朝の光と鳥のさえずりで、僕は目を覚ました。心地よい目覚め。
この部屋には時計がないので、早いのか遅いのかわからない。
僕の姿は借り物の浴衣だ。
裏手の井戸で、つめたー、と顔を洗う。手ぬぐいで顔を吹いていると、先生が姿を表した。
僕なんかとは違い、すでに身だしなみが整っている。挨拶をかわし、先生宅にお邪魔。
朝飯を二人で食べて、二人で一息。
「僕も、何かしら手伝ったほうがいいですね」
「うむ。殊勝だな。心配しなくても、君には仕事を考えてある。午前は寺子屋で、子どもたちに教えなければならないのでな。とりあえずは、お守りを手伝ってくれ。午後里の皆に君を紹介しよう」
子供の相手か。
つまり、
「ガキどもの性根を叩き直せばいいのか……」
違うわバカモノ、と僕は拳骨をひとつもらった。イテテ。
何時からかと尋ねると、五ツ半だという。わからないと言うと、だいたい10時だそうだ。
西洋文化もあるのか。まぁ、先生の服装も日本とは言いがたいし。
先に寺子屋の方に行っててくれないか、と先生が立ち上がり皿を片付ける。
僕は頷き、寺子屋へ。
「うん? 誰か居るのかな」
ガサゴソという小さな音。生徒が来たのだろうか、と思った僕は、バカ正直に声をかけることなんてせずに、忍び足で裏側へ。
縁側に音もなく侵入。障子戸を1cmほどずらす。
僕が中を覗きこむと、何やら畳に顔をこすりつけている物体がいる。これはつまり、
「変態だー! 」
いきなり障子戸を開け放ち、乗り込む。相手は、うおぉおう、と狼狽。腰を抜かした。
「ちょっ! なんだよおまえ! 誰だよ! 」
寺子屋の生徒だろうか、13歳くらいの短髪の子供。
「おまえ……先生のなんなんだ!」
少年は、ハッ、と何かに気がついたような素振りを見せ、
「まさかっ! そうか……。」
勝手に納得し、
「先生は渡さん! 俺の名は――」
蹴りを飛ばしてきた。
「小坊主とここで命名してみんとす」
僕は返す裏拳で無駄口叩く馬鹿を殴り飛ばした。
手癖の悪い変態は一発で矯正しておくに限る。とりあえず殴って脱がして全裸で廊下をひきずり回そうとしたところで、先生が来て二人仲良く怒られた。
寺子屋で先生の仕事を手伝い、昼食をとったあとは挨拶周りだ。僕は名前がないので、皆好き勝手に呼ぶ。里の人間は皆知り合いのようだ。妖怪などの脅威があるから、人と人とのつながりが大切なのかな、とか考えてみたり。里を守ってくれる妖怪もいるらしい。詳しいことはわからなかったけれど。
話したり、薪割りの手伝いとかをしているうちに、貰い物のお菓子や小銭は結構な量になった。
夕飯の時、途中から別行動になった先生にそのことを話すと、先生は笑って、私は人間が好きだ、と言った。
ところで、
「な~んでアンタがここにいるんでしょうかねぇ? 」
食事後のくつろぎの空間に、昨日のおやじがいた。
「まぁまぁ、そう言うな」
言い、先生は苦笑。おやじはニコニコ。僕は露骨に嫌そうな顔。
「それで、僕になんの用ですか? 」
答えたのは、おやじではなく先生。
「仕事を頼むと朝言っただろう。彼と共に明日の早朝、山菜を採りに行ってもらえないか? 」
「別に構いませんが」
僕が言うと、
「じゃ頼んます」
と言っておやじは立ち上がり、帰っていった。早いなおい。
「うん。特に危険なことはないだろうが、万が一に気をつけてくれ」
「あ~。まぁ自分の身ぐらいはなんとかなりますから」
さあって明日は早いぞ~。
僕は、先生におやすみを告げて部屋に戻る。
刻を知らせる鐘がどこかで鳴っていた。
キャラを使い捨てにしないように頑張ります。
"おやじ"も"小坊主"もあと何回か出てきます。
おそらく、TOKYOの外に出ているので、名を伏せる必要はないと思うのですが、こちらのほうがらしいので。
行あけしないと読みづらいなぁ。