モンスターハンター アドベンチャーズ   作:竜王ドラグナー

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今更ですが、あけましておめでとうございます。
今回は、ジェラードを探すべく遠出する彼女達が待っていたのは・・?


第一章 第2話 ジェラードと言う人物

ルナとミズチは訓練所へと入ると、そこにいたのは先程、多くのハンター達に告知した教官達だった。

 

 

「失礼します」

 

 

「ん?」

 

 

ルナは礼儀正しく、教官二人に向かってお辞儀する。

ミズチも慌ててお辞儀をする。

 

 

「ほう、これは驚いた・・・誰かと思えば、『稲妻の英雄』が我々に何のようだ?」

 

 

男教官は突然現れたルナの姿に驚きながらも、自らの姿勢を乱さず、ずっしり構えた。

彼は全てのハンター達の教官、即ちハンターにおける基礎、戦闘、道具、そして色んな武器の使い方を教えるべくあるために、強豪のハンターの模範としてしっかりしなければいけないのだ。

中にはどうしようもない自己満足で自分勝手な教官もいるが、何故か憎めない・・・。

 

 

「他の武器での訓練か?だったらすぐにでも・・・。」

 

 

「いえ、そんなのはいいです。」

 

 

ルナが即答すると、教官はガクリと項垂れるが、すぐに立ち直り、再び強面で構えた。

自分達の受注した訓練が嫌で、すぐに逃げ出すものも多ければ、強くなるべく自ら進んで訓練を受け励む者もいる。

しかしこうもあっさりと斬られるとは、この上にないショックだ・・・。

 

 

「では何のようだ?」

 

 

「先程見せたあの金の像・・・どうか貸してくれませんか?」

 

 

ルナの用件に、教官二人は驚く。

同じくして後ろにいたミズチも驚くしかなかった。

 

 

「なんと!?あの像が欲しいと言うのか!?」

 

 

「欲しいのではありません、借用するだけです」

 

 

ルナは決して怖じ気づかず、ただ真っ直ぐに教官を見つめる。

 

 

「うーむ、そうは言われてもなぁ・・・」

 

 

「あの像は貴重な証拠にもなるんだ、そうそう手放すわけにはまいらないんだ・・・。」

 

 

教官二人は困惑してしまい、ただ真剣に見ているルナに対してどうしようかと考え込んでいる。

 

 

「そう言えば、貴重な証拠と言うのは一体何なんですか?」

 

 

先程の単語にミズチは気になり、訊いてみるが・・・。

 

 

「すまないが、その話はすることは出来んのだ・・・アリーナでも言った通り、一週間後に受注するクエストで話す。」

 

 

教官に話を遮られ、少し項垂れるミズチだが、ルナは違った。

あの金の像を必要とするワケは彼女にもちゃんとあるからだ。

すると彼女は何かを思い付き、ポーチからあるカードを取り出す。

ハンターにもよくあるギルドカードとは少し違う金色に煌めいている豪華なカードだ。

 

 

「じゃあ・・・これと交換しませんか?」

 

 

「こ・・・これは・・・!!!!」

 

 

すると教官は目を丸くさせ、そのカードを手に取る。

息を飲み込みただただじっと見つめる・・・。

 

 

「これはまさしく!高級お食事券を何度でも使える、ゴールデンフードパス!」

 

 

「その金の像を貸してくれる代わりにそのカードを1週間の間に使ってくれても構いません・・・。」

 

 

「お、おおっ!本当か!!」

 

 

「おい!」

 

 

ルナからの条件に男教官は目を見開くが、女教官はそんな様子の男教官に戒める。

 

 

「何を府抜けたことを言ってるんだ!そんなことが許せるわけないだろう!!」

 

 

「そうは言っても、ゴールデンパスだぞ!ゴールデンだぞ!我輩でも手に入る事などあり得ないのに・・・頼む!このカードは我輩だけでなくお主も使っても構わんから!!」

 

 

「それは嬉しい限りだが・・・だからといって・・・」

 

 

「責任は我輩が持つ!!頼む!!!この通りだ!」

 

 

男教官は頭を下げながら必死で懇願する。

こうなってしまったらもはやどうしようもない・・・女教官はため息を吐き、諦める様子を見せた・・・。

 

 

「良いだろう・・・ただし、貸すだけだ・・・無くしたら即、ギルドナイツに報告し、お前達を逮捕するぞ」

 

 

「心得ています」

 

 

「やりましたね先輩!!」

 

 

ようやく金の像を拝借することに成功し、金の像は木の箱に入れ、それをルナに渡すと、深々と礼をし、訓練所を後にする。

残された教官二人の内、男教官は嬉しさのあまり、急いで酒場へと向かった。

呆れる女教官はため息を吐きながら男教官の後を追う。

 

 

 

それから彼女達はジェラードと言う人物の行方を探すべく、先程の八百屋のおばちゃんへと赴いた。

 

 

「すいません、ちょっと良いですか?」

 

 

「あぁ!ハイハイ!今ならどの野菜も新鮮真っ盛りだよ!!」

 

 

「いえ、そう言う意味での来店じゃないわ・・・」

 

 

「え?じゃあ、何しに来たんだい?」

 

 

おばちゃんは怪訝な顔をしてルナ達を見た。

 

 

「何分か前に、ガーグァの荷車を運んだアイルーについて何か知らない?」

 

 

「ああ!ジェラードってとこのね!あそこの野菜はいつも新鮮でホントに助かるもんよ!お陰でドデッカブがあとひとつになるくらいだよ!」

 

 

「そ、そんなに売れてるんですか?」

 

 

野菜だけでも予想外の結果に驚くしかなかった・・・。

そもそもドデッカブと言うのは、丸くて大きなカブ。

甘みと苦みが絶妙のバランスの為に、あまり好きになれない人達も多い。

そんな嫌われものの野菜がまさかこうまで売られるとは、よほどでもない限り、ここまで上手に菜園出来ないであろう・・・。

いったいジェラードとは何者なのか・・・。

 

 

「だけど残念だけど・・・行き先までは分からないのよね・・・一応受けとるだけだからさ、あんまし力になれなくてゴメンね。」

 

 

「いえ、いいんです。答えただけでも十分ですので・・・。」

 

 

まことに残念な結果のルナ達だったが、別に責めるようなことはしない、居場所まで知らなくても仕方無い。

すると・・・。

 

 

「そう言えばあの荷車に詰められた木箱ね、何か匂うのよね」

 

 

「匂う?」

 

 

「畑で採れたばかりだから、何かの土とかですか?」

 

 

おばちゃんが何かを思い出すと、ルナとミズチはあえて訊いてみた。

 

 

「いえいえ、土と言うよりも、磯の香りがしてきてね、野菜は大地で育てるのに、何か変だと思ってねぇ・・・。」

 

 

「磯の香り・・・」

 

 

その台詞に何かを考え込むルナ、すると顔を上げて思いつく。

 

 

「ひょっとしたら・・・港からの搬送・・・?」

 

 

「と言うことはここに来る前は船で来た・・・と言うことですか?」

 

 

「ドンドルマの港なら話は早い・・・急ぎましょう!」

 

 

ルナはおばちゃんに向かって一瞥すると、港へと走り出した。

 

 

 

 

岩場の運河が目の前にある、港に到着した二人は船乗り達に訊いてみることにした。

すると・・・。

 

 

「ん?それだったら・・・タンジア行きの船に乗ればいいぜ、あのアイルーいつもタンジアの貨物船に乗って来たからな。」

 

 

「え?タンジアって・・・」

 

 

その単語に反応する二人。

 

タンジア・・・

貿易のメッカと呼ばれており、貿易商人なら誰もが夢見る土地。

扱われる物資の量は周辺地方では随一であり、訪れる商人や船員、釣り人、そしてハンターたちで活気に満ち溢れていた。

気のいい海の男たちが集まるこの港は「船乗りのオアシス」とも呼ばれる。

 

 

とにかく二人はタンジアへ行く船へと探そうとすると、丁度、ドンドルマのギルドからの手配で運輸する荷物を届ける貨物船を発見し、二人はそこへ向かおうとする。

 

 

「ちょっといいかしら?」

 

 

「何だいハンターのお嬢ちゃん?悪いけど護衛の任務は受け付けてないから・・・。」

 

 

「いえ、護衛の任務じゃないわ、タンジアまで行くんだったら乗せてくれないかしら?」

 

 

「タンジアまでか?まあ到着までかなり日は経つけど、それでも良いってんなら、乗せてやっても構わないぜ?」

 

 

「「ありがとうございます!!」」

 

 

気のいい港の船乗りにより、二人は貨物船に乗り込んだ。

本当なら普通の船にでも乗ればいいと思ったのだが、話によれば次に来る船は四日後・・・。

とてもじゃないが一週間後のクエスト受注には間に合わない・・・。

幸いこの貨物船は翌日に到着するようだ。

それならば何とか間に合いそうだ・・・。

よほど重要な荷物なのか、貨物船の周りには警備の巡視船が一緒に進んでいる。

色んな航海では大抵、海に住むモンスターや空から現れるモンスターなど、そういう被害が後を経たない例がいくつも存在する。

そんな事態に遭遇し、荷物などに非常事態が生じたならば、依頼人は責任を負わなくてはならない、もちろん依頼人だけではなく船に関する乗組員にも同じ状況を有する。

その為にも、これらの専門であるハンター達を雇い、事前に航路の安全のためにモンスターを討伐するクエストを発注することになる。

中には決して表沙汰で公になってはいけないと厳守される極秘依頼などがある。

これは絶対的であり、中には王家に関する事などもあるが、それらの依頼などの場合はとある極秘依頼の専門の仲介人に通さなくては、依頼発注は無効となる。

更には極秘依頼は同じギルド関係でさえも知られるわけにはいかない。

この極秘依頼を受けられるハンターは相当信頼できる者のみである。

この貨物船の周りにいる巡視船の中には何故かハンターはいないが、何か理由があっての搬送だと考える。

この様子だとこの航路は安全とのことだ・・・。

海に棲むモンスターならば、ガノトトスが思いつくであろう・・・。

魚竜種の中でも一部を除けば他の飛竜の群を抜いて巨体を持つガノトトスは、遊泳中に飲み込んだ水を利用した高圧の水流ブレスで船を両断してしまう危険度を持つ。

だが危険なのはそれだけではない、体内で限界まで圧縮された水を用いたブレスは岩盤を容易に穿ち、脆弱性な鎧を着たハンターですらも真っ二つにしてしまうほどの威力を持つ・・・。

非常に食性が広く、魚類やエピオスなどの一般的な水棲生物から、

キングロブスタと呼ばれる甲殻類や、かつて「水の王者」と呼ばれていた巨大鰐ジャングルガビアル、

陸上で活動するランゴスタやアプトノスまで、様々な生物を捕食対象としている。

だがこのガノトトスはカエルが大好物で、これを餌に釣竿を垂らすとガノトトスが食いついてくる。

釣り上げるのに恐るべき剛腕が必要かというとそうでもなく、

事実非力な一般人がガノトトスを釣り上げた事例も存在する。

これはガノトトスは突然の衝撃に弱いためであると考えられており、釣り上げた瞬間、絶命したと言う話も持ち上げられており、真意は定かではない・・・。

そして海に棲むモンスターの中でも厄介なのがラギアクルスだ。

先程のガノトトスをも凌ぐ大きさを誇り、生息域で脅威となる存在がいないため、大型モンスターの中でもかなり気性が荒く、他の大型飛竜に積極的に攻撃を仕掛けて獲物を横取りしようとする姿も見られている。

またその攻撃性から、運悪く縄張りに侵入してしまった狩猟船や商業船が襲撃される例も多々あり、船乗りや漁師からは「海凶」とも呼ばれ、恐れられている。

そのため、ラギアクルスが出現した地域にはギルドによって厳戒態勢が敷かれることもある。

しかし前述の事もあってか、水棲モンスターの被害などは今のところはない様子だ。

船はただゆっくりと進んで行く。

 

 

 

 

それから翌日・・・。

タンジアの港へと到着し、二人は降りて行く。

すると巡視船から何人もののガーディアンズ兵士達が現れ、船乗り達が荷物を降ろす作業をすると、それを取り囲むように守衛警備をしたり、彼らを見張ったりしていた。

これ以上関わらない方がいいみたいだと解釈するルナはタンジアを見渡した。

いくつもの船が留められた港町からジェラードに関する情報をてにいれようとすると・・・。

 

 

「今回もかなり仕入れたニャ、ダンナさん喜んでくれるかニャ」

 

 

あの時のドンドルマで八百屋のおばちゃんに野菜を搬入したアイルーを発見した。

船乗り達にたくさんの空の木箱を舟に積み込ませると、船乗り達にゼニーを支払った。

 

 

「運搬ご苦労様だニャ、少ないけど取っといてニャ」

 

 

「はいよ、ありがとうさん。心配しなくてもアンタんとこの野菜は上質で味に斑がないから、ウチの息子も美味しくいただいてるからね。」

 

 

「それを聞いて安心ニャ」

 

 

船乗りはお金を受けとると、感謝し、アイルーに手を振りながら歩いて去っていく。

満足げなアイルーは舟に乗ろうとする。

ルナはその様子を見逃さずに止めようとする。

 

 

「待って、そこのアイルー」

 

 

「ん?何だニャ?ハンターのトレジャー依頼かニャ?だけどボクはトレニャーじゃないニャ。」

 

 

どうやら自分の事をトレニャーと勘違いしたのか、アイルーは首を振る。

トレニャーとは、フィールドに散らばるお宝「トレジャー」を探す「トレジャーハンター」の第一人者『トレジィ』の弟子であるアイルー。

大抵はその御年350歳の老人と一緒にトレジャーを探して行動している。

近年では危険な地域や、果てには危険なモンスターのトレジャーを採取したりする。

その危険と隣り合わせな仕事をするアイルーだが、生還率はかなり高く、貴重なお宝を持ち帰ったりできるため、多くのハンターからはかなり信頼されている。

何故ならそのお宝の中には、武器や防具を作るために必要な素材をもって帰ってくるため、とあるポイント費用と引き換えにその素材を手に入れるための場所まで行くと言う。

その結果、ハンター達にとって役立つものもたくさんあるため、だから信頼されている。

だが中には失敗する例も存在するため必ず成功するとは限らない・・・。

 

 

「いえ、あなた、ジェラードっていうヒトを知ってる?」

 

 

「私達、ジェラードさんって言うヒトを捜していてここまで辿り着いたんです。」

 

 

二人がタンジアへと訪れた理由を説くと、アイルーは手を叩くように頷いた。

 

 

「ああッ!社長ことダンナさんに用があるのかニャ!!」

 

 

「社長?ジェラードのこと?」

 

 

「それ以外誰がいるのかニャ?これからボクは社長の元へ帰るために舟を準備してるニャ。よかったら乗って行くかニャ?」

 

 

「ジェラードに会えるんだったら乗せてくれると本当に嬉しいわ」

 

 

「やっと会えますね!」

 

 

ルナとミズチは嬉しくなりながらアイルーの後に付いて行くと・・・。

 

 

「木箱がたくさんあってちょっと狭いかもしれないけど、今回の野菜畑は豊作ギッシリで、チャンスだったからニャ」

 

 

「農業専門なんですか?」

 

 

「園芸や酪農、はたまた鉱山や漁業などなど、いろんな農業でボクたちに指示して、色んな街で出荷したり、交易したりしてるんだニャ。」

 

 

「は、幅広いですね・・。」

 

 

あまりにも大幅な農業に、感服してしまうミズチだが

 

 

「それだけじゃないニャ、ジェラードのダンナさんは交易、農業だけじゃなく、開発をも専門として、他の皆からは社長と呼ばれるだけあるんだニャ。」

 

 

「開発?」

 

 

「うんニャ、武器や兵器などを発明開発して、それを帝都のお祭り等で披露しているんだニャ。」

 

 

「と言うことは彼はハンターじゃないって事?」

 

 

「いやいや、ちゃんとハンター稼業もやってるニャ。ダンナさんは『死神』と呼ばれる凄腕なんだニャ。」

 

 

「し・・・死神・・・?」

 

 

ジェラードの異名なのか、その迫力ありそうで穏やかそうではない呼び名に少々たじろいでしまう。

しかしルナはそんな様子を見せず、やけに満足そうに微笑している。

すると、アイルーは舟の後ろに回り込むと、舟に繋いだロープを解き、後部にあるクランクを回す。

すると何かの微妙な振動と同時に舟は勢いよく動き出した。

波を越え海を割るように、海面を猛スピードで突っ走る舟に、ミズチは驚きのあまり、縁に必死になって掴まる。

普通、船とはオールで漕いだり、帆を張って風に乗りながら進むのだが、この舟はそんなものがまるで要らないかのように進んでいる。

ただ、後方にいるアイルーは後部にあるクランクレバーを操作しながら舟を進ませているようで、おそらくあれが舟を動かす動力なのかもしれない。

舟を動かしてから数十分後・・・。

目の前に大きな山が目立つ島が見えてきた。

しかし周りは断崖絶壁が目立っており、とても舟を止める場所は見当たらない・・・。

しかし、アイルーは舟の速度を低下し操作すると、断崖絶壁の岩場を沿い進みながらどこかへ向かう。

すると絶壁にポッカリと穴があるのを発見すると、アイルーは舟を操作しつつ、そのトンネルの中へと入って行く。

暗そうに見えるが、トンネルの中に明かりがともしており、中の奥へと導いてくれるみたいだった。

そんなに長くはなかったが、しばらく進むと、出口の見える光が見えており、そこへと突っ切る。

光を抜けるとそこにはコバルトブルーの海に面している入り江のビーチが見えてきた。

二人はその美しい光景に目を奪われ唖然とすると、アイルーは舟を浅瀬橋の船着場へ停めようとゆっくりと操作する。

到着寸前にロープを取りだし、それを大きな旗を掲げている柱に巻き付けた。

ゆっくりと舟は橋に近づき、そして到着する。

 

 

「素敵な場所ですね!」

 

 

「ジェラードはこんなところにいるだなんて・・・。」

 

 

「信じられないかニャ?この島はもともと僕らの島だったけどニャ、社長が訪れた当初にボクたちの事を色々と助けてくれて、この島を発展していく内に、社長のモノになったんだニャ。」

 

 

アイルーが説明すると、ミズチは感服するかのように驚いた。

アイルーのいる島はいくつもあるが、助けられた後に自らのものとして譲渡するとはとても考えられない・・・。

とりあえず、ジェラードの元へ行くべくアイルーの後に付いて行く。

 

 

「それではお二方、こちらに乗り込んでほしいのニャ。」

 

 

アイルーに催促され、二人は木製の大きな籠状のゴンドラに乗り込むと、アイルーは確認をとり、レバーを操作する。

すると、乗せたゴンドラはすぐさま上昇し、あっという間に高所まで到着した。

 

 

「レバーを引けばあっという間に高い場所へと到着ニャ!」

 

 

「スゴいですね・・・。」

 

 

アイルーはゴンドラから降りながら自慢するかのようそれを叩く。

ミズチはこの技術に驚くが、この世界では別に驚くほどのものではない。

限りあるいろんな街にもこのようにリフトアップするゴンドラはある。

 

 

「ささっ!こっちだニャ!」

 

 

アイルーは再び二人を催促し、トンネルの中へと入る。

すると今度は車輪の付いた、人が乗れると言うよりも、大きな荷物すらも載せる事が出来る貨車トロッコが現れた。

二人はそのトロッコに乗り込むと、アイルーは再び操作し、トロッコを動かした。

トロッコは勢いをもって走りだし、そのままトンネルの中へと進んで行く。

しばらく進むと、アイルーはブレーキ操作し、トロッコを停めた。

そこに着いたのはいくつものトロッコが色んな線路上に止まっている、トロッコの停車駅みたいな所だった。

 

 

「まるで貿易みたいね・・・。」

 

 

「よく、こんなにたくさんの貨車トロッコを出せましたね・・・。」

 

 

「社長も色々経験したからニャ、こういうお仕事にはキッチリとこなさなくちゃいけないようだニャ」

 

 

あまりにもスケールの大きさに、唖然とするしかないが、それはともかくとして早いところジェラードに会いに行かなくては。

そして、トロッコの停車駅から離れるとその先にはたくさんの小さな建物から大きな建物があり、更に目を引くのは大きな樹木だった。

しかもその樹木にはよく見ると、入り口のような穴があり、恐らくあの樹はアイルー達の住む長屋のようなものだろうと分かった。

周りを見渡すとそこら中にアイルー達が横になって眠ったり、プーギーに乗って走り回ったりと、みんな陽気な感じだった。

しかし中には鍬や鋤を手に仕事に向かったりするアイルーもおり、大きな荷車を引くアイルーや押すアイルーなどがいる。

 

 

「みんにゃ、それぞれのお仕事にいくんだニャ。農作物を採るために畑に向かったり、海辺に行って釣りをしたり、山や洞窟へ行っては採掘したり、ポポやガーグァを育てたり、虫を捕ったりしてるニャ」

 

 

「なるほど、それでここで採れたモノを街へ行って交易したりするのね。」

 

 

「そうだニャ!これらで手に入れたお金などは、島の発展や蓄えなどに適しているニャ!」

 

 

自分の事でも無いくせに、ふんぞり返って自慢しているアイルー。

 

 

「そして、ボク達はそれよりも更にスゴいことに挑戦してるニャ!」

 

 

「スゴいこと?」

 

 

「そこに我らがダンナさんこと社長がいるんだニャ!」

 

 

アイルーと歩きながら話をしている内に、何やらそれほど大きくない建物へと到着した。

するとアイルーはドアをノックするように叩いた。

 

 

「ニュートンだニャ!ただいま帰って来たニャ!」

 

 

ドアの前でそう言うアイルーこと『ニュートン』。

しかし返事はなく、変に思ったニュートンはドアを開けようとすると、ドアノブが回り、ドアが開いた。

そこから現れたのはアイルー・・・ではなく赤いネコのようなフードをかぶっている金色短髪の女の子だった。

 

 

「あ!お帰りなさいなのです、ニュートンさん」

 

 

「パピかニャ、ダンナさんは?」

 

 

「社長でしたなら、今留守にしていますが」

 

 

「そうかニャ・・・どうやら入れ違いだったようだニャ」

 

 

ここまで来るのが遅かった事に、ニュートンは申し訳なさそうに謝る。

 

 

「ううん、気にすることないよ、元々は私達が会いに行きたいって言ったから」

 

 

「そ、そうかニャ」

 

 

「あの~・・・ところでそちらの方達って、ひょっとしてハンターさん達なのですか?」

 

 

「そうだニャ」

 

 

ニュートンの後ろにいるルナ達にパピは不思議に思い訊いてみると、ニュートンは即答した。

 

 

「社長に御用なのですか?」

 

 

「ええ、そうだけど・・・。」

 

 

パピはその大きな瞳でジッとルナ達を見つめる。

 

 

「でしたら、中で待ちませんか?もうすぐ社長も帰ってきますし。」

 

 

「だったら、お言葉に甘えて・・。」

 

 

パピに催促され、二人は中へと入った。

そこは工房のような科学研究所だった。

その証拠に、試験管やビーカーやフラスコ、メスシリンダーにペトリ皿、プレパラートなどが置かれている。

しかも別の場所には工房と言う名の通り、木の板やハンマー等が置かれている。

 

 

「ここで何をしてるの?」

 

 

ルナはあえて聞いてみた。

 

 

「ここは新開発する為の科学工房室だニャ、ダンナさんはボク達と一緒にありとあらゆる発明に勤しんで開発してるニャ」

 

 

「は、発明・・・。」

 

 

ハンターであり発明家でもある。

ジェラードという人物は一体何者なのだろうか・・・。

ミズチがそう気になる内に、パピは二人のために椅子を用意し、座らせた。

するとパピは教壇らしき場所へと向かうと、そこにいたのは数匹のアイルー達が教壇に向かって座っているのを確認する。

そして、パピはアイルー達に顔を向けて・・・。

 

 

「それでは、先程の続きを始めるのです」

 

 

どうやら何かの実験の講義の続きらしく、ルナ達が来たことにより、一時中断したようだ。

パピは試験管立てから、一つの試験管を取りだし、そこに長いケースをも取り出すと、その中から小さな薬らしき錠剤を出した。

 

 

「これから始めますのは、雲の作り方なのです。雲と言うのは水蒸気を含む空気が上昇し冷やされることによってできます、そして雲が形成するにひつようなのが、雲のタネ(核)というものなのです。」

 

 

「雲のタネ(核)とはなんだニャ?」

 

 

「言うならば雲を形成するのに必要な部分なのです。空気中にある海水のしぶきからできた塩の小さな粒や火山の噴煙の煤煙などからタネが出て来て、これが水蒸気と付着し、次第に大きくなって水の粒となり、雲が出来るというわけなのです。そしてこの錠剤は、社長が作った、その雲のタネでありまして、これを使うことで雲を作るのです。」

 

 

パピはそう言いながら、試験管の中に錠剤を入れる。

錠剤はあえて、小さく二つに分け、その内の小さな部分だけを、試験管の中にいれた。

続いてスポイトを取りだし、その中に入っている水を試験管の中に入れると、錠剤が水に反応したのか、そこから煙のようなものが出てくると、錠剤はあっという間に消えてゆき、試験管の中は、白い靄しか残っていなかった。

 

 

「この様に雲とは言いがたいですけど、これでも立派に雲の完成であります。」

 

 

「と、言うことはだニャ、今回の発明は、これに関するものかニャ?」

 

 

「はい!ですがその前にみなさん、爆雷針と言うものをご存じですか?」

 

 

と、パピはこれから始める発明の実験を始める前に、アイルー達に質問する。

 

 

「はいニャ!避雷針の原理を応用して作られた特殊な罠だニャ、地面に設置した直後に稲妻を引き寄せて、その雷撃をモンスターに浴びせるニャ。」

 

 

「雨や嵐、吹雪にゃど、悪天候のときは火薬を使用する爆弾類は使用できニャいから、その代役として活躍するニャ。」

 

 

「にゃけど、使用には条件がありましてニャ、悪天候でにゃければ使えニャいから、あまり使える機会が中々来ないニャ」

 

 

パピの質問に次々と答えるアイルー達。

たしかに爆雷針は使用条件が限られており、大雨や吹雪などの悪天候でしかその効果を発揮できない・・・。

しかも近年になり、爆弾に防水加工がなされ、雨天でも使用可能になったため、爆雷針はお払い箱になってしまったが、今でも根強い人気があり、爆雷針に必要な調合素材が買われたりする。

 

 

「そして今回の発明は、これで雷雲を作って、いつでも爆雷針が使える様にするという感じですが、稲妻を降らせるのが爆雷針だけではありません、その先が肝心なんです。」

 

 

「雷雲を作るって、どうやってだニャ?」

 

 

一匹のアイルーが質問すると、パピは教壇から何かが入っているビンを取りだした。

中にはビリビリと電流が走っているようなゼラチン質のゼリー状物体だった。

少し遠くからだが、ルナはそれが何か分かった。

 

 

「な、何なんでしょうか?あのゼリーみたいな液体は・・・。」

 

 

ミズチは初めて見るビンの中の黄色いビリビリとしたゼリーに戦慄を感じてしまう。

触っただけでも痺れてしまうような、そんな不安が過ってしまう・・・。

 

 

「あれは雷光ゼリーね」

 

 

「雷光・・・ゼリー?」

 

 

「大雷光虫から取れる稀少な素材で、エキスよりも重要よ」

 

 

ルナはビンの中の黄色いゼリーを見てそう語る。

大雷光虫とは、雷光虫の突然変異体でもある。

まず、雷光虫についてだが、虫を使った素材の中でも代表とされるモノで、衝撃を加えると放電する習性を持つ虫。

そして、特殊な環境下に置かれた雷光虫が突然変異を起こし、巨大化したのが大雷光虫。

とある古代の遺跡や夜の水辺などで確認されることが多く、遠目には一つの蒼白い光球に見えるが、実際は上記のような個体が数十匹単位で集まっており、

まるでそれ等全ての個体が引き合っているかのように統率された動きを取る。

一見幻想的にさえ映るが攻撃性が非常に高く、不用意に近付くと眩しく発光し、

群れ全体が放電しながら体当たりを仕掛けてくる。

それぞれが通常の雷光虫を上回る発電力を持っているため、接触すると感電して体が麻痺してしまうこともある。

そしてその大雷光虫から採取できるのが『雷光エキス』である。

コレは高い蓄電能力を秘める雷光虫の体液で、通常の雷光虫から抽出するにはあまりに量が足りないが、大雷光虫を撃退した際に入手できることがある。

蓄えられた電力は衝撃を加える事で放電するため、取り扱いには注意が必要。

更にエキスよりも上等な素材が『雷光ゼリー』である。

大雷光虫の体内で生成されるゼラチン状の物質、雷光エキス以上の膨大な電力を蓄えており、取り扱いも割と簡単という優秀な素材。

しかし、エキスよりも重要かつ稀少な為、素材としてのゼリーを入手するのは中々難しい・・・。

 

 

「ルナ先輩が知ってるって事は、手に入れた事があるんですよね!」

 

 

「一個だけだけど、それでもかなり重要な素材だから、今、キープしてるの。

きっと何か使えるんじゃないかと思って敢えてね・・・。」

 

 

「ほぇ~・・・準備がいいですね!」

 

 

ルナとミズチがそう話しているとき、パピは教壇から出ると、彼女の手にはゼリー入りのビンではなく、平底フラスコだった。

 

 

「今からこのフラスコを使って、雷雲を作ります。」

 

 

パピは先程と同じようにケースを取りだし、そこからフラスコの中に雲を作る錠剤を一粒入れ、雷光ゼリーの入っているビンの蓋を開けると、分量スプーンで少量すくい取り、その上にかけた。

更にスポイトを取りだし、フラスコの中にあるゼリーに乗せられた錠剤に向けて水を数滴垂らした。

すると、中の錠剤は水に反応し、そこから雲が形成すると、その雲から稲光が発光し、正真正銘の雷雲が完成した。

アイルー達は、歓声をあげながら拍手を贈る。

パピはフラスコを持ったまま得意気に胸を張る。

ルナ達も思わず席を立ち、拍手をする。

 

 

「スゴいですね!で、その中にある雲をどうするんですか?」

 

 

「ええ、この雲はですね・・・。」

 

 

パピが説明しようとすると、フラスコの中にある雷雲が激しく稲光を発光し、大きな雷音が鳴り響いた!

 

 

「キャっ!!!」

 

 

パピはその音に驚き思わずフラスコを手放してしまった。

フラスコはそのまま落ちて行きそして、地面に叩きつけられたかのように割れてしまった。

すると中にある雷雲が外に出て行き、雷を発光すると、雷は教壇に当たり、発火した!

 

 

「はわわわっ!!!か、火事です!!」

 

 

「ニャーーーーーーーッ!!!水ニャ!水!」

 

 

アイルー達は慌ててしまい、急いでバケツ入りの水を手に、発火した場所に水をかけようとする。

だが、取り乱したパピは思わず手に持っていた錠剤入りのケースと雷光ゼリー入りのビンを手放してしまった。

空中に放り投げられた二つは、そのままアイルー達が持っているバケツの水のなかへと入っていった・・・。

余談だが、この時、二つとも蓋は開けっぱなしだった。

するとバケツから、雲がどんどん形成し、部屋中を覆い尽くそうとする。

 

 

「ちょっ!先輩!これって不味くありませんか!!??」

 

 

「と、とりあえず窓やドアを開けて!!」

 

 

「あ!!ダメです!!」

 

 

「え?」「へ?」

 

 

覆い尽くした雲は徐々に外に出て行き、やがて工房から出てきた雲は空に向かって上って行き・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方ここは、先程の島よりそんなに離れていない沖にある小さな島。

そこに一匹のアイルーが浜辺沿いに向かって走っている。

誰かを探しているかのように辺りを見渡すと・・・

 

 

「あ、いたニャ」

 

 

アイルーは探していた人物を発見し、その人物に近づく。

 

 

「ダンナさん、ジェラードのダンナさん!」

 

 

眠っているみたいで、声をかけられ目を覚ます人物ことジェラード。

彼はビーチチェアの上で赤いシャープ曲線の入った鎧を着たまま眠っていた。

兜はかぶってない様子で、ジェラードは声をかけたアイルーに顔を向ける。

 

 

「ん、アインシュタインか」

 

 

「ダンナさん、そろそろ時間ニャ、みんな待ってるはずニャ」

 

 

「あぁ、ごめんごめん、うっかりしてたよ、あまりにもいい天気だし、波の音も心地いいし、日差しがちょうどいい、良い事三拍子そろってた。」

 

 

体を起こし、ビーチチェアから降りたジェラードは、そのまま歩き出した。

それを追うように付いてくるアイルーこと『アインシュタイン』。

しばらくしビーチに揚げてある小舟のあるところまで着くと、それを押し出し、海に出した。

 

 

「ダンナさんは社長でもあるから少しは自覚と言うものを持つのが大事ニャ」

 

 

「言わずもがな」

 

 

「ボク、うるさく言ってる訳じゃないニャ、ダンナさんのオトモとして当然の事を言ってるんだニャ」

 

 

小舟に乗り込んだアインシュタインはジェラードに対し、適切なアドバイスを送っていた。

このアインシュタインと言うオトモアイルーは他のアイルー達のリーダーでもあり、ニャンターとしても経験ある立派なアイルーでもある。

ニャンターとは、主人であるハンターの代わりに自分狩猟、採取、納品などのクエストに行く事である。

どんなクエストに行けるのかは自由、とうぜん、高難度ですらも受ける。

アインシュタインは、色んなクエストを経験し、ダンナであるジェラードと共に修羅場を潜り抜けたとも言われている。

しかしアインシュタインだけではなく、他にも色んなアイルーもまた同じように経験していた。

 

 

「・・・なあ、アインシュタイン。」

 

 

突然、ジェラードが立ち止まるのを見たアインシュタインは、きっと自分がとんだ生意気なことを言ったからかもしれないと思い謝ろうとする。

 

 

「ごめんニャダンナさん、今言ったことは言い過ぎたニャ。」

 

 

「アマツでも来たのか?」

 

 

「え?何の話ニャ?」

 

 

「島が災害に襲われてる・・・。」

 

 

ジェラードが指した方向に、アインシュタインは目を向けると、そこにはゴロゴロと雷雲が、島を覆いつくし、土砂降りや台風が襲っている。

 

 

「ニャ?・・・ニャニィーーーッ!!!」

 

 

アインシュタインは唖然とし、急いでクランクレバーを操作し、島まで向かった。

 

 

 

到着して早々、前に進むのが辛いくらいの強風や土砂降り、更には雷がジェラード達を襲う。

落ちてゆく稲妻はヤシの木に直撃すると

焼き焦がれながら倒れてゆき、強風によって次々と家の屋根はひっぺがされ続けて行く・・・。

あの美しかった南の島が変わり果ててゆく阿鼻叫喚の地獄絵図とはまさにこの事である・・・。

 

 

「ニャニャニャニャーーーっ!!!ど、ど、どうにゃってんだにゃーーーーーー!!!」

 

 

「こりゃ、モンスターの仕業ってわけじゃなさそうだな・・・。」

 

 

アインシュタインはかなりパニクってるが、ジェラードはいたって冷静だ。

 

 

「ニャ!社長!」

 

 

「ダンナさん!助けてくださいニャ!」

 

 

嵐の中をアイルー達が慌てて駆け回り、ジェラードを見つけると、すぐさま助けを求め懇願する。

 

 

「ど、ど、どうしたんだニャ!これは何事ニャ!」

 

 

「研究所の工房で緊急事態が発生したんだニャ!!」

 

 

「助けてニャーーーっ!!!」

 

 

 

「と、とにかく嵐対策をするニャ!すぐにとりかかるニャ!」

 

 

慌てるアイルー達にアインシュタインは、纏めようと宥める。

落ち着いたアイルー達は、すぐさまそれぞれの場所に戻り、嵐に対する災害から家や畑などを守るべく、板を取り付けたりカバーを敷いたりする。

それを見たジェラードは、研究所の工房へと向かうと、そこにいたのはたくさんのアイルー達を抱き抱えて避難するルナ達だった。

ミズチもまた初めて見るハプニングに慌てながらも、アイルー達を避難させる。

工房から涌き出る雷雲が、稲光を発しながら、もくもくと上へと上がってゆく。

空を見上げれば、雲の大きさは尋常ではなく、島を覆い尽くした位の曇り空だった。

ジェラードはこの光景に慌てる様子も先程もなく、ただ感心していた。

 

 

「へえ・・・」

 

 

「あ!社長!すみません!実験に手違いしてしまいまして!」

 

 

「手違いって何の話ニャ!そこをどくニャ!」

 

 

工房の扉から出たパピは、ジェラードの姿を発見すると、先程の事態を報告する。

アインシュタインは原因はお前かと言わんばかりに、すぐさま工房の中へと入っていく

 

 

 

「ジェラード・・・?ジェラード!!」

 

 

「ん?」

 

 

ルナはジェラードが帰ってきたことに気が付き、アイルー達をいったん地面に置くと、彼の元へと駆けつけた。

ジェラードは突然自分の名前を呼んでくるキリン装備の女性に違和感を持つ、何処かで会ったことがあるのか?

 

 

「私よ!ルナよ!ほら!子供の頃の!」

 

 

ルナは嵐の中、必死に自分の名前を叫ぶと、ジェラードは記憶の中で、彼女が何者なのかを思い出した。

 

 

「ルナ・・・ルナか、あのルナなのか?」

 

 

「ええ、あのルナよ!私、本物のハンターをやってるの!」

 

 

「ほお、じゃあ、願いが叶ったのか?」

 

 

「ええ!」

 

 

自分の事を覚えてくれたことに嬉しさを隠しきれないルナ。

 

 

「ダンナさん!雨雲が止まらないニャ!!」

 

 

アインシュタインはバケツから溢れてゆく雨雲を止めようとするが、もはやどうにも出来ない様子だった・・・・。

 

 

「いやいや、久々だな。」

 

 

「11年ぶりね」

 

 

そんな大惨事を余所に、ジェラードとルナはお互いの再会に固い握手を交わす。

もはや二人の間には強い風も光る稲光も殆ど聞こえず、ただただ握手し続ける。

アイルー達の悲鳴がジェラードに助けを求めているにも関わらず・・・・。

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