たまには一人称形式の二次創作が書いてみたいということで、衝動のままにゼロの使い魔の二次創作に手を出してみました。もう二番煎じ、三番煎じ所か百番煎じのネタかもしれませんが、よろしくお願いしま――ルイズ! ルイズ! ルイズ! ルイズぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー! あぁああ(ry
その時。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの内心は穏やかではなかった。
現在地はトリステイン魔法学院。
今現在、執り行われているのは使い魔召喚の儀。
魔法学院進級試験の意味合いをも持つこの召喚の儀式で、使い魔を召喚できなければ、失敗すれば、待っているのは進級できないという事実。
いくら座学で優秀な成績を取っていようと、ここで失敗すれば意味がないのだ。
なのに、召喚できない。
もう何度も召喚しようとしているのに、失敗する。
私はこんなにも必死なのに、魔法は私に応えてくれない。
事前に使い魔召喚に関する膨大な知識を収集し、練習を重ね、少しでも使い魔が召喚できるよう何カ月も前から努力し続けてきたというのに、使い魔は一向に召喚されない。
私に野次が飛ぶ。悪意と嘲笑の視線が飛ぶ。
諦めてしまおうか。何となくそう思った。
反骨心に任せて、プライドのままに今日までがむしゃらに頑張ってきたが、もう、そろそろ限界だ。いくら努力しても、全然結果が伴わない。伴ってくれない。この悪夢のような現状。どう足掻こうと光明の見えない現状。もう、限界だ。
私が一体、何をした。何もしていないはずなのに、この仕打ちは一体何なんだ。
始祖ブリミルは、私を陥れでもしたいのか。私はそれほどに、始祖ブリミルを怒らせているのか。嫌われているのか。これは何かの罰なのか。
ふと心に生まれたネガティブなマイナス思考は渦を巻き、拍車をかけていく。
ほんの小さな心の闇はドンドン増長していく。止まる気配はない。
それでも、心中がどれだけ淀んでいようと構わずに、私はとにかく召喚を続ける。
限界だろうが何だろうが、止めてしまえば、諦めてしまえば、全て無駄になる。
今日まで積み上げてきたものが完全に否定される。私が、否定される。私が、私でなくなってしまうのだ。
ゆえに。私は杖を振るい続ける。何度も詠唱を繰り返す。何度、失敗したことを示す爆発が発生しようと頑なに使い魔召喚を行おうとする。
(何でもいいから、早く召喚されなさいよ! なんで応じてくれないのよ!)
喉元まで出かかった悲鳴を、どうにかせき止める。ここで悲痛な思いを吐き出してしまえば、ますます嘲笑われてしまう。ますます無様を晒してしまう。あふれそうになった涙をせき止め、くずおれてしまいそうだった足に力を入れて、詠唱する。
――その時。ようやく、ようやく反応が生まれた。
これまでと同様に起こる爆発。しかしその土煙の中に、何かがいたのだ。
ようやく召喚できた。歓喜の念に心を震わせつつ、私は土煙が晴れるのを待つ。
待って、そして困惑した。
土煙の向こうにいたのは非常に見覚えのある姿だった。というか、毎日見てきた姿だった。
顔も背丈も服装も何もかも同じ。違いがあるとすれば、うなじが見えるぐらいにバッサリと斬られた髪型ぐらい。
そう。紛れもない『私』自身が、目の前に立っていた。
◇◇◇
「え?」
私は状況が飲み込めず、情けない声を出す。それは周囲の野次馬たちも同様のようで、彼らのどよめく声が聞こえてくる。
「……ふむ、なるほどね。よし、大体状況は把握した」
そんな中。私とほとんどそっくりの姿をした人間は辺りを一瞥した後に軽くうなずくと、私へ近づき「よし。そんじゃさっさとキスして契約終わらせようか、
「は、え?」
何となく怖くなって、私は一歩、二歩と後ずさる。しかし目の前の人間はすぐに私との距離を詰めると、呪文を唱え、流れるように私と唇を合わせてきた。
「~~~ッ!?」
突然の状況に何も対応できないまま、思考回路はまるで働かず、顔は真っ赤になったまま。何かを言おうにも何も言えず、口をパクパクさせるだけの私。一方、私からファーストキスを奪った人間は自分の左手にルーンが刻まれたことを確認すると「そんじゃ。ちょっとご主人様借りるねー」と私をいとも簡単にお姫さま抱っこして走り出した。
「な、なぁああ!?」
ファーストキスを奪われただけでも脳内はショート寸前だったというのに今度はお姫さま抱っこ。もうホントにわけがわからないまま私はつい甲高い声を上げてしまう。しかし、私を抱えて走る当の人間はその足を止めることなく、野次馬たちを置き去りにするのだった。
◇◇◇
「で、あんたは一体何なのよ?」
私は自分の部屋のベッドに腰を下ろすと、目の前に立つ人間に問いかける。先の衝撃的な出来事の連続からやっとのことで立ち直った私は、眼前の人間の正体を問い質す。
私は使い魔として、人間を召喚した。そのこと自体には落胆せざるを得ない。人間の使い魔なんて前代未聞だし、そもそも他の使い魔と比べて弱いのが明らかだからだ。
しかしガッカリなんてしていられない。何せ、目の前の使い魔は私と本当にそっくりなのだ。それこそ、双子だと言われても容易に納得できるほどに。
だからこそ。ここではっきりさせないといけない。目の前の存在が一体何なのかを。
「私はルイズ。ご主人様と同じ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
「……冗談は言わないでくれる?」
「そんなこと言ったってさ、事実だから仕方ないじゃん」
私がジィーと疑いの目線を注いでみると、自称ルイズは困ったように眉を寄せる。そんな顔したって無駄だぞとの意味を込めてさらに疑念を強く込めた視線を込めると、自称ルイズは「ねぇご主人様」と声をかけてくる。
「そのご主人様ってやめてくれる? 自分そっくりな人にそう言われると違和感凄いし」
「えー? 結構この呼び方気に入ってたんだけどなぁー? ……ま、わかった。でさ、ルイズ。平行世界って考え方、知ってる?」
「平行世界?」
目の前の自称ルイズは語る。例えばある日の私が朝食を前にしたとして。その時、私には2つの選択肢が突きつけられる。朝食を食べるか、ダイエットのために朝食を抜くか。この時、もしも私が朝食を食べる道を選んだとしても、ダイエットのために朝食を抜く私が消えるわけではない。選択肢の前に立った時点で、朝食を食べた私とダイエットのために朝食を抜く私が生まれるのだ。
このように。平行世界とは、私が分岐点の前に立った数だけ「もしも……」の私が生まれる。生まれて、本筋の私とは別の人生を歩んで生きていく。平行世界とは、簡単に言うならそのような考え方、らしい。
「じゃあ、なに? あんたはその、私が選ばなかった選択肢を選んで生きてきた、無数の私の内の一人なの?」
「そういうこと。私自身、今まで平行世界なんてあまり信じてはなかったんだけど、まさか真実だったなんてねぇ。もうホントにビックリだよ」
平行世界という突拍子もない概念を受け入れるのにいっぱいいっぱいな私とは裏腹に、ニコニコ笑顔を浮かべるもう一人の私。私にとって現状がとんでもないように、彼女にとっても今はとんでもない状況のはずだ。何せ、彼女は別世界の私の使い魔となってしまったのだから。なのに、どうしてこうもヘラヘラしていられるのか。不思議でならない。
「とにかく、貴女が何を思おうと私もルイズ。紛れもない本物よ。……でも、これは2人だけの秘密にしない? 皆が皆、平行世界の概念を理解できるとは思えないし、そうでなくとも一々説明するのは厄介で面倒だからね。だから、対外的には私はルイズとほんっっっっっっっとうにそっくりなだけの平民って設定でいいかな?」
「……まぁ、それが妥当よね」
「じゃあそうしよう。じゃあ、次。名前が同じってのも他の人はややこしく感じるだろうから……そうね。私のことはイルって呼んでよ」
「イル? ……もしかして、ルイズを逆から読んだわけ? さすがに安直すぎない?」
「こういうのは安直なぐらいがちょうどいいの。あまり凝った名前考えても私には馴染みそうにないしね」
人差し指をピンと立てて得意げに語るもう一人の私、もといイル。わからない、どうしてこうもヘラヘラしているのか。どうしてこうも『人生を楽しめてます』といった感じの雰囲気を自然に出せているのか。わからない。わからなくなって、ふと聞きたくなった。
「ねぇ、イル。あんたは平行世界の私なのよね? なら、魔法も使えないのよね?」
「うん、使えないよ。いつもいつも失敗ばっかり」
「じゃあなんで、そんなにのほほんとできるのよ? あんたも『ゼロ』って散々言われ続けてきたんでしょ?」
衝動のままに問いかけてみると、イルは「のほほんって、酷いなぁ」とガックリと頭を落とす。それからスッと顔を上げる。そこには今までのニコニコ笑顔でない、真剣な表情があった。
「言いたい奴には言わせておけばいいのよ。その辺のどうでもいい人間に言われたことを一々気にしてたって埒が明かないし、せっかくの人生を楽しめないじゃない。ね、そう思わない?」
ニシシと笑みを携えて問いかけてくるイル。
その瞳が眩しくて。その笑顔が眩しくて。私はつい、目を逸らした。
私には、とてもできないような生き方を貫いているイルが羨ましくて。妬ましくて。イルのような生き方ができない私が情けなくて。どこでどの選択肢を選んだらこんな前向きになれる私が生まれたのか。知りたくて仕方なくなった。
「さて。話すことは大体話したし、ちょっと色々散策してみよっかな♪ ここは平行世界なんだし、私の世界とは色々と違いあるかも。ワクワク☆」
「え、ちょっ!? どこ行くのよ!?」
「人間を召喚するなんてまるで考えてもなかっただろうから、私の寝床の準備なんかしてないでしょ? だから今日は夜通しでどっかしら探検してみるよ。翌朝には帰るから、明日からの私の寝床の確保、よろしくね」
イルは言いたいことだけ言い残すと風のように去っていく。イルの不意の行動にベッドから立ち上がり「あ、こら! 待ちなさい!」と私が制止しようしてもイルは構わずに扉から出ていった。
◇◇◇
「はぁぁぁ……」
イルがいなくなり、急に静けさの増した空間にて。改めてベッドに腰を下ろしたルイズは深く、深くため息を吐く。まさか別世界の、平行世界の自分自身を召喚して、あまつさえ使い魔にしてしまうとは。
(これからどう付き合っていこう……)
私は気づけば頭を抱えていた。もしも動物だったら主人と使い魔という立ち位置を叩きこめばいい。上下関係というものを理解させる形で付き合えばいい。しかし、今回召喚したのは紛れもなく私自身なのだ。いくら使い魔になったからとはいえ、雑な扱いをするわけにはいかない。
とりあえず、使い魔の召喚自体はできたのだから進級はできる。
そのことには安堵しつつも、同時にとんでもない厄介事を自らの手で呼び込んでしまったことにただただ私は頭を抱えて唸るのだった。
後編へ続く☆
実は私、原作持ってないんですよねぇ……
バレなきゃいいですけど(-д´-@)