やはり俺のVRMMOは間違っている。REMAKE! 作:あぽくりふ
というわけで、15話です。・・・最近タイトル放置してるなあ。
―――25層フロアボス攻略戦、失敗。《攻略組》は犠牲者五名を出して撤退。
「......おい、どういうことなんだアルゴ―――」
「いいから、さっさとこっちに来イ」
顔を合わせるなりすたすたと歩いていくアルゴを、俺は追っていく。指定された場所は25層主街区中央部に位置する高級ホテル、その最上階にあるホール。
装飾華美な
そしてようやく辿り着いた重厚な木製の
『誰だ』
「アルゴ。入っていいカ?」
『......入室を許可する』
ガチャリ、とドアノブを捻る音。足を踏み入れた部屋は豪奢だったが―――雰囲気は最悪だった。
「あそこで撤退するべきやなかった!五人死んだんやぞ、五人!」
「だからといってあのまま残っていれば倍は死んでいたッ!
「それで何の収穫もない、と?じゃああの五人は無駄死にやった、ってことやろうが!」
「現にあの場はすでに戦線崩壊していた!戦意を喪失した者を無理に戦わせても足を引っ張るだけだ!」
怒号が飛び交い、会議室の空気はすでに一触即発、といった感じだ。《攻略組》はそれぞれ二大
「......こういうことダ」
「ああ......」
―――つまり、責任の押し付けあい、ということか。
死者の五人はその全てがALSから出ている。故にキバオウ達は心情的にはその死に納得出来ず、撤退に非を唱えているのだろう。犠牲は出たがボスは倒した、ならまだ報われる。だが犠牲は出たが撤退した、ならば無駄死にと言われても否定できない。......それが、ボスの体力ゲージ6本のうち2本も削りきれずに撤退したのならば、なおさら。
「......どうするんだ」
「どうもしない、というかできないヨ。本人たちが冷静になるまでは放置だナ。その間に、脳ミソが働くヤツだけで情報共有しとくゾ」
―――頭を冷やせ、ってことか。
俺は肩をすくめる。確かにそうずっとカッカしとくわけにもいかない、いつかは頭が冷えてやるべきことがわかるだろう。その間、俺たちは情報をかき集めて作戦を立てるしかない。
「撤退とか、初めてじゃないか?」
「なーんにも情報が集まらなかったから1回くらいは撤退するとは思ってたけド、まさか死者が出るとは思わなかったヨ」
「......《攻略組》はトッププレイヤーの集団だ。それをゲージ2本も削らないうちに撤退させるのは異常にすぎる」
この層のクエストをいくらこなしても、ろくにボスの情報は出てこなかった。そこからしてもう異常だとはわかっていたが、ボス自体の能力も異常だということは。
......偶然と偶然が重なれば、それは必然だ。この層のボスは意図的に強くしてある。―――即ち、茅場晶彦が何かを仕掛けてきたということ。全100層の4分の1まできたところで、ついに手を出してきたのだ。
「ボスの情報を教えてくれ」
「名前は《ジ・オリジンジャイアント》。双頭巨人型ボスだヨ」
「......
とあるクエストではボスのことを「古代に封印された巨人の神」とか言っていたが、神に等しい力でも持っているのだろうか。できればそのまま封印されていて欲しい。
「右半身が黒、左半身が白の巨人で、それぞれ右手が大剣で左手が槍。ついでに口から炎と雷のブレスを吐くらしイ。同時に吐けるかはわからないけど、ソードスキルは同時に発動していたらしいヨ。それから、」
「いやちょっと待て」
俺はズキズキと痛む頭を抑え、アルゴを制止する。一つおかしい所があった気がするんだが。
「......ソードスキルを、同時に発動?」
「あア」
「大剣と、槍を?」
「あア。《アバランシュ》をしながら《ストライク》を発動してたらしいゾ」
「......マジで?」
「マジで」
なんだそりゃ、と俺は唖然とした。
―――ソードスキルを同時に発動はできない。これは、不文律というかシステム上不可能なことだ。
なぜなら、
―――だが、ソードスキルが使えるとなれば話は180度逆転する。
かなりの慣れを必要とするだろうが、二種のソードスキルを同時に発動できる、というのはかなりのメリットだ。組み合わせは限定されるだろうが、ソードスキル同士の効果的な組み合わせが存在したりもするかもしれないからだ。例えば片手剣ならば《バーチカル・アーク》からの《ホリゾンタル・スクエア》で擬似的に六連撃を一切の間断なく放つことが可能になる。
ともすれば、《メテオブレイク》が《体術》と《片手剣》の複合ソードスキルであるように、別の武器スキルを複合することすら可能になるかもしれないのだ―――。
「......成る程な。それで?」
「おそらく、右と左でタゲを二つずつ取れるんだと思うからだと思うけド......
俺は本格的に頭を抱えたくなった。成る程、双頭故にタゲを二つ取れるということか。しかもソードスキルを同時発動できるために攻撃は止むことがない。
「......それでPOTのローテが回らなくなって、ジリ貧で五人死んだのか?」
「違うナ」
アルゴは俺の推測をばっさり切り捨て、言った。
「―――ゲージを一本削った瞬間、いきなりタゲを一つに絞ったんだヨ。それで大剣と槍のソードスキルを同時に使われて
......マジか。
俺は深く息を吐いた。要するに、今回のボスは完全にタンク潰し仕様らしい。今までタンクで
『
「......どちらかにロックオンした時、それを捌けるだけの人材が欲しいな」
「けど二つに分けて対処させてたら、とてもじゃないけど間に合わなイ」
「最高戦力を遊撃部隊として編成。ボスのゲージを削る度にどちらかに合流し、」
「二つ同時に繰り出されるソードスキルを
......自分で考えておいてなんだが、無理じゃね?
「そんな事ができる奴がいるか?」
「......キー坊、アーちゃん、ユキノん―――」
「後はクライン、エギルくらいか」
キバオウとリンドもかなりやるプレイヤーだが、パーティーを率いる身だ。クラインも《風林火山》のリーダーだし、エギルもスキンヘッドの仲間たちがいる。そもそも、強くてフリーなプレイヤーが少ないのだ。
「............」
いや、いるにはいるが―――彼女らは参加させたくない。これはただの個人的な我が儘で、彼女たちを鍛えた俺が言えることなんかじゃないのだが。
強くなれば、それだけ《攻略組》に近付く。強くなればなるほど死線が近付くのだ、なんという矛盾だろう。
「......とりあえず、今日は帰っていいか?疲れた」
「ま、今日はまともに話し合えそうな空気じゃないからナ。いいゼ、オイラはまだここにいるけどナ」
「了解。んじゃ」
......PKについては、また今度説明するか。
そう考え、俺は部屋から退出する。そしてホテルから出た後宿屋へと戻り、装備すらまともに解除せず―――泥のように眠った。
※※※※※※※※
次の朝。俺は欠伸を噛み殺しながら、昨日と同じくホテルの通路を歩いていた。
「ふぁ......」
噛み殺しても欠伸が漏れる。というか、滅茶苦茶眠い。PoHとの激闘で余程疲れていたのか、11時近くになるまでこんこんと眠りこけていたというのにまだ眠い。
こりゃアルゴに怒られるかな、と思いながら右手をぐーぱーしてみる。あの右腕は一晩寝て起きれば、何の問題もなく動くレベルにまで回復していた。
ひょっとしたら、あまりの激痛に脳がショックを受けて動かなくなったのではないか―――と戦々恐々としていたものの、普通に回復していて俺はほっとしていたのだ。
そのままその手でノックしてみる―――が、返事なし。返事がないのでそろそろと開けてみたところ、内部では罵りあうように会議が展開されていた。気付いたアルゴが、こちらにつったか駆けてくる。
「ア―――」
「いいカラ!はやく来イ!」
―――アルゴ、と呼び掛ける暇すらなくしょっぴかれる。よくわからないまま俺はアルゴに引っ張られていき、よくわからんプレイヤー達の輪に突っ込まれる。よくわかんねえなこの説明。
「コイツが、最後の一人でいいナ?」
「え......」
「いやでもコイツって」
「ほう」
そこにいたのは、様々な面子だった。そのどれもが俺をまじまじと見つめてきたため、俺はたじたじになりながらも背後を睨みつけた。
「......おい、これはどういうことだ?」
「昨日ハッチが提案したんだロ?言い出しっぺの法則、ってヤツだナ」
「へ......?」
見れば、そこにいたのはキリト、アスナ、ユキノ、クライン、エギルの五人。《攻略組》の中でもトップクラスのプレイヤー達。
......まさかとは思うが。
「お、おい。俺も、なのか?」
「言ったロ?言い出しっぺの法則だって」
「いやいやいや、俺違うだろ。というか《攻略組》ですらないんだぞ。戦えるわけねえだろ」
「レベルだけなら同じか、それ以上だロ。プレイヤースキルもそれなりに......」
「いや全然だから。俺弱いから。だから帰っていいよねいいよないいんですね帰りますそれじゃ」
「逃げンナ」
むんずとマフラーを捕まれ、俺は逃走失敗。はちまん は にげだした!しかし、まわりこまれてしまった!
「2層の時も参加したんだから、そう逃げることないダロ」
「あの時とは状況が違うだろ。......テメェは俺に死ねと言いたいのか?」
俺はぎろりとアルゴを睨む。するとアルゴはこちらを見つめ、真摯に言った。
「頼む」
「..................断る。俺はこいつらみたいに強くないんでな」
俺はこいつらのように、命を張れるほど『強く』ない。だから、無理だ。
そう考え、俺はマフラーを掴むアルゴの手をやんわりとほどいた。
―――だが。
「......そう。なら、あなたのプレイヤースキルがどの程度のものか見極めればいいのね」
「はい......?」
まさに氷雪のような声。見れば、底冷えするような視線がこちらを向いていた。
「それなら、いい方法があるわ。すぐに確認できる、最長でも十分でカタがつく方法よ」
「ゆ、ユキノさん......?」
アスナが恐る恐るその名を呼ぶ。そして《武神》の異名を持つ最強の刀使いは、にっこりと―――凍てついた笑みを浮かべて言った。
「
「「..................はい?」」
......いつからここは遊戯王の世界になったんですかね?