いや実はですね、書いてる途中でPCがフリーズして後半は書き直したんですよ……
そのせいで雑になっているところもあると思いますが、温かい目で見ていただけると幸いです。
時間があったら書き直しますので……
それでは18話です。どうぞ
膝を抱えて座り込んでいた。
あれから街に帰る気になれなくてまた迷宮区を彷徨っていた。出会うモンスターは片っ端から倒していき、ようやく安全域までたどり着くことができた。それからはずっとこうして座り込んでいるという訳だ。
あれからどのくらい経ったか分からないけど少なくとも夜は明けていると思う。視界端のHPバーも時計も見る気になれない。
座り込む俺の横には抜き身のままの片手剣と短槍。言わずもがな、俺の《マーキュリーソード》と黒マスクから奪った槍だ。剣の方はしばらくメンテしてないし、槍の方は無茶な使い方をしたり防御に多く使ったしたからどちらもボロボロだ。そろそろ耐久値が切れてもおかしくない。
そういえば、あの女性プレイヤーの名前はなんていうんだろう。あの黒い集団はなんていうんだろう。
何も知らない。それなのに俺は全てを奪った。何の関係もない俺が……殺した。
違う!そうじゃない!俺じゃない……俺のせいじゃない
否定の言葉を並べないと闇の中から伸びてくる手に掴まれてそのまま向こう側へ連れていかれるような気がした。
―――オマエが殺した……オマエのせいで……
そんな光景を見たくなくて、そんな言葉を聞きたくなくて、必死に目をつむって、外界の音を遮断した。
もう何も見たくない。何も聞きたくない。このままずっと一人でいい。そうすれば誰も俺を責めないから。
そう思っていたのに、すぐそばから声が聞こえた。
「………マキ君…」
咄嗟に剣と槍をつかんで距離を取り、構える。
きっと俺が殺人をしたなんてことは知れ渡っていて、俺を殺しに追手が来たんだろう。
そこに立っていたのは驚くべきことにアスナだった。
「…アスナ……」
最悪だ。
いや、ヒースクリフやキリトじゃないだけまだましと言えるだろう。それでもボロボロの武器じゃ勝つことは出来ないだろう。
逃げるにしたってアスナの足じゃ簡単に追いつかれる。
「えっと…マキ君……これ、この鞘…君のだよね……?」
そう言っておずおずと差し出したのはまぎれもないフィールドに忘れてきた俺の鞘だった。
でも何故?なんでアスナが……?
結論は一つだろう。おそらくアスナが迷宮区に来る途中に拾ったのだろう。しかし、そうなるとあそこで死んだプレイヤーの物も落ちていたはずだ。
つまり、アスナは知っている。あそこで何があったのかを。そこに俺がいたことを。
「あの……これ、ここに来る途中にあるプレイヤーから……」
「違う!」
気づけば叫んでいた。
「俺じゃない!」
アスナは驚きながらも不思議そうに首を傾げていた。
「俺のせいじゃない!仕方なかったんだ……!ああするしかなかった…不可抗力だったんだ!正当防衛だよ!」
必死になって言葉を並べる。ただの醜い言い訳。気が付いたらそんな言葉が出ていたのだ。
静寂。アスナは何も言わない。それから十数秒程度経った時、アスナは
「……そっか」
とだけ呟いた。
アスナが何を考えているのかを考える余裕は俺にはなくて、追い詰められた犯人が口をそろえて言うような意味のない言葉しか出てこなかった。
「そうだよ!俺は悪くない!……悪くなんかない…」
自分に言い聞かせるようにして言う。
自然と視線が下がり、歯を食いしばって自分の言葉に共感する。
突然、コツッという音がした。
反射的に顔を上げるとアスナがこちらに向かって一歩踏み出したところだった。咄嗟に左手に持った槍をアスナに向けて構える。
「く、来るな!」
それでもアスナは歩むのを止めず、むしろこちらに見せつけるように音を立てながらゆっくりと細剣を鞘から抜いた。
咄嗟に震える左手で握った槍を構える。
一歩、二歩とアスナが歩いてくるのに合わせて後ずさる。しかし、元から隅でうずくまっていたのだ。三歩もしないうちに背中が壁につく。
やらなきゃ……やられる……
今まで何度も救ってくれた決断力は今回も俺を裏切らなかった。震える体に力を入れて踏み込もうとした瞬間
――槍がひとりでに砕け散った。
違う。耐久値減少による自然消滅じゃない。見れば、すぐ近くでアスナが細剣を振り上げている。
なんてことはない。アスナ持ち前の速さで俺が動く前に槍を斬り上げて破壊しただけの事。それでも俺には何が起きたのか全く分からなかった。分かることと言えば、前に体重を乗せた体では回避は不可能だということ。
アスナに俺が何かするよりも速く近づかれて、俺は―――――
―――――抱きしめられた。
槍が壊れた以上に何が起こったか分からなかった。
混乱している俺のすぐ傍でアスナは囁いた。
「……大丈夫だよ」
大丈夫……?何が……?
この人は、一体何が分かるの言うのだろうか
「大丈夫じゃ……ないよ…」
拳を握る。歯を食いしばる。
こんな状況じゃ戦う意志はなくなるけど、抵抗はする。
「俺がどんな気持ちで人を…こ……ころ……」
口にするのをためらってしまう。言葉にしてしまえば確定してしまいそうな気がしてたまらない。
アスナは俺の言葉を聞いて、さらに腕に込める力を強めた。
「君に何があったのか、何をしたのか、どんな気持ちだったかは知らない……でもね……今、マキ君が辛いんだってことは分かるから」
アスナは一旦言葉を区切る。耳元で息を吸う音が聞こえた。
アスナにどんな意図があってこんなことをしているのかは知らないし、それを俺がどんな風に受け取るかもわからない。それでも、こうしていると自然と力が抜ける。一度緩めてしっまった体を再び動かすのは億劫で仕方ない。
「ね…君は一人じゃないんだよ……困ったときは、相談してくれると嬉しいな……」
今さらながらに気づく。アスナは別に俺を捕まえに来たんじゃないって
アスナの気持ちは素直に嬉しいし、この気持ちを誰かに吐露出来たらどんなに楽なことか。
でも、それはできない。『マキ』というプレイヤーは一人でデスゲームを生き抜けるようなものでなけねばならないのだ。そうでなければ俺はきっと―――――
「ありがとうアスナ。大分落ち着いたよ。もう大丈夫」
アスナの腕をつかんで抱きしめるのをやめさせてから言う。それから、アスナが持っている鞘をつかみ、納刀してから腰に差す。
「鞘、ありがとう。それじゃ」
「え……あの……」
今の俺はひどく落ち着いている。まるで今までのことが嘘のようだ。アスナは当然、俺の変わりように驚いている。もっとも、俺だって驚いているが。どうやら俺は感情のコントロールが得意なようだ。いや、得意になったというべきか。なんというか、感情を制御するコツを掴んだようである。
腰のポーチから転移結晶を取り出して唱える。
「転移、ミーシェ」
一度宿に戻って一眠りしてから攻略をしよう。
アスナの制止の声が聞こえたが、すでにクリスタルは割れている。青い光が俺の視界を埋め尽くす。これから夜にちゃんと寝れるかは分からないが、アスナと顔を合わせるのは気まづくなりそうだ。
補足です。
アスナは一人で攻略しに来たのではありません。安全域まではKoBのメンバーと一緒に来て、マキ君を見つけたら他のメンバーを先に行かせたという訳です。
アスナは今のマキ君とは一対一で話した方がいいと思って、メンバーには「後で追いつく。危なくなったら転移結晶を使う」とか言って無理やり先に行かせたということです。
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