艦これ -兼任提督は楽じゃない-   作:ラリカ

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ようやく始まるよ


第3話

街に鳴り響く警報の音。

 

途端慌ただしくなったこの家族を見て、けれど私は、ひとつの考えをしていた。

 

逃げるよと、手を引こうとする楓から逃れ、悔やんでいたり、慌てていたり、悲しんでいたりする彼等に、先に行ってと伝える。

 

震えるように零したその声は、私自身の考えに逃げがあるようで、自身の頬を強く叩かせた。

 

あっけに取られる彼等に、再度、先に避難して、と伝える。

 

今度は震えてはいなかった。

 

「私は、多摩。球磨型軽巡洋艦二番艦、多摩。だからここを、あなたたちを守るために、海に出る!」

 

自分に言い聞かせるように、声を張り、その意志を彼らへと伝える。

 

例え異物が混ざっていようとも、私は私が信じた多摩である。

 

桂梧は強く拳を握り、しかし、絞り出すように情けない大人ですまない。頼む、あんたの持ち物は納屋にある。

 

そう告げ、必死の形相でなんで、早くたまちゃんも逃げないと、と叫ぶ楓を抱えあげ、外へと向かっていった。

 

最後に出る時に見せた楓の姿に、決意が鈍りそうにもなった。

 

しかし、そうしている時間も惜しい。

 

急ぎ納屋へ向かい、私自身を身に纏う。

 

ほっぽり出してしまっていた艤装は、しかし待っていたと言わんばかりに私に力をくれる。

 

待たせたね。

 

そんな声をかけて、私は海へと足を進めた。

 

 

 

 

 

海へと出た私は、すぐさま水上偵察機を飛ばし、祈るように足を進める。

 

身体が覚えているとでも言うのか、戸惑いはなかった。

 

飛び立つその機内にいた妖精が、サムズアップして飛んでいくのを見て、場違いなことも考えてしまったが。

 

しかし、運良く見つけることは出来た。

 

その事を妖精さんは伝えてくれる。

 

その事実がまた、私を多摩とさせてくれていた。

 

故に。

 

漁港へ一直線に向かっている奴ら、魚のように見えなくもない夥しい数の化け物達を、沈める。

 

そのために、奴らの前に姿を見せつけた。

 

「ここから先には行かせない。・・・守るために、私は私としてお前らを沈めてやる。」

 

そう、睨みつけた。

 

撃つ、撃つ、撃つ。

 

狙いは程々に、されど必中させて撃つ。

 

もちろん、奴らは案山子なんかじゃない。

 

その数の優位故に雨のように撃たれている。

 

しかし、その痛みなど、耐えられるほどの思いがこの身にはあった。

 

この街に住む皆への思い。

 

この身への後悔。

 

そして。

 

「例えゲーム内でも”俺”は彼女をここに送らせていたんだ。」

 

「その彼女に取り返しのつかないことをした。」

 

「けれど。」

 

「いや、だからこそ!」

 

「この程度にやられるものかっ!」

 

 

 

 

あれから、どれほど戦いは続いたのか、闇に包まれてしまった今では分からない。

 

しかし、四肢が痛みで動きを鈍らせる頃、あれほど居た奴らは、数えられるほどにまでなっていた。

 

撃つ、沈める。

 

撃つ、沈める。

 

しかし、これだけ鈍くなった今、あと一隻という所で、気がついてしまった。

 

すぐ真横、手の届きそうなところに大きく口を開けた化け物。

 

その口から出る砲塔が、ハッキリと私を狙っていることに。

 

その衝撃を恐れ、目を瞑ってしまったが、しかし、思っていた以上に衝撃は少なかった。

 

目を開けてみれば、なんてことは無い。

 

奴が沈むのが見えるだけ。

 

「大丈夫、ですか?」

 

声をかけられ、ようやくそちらを向けば、いつの間にか、一人の少女がいた。

 

見れば彼女もボロボロだった。

 

「大丈夫、えーと、その、ありがとう。」

 

「こちらこそありがとうなのです。・・・あなたがいなかったら、あのままきっと・・・」

 

それから私たちは周囲を警戒し、しかしこれ以上居ないこともわかり、陸へ戻ることにした。

 

「自己紹介がまだだったのです。駆逐艦、電です。」

 

「軽巡多摩、です。」

 

「えーっと、多摩さんは、どちらに所属をされているのです?」

 

「その事だけど、私はどこにも所属してないから、出来たら入渠施設を借りたいんだけど・・・」

 

「・・・ごめんなさい、電は入渠施設が無いのです。」

 

どういうことかと聞けば、なるほどと、思ってしまった。

 

電は軍から文字通り外されてしまっていた。

 

出来れば戦いたくない、命を救いたいその思想故に。

 

だからこそ、鎮守府に向かうことも出来ず、施設もないままに戦い続けたらしい。

 

この地を守るために。

 

そんな話をしていれば、いつの間にか漁港へと着いていた。

 

こっちで少しお話を聞きたいのです、なんて言われ、案内されたのは倉庫の一角。

 

どうやらここで暮らしているらしい。

 

そちらに座ってくださいと勧められた椅子に座った瞬間。

 

心がざわついた。

 

なんと表現したらいいのか分からないが、確かな事がわからされた。

 

提督が着任したという事が。

 

驚いた顔でこちらを見つめる電に、帰ってこれた実感を持って。




ようやく着任!

ここから始まる訳ですが、更新はいつも通りで、気まぐれです

気長にお待ち頂けたらとは思います

あと一つ

知識そんなにある方じゃないので間違いとかあったりすることがありますが、現実世界ではない世界ということで納得頂けたらなと思います。

やってた時期かなり前だからユルシテ!
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