ソードアート・オンライン ~反則の剣士~   作:にょぞ

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クエスト開始

 

 

 

 

 

頭の中でアラーム音がする。

SAO内での朝の目覚ましだ。

俺はいつも9時45分にアラームが鳴るようにセットしている。

今日もいつもどうりの時間に起きる。

………ねむ

どよやら寝すぎたせいで逆に眠くなってしまってようだ。

昨日は宿をとったらすぐに寝てしまったのでだいたい15時間は寝ていたことになる。

そりゃあ眠くもなるというものだ。

ふと、視界の隅にメッセージ受信通知があるのに気付く。

メールは2件。

1件目はアルゴから。

クエストの調子はどうなのか、という内容だ。

これには適当に返えしておく。

そして2件目。

これはフレンドメールではなくインスタントメールのようだ。

インスタントメールとは、相手のアバターネームが分かっていれば誰にでも送れるというものだ。

しかし、送り先が同じ層にいなければならないという制約があり、相手に届いたかどうかもわからないため使う人はあまりいない。

そして、その送り主はというと……

Silica

……えっと…

なんで?

いや…これシリカだよな…

なんでシリカが俺に?

…まぁ、とりあえず内容を確認してみよう。

 

『こんにちはマキさん。シリカです。

 先ほどはありがとうございました。

 その件のお礼とマキさんの武器を壊してしまった

 謝罪がしたいのですが、明日お会いすることはできますか?』

 

とのこと。

これにも適当に返しておけばいいか……

 

『今日10時に転移門から一番近い宿屋の前で』

 

送信っと

さて、今日の予定はどうしよっかな

まずはフィールドに出て≪ダーク・ゾンビ≫を狩るだろ。

≪邪悪な灯≫が手に入るまではいいとして、それかは11層に上がってクエストを本格的に進めなくちゃな。

まぁ、最前線じゃないんだし、一人でもなんとかなるだろ。

…………

まて。俺は今シリカになんて送った?

やばいやばいまずい

これじゃ今日一日シリカとともに行動することになってしまうぞ……

時間がないって言うのにそんなことしてられるかっての

急いでシリカ宛にインスタントメールを送る。

 

『やっぱ今のなし』

 

ってばかじゃねーの!

これじゃ余計シリカがこっちにくるじゃなーか!

こうなったら……

ばっくれる!

俺は部屋着のままで部屋から飛び出した。

急いで階段を降り外に出る。

そして目の前には

 

「おはようございます。マキさん」

 

「きゅる」

 

笑顔のシリカと青い竜。

間に合わなかった……

 

「はぁ…」

 

「ちょ、なんで会って第一声がため息なんですか!」

 

「いや……だってねぇ…」

 

なんでここにいるんでよ……

いや教えたのは俺ですけどね

 

「ていうか早くない?」

 

「ちょうどそこで朝ご飯を食べていたんですよ」

 

そう言ってシリカはすぐ近くの酒場を指さす。

 

「……あっそ…」

 

「む…なんかテンション低くないですか?」

 

「そりゃぁ朝からこんなことになればテンション低くなるってもんでしょ」

 

「こんなことってなんですか!」

 

「まぁまぁそう怒るなって」

 

「きゅるきゅる!」

 

え?何?こいつも怒るの?

 

「はぁ…」

 

「……あの…そんなに迷惑でしたか……?」

 

いやその言い方は卑怯でしょ…何も言えなくなっちゃうじゃん

 

「……はぁ」

 

俺はさっきシリカが指さした酒場へ向かう。

 

「あの……」

 

「朝飯まだなんだよ。そこでいいだろ」

 

振り返りながら言う。

 

「あ…えっと……はい!」

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

「それで?」

 

朝飯のサンドイッチを頬張りながらいう。

 

「何しに来たの?」

 

「謝罪とお礼ってインスタントメールに書きましたよね」

 

「いやそうは言ってもねぇ…」

 

ちらりとシリカを見る。

レベルも低くてレアアイテムも持っていないであろうこの少女に何ができるというのだろう。

 

「具体的には?」

 

「えっと……その…」

 

言い籠るシリカ。

 

「はぁ……無計画か…」

 

「すいません…」

 

別に謝って欲しいわけじゃないんだけどなぁ

 

「えっと…シリカさ、≪邪悪な灯≫って持ってる?」

 

まぁ俺が昨日丸一日かかって手に入らなかったんだから望み薄だけど……

 

「あ、はい。それなら持ってますよ」

 

「まじ!?」

 

え?ウソだろ…

 

「本当ですよ。確か昨日ドロップしたはずです」

 

そう言ってシリカはシステムウインドウを操作する。

 

「あっ、ありました。これですよね?」

 

そう言ってウインドウを見せてくる。

そこには確かに≪邪悪な灯≫の文字があった。

 

「シリカ。折り入って話がある」

 

「な…なんでしょうか?」

 

「その≪邪悪な灯≫。どうか譲ってもらえないだろうか」

 

「いいですよ」

 

軽!

 

「ホントにいいのか!?それレアドロップ品だぞ!?」

 

「はい。私はどうせ使いませんし、それにマキさんの役に立つなら私もうれしいですし」

 

「そっか…ありがとうシリカ!」

 

「いえいえ!そんなお礼を言われるようなことじゃありませんよ」

 

「そうかもだけど、俺はシリカにお礼を言いたいんだ!」

 

「あはは…それなら、どういてしまして」

 

さっそくトレードウインドウに≪邪悪な灯≫が入ってくる。

これでクエストが本格的に進められそうだ。

 

「それじゃ、俺はもう行くから」

 

「えっ……あの…お礼と謝罪は…」

 

「シリカは俺の欲しいものをくれた。それでもう終わりだろ」

 

よし!これで最前線には思ったより早く復帰できそうだ!

このまま一気にクリアするぞー!

俺はルンルン気分のまま店を出ようとした。

が、ふと手を両膝の上に置き下を向いているシリカの姿が眼に入ってしまった。

 

「あ……」

 

少し、悪いことをしただろうか。

俺は彼女の気持ちをこれっぽちも考えていなかったのかもしれない。

この世界はゲームだ。

きっと彼女も冒険がしたいから剣を持ち、足を踏み出した。

もっと強い敵と戦いたい。仲間とともにフィールドを駆け巡りたい。

そんな思いが少なからずあったのだろう。

それに、命を助けてくれた恩人に何もしないというのは彼女の性格上できないのかもしれない。

俺にとっては十分助かっているのだし、彼女は彼女の生活をして欲しいと思うのだが、

それでも彼女がそう望むなら、

もしかしたら俺の考えていることは全くの検討はずれかもしれない。

まぁ…そん時はそん時だ。

俺はシリカの元に歩いていく。

 

「あー…シリカ」

 

「……マキさん…」

 

「その…俺はこれから11層に行く。街に着いて少ししてらフィールドに出るから……その…まぁそんだけ…」

 

シリカの目が開かれる。

 

「あの…それは…」

 

「いや、俺のこれからの計画を口にしただけだ。他意はない」

 

俺はそれだけ言うと今度こそ店を出た。

途中であの青い竜の元気な鳴き声と、嬉しそうな声がもう一つ聞こえた気がした。

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

俺は今11層主街区≪タフト≫の転移門広場にいる。

…はぁ

なんか最近ため息が多い気がする。

いや、これは仕方のないことだろう。

なにせ、アニールブレードの時からインゴットにして剣を作ってきたのだから。

これで受け継いできた剣の魂?みたいなものが途切れてしまった気がする。

まぁ、今回のクエストで新調するつもりだったけど……

壊れるのはないよなぁ…

 

「どうしたんですか?」

 

声をかけてきたのは装備を整えてきたシリカだ。

 

「ちょっとね……なに、問題ないさ」

 

アイテムウインドウから予備の剣を取り出す。

今まで使っていた剣より性能は劣るがこの層ならば問題ないだろう。

鞘に納めて腰に差す。

 

「あの…ごめんなさい…」

 

「ん?どうした?」

 

「その……昨日、剣を壊してしまって…」

 

「あぁ、そのことか」

 

自分のせいで壊れたと思っているのだろう。

 

「別にシリカのせいじゃないさ。それに、もともとこのクエストは新しい武器を調達するためのに受けたんだから」

 

「でも……」

 

はぁ…まったくコイツは…

 

「じゃ、今度なんかお詫びしてもらうからそれでいいだろ」

 

「は…はい…そういうことなら…」

 

「それじゃ」

 

俺は出口の方へ体を向ける。

 

「行こうぜ」

 

歩き出す。

 

「あ…まってくださいよー!」

 

「きゅる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







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