ソードアート・オンライン ~反則の剣士~   作:にょぞ

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みなさんこんにちは

前回マキが手に入れた剣ですが名前を≪マーキュリーソード≫と言います。
最前線で手に入らないほどの性能と書きましたが、今の最前線の28層で手に入らないというだけで、魔剣クラスというわけではありません。普通に76層に売ってます。
ちなみに≪マーキュリーソード≫の売価は207000コルで、≪エリュシデータ≫の売価は2250000コルです。
感想で聞かれたので書いておきます。
また、前話も修正しいておきました。

それでは15話です。
どうぞ




猫からのお願い

 

それは俺がシリカと出会い、キリトと話をした夜から1ヶ月と少し経った頃だった。

サチから突然メールが届いたのだ。

なんでも近いうちに会いたいだとか。

それもできるだけ早く。

そのメールを受け取った俺は攻略の定休日としている次の日曜日に会うことにした。

そして今日がその日。

そんなわけで俺は今、約束の場所である第22層の転移門前に来ている。

この層はフィールドにモンスターが出ず、草原の広がるのどかな層だ。

俺達攻略組にとっては三日で攻略したこともあり、記憶に薄いところだ。

今俺が読んでるかなり前の新聞ではこの層のことが書かれており、『22層のログハウスに住んでみませんか?』と言った広告めいた文字が書かれている。

というかこの新聞…28層攻略した時の新聞じゃねぇか……

28層攻略と言えば2週間くらい前だ。

 

「情報は鮮度が命なんだからこんな情報無価値だろ……」

 

「はっはっは!ごもっともですな!」

 

「うわ!…びっくりしたー」

 

いきなり後ろから声をかけられた。

………今のは声をかけるに入るのだろうか

 

「やっ…驚かせてしまいましたか!これは申し訳ない!」

 

声がでかいおじさんだ……

というかおじさんってみんな声がでかいものなのだろうか……

 

「いえ……そんなことは…」

 

そう答える俺の目の前にいる人物は釣竿を持って麦わら帽子をかぶっている40くらいの男性だ。

一応言っておくが40ってのはレベルじゃなくて年齢の話だからな

 

「私はニシダと申します」

 

「はぁ……マキです」

 

まぁ…悪い人ではなさそうだ

 

「その新聞ですがなぁ…この層に住んでるある人が大量に持っていてここに置いてるんですよ」

 

「その……それ意味あるんですか?」

 

「まぁ地元愛というものですよ。こんな地味な層が新聞に載ったんですから、それを自慢しようとする人もいるということですよ」

 

情報ではなく新聞に載ったという事実を知ってほしいというわけか

なるほど……わからん

 

「えっと…ニシダさんもここに住んでるんですか?」

 

「えぇ…実は私、三度の飯より釣りが好きでしてなぁ」

 

「釣り…ですか」

 

新聞に目を落とす。

そこには『22層にモンスター?』という見出しでこの層の説明が書いてある。

なんでもこの層の湖に≪主≫と呼ばれるモンスターがいるとかいないとか……

 

「この主?ってやつは釣れたんですか?」

 

「いえそれがですね…まだ誰も見たことがないそうなんですよ」

 

「へぇ…」

 

「主を釣り上げることが、この世界の目標でしてな」

 

「そうですか…がんばってくださいね」

 

「おっ!応援されたからには何としてでも釣り上げなければなりませんなぁ」

 

「ははは」

 

そんな雑談をしていると転移門の方で青い光とともにサチが現れた。

 

「待ち人が来たので俺はこれで」

 

「そうですか。マキさん、また気が向いたら遊びに来てください。羽を伸ばすには打って付けですよ」

 

「そうですね、今度暇があったらまた来ますよ」

 

「えぇ、それでは」

 

そう言って歩いていくニシダさん。

彼と入れ替わるようにしてサチ近づいてきた。

 

「よう、サチ」

 

「こんにちはマキ。さっきの人は?」

 

「さっき知り合った人だよ。この層に住んでるらしい」

 

「へぇ…そうなんだ」

 

新聞をアイテムストレージにしまう。

それからサチの方へ振り返る。

 

「それで、どうしたの?」

 

「今日はね…お願いしたいことがあるんだ」

 

「お願い?俺に?」

 

「うん」

 

俺に頼み事とは珍しい。

というか普通に初めてだった。

 

「まぁ、俺にできる範囲ならいいけど」

 

サチからのお願いというと、一体なんだろう。

何かアイテムが欲しいってわけでもなさそうだし…

となると、≪月夜の黒猫団≫のことか?

俺の考えは半分あたりだった。

 

「あのさ…マキはキリトのことって知ってる?」

 

キリト絡みと来たか

さて、どう答えるかな…

 

「ケイタからメールで聞いた事ぐらいなら」

 

無難な答えを返す。

キリトには任せるって言ったからばらすわけにはいかないもんな

しかし、俺の答えはサチにとっては不満だったらしい。

 

「そうじゃなくて……キリトがものすごく強いって事」

 

また答えに困る質問だ。

これにも無難に返すのが得策だろう。

 

「あぁ、ケイタが言ったたよ。そんなにレベルが違わないのにすごいって」

 

「マキ…私が言ってるのはキリトのレベルのことだよ」

 

一瞬、言葉に詰まる。

 

「それは…どういう意味?」

 

もしかして……

俺のその考えは当たっていた。

 

「キリトのレベルがものすごく高いって事」

 

そう言うサチは一体何を考えているのだろうか。

怒りか、侮蔑か、

 

「それを聞いて…どうするの?」

 

思考のせいか、少し冷たい言い方になってしまった。

 

「どうするって…マキにお願いするの」

 

「………は?」

 

予想外の答えにきょとんとしてしまう。

 

「もー、さっき言ったじゃん。お願いがあるって」

 

「いや言ったけどさ…それとキリトと何の関係があるって言うのさ」

 

キリトのレベルが高い事と俺との関係といったら……

ダメだ…思いつかない

 

「あのね……もしマキとキリトが知り合いだったら頼みたいことがあるんだ」

 

そうか…キリトが俺と同じ攻略組にいると思ったのか

それなら俺に頼み事をするというのも納得がいく。

 

「……とりあえず話だけなら」

 

サチのことだから物騒なことではないだろうけど…

レベルを偽って近づいたキリトに関する頼み事だからな

 

「あのね…次のクリスマスにキリトに渡してほしいものがあるんだ」

 

クリスマスプレゼントか何か?

ていうか普通クリスマスプレゼントを他人に頼んで渡してもらうか?

それなりの理由があるのかもしれないし、もしかしたらクリスマスとは無関係ということも……ないな。

だったら時期をクリスマスに指定する必要もないだろう。

それはさておき、

 

「んー……まぁ物を渡すだけならかまわないよ」

 

物によるけど

無言で手を差し出す。

とりあえず預かって、渡せないような物なら俺が処分してしまって構わないだろう。

その時は俺に頼んだことと、そんな物を渡そうとしたサチの自業自得だろう。

 

「ちょっと待ってね、今だすから」

 

サチはシステムウインドウを開き、そのまま指を走らせる。

それから少しの間をおいてオブジェクト化されたのは予想外にも録音結晶だった。

録音結晶とは、文字通り音を録音することのできる結晶だ。

他の結晶類と違って比較的安価なため、歌などを録音して販売するなどして娯楽要素として活用しているプレイヤーもいる。

 

「録音結晶?なんでまたそんなものを……いや、何を渡すかは個人の自由か…」

 

クリスマスプレゼントは私の声ってか?

まぁあ、俺が口出しすることじゃないけどさ

 

「それじゃあ、次のクリスマスに渡しておくよ」

 

そういて録音結晶を受け取る。

するとサチは予想外にも顔をうつむかせて申し訳なさそうに言った。

 

「ありがと……ごめんね…マキ以外に頼める人…いないんだ」

 

「?そんなことないだろ。ケイタとかに頼んでもいいわけだし」

 

ゆっくりと首を振るサチ。

一体何を思ってそう言ったのかは分からないが、彼女にも色々と考えることはあるのだろう。

近しい人に知られると恥ずかしいとか

とにかく、サチの頼み事はいったん終了というわけだ。

後は言われた通りにクリスマスにキリトに渡せばいいだけ。

話は終ったし、もう帰ってもいいだろう。

 

「別に何でもいいけど…それじゃ、俺はそろそろ帰るね」

 

いつもならこのまま世間話をしてもかまわないが、生憎俺は今日これからは予定がある。

というか、普通に29層攻略会議だった。

攻略自体は明日やるので少しくらい遅れたって問題はないのだが、その時はアスナに何て言われることやら……

そんな訳であまり長居はしていられないのだ。

俺は一言別れの挨拶を転移門の方に歩き出す。

 

「マキ」

 

そしてすぐに呼び止められた。

振り向いてサチの顔を見るが、まだ話があるようには見えなかった。

 

「なに?」

 

すると、サチは微笑みながら俺に言った。

 

「ありがとう。さよなら。」

 

その表情はひどく可憐で、思わす見とれてしまうほどだった。

ようやく口から出たのはいつも通りのなんてことのない言葉で少し安心する。

 

「あぁ……またね」

 

今度こそ転移門の前までたどり着き、最前線の主街区の名前を口にする。

視界を染める青い光の中に、その姿が見えなくなるまでサチはそこに居続けた。

 

 







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何か指摘や質問等があったら気軽に言ってください。

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