僕が彼女に情報を得る事ができなくなってしまう。 なにより兄さんを傷つけたあの男は、僕自身の手でとっちめたい。
それに……
「ん~、ホントかなぁ? ……まぁいいや! じゃあ、行こっ遊雅♪」
僕の名前を呼びながら踵を返し、まるでお買い物でも行くかのような軽い足取りでスキップして先行するフードの少女。
それに、彼女はもしかしたら、知っているかもしれないのだ。
「ッ……! また……」
彼女が何か言葉を発する度に感じるこの頭の痛みの正体。 それと、僕の――――いや、いい。 期待するのはやめておこう。 まずは勝つ事だ。 それに勝ったとしても、僕の事なんかより兄さんを襲った奴の情報を手に入れる方が重要だ。
僕は未練を振り払うように軽く頭を横に振り、スキップで夜の街並みを歩く少女の背中を追った。
歩いて数分。 着いたのは先程僕が近道として使ったあの通りだった。 位置で言えばちょうど真ん中。 この路地と繋がっている大通りからはデュエルしてもそう目立たない位置だ。
というか暗がりに連れ込まれるって嫌な予感しかしないんだけど……。
「ん~、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ遊雅! 別にとって食ったりとかは考えていないから!」
「別に怖がってないです。 ……まぁ、一応信じますよ」
「うん♪ …………今のところはね」
今不穏な言葉が聞こえた気がする。
……それにしても不思議だ。 ちょっと突っぱねた感じで怖がっていないなんて言って、まるで本当は怖がっているみたいな言い方になってしまったが、今僕は本当に恐怖心は殆ど抱いていなかった。
なんというか、妙に安心していると言うか落ち着いていると言うか、近道しようとした時の様な早くここから抜け出したい! なんて気持ちは沸いていなかった。
「よし! じゃあ始めようか!」
少女は変わらずマイペースに言いながら、コートの
「えぇ。 貴方に勝って、いろいろと吐かせてもらいます」
お互いに光のプレートを展開し、構える。
「「デュエル!!!」」
Yu-ga
LP 4000
VS
UNKNOWN
LP 4000
「………………」
デュエル開始の際には自分と相手の名前が液晶画面に表示されるものなのだが、相手の名前が表示される筈の部分に……やはりというかなんというか、『UNKNOWN』。 つまり登録情報無しと表示されている。
それによく見ると、彼女の右腕につけてあるデュエルディスク。 一般に普及されているものと違うようだ。 印象の違いで言えば、携帯端末にデュエルの機能を付け加えたものが一般のものだとしたら、彼女のはあくまでデュエルディスクそのものに何かしらの改造を施したかのような感じだろうか。
となると、やっぱりこの町の人間じゃないって事か。 それに、デュエルディスクを右腕につけているって事は……
「ん~、どしたの? そんなに僕のデュエルディスクが気になる?」
「え?」
凝視しすぎたようだ。 ホントこういう癖直さないとなぁ……。
とはいえ、誤魔化しても仕方がないので正直に答える。
「まぁ、珍しいデザインのディスクだなって……」
「ん~、そんなに珍しいかな? キミにとっては珍しいのか。 まぁそんな事はいいじゃない! そいで、先攻はこっちでいいの?」
「え? あ、はい」
うやむやになりながらそのまま先攻後攻が決まってしまった。 デュエル開始前からペースが向こうにあるってどうなんだしっかりしろ僕!
ともかく、相手がどう動くのかをしっかりと見なければ。
「じゃあいくよ~! まずは魔法カード、《魔獣の懐柔》を発動!」
ッ! いきなり大量展開用のカード!?
「ボクのフィールドにモンスターが存在しない場合、カード名がそれぞれ異なるレベル2以下の獣族の効果モンスター3体をデッキから特殊召喚するよ! ボクが出すのは、《
魔獣の懐柔
通常魔法
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。カード名が異なるレベル2以下の獣族の効果モンスター3体をデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される。このカードの発動後、ターン終了時まで自分は獣族以外のモンスターを特殊召喚できない。
その効果により現れたのは、全て機械仕掛けのモンスターだった。 一体目はモモンガに近いが、長い前足から短い後ろにかけてグライダーのようなパーツが備えられ、尻尾に当たる部分は完全に筒状になっていて先には火を噴きそうな口が見える。
2体目と3体目は両方とも狸に近く、太鼓と言うかドラムと言うか、そんな感じの筒状のパーツを2体目はその短い前足で抱え、3体目は腹部に直接供えられている。 ……それだけならいいのだが、そのドラムよく目を凝らして見てみると、2体目はその太鼓の裏側に砲身のようなものがあり、3体目は太鼓はともかく持っている撥の様なものの先から光が一定の長さで棒状に形を保っている。
見た感じどのモンスターも小動物を模しているようではあるのだが、デザインはいやにサイバネティックで鋭利的だ。
正直言って……
「か…………可愛くない」
「え~! かわいいよ何言ってんのさ遊雅!」
正直な感想を述べると、フードの少女は抗議するように頬を膨らませて言う。
え、ホントにかわいいと思ってるの?
「いや可愛くないでしょう。 そのモモンガみたいなのの尻尾とか明らかにバーニアだし、そっちの狸っぽいのの小さい方は太鼓に見せかけたキャノン砲持ってて物騒だし、大っきい方が持ってるのそれなんですか」
「レーザーブレード」
「可愛い要素どこ!? ていうか《魔獣の懐柔》って獣族指定なのに、そのモンスターたちのどこが獣族なんですか! どう見ても機械族でしょ!?」
「ざぁんねん! ちゃんとした獣族です~! ほらこのとおり」
ЯЯ-スピーティー・モモンガ
リバース
地属性 獣族 レベル2
攻撃力1000
ЯЯ-アップリズム・ラクーン
リバース
地属性 獣族 レベル2
攻撃力0
ЯЯ-ダウンリズム・ラクーン
リバース
地属性 獣族 レベル2
攻撃力800
ディスクの液晶画面を見て確認するが、そこには確かに獣族という表記が。
……詐欺じゃん。
まぁそこを突っ込んだところでどうしようもない。 見た目と種族が一致しないモンスター自体はそれなりに居るんだ。 釈然とはしないが納得するしかない。 それよりも気になるのは、彼女の召喚したモンスターが全てリバース効果を持つモンスターであること。 それとそのモンスターたちの名前だ。
『
それなりにカードの知識はあるつもりだったが全く未知のカテゴリー相手に、警戒を強めながらも少しだけワクワクしてしまうのはデュエリストの性だろう。
だけど……
「獣族だって言う事はわかりました。 疑ってごめんなさい。 だけどそのモンスター達はリバースモンスター。 裏守備表示じゃないと効果を発動できないし、なにより《魔獣の懐柔》の効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊されますよ?」
そう言ってはみるが、相手も対策をしていないなんてことは無いだろう事は容易に想像出来る。 なんせ、召喚されたモンスターは全てレベル2だ。 ならば、相手がエクシーズ召喚を得意とするデュエリストだとしたら、エクシーズ召喚のコストにするだろう。
証拠に、少女は僕の言葉にからからと笑い始めた。
「モチロンこの子たちをそのままにしておくわけないよ~! 気付いているくせに意地悪な事言わないでよね。 …………まぁ、キミの予想とは違うかもだけども」
「え?」
「ボクはモンスターを1体セットした後、魔法カード《皆既日蝕の書》を発動! フィールド上の全てのモンスターの表示形式を裏側守備表示に変更させるよ!」
「んなっ!?」
皆既日蝕の書
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て裏側守備表示にする。
このターンのエンドフェイズ時に相手フィールド上に裏側守備表示で存在するモンスターを全て表側守備表示にし、
その枚数分だけ相手はデッキからカードをドローする。
魔獣の懐柔で召喚された機械仕掛けのモンスター達が全てカードの裏側へと姿を変える。
これってつまり……
「はい、コレで万事解決! 残念でしたぁ!」
「く……っ!」
からかってくるような言い草が物凄く腹が立つが、今のは上手い。
確かにあれならば自壊のデメリットも効果の無効も取り消される。しかもあれらは全てリバースモンスターだろう。 無闇に戦闘では破壊できない。マズイな……開始の1ターン目から早くも劣勢に追いやられた。
「ボクはコレでターンエンド。 さ、遊雅のターンだよ」
そんな僕の状況を解っているからか、挑発……というよりは、まるで「この状況に対してどう対応するの?」と僕を試すような言い方で促してくる少女。
……いいさ、やってやる! デュエルはまだ始まったばかりなんだ。 押されてはいるけど、追い込まれたわけじゃない。 それに、今の僕なら……!
「解っていますよ。 僕のターン、ドロー!!」
このくらいの状況、ひっくり返すことは出来るはずだ!
UNKNOWN
LP 4000
手札 2
モンスター 4
魔法・罠 0
いつも読んでくださりありがとうございます。
久々の投稿となりました。待っていてくださった方々はごめんなさい、そしてありがとうございます。
今回でオリジナルのカテゴリーが出ました。その名も
意味としては「襲い来る脅威を討ち払う撃退者」という感じです。
モチーフ及びコンセプトは劇中でも語りましたが、小動物(というか捕食されるような動物)版
正直難産中です。もっと言うならなんで難産しているのかもわからない状態です。
書く事は決まっているはずなのになぁ……
でも次はもう少し早く投稿したいなと思っております。
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