次はいつになるのやら・・・
気がつけば、さざめく波の音と潮の香り。
視界をやき尽くしてしまいそうな白は徐々にその力を押さえ、視界を助け出してくれていた。
忌々しいそれから解放されようと、私の瞼を開いていく。
海。
「――――――――!」
その蒼を目にした時、言葉を発していた、ような気がする。
どこかここが現実と思えなくて、深い哀しみを吐き出していた。
どれだけの時間そうしていたかは分からないが、私の慟哭が収まった頃には既に、日も沈み、街頭の灯りが点々と主張するかのように道路を照らしていた。
それに気がついた時、スっと。
・・・スっと暖かい何かに包まれた気がして。
そして、私は先程までの哀しみが呆気ないほど静まり、ポツリと記憶よりも高い声で、しかし記憶通りのこえで。
「ここ、どこ?」
呟いていた。
現状があまりわかっていなかった私は、落ち着いたその頭で周囲を見渡す。
しかしそこはやはり、海岸線のどこかで。
記憶を探ってもパソコンの前に座り、ゲームをしていたところで今に繋がっていた。
「え、ほんとここどこ?」
とりあえず重たかった金属製の何かをそこに脱ぎ捨て、道路へと向かった私は、錆び付いた標識をみて、やはり混乱した。
そこに書かれていた地名から場所はすぐに分かった。
けれど。
「なんで北海道なのさ」
どうやら私は、東京から遠路はるばる北海道まで運ばれてしまったらしい。
それから私は道路をひたすら歩いた。
私個人の感想で言わせて貰えるなら、ほぼ夜通し歩いたような気さえする。
何かで読んだ、少し移動すれば見つかるというセイ○ーマー○も見つからず、いい加減疲れもピークになった時、ようやっとあかりが見えた。
そのあかりにたどり着く頃には日も昇り始めていて、人々の生活の騒めが聞こえてきて。
目の前に人がいた事で、私の意識は闇に落ちていった。
「・・・ちのに・・・んなとこ・・・るわけないだろ!」
「・・・んのものはよくきとるらしい」
「にげ・・・か!?それもあんなち・・・いてにげたやつらが!?」
目が覚めた。
目覚めに重い体を起こしつつ、目を擦り、呟く。
「ここは・・・?」
「あ、起きた?・・・ごめんね、お父さん達がうるさくって」
その少女の声に、周りの男たちの声は一気に静かになる。
「いや、えーっと、なんか、ごめんなさい・・・?」
「ううん、こっちこそごめんね。ほらお父さんたち、うるさすぎだよ!」
「あー、悪かったな、嬢ちゃん」
「あ、いえ、別に、大丈夫、です」
「いきなり目の前で倒れたからびっくりしたよー、あ、わたしは楠木 楓(くすのき かえで)。あなたは?」
「え、あ、ありがとうございます・・・。私、は・・・」
名前。
ナマエ。
なまえ。
「・・・」
「あ、あれ、だ、大丈夫?・・・思い、出せないの?」
「あ、いや、えーっと・・・」
どうしてか、名前が出てこない。
いや、出てきてはいる。
でもそれが、自分の名前だと認識しているのに、認識していないのだ。
しかし、いつまでも返さなければ、この少女やその父親達の不安そうな顔に、私は更なる罪悪感を得てしまうだろう。
・・・仕方ない。
「多摩、だと、思います。」
「えーっと、・・・たまちゃん、なんだね!」
頷けば、そっかそっかと呟く楓と、難しい顔をしてるその父親たち。
「・・・なあ嬢ちゃん、覚えてなけりゃしゃーねーんだが、どこから来た?」
「道路を、まっすぐ、です」
「じゃな、いや、・・・その前は?」
「・・・わからないです。気がついたら砂浜で・・・」
「そう、か。悪かったな、いきなりで」
「いえ・・・」
なんだろう、質問の意図が見えない。
ここは日本で、外通信のしっかりと整った国、のはず。
なのに、漫画とかアニメみたいな過疎地とか中世の村に来たよそ者に対するような質問のようで。
「あー・・・とりあえず、風呂に入っておいで。その間にご飯でも準備しといてもらおう」
いや、そこまでしてもらう訳には、なんて言葉も発する間もなく、老人は婆さんやと、その場を離れていた。
「素直に受け取っとけ?じゃなきゃうちのガス代が無駄になっちまう。」
「あ、ありがとうございます・・・」
服は私のでとりあえずいいね!なんて楓の言葉に、え?困惑しているうちに、連れられて服を脱がされ風呂場に突っ込まれ、私は固まってしまった。
鏡にうつしだされた一糸まとわぬ多摩の姿を見て。
「な、なっ」
・・・とりあえず、分かったことがある。
私は、多摩で間違いないようだ。
たとえ記憶では違おうとも。
風呂をあがり、色々な意味で真っ赤になった私は、なるべく平静を保とうとしながら、楓の服に袖を通し、楓のお婆さんが作ってくれた鹿肉料理を頂きながら、火照りを冷ますことになる。
それからは少しだけ飛ばすことにしよう。
といっても、この数日間は普段私が目にしていた女子高生たちの普段の過ごし方とそう変わらないものだった、と言えよう。
楓の家に住ませてもらうことになり、楓の学校が終わるのを待ち、その間家事を手伝い、学校が終わるや否や1度帰宅した楓に連れられてカラオケやカフェなどに連れられていって友人を紹介されたり。
夜には楓にわかる範囲でだが勉強を教えたり、逆に教わったりしていた。それだけなのだから。
その間におきた特筆すべきことといえば、いくらインターネットで検索しても、艦隊これくしょんの文字は一切見つからなかったこと。
これに尽きる。
と、いうわけで、久しぶりの投稿(ほんといつぶりなのか)
しばらくは更新するつもりだけど、うちだからなぁ・・・
そして未だに艦これ要素がほんのちょっとしかない
まー、まだ起承転結の起の序盤も序盤、てか、そのまえですからね!(?)
それでは、いつ更新されるかはうちにも分からないですが、ここまで読んでくださって次話も待ってやるよっていう優しい方は、ぜひ次も会いましょう。
それでは!