「わーい。わーい」
と騒ぐ、ちっちゃい頭がひい、ふう、みい。僕の周りで文字通りに飛び回る。ごはんの後に食べようと思っていた、甘い甘いお菓子の袋はすっからかん。その甲斐あって、餌付けに成功。
ここは、木漏れ日が眩しい森の中。
3匹の妖精と出会ったのは、なにが悲しくて、おやじとデートしなけりゃならんのだ、とおやじと別れ一人でテキトーに散策していたときだ。
おーい、と有り余る体力を浪費している妖精たちを呼ぶ。
「なに? 」「なに? 」「なに? 」
「遊ぼうぜ。宝探しだ。これを見つけて持ってきてくれれば、いいものをあげよう」
言って取り出すのは、おやじがサンプルとしてくれた山菜と、飴玉4つ。
「いーよ! 」「それまずい 」「いーよ! 」
「一番たくさん見つけてきた子には、なんと2こ! 」
ブイッ。ピースを作ると、妖精たちも、にこ! と、真似をする。可愛いなぁ、と思う僕はもうダメかもしれない。
「よし、僕が300数えるからその間探して……はじめ! 」
カウントを開始すると妖精たちは、一斉に散会。数えている間、もしかして僕はひどいことをしているのではないか、という罪悪感が湧いて来たような気がするけれど、そんなことはなかった。ひどいようだけれど、あまり期待していないし。
以外にも、戻ってきた妖精たち持つのは、小さな体に対して結構な分量の山菜。……よく見たら、ところどころ雑草らしきものも混ざっているけれど。
そして、仕事に応じた報酬の授与。一番集めてきた妖精は、にこにこと両頬を膨らませている。数の差で、一悶着あるかと思ったけれど、飴玉を転がしはじめたら夢中になり、有耶無耶になった。そんな、悪く言えば単純、よく言えば純粋な姿に、微笑ましさを僕は覚えた。
彼女たちは名前を持たぬそうだ。同じだな、と僕は思う。
僕にはきっと、誰かに呼ばれる名があるのだろう。
――見知らぬ誰かは、いつか、僕と再び出会った時、僕の名を呼んでくれるのだろうか。
――――僕はその誰かの名を、きちんと呼ぶことができるのだろうか。
ここまで考えた時、僕は、ふと気づいた。僕が、いま名を知る相手でさえ、その名で呼ばぬことに。
身勝手だ。いつの間にか僕は手をきつく握っていた。背に冷たい感覚。
ひとつため息を吐き、目の焦点を合わせる。
妖精たちの姿は消え、森は静寂を取り戻していた。
しばらく木に背を預けていると、枯葉を踏む音。おやじだ。背には、様々な収穫物が入った籠を背負っている。おやじは、僕の籠に入っている山菜を見て、素人にしちゃあ十分じゃねえか、と笑った。
「おやじさん……」
「ん? 神妙な顔してなんだ? 」
む、僕はそんな顔をしていたのか。おやじに負い目はないので、表情を正す。
「いや、そういえば名前を聞いていなかったとおもってさ」
「はぁ……猪作っていうだ。というけ、昨日言ったはずだけんども」
可愛らしい少女ならともかく、むさ苦しいおやじの名前を覚えていなかったのは仕方がないことだ。
「うん。猪作さん。今後ともヨロシク」
「はぁ……」
なんだかよくわかっていない――理解されても困る――ようだが、僕にとっては大事な一歩だ。
「すごい量ですね」
僕が、笑顔で言うと、猪作さんは自慢げに声を出して笑った。
そんなこんなで、僕は、おやじ改め猪作さんと少し仲良くなった。
進みが牛歩。
いつになったら、記憶を取り戻すのか。
いつになったら、永夜抄ストーリーが始まるのか。
といった感じですが、すみません。
名前に関しては、こんな形で。
記憶を取り戻した時の整合性のためと、名前を主眼に置きたいので。
おやじ改め猪作さんの口調はテキトーです。
なるべく週1の更新は心がけたいところ。
次話でやっと二人目の東方キャラが……。
それと、相変わらず"僕"のキャラが不安定。