ちょっと短めの投稿ですが、その分次回の投稿を早めたいと思います。
その事実に、愕然とする他ない。
だけど、前に同じような事があったのを思い出してすぐに正気に戻る。
そういえば、大判さんが言っていたじゃないか。 あの遊矢そっくりの男は、兄さんをデュエルで襲ったと。
あの時は意味が分からなかったけど、なるほどこれは納得だ。 質量を持ったモンスターを使役すれば、人を襲うなんて造作も無い。 あの時の倉庫の惨状にも説明がつく。
なるほど、これは……
「ん~、その顔、気づいたのかな? でもその割には随分と冷静な感じだねえ? 初めてでしょ、こういうデュエル?」
「ええ初めてですよ。スタンディングデュエル自体は日常的にやってますけどね。 こんな状態じゃなければ、素直に驚いていましたし、楽しんでいましたよ」
「ふ~ん」
少女はさして興味なさそうに空返事をする。
……冷静だって? とんでもない。
今の僕は、怒りに満ち満ちていた。 体の震えを抑えるせいで、他の感情がまともに機能しなくなるくらい。
許せない……兄さんを襲うだけでなく、デュエルを人を襲う道具として扱う事が。 デュエルは楽しむものだ。 断じて人を傷つけるものであってはならない!
「じゃ、僕はカードを1枚伏せてターンエンド。 さ、遊雅。 そろそろ本気出してよ」
UNKNOWN
LP 8000
手札 2
モンスター 5
魔法・罠 1
「言われなくても! 僕のターン、ドロー!!」
……よし、これなら繋げられる!
「僕は《調和の宝札》を発動! 手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー――《ドラグニティ-アキュリス》を墓地へ送る事で、2枚ドロー! …………もう一度《調和の方札》を発動! 手札の《ドラグニティ-ブランディストック》を墓地に送って2枚ドロー! さらにもう一度、《調和の宝札》を発動!」
「え、ちょ」
「2枚目のアキュリスを墓地に送って、2枚ドロー! さらに《貪欲な壷》を発動! 墓地のアキュリス2枚と、ブランディストック、センチュリオン、トリブルをデッキに戻して2枚ドロー!」
「ちょっと遊雅ずっこい! なんかそれずっこい!!」
向こうがなんか喚いているが、僕には関係ない。 これで、手札は3枚になった。
右腕のディスクが熱い。 そしてその熱に呼応するかのように、頭の中がスパークする。
ッ、わかってる……今日は君の出番だ。 もう少しだけ待ってくれ。
頭を抑えたいのをこらえながら、僕は手札から召喚するカードを抜く。
「《ドラグニティ-ピルム》を召喚!」
現れたのは、黒い装甲を身に纏い、頭部に銛のような刃を備えた緑色の小竜。
ドラグニティ-ピルム
風属性 ドラゴン族 レベル3
攻撃力1400
チューナー
「ピルムには手札の鳥獣族ドラグニティを特殊召喚する能力がありますが、それは使わないで、レベル5のボルテクスとチューニング!」
「またシンクロ……」
今度は露骨に嫌そうな声音でつぶやいたのが聞こえた。 だけど今はそんな事はどうでも良い。
「渓谷の守護者たる龍騎士よ、その名をもって、対峙せし敵を刺し貫け!!」
召喚するのはドラグニティの中で最も高いレベルを持つ龍騎士。
「シンクロ召喚! 舞い飛べ! レベル8、《ドラグニティナイト-バルーチャ》!!」
現れたのは、僕の髪の色に似た緑青色の装甲に身を包んだ龍と、それに搭乗する鳥人の龍騎士。
ドラグニティナイト-バルーチャ
風属性 ドラゴン族 レベル8
攻撃力2000
シンクロ
「バルーチャの効果を発動! シンクロ召喚成功時、自分の墓地にあるレベル3以下のドラゴン族の『ドラグニティ』モンスターを任意の数だけ装備させます! よって、ピルムとファランクスを装備! さらに、バルーチャの攻撃力は装備している『ドラグニティ』の分だけ300ポイントアップします!」
ドラグニティナイト-バルーチャ
攻撃力2000→2600
「はぁ……遊雅。 悪いけどそんなモンスターじゃ、ブレイドは倒せないよ? ねぇ、いい加減本気出してよ。 あまりボクを幻滅させないでよね」
「あなたに幻滅されるいわれなんてない! それに……本気を見せると言ったはずだ!」
そう、バルーチャは切り札を出す為の通過点に過ぎない。 本命は、コレだ!
「僕は進化条件を満たした《ドラグニティナイト-バルーチャ》を進化対象に選択し、場の『ドラグニティ』チューナーである《ドラグニティ-ピルム》と《ドラグニティ-ファランクス》を進化素材に選択して、コンストラクション!!」
都会の夜に不釣合いな光の柱が、バルーチャ目掛けて降り注がれ、龍騎士は光の中で姿を変えていく。
「栄光ある龍騎士よ、その名を胸に、愚鈍なる者達を殲滅せよ!!」
呼び出すは最強の矛ならぬ最強の剣。 僕が得た進化の翼のもう片翼!
「エボルート召喚!! 舞い叫べ! レベル8、《ドラグニティセイバー-エッケザックス》!!」
現れたのは紅蓮の龍を模した――いや、紅蓮の龍を鎧として身に纏い、両腕には巨大な手甲剣を装備した鳥人の戦士――ドラグニティセイバー-エッケザックス!
ドラグニティセイバー-エッケザックス
風属性 ドラゴン族 レベル8
攻撃力2800
エボルート
バヂッ!
ッ! また……ッ!
現れた龍騎士を見るやいなや、再び頭の奥で痛みが走る。 それを頭を横に振ることで紛らわす。
「ついに出したね……! それだよ、それが見たかったんだよ遊雅!」
「……エッケザックスの効果を発動! 1ターンに一度、メインフェイズ時に、墓地に存在するドラゴン族の『ドラグニティ』モンスターを1体選択し、このカードに装備します。 僕は《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》を装備! そして、レベル5以上のドラゴン族『ドラグニティ』を装備したエッケザックスは、装備している『ドラグニティ』カード一枚につき、攻撃力を500ポイントアップします!」
エッケザックスの右腕の手甲剣が消え、代わりにレヴァテインの持っていた巨大な直剣が握られる。
ドラグニティセイバー-エッケザックス
攻撃力2800→3300
「装備魔法《ドラグニティの神槍》をエッケザックスに装備! そのまま効果発動! まずは一つ目に効果により、エッケザックス自身のレベル×100ポイント攻撃力をアップ! さらにこれも『ドラグニティ』カードな為、攻撃力500アップ! 合計1300アップします!」
ドラグニティセイバー-エッケザックス
攻撃力3300→4600
4600……後一歩だ!
「神槍のもう1つの効果を発動! 1ターンに1度、デッキからドラゴン族の『ドラグニティ』チューナー1体を選択し、神槍を装備しているモンスターに装備カード扱いとして装備させる! 僕は《ドラグニティ-ブランディストック》を装備!! 新規に『ドラグニティ』が装備された為、更に攻撃力を500アップ!」
ドラグニティセイバー-エッケザックス
攻撃力4600→5100
エッケザックスの左腕の手甲剣が、次はライトシアンの色をしたランスのようなガントレットに変更された。
これで全ての準備が整った!
「バトル! エッケザックスで、《ЯЯ-ブレイド・ラーテル》を攻撃!」
エッケザックスが勇猛な翼を羽ばたかせて天高く舞い上がった。 月を背に翼を広げるその姿は、雄雄しくも美しい。
「…………」
エッケザックスの全身に紅蓮の炎が宿る。 それは段々と形を変え、ついにそれは1匹の巨大な鳥となった。
「メギド・フェニクス!!」
そのまま翼を翻し、あえてたたみ、急降下してブレイド・ラーテルに迫る。
いける! このデュエル、僕がもらった!
「…………ブレイド。 行ってあげて」
ブレイド・ラーテルの2本の光剣が煌き、黒の駆動騎士はエッケザックスに向かって高く跳躍した。
青と赤の閃光が交差する! 地に落ちたのは…………当然、黒の駆動騎士だった。
騎士は僕よりもフードの少女に近くで地面に伏すと同時にそのまま爆散し、粉塵を巻き起こした。
「ッ!」
UNKNOWN
LP 8000→7700
「さらに! エッケザックスがレベル4以下のドラゴン族『ドラグニティ』を装備している状態で攻撃表示の相手モンスターを戦闘で破壊した時、相手フィールド上のモンスターを全て破壊し、破壊した数×500のダメージを与えます! そのまま残りも殲滅しろ、エッケザックス!」
ドラグニティセイバー-エッケザックス
エボルート・効果モンスター
星8/風属性/ドラゴン族/攻2800/守2000
「ドラグニティ」Sモンスター←ドラゴン族の「ドラグニティ」チューナーモンスター×2
(1):1ターンに一度、自分のメインフェイズ時に発動する事ができる。
自分の墓地のドラゴン族の「ドラグニティ」モンスター1体を選択し、
そのモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
(2):このモンスターは装備しているドラゴン族の「ドラグニティ」モンスターによって以下の効果を得る。
●レベル4以下:このカードが戦闘によって攻撃表示の相手モンスターを破壊した時、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊し、この効果で破壊したモンスターの数×500ダメージを相手に与える。
●レベル5以上:このモンスターの攻撃力は装備している「ドラグニティ」カード1枚につき500アップする。
(3):このモンスターが相手によってフィールド上から離れた時、墓地の「ドラグニティ」モンスターを1枚選択して発動できる。そのモンスターを手札に加える。
ブレイド・ラーテルを倒した龍騎士は空中で静止したまま翼を大きく展開する。 そしてその羽が赤く発光し――
「デストロイド・フィン!!」
翼から無数の炎の弾丸が放たれ、他の機械仕掛けの獣、4体を一掃した。
粉塵が、さらに舞い上がる。
UNKNOWN
LP 7700→5700
よし! 大ダメージを与えられた! このままブランディストックの効果で2回目の攻撃に移る!
そして、2回目の攻撃宣言をしようとした――――――その時、
「はー、今のは中々だったよ」
粉塵の中から声が聞こえた。 そして、その粉塵掻き分けて人影が現れる。 それらはもちろん、フードの少女のものだが、今の彼女は先の爆風での影響なのか、フードを被っていなかった。つまり、ここで初めて素顔が見えた。
「………………え?」
自然と、そう零れた。
彼女の素顔、それは――――
「さすがは『進化の力』。 うんうん! やっぱり他の召喚法のモンスターとは一線を画すよね!」
見たことのある顔。 しかし、それはつい先程一瞬だけ見えたからという意味ではない。 もっと、もっと慣れ親しんだものだ。 しかし、それは親しい人間であったという意味ではない。
朝起きて、洗面台にでも行けば嫌でも毎日見ているその顔。 つまり――――
僕の顔と、全く同じという事だ。
そして――――
それを見た瞬間、 バヅンッ!! という、頭の中で鳴るとは思えないような音と共に、過去最大の痛みが頭の中で駆け抜けた。
「い゛、っづ、ぁああああああああああああああああああああああああああッ!!!?」
ついに頭を押さえてうずくまる。 幸い痛みは一瞬だったものの、尾を引き、視界がチカチカし、息が荒くなる。
駆け寄る足音が聞こえ、体が温かい何かに包まれた。 この感触には、覚えがあった。
「痛いんだね。 解るよ…………でも大丈夫。 遊雅なら耐えられるよね。 だって強い子だもんね」
「……っ! 離れろ!」
「おっ」
耳元で囁くフードの少女を払う為に腕を振って後退する。 相手は見計らって自分から離れたのか、此方から払ったような感触は殆どしなかった。
「…………………………」
痛みが和らいできたところで改めて少女を観察する。 髪の色は朱色に近い赤で、ツーサイドアップに纏められている他、残る後ろの髪も4房に結い分けられ、耳前の髪も左右共に青いヘアゴムで束ねられている。 身に纏う雰囲気も僕とは全然異なるが、それでもやっぱり顔立ちは僕と全くと言って良い程一緒だった。
だから言う。
「なんなんだお前は……!」
「あぅん。 そんな風に言われちゃうとボク悲しい……泣きそうになっちゃうよぉ。 えーん」
「答えろ!」
「ダーメッ。 ボクに勝ったらって言ったでしょ?」
「ッ! エッケザックスッ!!!」
名を呼ぶだけで命じると、龍騎士はレヴァテインの長剣を少女目掛けて振り下ろす。 直撃こそしなかったものの、少女の小柄な身体は広くない路地の上空を舞った。
UNKNOWN
LP 5700→600
「普段優しいのに怒ると容赦ない……そういうところ、大好きだよ♪」
爆風の音で具体的な内容は聞こえなかったものの、空中に放り投げだされた少女は何かを呟き、直後、朱色の髪を翻しながら身を捻って体勢を整え、着地のタイミングを狙ってひざを折る事で衝撃を和らげた。
少女はそのままゆっくりと立ち上がり、
「と・は・い・え。 このターンで仕留め切れなかったのは残念だったね。 もう攻撃する手段はないでしょ?」
挑発するように――いや、挑発としてそう言った。
「……えぇ、僕はこれでターンエンドです。 でも僕の場には攻撃力5100のエッケザックスがいるのに対し、あなたは0。 さっきのエクシーズモンスターだって、この攻撃力は超えられないでしょう? 早いところあなたに勝って、あなたの正体と、僕の兄さんを襲った襲撃者の事を吐いてもらいます!」
少女の挑発にあえて乗り、そう挑発し返す。
自信があった。 エッケザックスを越えるモンスターなんて出せる訳がないと。 勝機があった。 相手のエースモンスターを倒し、他のモンスターも殲滅させたのだから。
そんな中で、
「は? 何、兄さんって?」
いつも読んでくださりありがとう御座います。ユアシアンです。
本当は今回で5話を一旦終わらせたかったのですが、
これ以上延長するのも嫌なので、一旦区切って投稿しました!次回決着です!
次々回の登校時に、今回と次回の話をくっつけたいと思います!
今回のエボルートモンスターに関しては、次回詳細を。
……脳筋だけどまだチートじゃないよねこれ?
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……じつは初投稿1周年していたり。