何か書こうと思ったけど忘れた。
小学生に上がってすぐの事。
この光景、ロリコンやショタコンが見たら発狂するんだろうか? 周りを見たらすべて小学生とかあの人種にとっては発狂物なんだろうか? とかどうでもいいことを考えているのにも理由がある。
暇なのだ。
小学生の問題など今更ノートを取らなくても余裕でできる。20歳舐めんな。使わなくたってある程度は覚えてるんだよ。
「じゃあ、陸奥くん。この問題わかるかなー?」
担任の女教師が猫撫で声で聴いてくる。ハッ! 10+15とか余裕過ぎてあくびが出るぜ!
『技能ロール』
……What?
『知識ロール。小学生1年生相当の問題の為+30』
『知識(60+30→61)』
『成功』
……あ、あぶねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?? 補正無かったら失敗してたじゃねーか! この程度の問題もわからないバカになってたじゃねーか! って言うか問題をいちいち聞かれるたびに知識ロールすんの!? やめてください死んでしまいます!
「陸奥くーん?」
「あ、はい! 25です!」
「正解です! では、この問題の……」
そして授業はパニックになっている俺を置いて進む。流石に授業くらいはダイスのこと忘れたかった……。
そんな授業が終わって昼休み。お弁当の時間でございます。
『技能ロール』
は? なにを?
『幸運ロール』
『幸運(40→92)』
『失敗。転我はお弁当を家に忘れてきた』
はぁ!? ちょい待ち俺ちゃんと入れて……まじだ。ない……俺の弁当……ない……。
「てんがー。どうしたー?」
「弁当忘れた……」
「あらら……がんばれー」
畜生。園田君は薄情だ。
「えー……と、あのー……」
「ん?」
俺がショックで打ちひしがれていると、話しかけてきた子がいた。
顔を上げてその子を見ると、そこにいたのはなのはちゃんだった。あれ? 同じクラスだっけ?
「その、仲直りの達人さん……だよね?」
仲直りの達人? ああ、そう言えばそんなこと言ったな。
『技能ロール』
ダイス神よ、あなたは何がしたいんですか?
『記憶ロール。INT×5でロール』
『記憶(13×5→73)』
Oh……。
『失敗。転我は目の前の少女を覚えていなかった』
いやいや覚えてないって、現に俺はこの子と会った時のことをしっかりと……あれ? えーっと?
「……ごめん、誰だっけ? どこかで会った……とは思うんだけど」
あっれー? さっきまで覚えてたんだけど……マジで誰だ?
「あ、うん。そうだよね。一回だけしかあったことないし、ちゃんと自己紹介してないもんね」
そう言うと女の子はコホンと一つ咳ばらいをした。
「わたし、高町なのは。覚えてないと思うけど、小さいころあなたに助けてもらったことがあるの。だから、お礼が言いたくて……ありがとう」
「んー? わからんけど、どういたしまして」
すごいなこの子……もとい、なのはちゃん。この年で不自然なくらい礼儀正しい……。前世でもこんな小学生見たことねぇ。
って言うかなのはって主人公じゃねえか! いくら生で見たのは初めてとはいえ、わからないとはなぁ……まぁ無印を見たのはもう何年も前のことだし転生してから見てないから仕方ない……のか?
「ってそうだ。名乗られたからには名乗り返さないとな。俺は陸奥転我。何を隠そう、俺は弁当を忘れる達人だ!」
「あ……ふふっ。うん! よろしくてんが君!」
よしよし、つかみはOK! 今度からこの武装錬金式自己紹介は初対面の時にやっておくことにしよう。
「お弁当忘れたの? 私のあげようか?」
「いいのか? いやー助かったよ。腹ペコのまま次の授業受けるのは辛いから」
いやーほんと優しい子だ。こういう子が癒しって言うんだろうね。
『転我はなのはと接して心を癒された。成功1、失敗0のSAN値回復ロールどうぞ』
『SAN値(39→24)』
『成功。1の回復』
『SAN値(39+1=40)』
マジで!? やった! なのはちゃん天使か!
『続いて幸運ロール』
はい?
『幸運(40→61)』
『失敗』
……いったいなにが?
「おーい! なのはー! 飯食おうぜー!」
そんな声とともにガラリと教室の扉が開く。
そこにいたのは……銀髪、イケメン、オッドアイのテンプレ3拍子が揃った少年。どう見てもテンプレ踏み台です。本当にありがとうございます。
「あん? なんだモブ? どけよ」
そう言いながら銀髪オッドアイは俺を睨む。睨み返してやろうか?
「は? なんで? ここ俺の席なんだけど」
「知るかよ。いいからどけ、ただのモブが出しゃばってんじゃねぇ」
テンプレ過ぎて怒る気にもならん。というかこいつ恥ずかしくないのか? 俺ならこの状態で羞恥心で死ねるね。もしくはSANチェックはいる。
『技能ロール』
またですか? 今度は何だ? 説得か言いくるめか……出来れば高い説得でお願いします。
『心理学ロール』
なんで!? あ、俺が「恥ずかしくないのか?」なんて思ったからか!? 今振る意味なくね!?
『心理学(初期値5→??)』
『非公開。転我は目の前の少年はカルシウムが足りないんじゃないかと思った』
カンケーねぇ! なんで俺が銀髪オッドアイのカルシウムの心配をしなきゃならんのだ!
「おい、聞いてんのかモブ!」
ああもううるせえな! めんどくせー!
「ハイハイ……高町……でいいか? 弁当ありがとな。気持ちだけ受け取っとくわ」
「あ……うん。なんか、ごめんね?」
「いやいや、俺の方こそごめんな。いこーぜ園田君」
「え? おれかんけいない……」
すまないなのはちゃん。ここで助けたりしてフラグが立ったりしたらユーなのが見れないんだ! けどむかつくことはむかつくから銀髪オッドアイ君には少し悪戯させてもらおう。
なのはちゃんに夢中になっている銀髪オッドアイに見えないよう、園田君の机を借りてノートのページを破ってちょちょいと一筆。
そして気付かれないように書いた紙を持って銀髪オッドアイの後ろに。
『技能ロール』
知ってた。どんと来い!
『忍び歩きロール(話に夢中のため補正+20)』
『忍び歩き(40+20→32)』
『成功』
これで良し。流石俺。
教室を出る時に振り返るとなのはちゃんと目が合ったので一度手を振ってから教室を出た。
にしても、なんでなのはちゃんは俺を知ってたんだ? 昔会ったとか言ってたけど……。
『技能ロール』
『記憶ロール。INT×5でロール』
おお、これは助かる。つまり勘違いじゃないってことか?
『記憶ロール(13×5→84)』
『失敗。転我は昨日の晩御飯が何か思い出せず歯がゆい気分になった』
失敗かってなんでや! 晩御飯関係ないやろ!
その日、背中に「俺がさいきょうの小学生、銀髪だ! もう一度やるか!?」と書かれた張り紙を張り付けたまま残りの半日を過ごした銀髪オッドアイのイケメン小学生が居たそうな。
現在のSAN値 40
他のステータス 変動なし。